- コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31
176 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/11/08(土) 22:05:34 ID:F71PD1Bi - 22:20頃から投下します。本文・あとがき合わせて14レスあります。
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178 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:21:29 ID:F71PD1Bi - では、投下します。フィナーレが近づいてきました、『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇 タイトル:いざ、決戦の地へ! (注意) ・完全にカオスです、真面目な展開はありません。 ・オリキャラで朱禁城の兵士が出てきます。 本文・あとがき合わせて14レスあります。
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180 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:24:05 ID:F71PD1Bi - 『いざ、決戦の地へ!』
ある日、僕と卜部さん、そしてゼロは、虫食い同好会のアジトを訪れた客人と相対していた。 それは何と、敵対するプラント団の幹部であるエルンスト卿、モニカ、そしてニーナだった。 「モニカ、今日はみんな揃ってどうしたんだ?僕たちって一応、敵同士だよな?その僕たちに大事な用事って、一体何だ?」 僕の問いかけに、モニカが口を開いた。 「実は私たち、プラント団を脱退したの。」 「えっ!?プラント団に何かあったのか?」 僕は驚いた。卜部さんやゼロも驚きを隠せないでいる。彼らに一体何があったのだろうか。だが僕には、彼女たち三人が脱退する理由が何となくわかる気がした。 「南佳高……。」 ぼそっとモニカが呟いた。それは、できることなら今は聞きたくない名前だった。 「あいつのせいで、プラント団の方向性がおかしくなっちゃったの!私たちは純粋に植物を守りたいだけなのに、あいつは植物を利用して、ロリコンを広めようとしているだけなの! そんな彼にドン・ウー様と星刻が同調して、どんどんおかしな事態になって。ついていけなくなった私たちは、脱退を決意したの。」 モニカの説明を聞きながら、僕は酷い頭痛に襲われていた。予想したそのままの理由だったからというのもあるが、そんな南があまりにも痛々しかったからだ。 「南の奴め、黒の騎士団が誤解されたらどうするつもりだ!」 ゼロが拳を震わせている。まあ、黒の騎士団の全員がそういう人間だという誤解をされると、大いに困るな。
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182 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:26:58 ID:F71PD1Bi - 「それで、これからどうするつもりだ?脱退した後も僕たちとは……。」
気になることを僕が尋ねると、モニカは首を横に振った。 「いいえ、これからは普通に暮らすわ。そもそも虫が植物を食べるのは食物連鎖の一環であって、それを私たち人間が捻じ曲げていいものではなかったのよ。 もし食べられたくない花とかがあれば、念入りに手入れしておけばいいだけの話だし。月下マンと敵対したのも、ノリだけの部分があったから。」 モニカ、それにもっと早く気づいてくれれば、ここまで話がこじれることはなかったのに。 ていうか、ノリでここまで話を大きくしたのか?それに付き合った僕たちも、半分はノリだったかもしれないが。 「最近では、どうして月下マンと戦っているのか、私たちでさえわからない時があったほどですから。これはちょうどいい機会だと思うんです。」 すっかり初心を忘れてしまっていたのか、ニーナ。いや、僕自身も何故こんなことになっているのか、時々わからなくなっていたが。 「私はモニカに脅されて、仕方なく参加していたからな。もうこんなくだらん話に付き合わなくて済むと思うと、ほっとするよ。」 エルンスト卿、あなたも被害者だったのですね。 「それで、ドン・ウーや星刻さんは今どうしている?」 卜部さんの問いに、エルンスト卿が口を開いた。 「彼らは今、中華連邦にいる。何でも、天子様を見に行くとか。頼む、ドン・ウー様を、いやオデュッセウス殿下をお救いしてくれ。あのお方をまともな道に戻せるのは、お前たちしかいないのだ。」 「ええっ!?ドン・ウーって、ブリタニアの第一皇子だったんですか!?」 「ああ、そうだ。だがこれは、くれぐれも内密にな。こんなことが世間に知れたら、皇族方の権威失墜に繋がりかねん。」 まさか、あんなに普通の人っぽいドン・ウーが皇族だったとは。 (まったく、世話の焼ける兄上だ……。) ゼロは深いため息をついていた。一体何を思っているのだろうか。
