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名無しくん、、、好きです。。。
月光カプリッチオ 代理投下
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512 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 01:56:16 ID:hLWr1kal
 
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521 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 01:58:59 ID:hLWr1kal
 
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526 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:00:24 ID:hLWr1kal
 
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528 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:01:29 ID:hLWr1kal
 
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537 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:04:19 ID:hLWr1kal
 
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542 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:05:43 ID:hLWr1kal
 
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547 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:07:54 ID:hLWr1kal
 
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550 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:08:48 ID:hLWr1kal
 
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555 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:09:59 ID:hLWr1kal
 
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561 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:12:11 ID:hLWr1kal
 
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565 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:14:19 ID:hLWr1kal
 
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570 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:16:19 ID:hLWr1kal
 
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575 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:19:24 ID:hLWr1kal
 
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578 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:20:52 ID:hLWr1kal
 
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579 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 02:24:21 ID:hLWr1kal
投下乙!
千華留会長自重wwwwwシリアスなのに本気なのか分かんないw
りのは強いけど一般人らしいところがいいなw それにとてもコスプレが多いし、千華留のあれは制限ないしw
しかし久しぶりの王道投下……王道? 百合ともいえるあの展開は、王道……?w
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597 :名無しくん、、、好きです。。。[sage]:2008/03/24(月) 12:17:07 ID:hLWr1kal
投下乙。
これは未プレイの人にも優しい登場話。
結果的にあやかしびとで殺し合いに乗ったのは愁厳だけかww これは愁厳たちに出会ったら期待だw
ていうか、確かに双七ってメンバーの中じゃ下になるんだよなw せいぜいトーニャかw
ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
599 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:23:49 ID:hLWr1kal

「桂ちゃん……」

和服を羽織った青髪の少女、ユメイは月光を浴びながら大切な従妹の名前を呟いた。
こんな酷い謝肉祭に巻き込まれて震えてはいないだろうか。
いや、あの子は芯の強い子。きっと大丈夫、と自分に言い聞かせて落ち着く。

ユメイ……本名、羽藤柚明は羽藤桂の従姉である。
桂からもよく柚明お姉ちゃんと呼ばれ、慕っていたものだが……十年前、あの双子の鬼、ノゾミとミカゲの主を封印するための人柱となった。
そのときから、羽藤柚明はユメイ……オハシラサマとして人を捨て、人ならざる者となったのだ。
そうなってもなお、ユメイは桂のことが心配だった。経観塚に訪れた桂を命を懸けて、存在を捨ててまでも守ろうとしたほどに。

「…………それにしても、どういうことでしょうか」

ユメイは自身の身体を見て、首をかしげる。
それは何でもない『人間の身体』だった。普通だ、第三者が見れば疑問に思う部分など服装以外には存在しない。
だが、ユメイは人ならざるオハシラサマである。
簡単に言えば幽霊のようなもので、霊体化して姿を消すこととて出来る。だが、残念ながら彼女の身体は人間の肉で構成されていた。

――――残念ながら今、君達は受肉した存在だ。元来が鬼、そして霊体故の特別な措置と言った所なんだけどね。

ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
600 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:24:25 ID:hLWr1kal
あの惨劇の会場、敗れ去った双子の鬼。一刀の元に切り伏せた青年の言葉。
受肉した、と彼は言っていた。それは彼女たちだけではなく、自分も対象だったのだろう。とにかく、そういうことだと納得しておくことにした。
方法は分からないが、とにかくユメイが考えるのはそんな分からないことではなく、桂の身を案じることだけだ。

「――――――」

桂のために殺し合いに乗る。
そんな行動方針を心の裏側で用意しておく。だけど桂は悲しむだろう。そういう子だということを知っている。
だからそれはあくまで最終手段と定める。
当分の目標は桂の保護を最優先。そしてサクヤたちと合流することだろう。

