- コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 25
244 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/09/20(土) 16:43:22 ID:SQNs56/r - どなたかいらっしゃいますか?
投下したいのですが、予告含めて11レス程度使用しますので支援して頂きたいのですが・・・。
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246 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 16:58:13 ID:SQNs56/r - 有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 胎動(後編)〜 カップリング 無し 前作 〜 胎動(中編) 〜 の続きになります。 話の根幹は黒騎士ルートを通ってのR2準拠ですが、もう色々と破綻してますので、 出来ればIF物として読んで頂ければ幸いです。 以下注意点 ●暗いお話。 ●王様ライの性格は微妙。相変わらず自分の想像が入り過ぎてます。 ●ロロの設定も性格もオリジナル入ってます。 ●相変わらず、ライもV.V.も皇帝も黒いです。お好きな人はご注意下さい。 では、投下行きます。
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248 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:01:58 ID:SQNs56/r - 〜胎動(後編)〜
ロロとの出会いより3日後、嚮団内に一室をあてがわれたライは、皇帝から送られて来たゼロに関する資料を熱心に読み耽っていた。 机の上に積み上げられた膨大な書類。 それはライの姿を隠してしまいそうな程の量だったが、彼は黒皮の豪奢な椅子に深く身を沈めると、平然とした様子で書類を読み進めていく。 そこに記されたゼロの姿。それは皇帝の話しに聞いた以上に興味深い人物だった。 ゼロ、黒の騎士団なるテロ組織を率いた謎の男。 幅広い視野で戦場を見渡し、悪魔的とも言える戦略を駆使して、帝国に幾度と無く煮え湯を飲ませた男。 各地のテロ組織やイレブンを蜂起させたトウキョウ租界での決戦、ブラックリベリオンにおいても、武勇の誉れ高いコーネリア皇女に重傷を負わせたという。 しかし、その後の行動が不可解だった。 捕虜の話によれば、戦局は優性であったにも拘わらず、部下に理由を告げずに突然戦線を離脱したと言う。 数多の戦場を駆け巡ったライにとって、王を失った軍がどうなるかなど考える必要も無い事だった。 その結果、彼らは当然の如く瓦解し無惨な敗北を喫した。 そう言った意味では、重傷を負ったにも拘わらず、ライは戦闘終了まで自らの負傷を隠し続けたコーネリアに賞賛を与えるべきだと思った。 そんな事を考えながら、机上にあるカップを手に取ったライは、中に注がれた紅茶を飲み干す。 すると、直ぐ側に従っているロロが直ぐさま代わりの紅茶を注ぐ。 そうしてロロは何事も無かったかのように、ライの様子を飽きる事なく見続けている。 そんな甲斐甲斐しく仕えるロロの姿を横目で見たライは、――どうやら名を与えたという事は想像以上に心を掴んだようだな――と、心の内でほくそ笑むと、 ロロに向けて笑みをつくる。だが、その笑顔は口元は笑っていたが、瞳には一切の優しさなど持ってはいなかった。 それはまともな人間が見れば、冷笑以外の何でも無いような笑みであったが、ロロにとってみれば、任務が成功した時に見せてくれたV.V.の笑みと同じ。 それに喜びを見出していたロロにとって、ライの笑みが気になる事などある筈も無く、寧ろこんな事で喜んでくれる事に喜びを見いだしていた。
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250 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:05:04 ID:SQNs56/r - V.V.がどれほど渇望しても決して与えてくれなかった名を、目の前にいる灰銀色の青年は、いとも間単に当然のように与えてくれた。
