- コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31
751 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/11/16(日) 01:13:56 ID:p290yPKL - >>749
GJ! しかし南は自重しろwww 1:30からの投下予告をいたしますので支援願います。
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755 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:31:13 ID:p290yPKL - 年下専門です、長編の続きを8レスほど投下します。
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第十二話 お忍びプリンセス?」 ・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話 ・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君 ・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系 ・カップリングは今のところないですが「ライ←複数ヒロイン」の要素があります ・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
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757 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:35:32 ID:p290yPKL - 「……ハァッ、ハァッ……に、逃げ切れたのか?」
何度も後方を振り返りながら戦々恐々の装いで独白する。 気がつけば必死に駆ける足はホテルの外にまで向かっていた。 辿り着いた場所はそれなりに人通りの多い場所らしく、息を切らしている銀髪の少年に注意を向けている者はいない。 とりあえずは一安心か。 そうホッと息を大きく吐き出すライ。 「しかし酷い目にあった……」 まさかただ廊下を歩いていただけで襲撃を受けるとは思ってみなかった。 しかも相手は妙齢の美女で貴族で強者。 こちらの素性を知っているようではなかったので、言い分通りこちらを不審者と思ったのは間違いないのだろう。 ハッキリ言っていい迷惑だと言わざるを得ないのだが。 (少し時間を置いて帰らないとな) まだ彼女がホテルの中でうろついているかもしれないことを考えると、迂闊に戻ることはできない。 先程は逃げることができたが、今度も上手くいくとは限らないのだ。 どうしてこう僕はトラブルに巻き込まれやすいのだろうか。 ライはどこにいるとも知らぬ運命の女神様に向けてボヤく。 何故か青空に浮かんだ女神様はC.C.だった。 途端に何故か問答無用な納得感を覚え―――そして、彼は気がついた。 「ここはどこだろう……」 運動熱に火照って赤らんでいた顔が徐々に青褪めていく。 ロクに周囲も見ずに無我夢中で駆けていた代償か、周囲には見たことのない光景が広がっていた。 黒の騎士団時代、ライは情報収集の一環として地理の把握も欠かしてはいなかった。 しかし、トウキョウは度重なる戦争とフレイヤの投下による被害からの復興でその姿を大きく様変わりさせていたのである。 勿論、ライの頭にある地理データなど現在では何の役にも立たない。 「地図……売ってるのか? 最悪、人に聞けば……」 ある程度ほとぼりがさめるまで戻れないとはいえ、このままでは最悪迷子確定。 この歳でそれは情けなさ過ぎるとライは半ば願望のように呟きながら歩き出すのだった。 (……あの方は!?) そんな銀髪の少年の姿を人ゴミの中から目ざとく見つけた人影が一つあったことに、気づくことなく。
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759 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:40:02 ID:p290yPKL - (……つけられているな)