では改めて現在位置の確認だ。
全体図としては南東に位置する歓楽街らしい。
周囲を見回す。様々なアトラクションが立ち並んでいた。
観覧車、お化け屋敷、メリーゴーランド、サーカス……花形であるジェットコースター。
ここは遊園地だった。残念ながらユメイには遊園地の知識はあっても、どの乗り物がどんなものだったかまでは覚えていないが。

(桂ちゃん……すぐに捜し出すから、それまで無事でいてね)

とにもかくにも、行動あるのみ。
深夜、無人であるにもかかわらず駆動音と音楽の流れる遊園地の中をユメイは歩いていく。

その背後から近づいてくる、山のような大男の存在には気づかぬまま
ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
601 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:26:47 ID:hLWr1kal

     ◇     ◇     ◇     ◇


「おのれ……殺し合え、だと? ふざけるでないわぁ!」

竜鳴館の館長、橘平蔵の叫びが響いた。
体格は大柄、かなりの壮年のはずだが声には覇気がある。顔や二の腕に刻まれた無数の傷が、彼を歴戦の勇士と知らしめる。
和式の着物、強面の顔が憤りに震えている。
助けられなかったことを後悔している。何故、命を奪わせてしまったのか、と苦悩した。

「すまぬ、名も知らぬ若人よ……あのとき、超常現象と絶望に心を奪われたばかりに、若い命を散らせてしまった……」

双子の怪異は何十年も生きてきた平蔵にとっても、あまりにも奇怪だった。
己とてかつては「動くな」と命ずれば人の動きを止められたし、気合を入れれば離れたところに衝撃波を放つこととて可能だった。
だが、あれは違う。長らくの経験が双子の姉妹と、それを一瞬で断じた主催者たちを『別格』だと悟った。
ましてや自分たちの生殺与奪は彼らによって握られている。ここで彼女らの代わりに自分を犠牲にしても、何の意味もなかった。
彼女ら二人は助かって、そして結局殺し合わされるのだから。

ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
602 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:28:15 ID:hLWr1kal
(故に、濃は生き恥を晒したぞ……この遊戯を潰すために、濃の力はきっと必要とされるはずだからの……)

思いっきり、傍にあった木をぶん殴った。
壮絶な音がして、平蔵の身長よりも高い木に巨大な穴が穿たれた。常人にはとても真似できない芸当だ。
だが、それだけだ。本来の平蔵ならば木を根こそぎ吹っ飛ばして、それを気合だけで粉みじんにしてやれるというのに。
制限をかける、と奴らは言った。ならばこれは力を制限された、ということなのだろう。

「……だが、それでも退けん。まずは若人たちの保護。そして、この遊戯に乗ってしまった者を、止める」

場合によっては殺さなければならないかも知れない。
それを理解したうえで、橘平蔵は自身に喝を入れる。何のために生き恥を晒しているのか、それを改めて心に刻んで。
しばらく、平蔵は歩いた。平地でまだ人には会えない。
だからまずは見える施設を回ることにした。一番近くにあった施設は……遊園地。正直なところ、平蔵には縁遠い場所ではあった。

遊園地の中へと入場する。キップもなければ、ただで侵入することを止める管理人もいない。
人の気配を探る。平蔵のレベルになれば周囲の鈴虫の数とて感じられるはずだが、生憎とそれすら制限されてしまっているらしい。
だが、それでも人ぐらいは捜し出せるはず、と夜の遊園地を生傷だらけの親父が闊歩する。

「むう……?」

そして、ようやく彼が捜し求める参加者の姿を見つけることに成功した。
相手はこちらに気づいていないようだ。その人物は珍しい格好で、見た目にも良く映える。
最初の一歩が大事だ、ということは長い人生でよく分かっている。平蔵はしばし、己の中で熟考することにした。
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604 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:29:16 ID:hLWr1kal
橘平蔵は強面の男である。よく生徒たちにも怖がられたものだ。
こんな殺し合いの場に巻き込まれ、きっと不安に思っているだろう。そんな状態でいきなり、自分のような男に声をかけられたら驚く。
怖がらせてはならない、何か良い手はないだろうか。
老婆心ながら、自分に支給されたものを探ってみる。正直、こんな巨大な重火器を渡されても困ると思うのだが、目的はそれではない。
最初見たときは首をかしげたものだが、こんなときに使わないでいつ使うというのだろう。

(最近の若者には、こういうのが流行っておるのだな?)