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184 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:31:04 ID:F71PD1Bi - 「よし、それでは俺たちも中華連邦に行こう。おそらくそこが決戦の地になるだろう。」
卜部さんが立ち上がった。 「そうですね、これ以上騒ぎが大きくならないうちに収めましょう。そして向こうには僕たち三人だけで行きましょう。 他の人たちは僕たちのように変身できないし、あまり変な方向に向かわせたくありませんから。」 「そうだな、こんなバカな流れになったのも、私たちが虫食い同好会を始めたのが原因だからな。我々の手で決着をつけよう。」 こうして、僕とゼロ、そして卜部さんの三人で中華連邦に向かうこととなった。 「ライさん。これは、彼らが身に着けている『プラント・レンジャー・システム』の効果を解除する『ユーフェミア様印のきびだんご』です。 これを食べさせれば、二度と変身できなくなります。ちなみに商標登録済みです。」 僕はニーナから、きびだんごの入った袋を受け取った。袋には、何故か水着姿のユーフェミア殿下が写ったシールが貼られていた。 これはブリタニア的にいいのだろうか。そもそも、商標登録する必要があるのか? 「あ、ありがとう。彼らのことは任せてくれ。」 「はい、よろしくお願いします。それと…頑張って下さい。」 僕は静かに頷いた。袋については、あえて何も言わないでおこう。 「よし、それでは行くとするか。急がねば天子様が危ない。」 「そうですね。星刻さんが歯止め役になってくれているといいですけど。」 (待っていろ、ナナリー。お前は俺が守ってやるからな。そしてオデュッセウス兄上、あなたとは一度、拳で語り合わねばならんようですな。) 『ついに最終局面を迎える、虫食い同好会とプラント団との不毛な争い。 我々のナレーションも、もう少しで役目を終える。ロロ、心してかかれ!』(by藤堂さん) 『ええ、わかっています。あ、それとエルンスト卿、クルシェフスキー卿、ニーナさん、今までお疲れ様でした。』(byロロ) 「えっ!?もう出ないこと確定?ていうか、どうしてナレーションに決定権があるのよ!」 「言うな、モニカ。これ以上私をカオスに巻き込まないでくれ。」 「え、えーと。とりあえず、『お疲れ様でした』でいいのかな?」
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186 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:35:11 ID:F71PD1Bi - 「さあ、中華連邦に着いたぞ!」
翌日、僕たち三人は中華連邦の朱禁城近くまで来ていた。そして卜部さんは当然のように虫籠と虫捕り網を装備し、虫籠の中にはここへ来る途中で捕まえたトンボやらが入っていた。 ちなみに、「つい最近まで冬だったんじゃないのか」とかいう疑問は、横に置いといてくれるとありがたい。 「まったく。卜部さん、これは旅行や遠足じゃないんですよ。天子様をお守りし、プラント団と決着をつけるために来たんですから、もう少し真面目にして下さい。」 「わかっている、俺はいたって真面目だ。真面目に天子様を助け、真面目にプラント団と決着をつけ、そして真面目に虫捕りをするんだ。」 ダメだ、この人本気だ。 「実は二人とも、折り入って頼みがある。ドン・ウー、いや、オデュッセウスとは直接私の手で決着をつけたい。だから、彼が現れた時には手出しせず、一対一で戦わせて欲しい。」 ゼロが僕と卜部さんに訴えた。 「それは、ブリタニアに反逆する者としての決意か?」 卜部さんの問いに、ゼロは首を振った。 「まあ本来であればそうなのだが、今回はあまり意味を持たない。