- 【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4
605 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 15:48:58 ID:Ubn0a6SK -
どれぐらい時間が経ったのだろうか。 数分かもしれないし、数十分、あるいは数秒しか経っていないのかもしれない。 ……ここ雛見沢に来てからは驚きの連続だ。 空気感染する寄生虫、寒村の寂れた村にあるメタルギア、子供なのに機転を利かせ戦略性もある部活メンバー。 ある程度の事ならば、受け入れられると思っていた。 ……いや、思い込んでいただけだ。 親友が生きていたという事実を、「俺が死んだ未来から」やって来たという事実は到底受け入れられない。 梨花から、俺がトラップで死んだだの知恵に殺されただの、そういう話はいくつか聞いていた。 だけど、――ほんの少しだけ、疑う気持ちがあったのだ。 所詮、子供の戯れ言では無いのか、と。 凶暴な蛇を大人しくさせ、どこか達観し大人びた思考を持つ彼女は、人智を超えた何かがあるのだろう。おそらくは。 だが少しだけ俺は彼女を疑っていたのだ。日常が平和であれば平和である程。 ……それには理由がある。俺は――――。 「驚くのも無理は無い。……俺自身、ここにこうして居ることが不思議なくらいだ」 フォックスが自分の手を見つめて呟いた。同時にこちらの思考を中断する。 彼も、俺にかける言葉を失っているのだろう。……無理もない。 どこからどう説明すべきか迷っているのだ。 「俺の存在を受け入れるのならば、今から話す話は真実になる。俺の存在が認められないのならば、話はただの妄言になる」 ――信じるも信じないもお前次第だ、スネーク。 暗にそう言われている気がした。 ……言われる前から分かっているさ。答えは決まっている。 「目の前にフォックス――いや、フランクがいる。過程がどうであったにせよ、これは真実だ」 はっきりと、そう答えた。 ――目の前の親友の存在を否定する事なんて俺には出来ない。 それに、雛見沢症候群は「疑心」から発症する事が多いらしい。 親友ですら信じられないのならば、俺は誰を信じろというのだ。 だから――せめて今は、彼の話に耳を傾ける事にした。 「ありがとう」 奴には似合わない台詞だった。 「長くなりそうだが聞いてくれ。俺の物語を」 ◇ ◇ ◇
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606 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 15:49:42 ID:Ubn0a6SK -
とある世界の19××年、シャドーモセス島。 「この」シャドーモセス島では、ソリッド・スネークは死亡していた。 本来、彼はここで死ぬ存在では無い。だが「その世界で」「ソリッド・スネークは死亡した」のは事実だった。 話の流れは、本筋を大きく逸脱して変化する。 スネークはオセロットによって始末された。フォックスの加勢が間に合わずに。 だから、その世界のオセロットは右腕が切り落とされていない。 スネークという邪魔者が消えた事によって、リキッドは作戦が成功すると思い込んでいた。 しかし、彼もオセロットによって消される事になる。 正確に言えば「愛国者達」に、だ。オセロットは愛国者の意向に沿って行動した。 スネークもリキッドも消え、愛国者に対して邪魔をする者が消えた。 「愛国者達」にとっては絶好の世界だったと言える。 ここでタイム・パラドックスが生じた。 死ぬはずの無いスネークが死んだ為、死ぬはずだったグレイ・フォックスが生き延びた。 フォックスに言わせれば「自分が死ぬ代わりにスネークが死んだ」事になるだろう。 そして、彼は「愛国者達」の存在や実態を知り、愛国者と戦う事を決めたのだった。 薬漬け、強化骨格によって無理矢理蘇生された体なのにも関わらず。 