- 【うみねこのなく頃に】屁理屈推理合戦スレ 2
701 : ◆TL.aDNHaKs [sage ]:2009/03/03(火) 23:43:11 ID:tAD62Zwy - ベルフェゴール「…怠惰のベルフェゴール、ここに。
ベアトリーチェ様より、退屈しのぎに、お前たちの武勇伝でも話して来い、とのご命令だ。 ちょうど以前、サタン姉から聞いた話がある。 ……少々長い話になってしまうかもしれないが、なるべく手短に済ませよう」
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703 : ◆TL.aDNHaKs [sage ]:2009/03/03(火) 23:47:58 ID:tAD62Zwy - ベルフェ「
―――この物語はどうせ幻想に決まっています 本編と関係があるはずもありません――――― ●親族会議の晩餐 ・10/4 17:40 年に一度の親族会議、その晩餐の準備のため、シェフはいつもよりも張り切って料理を作っていた。 豪華絢爛、普段は見る事もできないような完璧な料理。 シェフはメイドと使用人の少年を使い、てきぱきと食堂の机の上のアレンジメントを行っていた。 「きゃっ!」 配膳ワゴンを運んでいたメイドが、思わずつまずきかけ、ワゴンの皿が揺れる。 それを見て、シェフは大げさにため息を付く。 「……緊張するのはわかりますが、くれぐれも粗相の無いようにお願いしますよ。 今日は重要な会議なのですから」 メイドはそれを聞いて、顔をうつむかせる。使用人の少年はその様子をちらりと見ながら、 黙々と作業を続けた。手際の悪いメイドにため息を付きながら、シェフはなんとか 料理を並べ終わった。 「御飲物は用意出来ていますか?」 メイドは配膳ワゴンを慌てて見るが、あいにくワインが用意されていない。 シェフはまたもや、大きなため息を付く。 「……はぁ、仕方ありませんねえ。それでは私が取りに行きましょう」 シェフはあわてて食堂を出て行った。 「…奥様もあいつも地獄へ堕ちろ」 シェフの後ろ姿を見ながら、使用人の少年はぽつりと言った。 「……ワインを選ぶのはあいつの仕事だ。料理だってもともと、こんなに作る予定じゃなかった。 計画が杜撰なら、時間がかかるのは当り前じゃないか。なんで姉さんが責められなきゃならないんだ」 「ありがとう。…でも、私にも責任のあることだから。…手伝ってくるね。ここで見ててくれる?」 メイドはそう少年に声をかけると、部屋を出た。
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704 : ◆TL.aDNHaKs [sage ]:2009/03/03(火) 23:53:42 ID:tAD62Zwy - ベルフェ「●10/4 17:45
親族会議の食堂には、いつもは見慣れない絵が掛けられている。 掛けられた絵は、黄金の魔女、千年の魔女の肖像画。等身大ではないが、人の肩幅程はある絵画。 食堂に一人残された少年は、その絵を見ながら、ぼんやりと物思いにふけっていた。 「黄金の…魔女…か」 それをこっそり影から見ていたサタンとベルゼブブは、くすくすと笑う。 「…あいつのさっきの顔、見たァ?最高じゃない! このままほっといたら、いつか物凄く面白いことになりそうね!」 「……ねえ、サタンお姉さまぁー」 「なあに」 ベルゼブブは、机に並べられた様々な料理を眺め、ぽつりと言う。 「…………………お腹空いた。これ食べてもいい?」 「…だ、ダメに決まってるでしょ!あのニンゲンがいくらぼんやりしてても気づくわよ!」 「うわーん!お腹空いたぁ!ちょっとかじるくらいいいでしょ〜!ねえいいでしょ! …………………うん、今ならばれない!いいよね!うん!」 一人で勝手に納得しながら、料理皿に手を伸ばすベルゼブブ。 私はあわててベルゼブブを止めようと手を伸ばすが、こと食べ物のことになると、 ベルゼブブの手は早い。彼女の手がひょいと海老をつかみ、口に放り込んだ。 その時、ちょうど振り返った少年と目が合った。
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705 : ◆TL.aDNHaKs [sage ]:2009/03/03(火) 23:56:27 ID:tAD62Zwy - 「「あ」」
「…だ、誰だ…お前達は」 …あれ、どうやら私達のことが見えているらしい。驚きのあまり、私とベルゼブブは そのままの姿勢で固まって机の上に倒れこんだ。いくつかの皿が飛んで、派手な音を立てて落ちる。 「お前達…ひょっとして魔女の…」 さて、本格的に困った。私は1秒たっぷり考える. …面倒だから、もう殺しちゃおう。ニンゲンが一人だけなら、魔法も十分使える。大丈夫だろう。 私は一瞬で杭になり、あっけにとられた少年の無防備な胸を狙った。 だが、心臓を突き刺した、と思ったその瞬間、輝く軌跡が私の目の前を薙いだ。 「…魔女の家具め!」 いつのまにか、少年の右手には輝く刃が現れていた。私はあわてて動きを止め、机に飛び乗る。 …何、何なのよ、このニンゲン! 弾みで皿が2、3落ちる。それを目ざとく見つけたベルゼブブが、ローストビーフを 口にくわえながら机の下に飛ぶ。 美しい軌跡を描きながら、少年は刃を振るう。私はその刃を避けながら、少年の周りを 杭になってぐるぐると回った。姿形はニンゲンに見えるのに、恐ろしく隙がない。 私は攻めあぐねて回りを見た。ベルゼブブが床に散らばったスープを舐めている。 「ちょっと!あなたも手伝いなさいよ!」 「……う…うー?」 ベルゼブブが口に4枚のローストビーフをくわえながら振り返った。…ダメだ、コイツ
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706 : ◆TL.aDNHaKs [sage ]:2009/03/03(火) 23:59:11 ID:tAD62Zwy - ●10/4 17:50
ちょうどそのとき、扉が空いて、シェフとメイドがやってきた。シェフは私達を見て、悲鳴を上げる。 「ひ、ひいいいいぃぃぃぃ!こ、こ、これはどどどどういうことですかぁ!!」 うるさいニンゲンだ、と思って狙いをつけてから、シェフの体が半透明の壁で 覆われていることに気づく。…ちっ シェフの体の後ろから、メイドが姿を現した。 「ね、姉さん!」 「…気配がしたと思ったら…魔女の家具だったのね。 大丈夫。後ろは私が守ってるから、遠慮なく攻撃して」 …何なのよぉ、こいつら! 形勢が不利になったことに気づき、私は焦った。 このままでは勝てそうにない。何か少しでもあいつの鼻を明かしてやろう、と思った。 そのとき、先程まで少年が見ていた魔女の絵に気づいた。そうだ、これを盗んでやろう。 サタンは少年を攻撃すると見せかけ、まっすぐに飛んでいった、そして、そのまま絵に 近づくと、絵を手に抱えた。 「ベルゼブブ、行くわよ!」 「やだやだ、まだ食べるぅ〜」 パスタにかじりついているベルゼブブを蹴飛ばすと、私たちは杭に化け、窓の隙間から外へ逃げ出した。 「くそ、逃げられたか!………姉さん!」 「大丈夫。みんなの様子は私が確認してくる!」 そう叫ぶと、メイドは食堂のもう一つのドアを開け、走り去っていった。 後には、あっけに取られたシェフと、それを冷やかに見つめる少年が残された。
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