ごそごそ、装着完了。

平蔵はデイパックに同封されていた説明書を懐にしまう。
青髪の少女は考え事をしているのか、歩きながらもこちらに気づく様子はない。
気配を断ち、背後から少女に声をかけた。


「もしもし、そこのお嬢さん、少し宜しいですか? うぅまうぅー」
「ッ……ひぁぁああああああああああッ!!?」


振り返った少女の顔が恐怖に歪んだ、と理解したときには、耳を劈く悲鳴が深夜の遊園地に響いた。
その反応に平蔵が困惑するのと時を同じくして、少女―――ユメイは脱兎のごとく逃亡した。
それはもう、怪物を見たかのように。深夜、背後から忍び寄る化け物に出会ってしまったかのごとく。
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605 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:30:06 ID:hLWr1kal
「ば、莫迦な……何故、逃げるのだ……!」

とりあえず追いかけることにした。
平蔵の脚力を以ってすれば追いつくことなど造作もないはずなのだが、その前にアトラクションに乗られてしまった。
彼の懐には説明書が入っている。

【マスク・ザ・斉藤の仮面】
『この仮面は学園最強の証にして伝統だ。俺たちの憧れ、羨望の的! 斉藤祭りを開催したいぐらいだぜ!
おっとこのマスクを被る奴は注意してくれよ。自分がもしも戦いに敗れたとき、マスク・ザ・斉藤の座はそいつに譲らなくちゃいけないからな。
もうひとつ、伝統的な決まりだ。必ず言葉のどこかに「うまうー」や「はれほれ」などの叫びを上げること。こいつは鉄則だぞ。

これさえ被れば、お前も若い奴らの人気者間違いなしだ! いやっほーーーーーーーうっ!!』


ユメイがどんな姿の平蔵を見たのか、それは語るまでもないだろう。
合掌。


     ◇     ◇     ◇     ◇


「…………ちっ」

加藤虎太郎はヘビースモーカーである。
そりゃもう、授業中でも吸いたくなるほどに。一日三箱、欠かさずに吸うことを日課にしている。
愛用の車はヤニ臭さに定評があるし、例えば殺し合いの最中であろうと吸うことをやめなかっただろう。
だから、胸ポケットにしまっておいたタバコとライターが没収されないままだったことに、多少は安堵していた。
一服、吸う。だが胸のしこりは取れない。よれよれのスーツや曲がったネクタイ、うだつのあがらない様相の男……職業は教師である。

人が死んだ。それも服装と歳から学生だと判断できる。
殺し合い、などとのたまった主催者に従う気は更々ない。若い男女……生徒たちを重点に参加させた最悪の宴に賛同する気は起きない。
ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
607 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:31:11 ID:hLWr1kal
「生徒の教育に悪いんだよ、くそっ」

名簿は既に確認した。生徒会メンバーが数人、混じってしまっている。
そうでなくても、会場には圧倒的に若者の比率が多い。自分たちのほうが少ないぐらいだ。
保護しなくてはならない。教師として、生徒たちを護らなければ死んだネコマタにも怒られるというものだ。
もちろん生徒というのは自分の生徒だけではなく、多くの子供たちを教師として守らなくてはならない。
そんな生徒思いの虎太郎の耳に、やがて少女の悲鳴が届くことになる。

「むっ……」

少女の悲鳴。この近くに誰かがいることは間違いない。
知り合い―――ではないだろう。生徒会の参加者、刀子やトーニャは並みのことでは叫び声をあげない……はず。
だが知り合いであろうとなかろうと、虎太郎の行動方針は決まっている。一人でも多くの保護だ。
だから、今すぐにでも助けに行こう。行くとも。行かなければならないのだが―――――その前にしなければならないことがある。