時は変わり、2010年前後。 グレイ・フォックスとオセロット達愛国者との戦いは続いていた。 その頃、雛見沢であるメタルギアが開発されていたのだ。 「永久機関」という特殊な物が搭載されている新型メタルギア。永久機関はその名の通り絶大な力を持っている概念だった。 愛国者はこれを必要としていた。 それを破壊すべく、フォックスは開発地である雛見沢へ。 それを阻止すべく、オセロットも雛見沢へ。 そして、もう一人雛見沢にやって来た人物がいた。 リキッド・スネークである。 彼は「この」世界、すなわち「ソリッド・スネークが死に、グレイ・フォックスが生き延びた世界」では死亡している。 つまり、彼は別の世界、いわゆる「IF」の世界から来ていたのだった。 その世界のシャドーモセス島でもソリッド・スネークは死亡している。 リキッドにとって後の邪魔者は愛国者だけだった。 彼もまた愛国者と戦い続け、2010年を迎える。 そして、どういう訳か彼は「彼が死亡している世界」に迷い込む事になった。 彼が他の世界へと行けたのは「永久機関」による影響なのか、人智を超えた力を持つ何者かの気まぐれなのかは分からない。 その世界――「フォックスが生き延びた世界」にたどり着いた彼もまた、新型メタルギアの噂を耳にする。 それを奪取すべく、リキッド・スネークは雛見沢へと向かったのだ。
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607 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 15:51:10 ID:Ubn0a6SK -
目的も意志も異なる三人が対峙する。 新型メタルギアの前で、彼らは激しい戦いを繰り広げた。 オセロットが跳弾を駆使してフォックスを襲い、フォックスは刀で弾を弾く。 リキッドもナイフや体術を使い、三人はほぼ互角といって良いほどだった。 しかし、その場にいる全員にとって誤算が生じた。 「永久機関」――つまり、タイムマシンが暴走したのだった。 暴走した理由は誰にも分からない。 永久機関自身が暴走させたのかも知れないし、流れ弾が永久機関に当たって誤作動を起こしたのかもしれない。 三人はそれを知ることが出来なかった。 辺り一面強い光に包まれ、それぞれが目を開けた時には――そこにメタルギアは無く、寂れた寒村の風景が広がっているだけだったのだから。 フォックスは、当初そこが日本である事だけは理解できた。 それ以上の事を調べるのには時間がかかった。彼の外見、装備から直接人と接触する訳にはいかなかったからだ。 時間を重ねるにつれ、そこが何時の何処であるかが判明する。 そこは、1983年の雛見沢である事が。 そして、あの時対峙した二人――リキッド・スネークも、リボルバー・オセロットも雛見沢にいる事が。 リキッドは独自に戦力を集め、密かに行動していた。 オセロットはとある組織と接触し、彼が知っていた技術を応用して、永久機関を搭載したメタルギアをまたもや作り上げた。 フォックスも情報を集め、時にはリキッドやオセロットと交戦しながら潜伏していた。 6月の半ばになってから、三人はそれぞれ知る事になる。 それぞれの世界で死んでいたはずの、ソリッド・スネークが雛見沢に来た事を。 ◇ ◇ ◇ 「……という訳だ」 フォックスの話が終わった。 またもや驚きの連続だった。すぐには理解出来ない。 ……しかし、これを信じないとつじつまが合わないのだろう。フォックスの話しぶりからして、嘘はついていないようだしな。 まとめるとこうなる。 俺はいくつかの世界で死んでいて、ある世界ではその影響でフォックスが生存。フォックスと愛国者は戦いを続ける。 他の世界では俺もフォックスも死亡。リキッドは力を増大させ、彼も愛国者と戦っていた。 2010年で新型メタルギアが完成間近で、フォックスとオセロットが同じ世界からやって来て、リキッドは別の世界から来た。 そこで永久機関が暴走し、1983年の雛見沢へ――?