ホテルに帰還するべく歩くライは尾行者の存在に気がついていた。 親切な人から道を聞き、後は戻るだけという状況だったが彼の戦士としての勘は敏感に不審者の存在を感じ取っていたのだ。 変装用にと購入した帽子と眼鏡をさりげなく弄るフリをしながら後方を確認する。 すると、視界の端でチラチラと挙動不審に動き回る小柄な影が見えた。 (なんだ、あの稚拙な尾行は……?) 自分を尾行していると思われる影は、『自分は尾行しています!』と全力で声を大にしているような行動をとっていた。 電柱や建物の影を渡りながらそそくさと動き回っている姿はあからさまに怪しい。 遠目、しかもチラチラとした確認なのでハッキリとは見えないが、どうも相手は女性のようだ。 丈の短いスカートを初めとした服装と華奢な体型から見ても間違いはないだろう。 こちらと同じく帽子を被り、顔を伏せているため素性の判別はできない。 時折見える髪の色は黒であることから、相手は日本人だろうか? 身長から考えて、先程の物騒な女性ではないようなのでそこは安心ではあるのだが。 (どこかで見たような……けど、知り合いにあんな行動をとるような人なんて……) 注意の先を考えるに、自分が目的だということは間違いないがそれにしては行動が幼稚すぎる。 尾行者の気配を感じ出したのは変装用の道具を買う前なのだから、顔を見られたのは間違いない。 故に、尾行者はこちらの素性を知っていて後をつけてきているのだと判断できるのだが、その正体が全くつかめないのだ。 もしも相手が軍関係者であるならば先程も感じたとおり行動が稚拙すぎるし、知り合いであるならば声をかけてくるはず。 一番高い可能性としてはやはり相手は知り合いであり、こちらに確信がもてないから尾行という形をとっている。 そう考えるのが一番自然ではあるのだが、こうもあからさまだと流石に気になってくるというもの。 撒こうと思えばすぐに撒ける自信はある。 しかし、尾行者の一生懸命な行動を見ているとそれをするのは可哀想な気がするのだ。 (困った……) まるで小さな子供を相手にしているような感覚をライは覚えていた。
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761 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:41:26 ID:p290yPKL - 「よし」
が、いつまでもこのままでいるわけにはいかない。 相手の目的が何であるかはわからない以上、直接聞くのが一番である。 幸いにも、尾行者には戦闘力があるようには見えない。 そう判断したライは素早く駆け出すと人通りの少ない路地に駆け込み、待ち伏せをすることにした。
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763 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:45:24 ID:p290yPKL - 「あ、あら?」
少し離れた場所から困惑した女性―――いや、少女の声が聞こえる。 警戒するのもバカらしいほど危険を感じさせない声音だが、演技という可能性が残っている以上は油断はできない。 曲がり角の向こう側でジッと息を潜ませ、ライは相手が近づいてくるのを待つ。 (けどこの声、どこかで聞いたことがあるような……) 子供っぽさを感じさせる響きの中に、凛とした声音。 その相反するはずの二つの音の融合した声は確かに記憶の中にある声で。 しかし、足音はもうすぐ近くに来ているためライはそこで記憶を探るのを中断する。 (―――今だ!) 小柄な人影が見えたその瞬間、たわませた足を一気に解放しダッシュをかける。 これ以上ないほどのタイミングでの不意打ち。 ライは尾行者の捕獲を確信し、そして次の瞬間腹部と胸に軽い衝撃を受けた。 「え?」 「きゃっ!」 二つの影がぶつかると共に、困惑と悲鳴の声音が交差した。 ライは後方にたたらを踏みながらもなんとかその場に踏みとどまる。 どうやら、ダッシュをかけた瞬間向こうも同じようにダッシュをかけたらしい。 隠れていたことに気づかれていたのか? 緊張が走りかけるが、ぶつかってきた少女は受身すら取らずに地面にお尻から倒れこんでいく。 すぐに体勢を立て直すわけでも、逃走を行うわけでもない。 それは完全に素人の反応だった。 おそらくはこちらが遠くに逃げたかもしれないと思い、走ろうとしたのだろう。 なんとも間の悪いことだ。 そう心中で苦笑しながらもライは相手の正体を確かめるべくサッと目を走らせた。 ぶつかった拍子に脱げたらしい帽子が地面に転がっているため、少女の顔がよく見える。 腰まで届こうかという黒い美しい髪に、人形のように愛らしく整った容姿。 どこかで見た顔なのは間違いない。 もっとよく見て―――いや、その前に助け起こさなければ。 一応罠という可能性も考慮しながらライは少女を助け起こすべく右手を差し出し。