ライが微笑む度に、自分が役に立っている事が実感でき、ロロの心に嬉しさがこみ上げて来る。これ程の幸せは今のロロには考えられなかった。 だが、やがて離れなければならなくなる。 ライと会う前に、既に自分が行う任務は聞かされており、機情への顔見せも済んでいる。その結果、長い任務になる可能性を認識していた。 その事でロロはライと離れる事に一抹の寂しさを抱きながら彼の横顔を見つめていると、不意に部屋の壁に取り付けられた巨大なスクリーンが僅かな起動音と共に点灯し、 幼さの残る顔立ちをした少年、V.V.の顔が映し出された。 それを見たロロは頭を垂れて敬意を示す。V.V.の事も嫌ってはいなかったのだ。 親も家族も居らず、他に行く所が無かった自分を拾ってくれたのは、他ならぬ彼だったのだから。 V.V.はそんなロロの仕草を一瞥した後、我関せずといった様子で書類を読んでいるライに話し掛けた。 「やあ、捗ってる?」 「お前が話し掛けるまではな」 「相変わらず辛辣だね」 手元の書類から視線を移す素振りも見せず、吐き捨てるように言ったライからの皮肉たっぷりの台詞に対して、V.V.は笑みを絶やす事無く、 まるで世辞を言われたかのように軽く受け流した。 「暇潰しなら他の奴をあたれ。私は忙しい」 「ゼロが着いたんだよ。一応知らせておこうと思ってね」 その言葉を聞いた瞬間、ライの書類を捲る手が止まった。そうしてライは書類から眼を離すとゆっくりとV.V.に視線を向けると、 「感謝しよう」 彼にしては珍しい言葉を発した後、少々拍子抜けした様子でいるV.V.を余所に、ライは無造作に書類を放り投げて席を立つと出口に向かって歩き出した。 すると、そんなライを見たロロは慌てた様子で問い掛けた。
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252 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:06:45 ID:SQNs56/r - 「あ、あの…どちらへ?」
「ゼロに会いに行く。ロロ、間もなく任務を開始する事になる。準備をしておけ」 「はい……分かりました」 ライは立ち止まると振り向く事無くそう告げた後、再び歩み始めた。が、それを聞いた時、ロロは遂に来てしまったと思い視線を床に向けて押し黙った。 扉の開閉する音が聞こえ、ライが出ていったのを確認したV.V.はそんなロロの姿を一瞬見咎めたが、やがて何事も無かったかのようにモニターを切った。 一人、部屋に残されたロロの心の中には――この幸せな時が終わりを告げてしまう――その事に対する寂しさが渦巻いていた。 認めたくは無かった。しかし、どうする事も出来ない事だと分かっていた。今のロロには、静かに拳を握りながらじっとそれに耐える事しか出来なかった。 いや、それしか術を知らなかったのだ。 ――――――――――――――――― ライは嚮団施設にある遺跡を使って帝都まで向かうと謁見の間の前で一旦立ち止まった。 彼にしては珍しく足早にここまで来た。フッと一息吐き僅かに乱れる呼吸を整えると、流行る気持ちを押さきれなかったのか、勢い良く扉を開けた。 そうして広間に進んだライの視界に三人の人物が映った。一人は言うまでもなく皇帝。あとの二人のうち一人は床に俯せになったまま、微動だにしない。 最後の一人は茶色の癖毛の青年だった。突然の訪問者であるライに驚いたのだろうか。青年は睨みつけるような瞳でライを見つめていた。 実際は、睨んだ訳では無く逆光が眩しかったからそのような眼になってしまったのだが、その事を知らず、純粋にその眼が気に食わなかったライは、 威嚇の意味も込めて青い炎を身に纏わせると、 ――あれがゼロか? その青年の足下に拘束服を着せられて俯せになっている黒髪の青年に向けて歩みを進める。 大抵の人間ならば、今のライから発せられるその雰囲気に、逃げ出すかその場から動けなくなるのだが、その青年は恐るべき勇気を持って立ちはだかろうとした。 ――見上げたものだ。 青年の勇気を認めたライは素直に感心したが、同時に少々嗜虐的な気分になった。
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255 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:09:12 ID:SQNs56/r - ――どこまで耐えられる?お前の胆力を見せてもらおうか。
そうして何とも趣味の悪い考えを巡らせながら、悠然とした足取りで歩み寄る。 「陛下、お下がり下さい!!」 「構わぬ……して、何用か?」 青年の心は未だ折れず。必死な声色で上申するが、皇帝からの相も変わらぬ平然とした問い掛けに興を削がれた気分になったライは、纏っていた青い炎を消すと、 同時に青年に対しての興味も消え失せた。 そうして、今は皇帝の問い掛けに答えるよりも、目の前のゼロと呼ばれる男に 興味が戻ったライは、片膝を付き意識を失ったゼロの髪を掴み、顔を引き上げた。 「この男がゼロか」 男の顔を見たライは努めて冷静な感想を口にした。そう言って暫しの間じっくりと観察するように覗き込んだ後、 「若いな、しかしこの歳で我らに反逆するとはな」 素直な感想を口にした。