これは虫食い同好会名誉顧問として、プラント団の首領と決着をつけるため。彼の野望を阻止するためだ。」 お得意のゼロポーズをとりながら、ゼロが宣言する。裏を返せば、ナナリーをロリコンの魔の手から守るためだが。 「おお、ゼロ!ようやく虫食い同好会に本腰を入れて参加する決意を固めてくれたのか!感謝する、ありがとう!」 「あ、ああ。と、当然ではないか、私はゼロだぞ?」 卜部さんがゼロの手を固く握った。絶対勘違いしているよ、あの人。そして思わぬ方向に話が進んだためか、ゼロも動揺している。だがそれを表に出すのはどうかと思うぞ。 「ま、まあ、とりあえずドン・ウーが出てきたらゼロに任せましょう。残りの南と星刻さんは、僕と卜部さんが相手をするということで。」 「よし、それでいこう。」 「理解してもらえて嬉しいよ、諸君の健闘を祈る。」 方向性が決まった僕たちは、『ユーフェミア様印のきびだんご』を三等分して持つことにした。
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188 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:38:17 ID:F71PD1Bi - 「はあ、はあ、はあ。……きゃあっ!」
その時だった。朱禁城の中から一人の少女が出てきて、転んで道端に倒れた。ん?あの姿はまさか……。 「もしや、あなた様は天子様ですか?」 卜部さんが天子様と思われる少女に近づいた。 「そ、そうですけど、誰?」 天子様がビクッと肩を震わせた。まあ初対面な上に、卜部さんは外見が怖そうだからな。 「あ、申し遅れました。自分は卜部巧雪と申します、天子様をお助けに参上しました。そしてこちらの二人は、自分の部下Aと部下Bです。」 「「おいこら。」」 卜部さんの発言に、僕とゼロのツッコミがハモッた。 「ああ、すまん。場を和ませようとしたギャグだよ、ギャグ。」 「ギャグとはいえ、やっていいことと悪いことがあるだろう!まったく、お前はこういう少女の和ませ方をわかっていない。私に任せろ。」 ゼロがマントを翻しながら、天子様に近づいた。 「お初にお目にかかる。私の名はゼ…」 「こ、怖い……!お顔が怖い!」 「んなあっ!?」 ゼロが名乗り終えないうちに、天子様がチューリップ型の仮面を全否定した。そのことにショックを受けたゼロは、ガックリと地面に膝をついた。 「何てことだ、この仮面を否定されては、ゼロを否定されたも同然。私は今まで、何のために……。」 「いや、待て。ゼロの存在意義のすべてを仮面に求めるのは、あまりにもおかしい。仕方がない、僕が行こう。うまくいく自信はないけど。」 僕は天子様を怖がらせないよう、ゆっくりと彼女に近づいた。 『むっ、ついに本命が来たか。』(by藤堂さん) 『立つかな、またフラグ立てちゃうのかな?』(byロロ)
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190 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:42:32 ID:F71PD1Bi - 「天子様、僕はライと言います。今日はちょっとお見せしたい物があるんです。」
僕は懐から、桜色をした折り紙を取り出した。 「天子様は僕の知り合いの女の子よりも年下だと伺ったので、折り紙は好きかなと思いまして。 それと、外の世界に興味がおありなんですよね?これなら、少しだけ外の世界を知ることができると思いますよ。」 彼女に話しかけている間に僕は折り紙を折っていき、桜の花が完成した。以前ナナリーに作ってあげたのと同じ物だ。 「はい、どうぞ。」 「うわあ、かわいいお花!ねえ、何て言うお花なの?」 僕から受け取った桜の折り紙を見て、天子様は目を輝かせた。 「これは、主に日本に咲く桜の花ですよ。」 「桜、桜……。うふふっ、いいお名前!ありがとう、これ大事にするね!」 天子様が満面の笑みで僕に告げた。そして僕も、彼女に優しく微笑みかけた。 「ところで天子様、あの二人は僕の仲間なんです。決して怪しい者ではありませんし、何より星刻さんとは仲間だったんです。」 「星刻と?」 天子様が目を丸くした。 「はい。僕たちは天子様と星刻さんを助けたくて、日本から来ました。決して悪いようにはしません、僕たちを信じて下さい。」 「うん、ライが言うなら信じる。お願い、星刻を助けてあげて!」 「はい、仰せのままに。」 僕は片膝をつき、天子様に礼をした。そんな僕を、後ろからゼロと卜部さんが見つめていた。 「さすがは戦闘隊長殿、見事な人心掌握術。我々には真似できんな。」 「やはり彼を特区日本の外交担当にしたのは正解だったな。他国との交渉で失敗したことがない。だが交渉のたびに、カレンの機嫌が悪くなるのはいただけないな。 彼女が備品に八つ当たりするから、そのたびに扇が泣く羽目になっている。」 よく聞こえなかったが、「カレンが扇さんを泣かせている」だって?それは良くないな、一度ちゃんと話をしなければ。