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765 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:48:24 ID:p290yPKL - そして、目に入ったものにギクリと頬を上気させながら動きを止めた。
「うわっ」 「いたたた……」 少女が腰を擦りながら恨めしそうに見上げてくる。 その吸い込まれそうな大きな黒の瞳に見つめられながらも、ライの視線はある一点に集中していた。 倒れこんだ時の勢いで、少女のスカートが見事にまくれてしまっていたのだ。 ただでさえ短い丈のスカートなので、少女の白い太ももは完全に露出してしまっている。 それどころか、ライの視力はその上の部分―――平たく言えば下着までハッキリととらえてしまっていた。 なお、この時ライが己の視力を強化してくれたバトレーに感謝したかどうかは定かではない。 「もう、お尻を打ってしまいましたわ……」 眉根を寄せて痛みを訴えつつ、少女は立ち上がるべく差し出された手を掴もうとする。 どうやら、痛みから服の乱れにまでは気が回っていない様子だった。 「殿方でしたら、身を挺して―――」 ぷくっと頬を膨らませながら文句を言おうとした少女の唇が止まる。 くりっとした大きな瞳が更に大きく見開かれ、両手が差し出された手を無視して更に上に伸びた。 ライは下着を見てしまった動揺からか、反応が遅れてしまう。 仮にこの時少女がライを殺すつもりだったならば、彼は簡単に殺されていたことだろう。 しかし、少女の目的は少年の命ではなく、彼の身に着けている眼鏡と帽子だった。 「……へ?」 「ああっ、やっぱり!」 ライの間の抜けた声に一瞬遅れて少女の歓喜の声が響いた。 痛みを忘れたかのようにぴょんっと勢いよく立ち上がる少女を呆然と見やるライ。 変装道具を奪われてしまったにも関わらず狼狽しなかったのは、少女の反応が予想外だったからに他ならない。 だが、混乱も数秒のことだった。 我に返ったライは慌てて少女から眼鏡と帽子を奪い返そうと手を伸ばそうとし。 そして次の瞬間、それよりも早く胸に飛び込んできた少女に困惑するのだった。 「ライ様!」 潤んだ瞳で胸元から上目遣いでこちらの顔を見上げてくる少女が視界いっぱいに映る。 その瞬間、ライの記憶は少女の正体を表層に浮かび上がらせていた。
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768 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:52:00 ID:p290yPKL - 「か、神楽耶様!?」
「お久しぶりです。やっぱり見間違いではなかったのですね!」 少女の名を驚愕と共に吐き出したライに構わず、黒髪の少女は密着度を更に高める。 皇神楽耶。 皇グループの代表にして日本の政財界に大きな影響力を持つキョウト六家の最後の生き残り、皇家の当主。 ゼロの提唱によって作られた超合衆国の合衆国日本代表と初代超合集国最高評議会議長を兼任した世界でも有数の権力者。 皇家の当主、という点を除けば全て『元』という冠がつくのだが、日本人で彼女の名前を知らないものはいないだろう。 (何故、この方がこんなところに!?) ライの心中における悲鳴は当然のものだった。 少女の肩書きはどれ一つをとっても高名すぎる。 表舞台から引退し、一線を引いたとはいえ未だ彼女を慕い、尊敬する日本人は数え切れない。 そして、お金や権力を狙う悪人が目をつけてもおかしくはない立場にいる人間なのだ、皇神楽耶という人間は。 そんな少女がお供の一人もつけずに人ごみの中をウロチョロしていた挙句、人通りの少ない路地に入り込むなど。 (常識的にありえない……) 多大な呆れと冷や汗を感じつつも、ライはどこかで納得を感じていた。 この黒髪の少女は可憐な外見に似合わず、行動力が旺盛でパワフルである。 それはライの黒の騎士団時代から実証されていたことでもあった。 「神楽耶様……その、離れてはもらえませんか?」 「嫌です! 逃がしませんから」 「逃げません、逃げませんから……」 駄々っ子がそうするようにしがみついて離れない神楽耶をどうにか引き離す。 先程は私服姿を初めて見たということと、この少女がこんなところにいるはずがないという思い込みから 可能性を除外していたため気づくのが遅れたが、ハッキリと視界にとらえた今、見間違えるはずもない。 目の前にいるのは紛れもなく、日本最後の皇族の少女だった。 (この人の中に、僕と同じ血が流れている……) ライの母は日本の皇族の血を引いていた。 すなわち、神楽耶とライは系譜的には遠いが親戚にあたるのだ。 母に良く似た長い黒髪と妹を思い出させる幼げな顔立ちが目に入り、少年はどこか懐かしさを覚えてしまう。 自分の母の血を継ぐ唯一の人間―――それはライにとって安心と親近感を抱かせるものだった。