まさかこれ程まで若いとは思わなかったのだ。あれ程の戦略を練る男だ。ライは、もっと狡猾な面構えをしていた。 例えるなら蛇のような男を想像していたのだが、現れたのは端正な顔立ちをした、自分と同い歳程度にも見える黒髪の青年だった。 自分が抱いたゼロの幻想をあっさりと否定されたが、不思議と不快には思わなかった。寧ろ自然と笑い声が漏れた。 ライは凍り付くような声で一通り笑った後、ゼロの髪を静かに放しゆっくりと立ち上がると、問い掛けの答えを待っているであろう皇帝に向き直る。 そして、まさか待ち望んでいたなどと言える筈も無かったライは、いつもと変わらぬ態度で答えた。 「ゼロなる者が如何ほどの男か、少し興味が湧いたのだ」 その答えに、彼の心中を見破ったのか、皇帝は愉快そうな顔を浮かべた。 それを見たライは、片眉をピクリと動かした後、何が可笑しいのかと文句の一つでも言ってやろうと口を開いたが、突然横から聞こえた声に耳を疑った。 「ラ…イ…?」 驚いて声がした方を振り向くと、先程の青年が動揺を貼付けた表情で見つめていた。
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258 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:11:43 ID:SQNs56/r - ライは、まだV.V.と皇帝以外では知る筈の無い自身のもう一つの呼び名を、何故目の前の青年は知っているのか理解出来なかった。
二人からは既に幾度となくそう呼ばれ大分慣れてはいたものの、会った事も無い青年に突然その名を呼び捨てにされて我慢出来る筈が無く、 射殺しかねない瞳を向けると冷気を帯びた声で問い掛ける。 「誰だ?貴様は」 ライの問いに、一瞬身体を強張らせた青年は、それ以降語る事無く押し黙ってしまった。 だが、そんな態度をライが許す筈も無く、ライの双眸に紅い色が浮かぶと、それを見た青年は驚愕した表情を張り付けると、唇を震わせながら呟いた。 「そんな……君もギアスを持ってるなんて……」 「何だと?」 その台詞はライの限界を容易に越えさせた。痺れを切らしたライが青年にギアスを使おうとした瞬間、 「止めよ!!」 いち早くライの行動を察知した皇帝の言によって、彼はまたしても止められる事となった。 「枢木よ、ルルーシュを連れて退出せよ」 ――ルルーシュ?ゼロの名前か? 「Yes……Your Majesty」 皇帝の言葉に枢木と呼ばれた青年は気を失っているゼロを担ぐと、覚束無い足取りで退出していった。 扉が閉まると直ぐにライは説明を求めた。 「どういう事か説明してもらおうか。何故、あの男は私の名前を知っていた?それに、お前はゼロの正体を知っていたのか?」 「ゼロの正体は我が息子。名をルルーシュという」 「お前は私に自分の息子を監視させる気か!?」 平然と語る皇帝に、ライは嫌悪感を覚えた。それは親のする事とは思えなかったからだ。 その言葉を聞いた時、ライは母と妹を護ることを放棄した――認めたくは無かったが――自身の半身を構成する男の事を思い出し、怒りが体中から吹き出すのが分かった。
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260 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:13:58 ID:SQNs56/r - だが、皇帝からは答えが返って来る事は無かった。
「悪趣味な奴め」 ライは侮蔑の意味も込めて辛辣な言葉を口にした。 だが、その発言にも皇帝は眉一つ動かす事無く、険しい表情を浮かべながらただ一言、 「付いて来るがよい」 そう言うと踵を返して歩き出した。 ――――――――――――――――― 「またここか……」 黄昏の間でライは項垂れるようにそう呟くと、怒りを抑えながら皇帝からの説明を待っていた。 「これから話す事は他言無用」 皇帝はライにそう釘を刺すと話し始めた。 一通り聞いた後、ライの怒りは治まっていた。 「兄弟を殺し、親をも殺そうとするのは、ブリタニアの名を冠する者の宿命か?」 ライはルルーシュの行いを嘗て自分が行った事と照らし合わせて言った。だが、その口調は恐ろしく軽かった。 まるで罪とさえも思っていないような口ぶり。いや、実際彼は何とも思っていなかったのだ。 そう言ってライは軽口を叩いた後、以前の疑問を一度に聞く良い機会と考え、ゆっくりとした口調で問い掛けた。 「ルルーシュにギアスを掛けたのか?」 「如何にも」 その答えをライは無表情で受け止めた。別段、驚く事ではなかったからだ。推測通り、やはり持っていたかといった程度。 しかし、同時に何かがおかしいと思った。その為、自分の問いにこうもあっさりと答える皇帝に、ライは、ここでさらにもう一歩踏み込んだ問いをぶつけるか悩む。 が、僅かに間をおいた後、意を決した彼は、恐らく聞き流されるであろうと思いながらも、一番答え辛いであろう事を尋ねた。
