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名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止
トゥルーラブストーリー総合スレッド・その71 [無断転載禁止]©2ch.net

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トゥルーラブストーリー総合スレッド・その71 [無断転載禁止]©2ch.net
95 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:04:51.82 ID:69ytLYmf
VS君子……………………


茜と想いを交わしてから数年……懐かしいこの団地に戻って来て、大学は今、夏休み。 
交際は順調なんだけど……………

「こんにちは〜」
「あら〜、いらっしゃい茜ちゃん」
「おばさま、こんにちは」
「ぅん〜違うわよぉ、茜ちゃん!」
「?」
「お義母さん……でしょ?」
「え?あ、あの、それはその〜」
「早く、孫の顔を見せてくれないかしら?」
「!」
「何言ってんだよ! 母さんはもう」

玄関先でやられては古い団地だ、近所に丸聞こえになる。 堪らずに雅人は出てきて
会話に割り込む。

「だぁってねぇ……あ、茜ちゃん! ちゃんと掴まえておかないとダメよ」
「なんだよ、その俺が浮気でもするみたいな言い方は!」

茜は物怖じしないタイプだけど、こんな事を恋人の母親に言われては平静ではいられない
らしい……赤くなって縮こまっている。

「とにかくいつまでもそんな所にいないで、中にあがりなよ」
「え、ええ」

お袋はニコニコしながら、俺たちを見送っていた。
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96 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:06:06.50 ID:69ytLYmf
「なんか来る度にすまないね、お袋の事」
「ん?……ううん、ちょっと恥ずかしいけれど嬉しい」

お袋のこの喜び方には、チョットした理由があった。
実のところ俺は茜との事を、こっちに戻って来るまで一切説明していなかったのだ。
君子は学校での事だし感付いていたみたいだが、だからってペラペラしゃべる
様な妹でもない。
当然にと言えば当然ながら、かすみとの仲は微妙にならざるを得なかった。
引っ越し後、お互いがお互いに連絡をせず仕舞いだったのだ。

それまで親同士はなんとな〜く、かすみの様子からいつかはくっついてしまうんじゃ
ないか? ………なんて思っていたらしい。  これは、かすみのお袋さんから直接
言われた事だし、言われなくとも肌で感じられていた。
それが我が家の引っ越し後、1年ぐらいした頃にかすみに恋人が出来たものだから
双方の両親は、ビックリしてしまったらしい。

お相手は「高林勇次」

俺が茜の事を見続けていたのと同じく、高林のヤツもずっと密かにかすみの事を想い
続けていたらしい。
意気消沈していたかすみの事を、陰に日向に力づけてあげていたんだな……茜も微妙な
立場ながら、応援してあげていたという。  さらには波多野と木地本の協力もあり、3年の
受験前の頃にかすみがOKしたとは、後に聞いた話だった。

かすみの両親からこの事を聞いた俺のお袋の落胆は、相当なモノだった。
このバカ息子は何があっても連れ合いだけは「かすみ」と言う、およそなんでも把握して
くれている娘がついていてくれる……と高を括っていたらしい。
それが晴天の霹靂の事態である。 俺は根掘り葉掘り、色んな事を聞かれた記憶がある。
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97 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:08:34.23 ID:69ytLYmf
「雅人! 逃がした魚は大きい……って、こういう事を言うのよ」

なぁ〜んて耳にタコが出来るくらい、愚痴られる日々だった。
ところが、良くもまぁ入れたと思うのだけどこの団地に戻って来て(七瀬家と一緒だった棟
とは別になったけど、それでもお向かいの棟)みたら、茜が満面の笑顔で迎えてくれていた。

…………って訳で、お袋にしてみれば「逆転満塁サヨナラホームラン」を打ったバッター
みたいな心持ちで、新生活ならぬ元団地生活を始めた……って事なんだ。

さて、自分の部屋の前まで来て俺は…………………「失敗」を自覚した。

「あ、森下先輩!いらっしゃ〜い」
声の主は、妹の君子。  俺の部屋で座布団を並べた端っこに座っている。
そしてその手には昔ながらの梵天の付いた「竹の耳かき棒」

俺は一言も発する事が出来ずに突っ立っていた……のだが、君子は悪びれる事なく
「さ、続き続き。 大人しくここに寝て」と来たもんだ。

「ん、ねぇ君子ちゃんが雅人クンの耳掃除してるの?」
「うん。 まぁ大抵はそうかなぁ」しれっと君子は答える。
「へ、へぇぇ」 茜の顔がこっちに向き直る。

向く時に首から「ギギギギギッ」と音がした様な気がする。  その表情は笑顔のまま
だけど、顔の筋肉が突っ張っているみたいに動かない。
実はこれとよく似た状況は中学三年の時にあった……その時の相手はかすみである。
俺は同じ失策を犯していたのだ。