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771 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 01:56:12 ID:p290yPKL - 「まったく、それならそれで私にだけは言って欲しかったですわ……」
「いや、だからそれは僕が頼み込んでいたから……すみません」 路地を出た二人は再び変装をし、並んで歩いていた。 当然の如く今までどこで何をしていたのかを問われたライは何度目かの説明を実行。 その結果、除け者にされていたと解釈した神楽耶はへそを曲げる。 と、いうのが現在の状況であった。 ちなみに、神楽耶が後をつけてきた理由はライの推察通りだったりする。 「私に隠し事をするなんて……ライ様がいなくなった時、本当に悲しかったのですよ?」 「一身上の都合でして……」 ぷんすかと怒る少女をなだめるのはライをしてなかなかの難作業だった。 アーニャとは正反対で、どちらかというと妹の気性に近い神楽耶だが、気位の高さの分彼女のほうが対応は難しい。 しかも、彼女と自分はゼロを除けば―――あるいは、ゼロを含めても黒の騎士団の中で一番親しかったのだ。 自分から、というよりは神楽耶のほうが一方的に自分を気に入って構ってきたというのが実情ではある。 更に、自分が日本皇族の血を引いているということを知られたことで友好度は増し、気がつけば彼女の応対役まで任せられたという過去もある。 実際はかしましい少女の応対をルルーシュがライに押し付けただけという感もあるのだが。 閑話休題。 とにかく、黒髪の少女は親しかった自分にも黙って姿を消すとは何事かと怒っているわけなのだ。 勿論、本当の事情は言えるはずもなく、ただ平謝りするしかライには道はなかった。 「ええっ!? じゃあ本当に一人でのお忍びだったんですか!?」 「敬語は止めて下さいと言ったはずです!」 「あ……すみま、いや、ごめん……神楽耶」 よろしい、と機嫌良さそうに頷く少女にライは頬がひくつくのを止められなかった。 明らかに年下の自分に様付けや敬語は街中ではおかしいと指摘を受けたライがどうにか修正に苦心していたその直後。 神楽耶の口から出た言葉は少年の平常心を崩すには十分な威力を持っていた。 「け、けど護衛もなしというのは……」 「今の私はただの一般人なのですから問題ありませんわ。ちゃんと変装もしていますし」 大有りです! そう叫びたくなるのをライは必死で抑えていた。
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773 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 02:01:34 ID:p290yPKL - 確かに皇グループからも政治の世界からも身を引いた神楽耶の身分は現時点においては一般人である。
唯一残っているのはキョウト六家の最後の血というものだが、これも現在ではそれほど大きな意味はもっていなかった。 元々日本は議院内閣制であり、皇族の血というのは一般人にはそれほど大きな意味を持ってはいない。 現に今の日本の元首は平凡な一般人出身の扇要なのだから。 が、それはあくまでも肩書きの中での話である。 黒の騎士団を初期の頃から援助し、蓬莱島の日本人をまとめ、超合衆国の初代最高評議会議長を務め上げた彼女が 表舞台から引退したからといってただの一般人を名乗っていいはずがない。 とはいえ、ライがそう感じたように、神楽耶のようなVIPがたった一人で市街を歩いているなど誰も予想だにしていないのは確かだろう。 そういう意味では彼女の安全はそれなりに高いのではあるが。 (今頃、皇家は大騒ぎなんだろうな……) 彼女に仕えている人たちの苦労を思い、心中で涙を流すライ。 と、そこに街頭テレビからの音声が聞こえてきた。