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262 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:16:31 ID:SQNs56/r - 「お前のギアスはどのような力だ?」
「…………記憶を書き換える。安心せよ、御主の母と妹の事には一切触れていない」 「なっ!?」 それは一瞬の沈黙であったが、皇帝は事も無げに言い放った。聞き流されるであろうと踏んでいたライにとって、流石にその答えは予想外だったようで、絶句してしまった。 更に、皇帝はそうなる事を予測した上で、ライを落ち着かせる為に念を押すように語ったのだが、彼にしてみれば、そのような事を言われても何の確証も無い。 「……それを信じろと?」 そう言うとライは無言で皇帝の瞳を覗き込む。 皇帝もまたライの瞳を覗き込むかの様に敢然とした態度で見返した。 「嘘では無いだろうな?」 王であった頃に嫌がおうにも培った洞察力を駆使して、僅かな動揺も見逃すまいと睨み付けながら尋ねたが、皇帝の瞳には一切の動揺が浮かぶ事無く、濁り無き瞳で見返した。 ライにとって、その瞳は少なく見ても嘘を吐いている者の眼には見えなかった。 確かに、その事で確証を得れたと言うのは余りにも危険かもしれない。しかし、どれ程問い掛けようと、恐らくこれ以上は言う事は無いだろう。 「いいだろう……一定の信は置いておく。その上で聞こう。どこを書き換えた?」 更なる追求は無駄と悟ったライだったが、やはり一度抱いた疑念をそう簡単に払拭出来る筈も無く、怪訝な口調を滲ませながら話題を変えた。 「御主が目覚めたのは今回が初めてでは無い」 「以前一度目覚めており、その時の記憶を消したという事か。それだけか?」 「気にならぬのか?」 「前の記憶に未練はあるかという問いならば未練は無い。私にとって何よりも大切な記憶は母と妹。二人と過ごした日々。そして私の過ちのみだ。 それに……二人以外で私に大切な者が出来る筈も無いからな」 そう答えたライは、どこか寂しそうな表情を黄昏の空間に向けて答えた。彼の灰銀色の髪が金色の夕日に照らされて眩く光る。
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265 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:19:51 ID:SQNs56/r - 出来る筈が無い。二人こそが自分にとって何よりも大切な存在。
そんな自分の心に宿る二人を押し退ける事が出来る存在が居たなど、今の彼には想像する事さえも不可能だったのだ。 そんなライの横顔を見た皇帝は、満足げな笑みを浮かべた後、正面に向き直ると暫しの間、二人は一言も言葉を交わす事無く、ただ雲海の彼方を眺めていた。 やがて、頃合いかと思ったのか、不意に皇帝が語り出した。 「ルルーシュを決して殺させるな。御主の部下とやらにも徹底させよ」 その言葉に意識を戻されたライは、一つの疑問が瓦解していくのを感じた。 ――それなりに大切に思っているという所か? それを言葉にする事はしなかったが、ライは何となく皇帝の心の内が見えたように思えた。 ライは無言で頷くと、それを見た皇帝は、努めて冷静に今回の本題中の本題でもある事を告げた。 それらを聞いたライは、ここに来てから初めて心の底から笑った。哄笑(こうしょう)と呼ぶのだろうか。 暫しの間、黄昏の空間に透き通るような笑い声が響いた。やがてその声が消えると、目尻を僅かに潤ませながら呼吸を整え終えたライが、笑みを浮かべながら感想を口にした。 「……どうやら、本格的に退屈せずに済みそうだ」 目尻に浮かぶ雫を拭き取る事も無く笑う。皇帝はそのライの妖艶とも言える笑みを無言で見届けた後、再び語り出す。 「必要な物は後で届けさせる」 「1つ目は戻り次第直に始めよう。だが、二つ目はどうする?」 「エリア11は復興に今暫く時間が掛かる。それに彼奴の回りを固める必要もあるのでな。行動を起こすにしても時が必要。早くても一週間後になる」 「分かった。では、戻って準備しておこう」 そう言ってその場から去ろうとする自分を無言で見送る皇帝に対して、ライは先程とは別人であるかのように陰惨な笑みを浮かべる。 「部下とは親密になっておく必要がある。今のままでは付け焼き刃にもならないからな」 ―――――――――――――――――
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268 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:22:40 ID:SQNs56/r - 1週間という期間はあっと言う間に過ぎて行き、今日はロロの出発の日。