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192 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:45:41 ID:F71PD1Bi - 「ところで、何故朱禁城の外に?護衛の者はどうしました?」
すると、天子様が顔を曇らせた。 「一週間くらい前かな、眼鏡をかけた男の人と緑の仮面をつけた男の人が、星刻と一緒に来たの。その二人の男の人が私を怖い目で見つめてきて、星刻はその人たちを注意したの。 そうしたら二、三日して、大宦官たちが星刻を捕まえちゃったの。何だか…ロリ?だったかな、私にはよくわからないことを言っていたの。」 「大宦官が!?」 何てことだ。南の奴、大宦官まで懐柔して味方につけたのか。そして邪魔になった星刻さんを捕まえた、と。 しかし彼が捕まったとなると厄介だ。大宦官を味方につけたということは、誰にも南を止められないということだ。ドン・ウーには申し訳ないが、そうとしか思えない。 「それで、天子様は何故外に出てこられたのですか?城の中で何かあったのですか?」 卜部さんが天子様に尋ねた。確かにそうだ、天子様がこんな場所にいるのは不自然だ。大宦官や兵士たちが放っておかないだろう。 「うん、私が眼鏡の人に捕まりそうになったから、香凛が逃がしてくれたの。その後兵士さんにも捕まりそうになったけど、その時も洪古が助けてくれたの。 洪古には『どこか安全な場所にお隠れ下さい』って言われたけど、私じっとしていられなくて。」 「なるほど、それで外に助けを求めに行こうとされたのですね?」 「うん……。」 僕の問いに、天子様が頷いた。お飾りになるのが嫌で、自分の力で何かを変えたくて、思い切って外へ出て自分の言葉を発信しようとされたのだろう。健気なお方だ。
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194 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:48:24 ID:F71PD1Bi - 「そうなると、ドン・ウーと南を倒しつつ、星刻とその二人の仲間も探さねばならんのか。
建物の構造はわかるが、中の兵士たちの配置がどうなっているかわからん以上、うかつには動けんな。」 ゼロが腕組みをしながら呟いた。その時、天子様が言った。 「それだったら、私も一緒に連れてって!私がいれば、兵士さんもあなたたちに手を出せないと思う。私も星刻を助けたいの、だからお願い、連れてって!」 「天子様。それはつまり、あなた様を捕虜として連れて行けと?ですがそれは危険です。大宦官が強硬策に出て、天子様を傷つけてでも僕たちを倒そうとする可能性もあります。 それでも、星刻さんを助けたいですか?それだけの覚悟はおありですか?」 僕の問いかけに、天子様は力強く頷いた。 「うん、大丈夫。少し怖いけど、それでも星刻を助けたいから。それに、ライたちがいてくれるから平気。だからお願い、私も一緒に行かせて!」 その言葉を聞いて僕と卜部さん、そしてゼロは、天子様の手に自分たちの手を重ね合わせた。 「わかりました。天子様は僕たちが全力でお守りします、一緒に頑張りましょう!」 「天子様、あなた様のお覚悟、しかと受け止めました!」 「その願い、私たちが叶えよう!」 「みんな……、ありがとう!」 こうして、僕たちは天子様を連れて朱禁城へ乗り込むことが決まった。
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197 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 22:59:55 ID:F71PD1Bi - 「ゼロ、これからどう動く?向こうの出方にもよるが、兵士全員の相手をしているわけにはいかないと思うが。」