「あ、先輩もこの後にやってあげましょうか? お兄ちゃんに『天下一品』と評されている
くらいの腕前なんですよぉ、私」

君子もすでに18歳。 寸胴だった体系もギターのシルエットの様に育ち、髪も肩まで伸ばし
て可愛いから美人へと現在進行形の「女性」になっている。  あくまでも外見は……だが。
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98 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:10:24.12 ID:69ytLYmf
中身の方は正直、子供っぽいまんまで困っている。  うん、俺は困っているのだ。

タンクトップとハーフパンツのいでたちで、そこから「ニュッ」と出ている太ももを「ペンペン」
と叩いている。
と、ここで茜はあの時のかすみと同じく、無言で君子の膝枕に自分が寝そべったのだ。
とにかく嫉妬しているのは分かった。  これ以上、俺の耳掃除を「君子にはさせない」とい
う意思表明であるらしい。

君子はちょっと驚いた表情をしたが「じゃ、動かないで下さいね」と言ってから、茜の
耳を覗き込んでいる。
と、耳かき棒を綿棒に持ち替えた。

「先輩、流石です。 お兄ちゃんと違ってお手入れが行き届いていますよ〜。 だから
細かい汚れのお掃除と耳の中のマッサージにしますね〜」と言っている。

(君子め、ホントに俺や茜の気持ちに気付いてないのだろうか?)なんて思っていると
茜の吐息交じりの声が聞こえてきた。

「ン……はぁ、ちょっとソコ…こそばゆい」なんて言って目元を赤く染めている。
不埒ながら「なんと艶めかしい」なんて思ってしまったのだけど、気付くと脚をもぞつかせ
ていて俺の位置からはスカートの中が見えそうになっていた。

目ざとく君子がそれに気づいて、部屋の外に追い出されてしまった……俺の部屋なのに。

「あああ〜二人にしておいて大丈夫かなぁ?」 思わず、口をついて言葉が出ていた。
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99 :名無しくん、、、好きです。。。@無断転載は禁止[sage]:2017/08/14(月) 19:10:57.38 ID:69ytLYmf
「ね、君子ちゃん……」
「はい? 何ですかぁ?  あ、どこか痒いですか?」
「ううん、そうじゃないの。 その〜私が妬いているのが分かっちゃったかなぁ…って思ってね」
「?」
「分からなかった?」
「先輩、私は妹ですよぉ。 それも血の繋がった実の妹」
「で、でもこの歳の兄妹にしては……仲良しすぎじゃないかな〜」
「ええ〜そんな事ないですよぅ。 普通でーす」
「普通じゃあないよ〜、膝枕で耳掃除だなんて……私の立場はどうなっちゃうのぉ」
「だって、家族ですよ。 お兄ちゃんも『もう流石にお袋にはもう頼めないし』と言ってましたし」
「妹ならいいってのが、オカシイのよぉ〜」
「………………それだと、お兄ちゃんがオカシイって事にもなるんですけど」
「あ…………………ホントだ」
「昔、かすみちゃんにも言われたんだよなぁ、コレ」
「七瀬さんが?」
「そう! 今の先輩みたいに、いきなり私の膝枕に自分の頭を乗せて来ちゃってね」
「なんでだか分からなかったの?」
「私が上手だから『お兄ちゃんばっかりズルい!』と思ったのかなぁ?」
「……はぁ〜、君子ちゃんて、敏いのかニブイのか不明だわ」
「な〜んか、微妙に呆れられているみたいな気がするんですけれど」
「君子ちゃん……」
「はい?」
「そこは、微妙に……じゃないのよ」
「???」
(七瀬さんも結構、大変だったんだろうなぁ………)心底思う、茜だった。


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