この日が来るまで、ライはこれまで以上にロロを側に置いて自らの存在を植え付けていった。 そして、それに呼応するかのように、ロロにも感情の発露が見られるようになった。 いや、以前のロロを知っている嚮団の人間からすれば別人のように見えただろう。しかし、ライにとっては満足出来るレベルには達していない。 彼の中では、何とか付け焼き刃になった程度の認識でしかなかった。 だが、それも無理からぬ事と言える。ライは二人以外の、ましてや赤の他人に愛情を注ぐ術を知らないのだから。 だが、ライと行動していたからだろうか。彼に対しては絶対に無かったが、ロロが他者に対して単刀直入な発言や高圧的な態度を取る姿を度々目撃しており、 それとなく自分の言動と似てきたようで、何となく妙な気持ちを抱いていた。 「それでは、行ってきます」 施設内のメインホールとも言える場所で、背後に巨大なギアスの紋章が赤々と輝く扉を背に、子供達に囲まれて深紅の玉座めいた椅子に深々と腰掛けて、 脚を組んで頬杖をついているライに対して、ロロは寂しそうな表情を浮かべると名残惜しそうにそう告げた。 片やライは、そんなロロを見て、落ち着かせるかのように頬を僅かに緩ませて笑みを作る。 だが、相変わらず瞳は笑っておらず、冷笑めいた笑みを浮かると抑揚の無い声で命じた。 「任務を復唱しろ」 「はい……僕はルルーシュ・ランペルージの弟役。ルルーシュを監視し、あくまでも接触して来たC.C.を捕らえる事が任務です。その為、ルルーシュの殺害は厳禁とする事」 ロロは先程見せた表情を消すと、ライに命じられるがまま淡々とした口調で復唱する。 ワザとそうした表情を作りながら語るのならば上出来だと言いたかったが、ライはそれが未だに直らぬ地の部分だと知っていた。 だが、今更どうにもならない。 「機情との連携については?」 「取る必要は有りません。任務が優先されます」 「定時連絡は?」 「絶対厳守です。その他の連絡にも、何があっても応じる事」 明確な意思を宿した薄紫の瞳を浮かべながら、ロロはライからの質問を流暢に返して行く。 ライとしても、それについては及第点をやっても良いと思えるものだった。
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270 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:25:09 ID:SQNs56/r - 「いいだろう。最後に一つ、言っておく事がある」
「何でしょうか?」 「ギアスの事は誰にも知られるな。機情でギアスを知っているのはヴィレッタ・ヌウという女だけだ」 「その女以外に知られた場合はどうしますか?」 ロロのその問いに対して、ライは何も答えなかった。ただ、壮絶な笑みでもって返すのみ。そう、それだけで十分だったのだ。 「分かりました。その女以外に知られた場合は消します。可能性がある場合も同様に」 ロロは先程とは打って変わって陰惨な笑みを浮かべると、さも嬉しそうにそう答えた。 これについては、ライは満点に近い点をやっても良いと思える程だった。 「いい答えだ。では行け」 ライは口元を僅かに釣り上げて冷笑を浮かべながらそう命じると、ロロは軽く頭を下げた後、出発しようと背中を向ける。 「ロロお兄ちゃん!気をつけてねー!」 「行ってらっしゃーい!!」 すると、ライの側に居た子供達が、手を振りながら屈託の無い笑みを浮かべて自分達の兄に見送りの言葉を掛けた。 「いい子にしてるんですよ」 ロロは振り向いて微笑を浮かべながら、彼らに対して軽く手を振った後、出口に向けて歩いて行った。 後ろ髪引かれる思いだったが、決して振り向く事はしなかった。何よりも、ライから与えられた任務だったのだから。 ――絶対に成功させるんだ。あの人の為にも。 ロロの耳に聞こえる弟達の声が徐々に小さくなっていく。そうして、遂には聞こえなくなった。 暫く歩いて施設の出口付近まで来た時、ロロの眼に小さな人影が映った。 「何だか凄い気迫だね?ロロ」 「……V.V.」 影の正体は、嚮団の主でもあり、ロロにとっては育ての親とも言える存在。V.V.の姿だった。 「行ってきます」 そう言って、ロロは頭を垂れた後V.V.の側を通り過ぎようとしたが、不意に呼び止められた。
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272 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:27:07 ID:SQNs56/r - 「僕の方からも一つ言っておく事があるんだ」