「あー……ここがこれで、こうなって……? ああくそ、なんでこんなところに……」

迷宮型お化け屋敷。
複雑な迷路と突発的なイベントが集約する人気アドベンチャー!(などと書いてあるらしい)
スタート地点がここでない限り、きっと日の目を見ることなく消えていくはずだろうアトラクションだった。恐怖によるスリルにはもう事欠かない。
少女の下に駆けつける前に、強敵が虎太郎の前に立ち塞がるのだった。


「ええい、待ってろよ! すぐに駆けつけるからなぁーっ!」



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609 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:32:26 ID:hLWr1kal
     ◇     ◇     ◇     ◇


「はあっ、はあっ、はあっ……」

観覧車の中にユメイはいる。
動悸が激しい、心臓がバクバクしてる。ここにはお化け屋敷もあるらしいが、そこから抜け出してきたのだろうか。
地の底から響いてきそうな濃厚な声色と、どこの過疎民族かと思しき仮面と、そしてふっさふさの胸まで伸びる黒い髭。
深夜、そんな男に背後から声をかけられた身としては、悲鳴も逃亡も当然の選択だと思いたい。

(落ち着いて……落ち着かないと……)

現状把握。乗っているのは観覧車。やがて一周すれば元に戻ってしまう。
蝶―――桂は月光蝶と呼んでいたが―――を利用して戦いを挑む……いや、あの勢いの男は蝶の軍勢を「うぅまぅうー」の一言で蹴散らす。
基本的に霊体にしか通じない業であるが故に、治療には使えても戦いには役に立たないだろう。
ならば支給品に頼るしかない。

「……大砲?」

正直、大砲を支給されるなどどうかと思うのだが、そうは言っていられない。
この観覧車は窓が開けられるらしい。安全性を考えるなら問題外な設計だが、殺し合いの舞台にはちょうどいいかも知れない。
がらり、と窓を開け、外の様子を見る。ここから桂の姿を見つけられないだろうか、などと思いながら。

そこで、見てしまった。

「待てぇぇええええ、はれほれ、うまぁぁあうぅうううっ!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
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610 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:33:13 ID:hLWr1kal
観覧車をよじ登り、空中に浮かぶ個室を飛び移りながら接近してくる……橘平蔵の姿を。
標的は間違いなくユメイの乗っている観覧車であることは明白。
ふっと、意識が飛びそうになった。別の意味で貧血というか、眩暈でユメイの身体が揺れる。なんというか、すごく怖い。
どうすれば、どうすれば――――と、ここで自分の支給品に気がついた。

「っ……えいっ!」

引き金を引くが、すぐには放出されない。
エネルギーを溜めるかのようにユメイの支給品は胎動するが、発射までのタイムラグが長い。
早く、早く――――心の中で念じながら平蔵のほうを見やる。着々と飛び乗り、距離を詰めてくる仮面のお化け。
やがて、ずっしりとランチャーが重くなる。
エネルギー装填可能、と言ったところだろうか。特別な力が注ぎ込まれていることを、かつて霊体だったユメイは感覚で感じることができた。

「はあっ……!」

牽制のつもりだった。
大砲はもちろん、銃も撃ったことはない。だが、狙いは確実に迫ってくる脅威から外すつもりだった。
相手に『自分は銃を持っているから、それ以上近づくのは自殺行為ですよ』と伝えるだけで良かった。
というか、正直大砲だかランチャーだか知らないが、重火器を見たことがないユメイは浅い知識からとにかく『銃の親戚だろう』と考えた。
そもそも銃やランチャーといった類は、エネルギー装填などで動くものではないのだが、ユメイはそれも知らない。

