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95 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:04:51.82 ID:69ytLYmf - VS君子……………………
茜と想いを交わしてから数年……懐かしいこの団地に戻って来て、大学は今、夏休み。 交際は順調なんだけど…………… 「こんにちは〜」 「あら〜、いらっしゃい茜ちゃん」 「おばさま、こんにちは」 「ぅん〜違うわよぉ、茜ちゃん!」 「?」 「お義母さん……でしょ?」 「え?あ、あの、それはその〜」 「早く、孫の顔を見せてくれないかしら?」 「!」 「何言ってんだよ! 母さんはもう」 玄関先でやられては古い団地だ、近所に丸聞こえになる。 堪らずに雅人は出てきて 会話に割り込む。 「だぁってねぇ……あ、茜ちゃん! ちゃんと掴まえておかないとダメよ」 「なんだよ、その俺が浮気でもするみたいな言い方は!」 茜は物怖じしないタイプだけど、こんな事を恋人の母親に言われては平静ではいられない らしい……赤くなって縮こまっている。 「とにかくいつまでもそんな所にいないで、中にあがりなよ」 「え、ええ」 お袋はニコニコしながら、俺たちを見送っていた。
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96 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:06:06.50 ID:69ytLYmf - 「なんか来る度にすまないね、お袋の事」
「ん?……ううん、ちょっと恥ずかしいけれど嬉しい」 お袋のこの喜び方には、チョットした理由があった。 実のところ俺は茜との事を、こっちに戻って来るまで一切説明していなかったのだ。 君子は学校での事だし感付いていたみたいだが、だからってペラペラしゃべる 様な妹でもない。 当然にと言えば当然ながら、かすみとの仲は微妙にならざるを得なかった。 引っ越し後、お互いがお互いに連絡をせず仕舞いだったのだ。 それまで親同士はなんとな〜く、かすみの様子からいつかはくっついてしまうんじゃ ないか? ………なんて思っていたらしい。 これは、かすみのお袋さんから直接 言われた事だし、言われなくとも肌で感じられていた。 それが我が家の引っ越し後、1年ぐらいした頃にかすみに恋人が出来たものだから 双方の両親は、ビックリしてしまったらしい。 お相手は「高林勇次」 俺が茜の事を見続けていたのと同じく、高林のヤツもずっと密かにかすみの事を想い 続けていたらしい。 意気消沈していたかすみの事を、陰に日向に力づけてあげていたんだな……茜も微妙な 立場ながら、応援してあげていたという。 さらには波多野と木地本の協力もあり、3年の 受験前の頃にかすみがOKしたとは、後に聞いた話だった。 かすみの両親からこの事を聞いた俺のお袋の落胆は、相当なモノだった。 このバカ息子は何があっても連れ合いだけは「かすみ」と言う、およそなんでも把握して くれている娘がついていてくれる……と高を括っていたらしい。 それが晴天の霹靂の事態である。 俺は根掘り葉掘り、色んな事を聞かれた記憶がある。
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97 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:08:34.23 ID:69ytLYmf - 「雅人! 逃がした魚は大きい……って、こういう事を言うのよ」
なぁ〜んて耳にタコが出来るくらい、愚痴られる日々だった。 ところが、良くもまぁ入れたと思うのだけどこの団地に戻って来て(七瀬家と一緒だった棟 とは別になったけど、それでもお向かいの棟)みたら、茜が満面の笑顔で迎えてくれていた。 …………って訳で、お袋にしてみれば「逆転満塁サヨナラホームラン」を打ったバッター みたいな心持ちで、新生活ならぬ元団地生活を始めた……って事なんだ。 さて、自分の部屋の前まで来て俺は…………………「失敗」を自覚した。 「あ、森下先輩!いらっしゃ〜い」 声の主は、妹の君子。 俺の部屋で座布団を並べた端っこに座っている。 そしてその手には昔ながらの梵天の付いた「竹の耳かき棒」 俺は一言も発する事が出来ずに突っ立っていた……のだが、君子は悪びれる事なく 「さ、続き続き。 