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608 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 15:53:01 ID:Ubn0a6SK - 「……待て。今は1983年の6月なのか?」
「そうだ」 あっさりと返事が返ってきた。 ……つまり、ここは過去の世界? 今まで全く疑問に思ったことは無かった分、驚きが増す。 83年と言えば俺はまだ11才じゃないか。銃は扱っていた物の実戦の経験も無いただの子供だった。 あの頃なら圭一達と仲良く出来たかもな、と関係のない事を考えてみる。 「今まで不思議に思わなかったのか?」 今度はフォックスが問う。 「今が昭和58年の6月、だという事は知っていた。だが昭和が西暦の何年に当たるのかまでは分からなかった」 梨花が繰り返し「昭和58年」だと言ってたからだ。 日本の元号が西暦何年か。知らなかったし知る必要も無いと思っていたからここまで疑問に思わなかったのだろう。 「なら、お前も永久機関の影響でここにいるはずだ」 「俺は永久機関とやらに接触した覚えは無いが?」 「あれが及ぼす影響や力の範囲は底知れない。知らず知らずのうち過去に送り込まれたのだろう」 それ程までの力なら、どうりで知恵が欲する訳だ。悪利用されなければ良いが。 ……それより、話を聞いたせいか疑問が増えてしまった。 「リキッドも、オセロットも、……ここにいるんだな?」 「そうだ」 ……何という事だ。 殺したと思っていた自分の兄弟、愛国者という巨大な組織に属するオセロット。 二人とも、この雛見沢にいるのだ。いずれ、――戦う日が来るだろう。 ゆっくりと息を吸い込み、吐き出す。
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609 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 15:54:24 ID:Ubn0a6SK -
突飛な話だった。だが、整合性があった。 信じられない話ばかりだったが――――信じよう。 でないとフォックスが生きている理由が説明つかない。……俺の世界では死んでいたのだから。 彼もまた、俺が生きていて雛見沢に来たと知った時には驚いたのだろう。 だがそれを受け入れて、こうして俺を救ってくれたのだ。 信じなければならない。 前にも言ったように、親友の存在を否定することは俺には出来ない。 フォックスはどれほど苦労したのだろう。 愛国者に長い間立ち向かっていたのだ。それもたった一人で。 シャドーモセスの時では意識を保つのすら難しい様子だったのに。 それを押し込めて、刀を杖に立ち上がって、今まで生きてきた。 何が彼を突き動かしたのか。 宿命を背負ったからか、愛国者への憎しみか、或いは――。 「人が来るな」 ぼそり、とフォックスが呟く。遠くから複数の足音と話し声がしたからだ。おそらく子供達だ。 彼は刀を納め、俺に背を向けた。 「待て、まだ聞きたい事が――――」 「俺がいると話がややこしくなる。時が来ればいずれは会うことになるだろうな」 また会いにくるぞ、スネーク。 そう言い残して、引き留める間もなくフォックスの姿は見えなくなった。 無意識に伸ばしていた手を下ろす。 「また会いにくる」。 それは不思議な響きを持っていた。 ……そして。 息せき切って走ってきた圭一、魅音、レナに、今度は俺が質問攻めにあう番となった。
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610 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 16:05:33 ID:Ubn0a6SK - 以上です。メサルギア氏いつも乙!
予約したい所ですが四、五日家を空けるので帰ってきてからします。 えーと展開について突っ込みたい所がありましたらじゃんじゃんお願いします。 MGS4やった方には「フォックスの世界でのオセロットの行動おかしくね?」と思う人もいると思います。 元本編氏の言葉を引用すれば、フォックスもリキッドもひぐらしで言う「祟殺し」とか「目明し」とか 「IF」の世界からやってきたような物です。 だからフォックス世界でのオセロットは、愛国者寄りの行動をするという事でお願いします。 (つまり今雛見沢にいるオセロットは「愛国者万歳」) MGS4発売前にこの展開が決定していたので、その辺りに指摘をする方はしたらばへお願いしますー。ノシ
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611 :通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE [sage]:2008/11/30(日) 16:07:12 ID:Ubn0a6SK - 途中送信orz
切れている所は (つまり今雛見沢にいるオセロットは「愛国者万歳!」な行動するかも知れません) という事でお願いします。ノシ
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