そして僕たちは今、作戦会議を開いていた。 「ふむ、こちらの戦力は我々三名のみ。しかも彼女を守りながらの戦いになる。これはなかなかのハンデだな、長期戦だけは避けたいところだ。」 天子様を見つつ、ゼロが言った。彼女には悪いが、確かに少し動きづらくなるか。 「確かに南たちと対決するまでは、なるべく体力は温存したいな。」 すると、卜部さんが立ち上がった。 「よし、ならば俺に任せろ。要するに、兵士たちを足止めすればいいんだろう?」 卜部さんは両腕を空に向かって掲げた。 「世界中に散らばる虫たちよ、俺に力を貸してくれ!」 何をしているんだろう、まるでナントカ玉でも作りそうな感じだが……? 「むっ、この何かが細かく振動するような音は何だ?しかも、かなりの数だ。」 ゼロが周りを見渡し始めた。すると、天子様が叫んだ。 「ねえ、あの黒い塊は何?」 見ると、空の向こうから黒々とした物体が近づいてくる。どうやら今鳴り響く音の正体はその物体らしい。あ、何だか嫌な予感がしてきた。 「天子様、ちょっと失礼します!」 「え?え?」 僕は素早く天子様を抱きかかえ、彼女の目と耳を塞いだ。もし予想通りなら、彼女に外の世界を誤解されてしまう。下手をすればトラウマものだ。 「よーし、来てくれたか。我が友である虫たちよ!」 卜部さんの頭上に集まったのは、大小様々な飛べる虫たちだった。さっきから聞こえていたのは、虫たちの羽音だ。 僕の予想通り、この光景はまさに世界の終わりかと思わせるものだった。
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200 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 23:03:38 ID:F71PD1Bi - 「な、な、何だこれは!?卜部、何をする気だ!」
明らかに動揺しているゼロが、卜部さんを問い詰めた。 「簡単な話だ、彼らに城内の兵士たちの相手をしてもらう。」 「相手?それってまさか……。」 僕は、これから起こるかもしれない地獄絵図を想像して顔から血の気が引いた。 「そう、そのまさかだ。俺の必殺・百虫夜行!」 卜部さんが腕を振り下ろすと、虫たちは朱禁城内へと突入した。その瞬間、僕とゼロは心の中で城内の兵士たちに詫びていた。 『えー、ここから先は大変聞き苦しい音声が中心になるため、地獄絵図が終結するまでしばらくお待ち下さい。』(byロロ) 『何だか鳥肌が立ってきたな、全身がかゆいぞ。』(by藤堂さん) やがて、城内から悲鳴が聞こえなくなった。全身が鳥肌だらけだ、まだ羽音と悲鳴が耳の奥でこだましている。そして僕と同じなのか、ゼロもガックリ膝をついていた。 「よし、終わったな。そろそろ行こうか。」 「いや、卜部さん。僕とゼロが立ち直るまで、少し待ってもらえますか。」 「何だ、これくらいのことでだらしがないな。」 いや、あなたと一緒にしないで下さい。 「ねえ、ライ。顔色が悪いけど大丈夫?一体何があったの?」 天子様が心配そうに僕を見つめ、その手を僕の頬に添えてきた。 「はい、大丈夫です。それと、今あったことはお気になさらないで下さい。この世には、知らない方が幸せなこともあるんです。」 「………?」 天子様、あなた様だけはどうか、その無垢な心をお忘れにならないで下さい。
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202 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 23:07:32 ID:F71PD1Bi - 僕とゼロが立ち直った後、四人は朱禁城に入った。あちこちに兵士たちが倒れている。彼らの服の中で何かがモゾモゾ動いているのは、見なかったことにしよう。