大人しくここに寝て」と来たもんだ。 「ん、ねぇ君子ちゃんが雅人クンの耳掃除してるの?」 「うん。 まぁ大抵はそうかなぁ」しれっと君子は答える。 「へ、へぇぇ」 茜の顔がこっちに向き直る。 向く時に首から「ギギギギギッ」と音がした様な気がする。 その表情は笑顔のまま だけど、顔の筋肉が突っ張っているみたいに動かない。 実はこれとよく似た状況は中学三年の時にあった……その時の相手はかすみである。 俺は同じ失策を犯していたのだ。 「あ、先輩もこの後にやってあげましょうか? お兄ちゃんに『天下一品』と評されている くらいの腕前なんですよぉ、私」 君子もすでに18歳。 寸胴だった体系もギターのシルエットの様に育ち、髪も肩まで伸ばし て可愛いから美人へと現在進行形の「女性」になっている。 あくまでも外見は……だが。
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98 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:10:24.12 ID:69ytLYmf - 中身の方は正直、子供っぽいまんまで困っている。 うん、俺は困っているのだ。
タンクトップとハーフパンツのいでたちで、そこから「ニュッ」と出ている太ももを「ペンペン」 と叩いている。 と、ここで茜はあの時のかすみと同じく、無言で君子の膝枕に自分が寝そべったのだ。 とにかく嫉妬しているのは分かった。 これ以上、俺の耳掃除を「君子にはさせない」とい う意思表明であるらしい。 君子はちょっと驚いた表情をしたが「じゃ、動かないで下さいね」と言ってから、茜の 耳を覗き込んでいる。 と、耳かき棒を綿棒に持ち替えた。 「先輩、流石です。 お兄ちゃんと違ってお手入れが行き届いていますよ〜。 だから 細かい汚れのお掃除と耳の中のマッサージにしますね〜」と言っている。 (君子め、ホントに俺や茜の気持ちに気付いてないのだろうか?)なんて思っていると 茜の吐息交じりの声が聞こえてきた。 「ン……はぁ、ちょっとソコ…こそばゆい」なんて言って目元を赤く染めている。 不埒ながら「なんと艶めかしい」なんて思ってしまったのだけど、気付くと脚をもぞつかせ ていて俺の位置からはスカートの中が見えそうになっていた。 目ざとく君子がそれに気づいて、部屋の外に追い出されてしまった……俺の部屋なのに。 「あああ〜二人にしておいて大丈夫かなぁ?」 思わず、口をついて言葉が出ていた。
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99 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:10:57.38 ID:69ytLYmf - 「ね、君子ちゃん……」
「はい? 何ですかぁ? あ、どこか痒いですか?」 「ううん、そうじゃないの。 その〜私が妬いているのが分かっちゃったかなぁ…って思ってね」 「?」 「分からなかった?」 「先輩、私は妹ですよぉ。 それも血の繋がった実の妹」 「で、でもこの歳の兄妹にしては……仲良しすぎじゃないかな〜」 「ええ〜そんな事ないですよぅ。 普通でーす」 「普通じゃあないよ〜、膝枕で耳掃除だなんて……私の立場はどうなっちゃうのぉ」 「だって、家族ですよ。 お兄ちゃんも『もう流石にお袋にはもう頼めないし』と言ってましたし」 「妹ならいいってのが、オカシイのよぉ〜」 「………………それだと、お兄ちゃんがオカシイって事にもなるんですけど」 「あ…………………ホントだ」 「昔、かすみちゃんにも言われたんだよなぁ、コレ」 「七瀬さんが?」 「そう! 今の先輩みたいに、いきなり私の膝枕に自分の頭を乗せて来ちゃってね」 「なんでだか分からなかったの?」 「私が上手だから『お兄ちゃんばっかりズルい!』と思ったのかなぁ?」 「……はぁ〜、君子ちゃんて、敏いのかニブイのか不明だわ」 「な〜んか、微妙に呆れられているみたいな気がするんですけれど」 「君子ちゃん……」 「はい?」 「そこは、微妙に……じゃないのよ」 「???」 (七瀬さんも結構、大変だったんだろうなぁ………)心底思う、茜だった。
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