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774 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 02:02:36 ID:p290yPKL - 『こちらサミット会場の外から中継をお送りしています。現在、この中では―――』
街頭テレビの中ではミレイが至極真面目な表情でサミットの進行を解説していた。 それを立ち止まって眺める神楽耶の顔からは何を思っているのか読み取ることはできない。 思わず、ライは口を開いていた。 「……聞いていいです……いいか?」 「なんでしょう?」 「何故、表舞台から引退を?」 その疑問は彼女を知る人間全ての疑問だったに違いない。 戦後、実質的に世界の頂点に立っていたといっても過言ではなかった彼女の引退は当時大きな話題を呼んだ。 地位も名誉も望まず、それでいて引き継ぎは完璧にこなし何も語ることなく表舞台から姿を消した少女を惜しむ声は未だに多い。 扇要が現在務めている合衆国日本の元首の座とて、本来ならば神楽耶の地位だったはずなのだから。 「何故でしょうね……」 遠い目でテレビ画面を見つめる少女の瞳は寂しそうで。 それ以上の追求をためらわせる何かがそこにはあった。 理由を推測することはできる。 おそらく、彼女はゼロ―――ルルーシュを信じきれなかったことを悔いているのだ。 知らなかったこととはいえ、彼を非難し、最後の最後までその真意を悟ることができなかったことは痛恨の出来事だったに違いない。
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777 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 02:05:48 ID:p290yPKL - そしてそれが例えギアスという超常の力の情報に惑わされていたからという理由でも、到底納得できるものではない。
ましてや、彼女はゼロの妻を自称していたのだ。 妻が夫を疑い、貶め、死に至る道を見過ごしてしまったという事実は神楽耶にとってはとても重い罪だったのだろう。 このような罪深い女が権力の座に就いていていいはずがない。 貞淑な日本人女性である彼女がそんな考えに至ったとしても無理はない。 (この少女は……こんな小さな身体に、どれだけのものを背負っているのか) 勿論、これはあくまで推測であり、真実は神楽耶の心の中にしかない。 だからこそライは後悔した。 軽率な質問をしてしまった自分に。 その場にいることもできず、何もできなかった自分に。 この少女に悲しげな表情をさせてしまったという自分に。 くぅ〜。 気まずい空気を断ち切ったのは、可愛らしい小さな音だった。 「……お腹、空いていませんか?」 バツの悪そうな顔で、恥ずかしげに問いかけてくる少女にライは感謝する。 お腹が鳴ったのは偶然だろう。 けれども、暗くなりかけていた空気は何時の間にか払拭されていた。 「私、この近くに美味しいお食事を出すお店を知っていますの。行きませんか?」 コク、と軽く頷いたこちらの手を掴むと、神楽耶はそれを引っ張るように歩き出した。 突然の行動にびっくりするも、ライは大人しく引かれるままについていく。 「どんな店なんだ?」 「ふふっ、それはついてのお楽しみですわ」 先程までの空気を一掃するように微笑む少女にライも嬉しくなって微笑を返す。 だからこそ、彼は知る由もなかった。 神楽耶の口元に浮かぶ悪戯っぽい微笑の意味を。 向かう先にある店の店主が自分のよく知る男であるということを。 神楽耶の頭に思い浮かぶのは喧騒の街並にぽつんと佇む一軒のバー。 その店名は『Bar Castle』である。
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- コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31
779 :年下専門 ◆BheL.TnbIA [sage]:2008/11/16(日) 02:07:24 ID:p290yPKL - 投下終了、支援感謝です。
まあ、次の話の登場人物はバレバレかと思いますが気にしないで下さい。 ちなみに神楽耶とぶつかるシーンは原作の青月編を意識しました、状況が違うので反応は違いますけどね。
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