「ねえ、あの人たち大丈夫なの?」 天子様が不安そうな顔をした。 「ええ、大丈夫ですよ。少しショックを受けて気絶しただけですから。」 彼女の問いに、卜部さんが笑顔で答えた。あの光景を見て、ショックが『少し』で済むのだろうか。 「むっ、怪しい奴!」 そこへ、城内を警備する兵士たちが現れた。全員を倒したわけではなかったのか、しかも結構な数だ。 「あっ、この臭いは虫よけスプレーか!しまった、その手があったか!」 卜部さんが頭を抱えた。だがあれだけの数の虫ですら近寄れないスプレーって、どれだけ強いんだ。 「はっ、天子様!?貴様ら、天子様を人質にとるとは!」 「フハハハハハハ!さあ、彼女の命が惜しくば道を開けろ!」 悪人っぽい高笑いをしながら、ゼロが両手の親指と人差し指で作った二丁拳銃を天子様に突き付けた。はっきり言おう、何の威圧にもなっていないぞ。 「お、おのれ、何と卑劣な!」 「待て、何故そこで怯む。」 「はっ、しまった!つい雰囲気に乗せられた!」 僕のツッコミに、兵士たちが我に返った。ノリが良過ぎるぞ、こいつら。 「おのれ!こいつらを捕まえろ、天子様は傷つけるな!」 兵士たちが臨戦態勢に入った。言って聞いてくれる雰囲気ではないな。 「みんな、ここは逃げよう!」 僕は天子様を脇に抱えて走りだした。だが、ここで問題が発生した。 「むっ、オニヤンマ!待てー!」 卜部さんがオニヤンマと呼ばれるトンボを見つけ、虫捕り網を持って僕たちとは反対方向へ走りだしてしまった。
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204 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 23:11:08 ID:F71PD1Bi - 「ちょっと卜部さーん!こんな時に何やっているんですか、こっちですってば!」
「ライ、あのバカは放っておけ!私たちはあの東側の建物に入るぞ!」 卜部さんと別れた僕たちは、東側の建物に入った。そしてそこにも兵士たちがいた。 「ちっ、しつこい奴らだ!」 「ライ、怖いよお!」 「大丈夫ですよ、天子様。ゼロ、どうする!?」 天子様を励ましながら、僕はゼロに尋ねた。果たして彼はどう出るか。 「仕方がない、お前たち二人は先に行け。ここは私が食い止める。」 「ゼロ、ここを君一人でか?それは危険だ、僕も一緒に…」 「ダメだ!そんなことをすれば、彼女は誰が守る?」 そう言われ、僕は天子様を見た。そうだ、僕も一緒に戦えば、彼女にも危険が及びやすくなる。もし彼女の身に万が一のことがあった時、星刻さんに申し訳が立たない。 「……ゼロ、すまない。頼めるか?」 「ああ、任せろ。Z・E・R・O・ゼーロー!」 ゼロは立ち止まると、『魔神零式改』を装備した。 「こいつがある限り、私は無敵だ。ライ、無事で会おう!」 「ああ、すまない!すべてが終わったら、ゆっくりお茶でも飲もう!」 僕は天子様を抱えて、さらにスピードアップした。 「天子様、星刻さんたちは必ず助け出します。そして僕の仲間も必ず無事で戻ってきます。だから天子様も、強い心を持って僕たちを信じて下さい!」 「うん、信じる!」 天子様は、僕の服をギュッと握った。 「みんな、どうか無事でいてくれ!」 こうして、それぞれの戦いが幕を開ける。
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205 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 23:13:39 ID:F71PD1Bi - おまけと言う名の予告編
「さあ、決着をつけましょうか。ドン・ウー、いや、兄上。」 「なっ!?ま、まさか君は!?」 ある者は妹を守るために。 「お前も虫を好きになれ!そうすれば、何かが見えてくるはずだ!」 「ふん!虫を愛でる少女など、想像もできん!」 またある者は相容れぬ考え方をぶつけるために。 「ライ……。これは国も組織も関係ない、男としての戦いだ!」 「どうしても、戦わなければならないんですね?」 「シンクー!ラーイ!」 そしてまたある者は男の意地のために。 『それぞれの戦い・ゼロ編・卜部編・ライ編』、そのうち公開! 『と、いうわけです。最終決戦の話は三つに分かれるのでご了承下さいね。』(byロロ) 『さあ、ついにクライマックスだ!心して待て。日本、万歳!』(by藤堂さん)
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207 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2008/11/08(土) 23:19:25 ID:F71PD1Bi - 以上です、支援ありがとうございました。
三対三での決戦も考えましたが、三つのルートに分けました。 一応ライ編は最後です、残りのどちらを先に持ってくるかは、未定です。 途中さるに掛かってしまい、ご迷惑おかけしました。
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