まさかV.V.から労いの言葉を聞けるのかと内心喜んだロロだったが、その期待は直に裏切られる事となった。 「ルルーシュの記憶が戻ったなら、ゼロが復活したなら、殺していいよ。でも、C.C.の捕縛は最優先だよ?」 「っ!?で、でもあの人は……」 先程の気迫は何処えやら。全く違う命令を告げられて狼狽した様子でいるロロに対して、V.V.は品定めをするかのような瞳で見つめながら問い掛けた。 「ロロ、君の本当の主は誰?」 「それは……V.V.です」 「いい答えだね」 ロロの瞳に動揺の色が広がる。それを認めたV.V.は、安心させるかのように穏やかな口調で告げた。 「彼との未来が欲しいなら、それは忘れてはいけないよ?」 「っ!!……分かり……ました」 その言葉は楔となり実に的確にロロの心に突き刺さった。V.V.からの命令を受けると言う事は、ライの言葉に逆らう事になる事は分かっていた。 しかし、V.V.の言葉もまた。ロロにとっては絶対だったのだ。それに、逆らえば下手をするとライにも危害が及ぶかもしれないとも思った。 だが、ライは自分達の同士であり、更に言うなら弟である皇帝と何よりもV.V.自身がライを気に入ってるのだ。 そこまでする事は無いのだが、そのような事をロロが知る筈も無かった。 ――やるしかないんだ。あの人との未来の為にも……。 そう心に堅く誓ったロロは、再び頭を垂れた後、出口に向かって走り去って行く。 そんなロロの後ろ姿を、V.V.は三日月を浮かべながら見送った。
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275 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:29:40 ID:SQNs56/r - 出鱈目な次回予告?らしきもの
薄暗い部屋の中、一人の女がソファーの上で頭からシーツを被り、両膝を抱えて僅かに生気を感じさせる瞳で画面を流れる映像を見つめていた。 目尻に浮かぶ川の後が痛々しい。その川は干上がる事無く時折流れ落ちて、彼女の両腕に小さな雫を作る。 それは、おそらく彼女の人生で最も幸せだった頃の映像。 画面の中の彼女は、振袖を着て幸せそうに笑っていた。その隣に居る灰銀色の髪をした男性もまた同じように屈託の無い笑顔を浮かべている。 だが、彼はもう居ない。 「C.C.紅月の様子はどうだ?」 「卜部か……以前よりは大分落ち着いているな。食事もちゃんと摂るようになったが……」 「復帰は未だ無理か」 「何か後一押しあれば好転するやもしれないが」 「あと一押し……」 「何だその顔は?まるで、あると言っているようなものだな?」 「あるにはある。彼の……最後の……通信記録だ」 「代わり映えのしない映像より、余程刺激的だな。それを寄越せ」 ――済まないな、ライ。お前を利用する事になる。だが、カレン。お前はここで終わるような奴じゃないだろう?いや、終わってもらっては困るのだ。 C.C.は心の中で彼女にしては珍しく詫びの言葉を呟いた後、無言で立ち上がると部屋を出て行った。
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277 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark [sage]:2008/09/20(土) 17:30:59 ID:SQNs56/r - 以上で投下終了です。
1レス増えました。申し訳ないです。 現在、迷走しながら暴走中・・・。 明日の本編が怖いです。せめて、書く気が沸くような話であって欲しいなー。 感想・批判・ご指摘など、何でもいいので頂けると嬉しいです。 最後に、支援して下さってありがとうございました
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280 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/09/20(土) 17:53:08 ID:SQNs56/r - >>278
ありがとうございます。 確かに、自分も本編が納得出来ないのと、玉職人の方々の作品に当てられて書く事決意したので。 何とか完結まで持って行きたいのですが、本編準拠する上で、何度も見返さないといけなくて、 その度にモチベーション落ちるんですw 何とか頑張りたいなー。 >>279 ありがとうございます。頑張りたい・・・と思います。 >あと、ライになつくロロをルルーシュが陥落出来るのだろうか 一応考えてます。というかあれしか考えられなかったのでw >……で、ライは子供達の名前は決めたのかな? ・・・さて、執筆に戻りますか。
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