間違っていないでもないが、ユメイはその威力を知らなかった。
結果として、引き金を引いた瞬間、ユメイはその反動で観覧車の中を転がりまわった。
想像以上に耳を劈く轟音。
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613 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:35:23 ID:hLWr1kal


「ぬっ……ぬぉぉぉおおおおおおおッ!!!?」


そして、牙をむくバズーカの破壊力。
確かに平蔵には当たらなかったが、平蔵の足場となっていた観覧車にエネルギーの奔流が直撃、大爆発を起こす。
加えてそれならの高さがある場所まで登っていたものだから、始末に悪かった。
平蔵は信じられない、と言いたげなユメイの顔を目に焼き付けながら、思う。

(どうやら……この仮面はハズレだったみたいだの……)

今更ながらの感想を心の中で反芻しながら、橘平蔵は観覧車から流れ星のように落ちていく。
不可思議なことがあるとすれば、あれだけの爆発でも観覧車自体にほとんど外傷はなく、業火の一端を浴びた自身も無傷だということだろうか。
ただ、ランチャーが繰り出した爆音と衝撃波だけは本物だったことから、平蔵は地面に吸い込まれるように墜落していった。


     ◇     ◇     ◇     ◇

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614 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:36:11 ID:hLWr1kal
「………………」

加藤虎太郎は苛立ちに震えていた。
三度目の行き止まり。迷宮のところどころに仕掛けられた邪魔な仕掛けを蹴散らして、ようやくゴールかと思えばハズレである。
虎太郎自体、遊園地の経験は皆無に等しい。
お化け屋敷というものは初めてなのだが、ぶっちゃけ命の危険もある仕事もしてきた虎太郎としては偽物のスリルに過ぎない。
正直、お化け屋敷そのものよりも迷宮がうざったい。

「…………落ち着くか」

タバコに火をつけ、至福の一服で精神統一。
だが、取り出したライターに運悪く吊るされたこんにゃくがヒットする。ついでに落ちしたライターを踏んでしまい、破損。
火がなければタバコは吸えず。意味もなくタバコだけを口に咥えた虎太郎の目は、髪に隠れてしまっていて分からない。
ただ理解できることは、加藤虎太郎の鬱屈に最後の一押しが入ったということだ。

「……いいだろう、その心意気、気に入った」

加藤虎太郎は人妖である。
先祖の名は『石妖』……能力は掴んだものを石にする能力と、そして両手の指から肘までを石にすることができる。
行き止まりの壁に手を当てる。
深呼吸ひとつ、そして人妖能力を発動。右手を石に変貌させ、瞳をすっと細めた。
虎太郎には色とりどりの宝石と包丁が支給されているが、そんなものを使う予定はない。そんなもの、必要としない。

「八咫雷天流――――」

虎太郎は武術を修めている。師匠は妖怪烏天狗、流派は一撃即効を目的とする『八咫雷天流』。
かつて、力の使い方を覚えるために虎太郎は武術を習得した。
それだけがあれば、例え一個中隊が相手であろうと敗北しない自身がある。その一撃、ともすれば走ってくる車を大破できるほどの右ストレート。

「―――砕きッ!!」

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615 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:37:32 ID:hLWr1kal
迷路とは複雑に入り組んだ道を抜けて、目的地まで辿り着くことをめざすものである。
迷宮とはそれの建造物バージョンを指すのだが……出口へ到達することを阻む壁を破壊されれば、ルールを何もあったものではなかった。
ゴールへと阻む壁を破壊する。虎太郎自身の苛立ちもあるが、それ以上に悲鳴をあげていた少女が気になる。
こんな遊戯にてこずっている間に取り返しのつかない状態になっていたら、しばらくは自己嫌悪することになるだろう。

やがて、ゴールへと到達する。
石造の悪魔、ガーゴイルを象った最後の門番が無法を働いてきた虎太郎に相対する。
壁には穴。ここに手を入れ、鍵を受け取って出口へと進め。
勇気あるもの、心清らかなるものには祝福が訪れよう。ただし、臆病なもの、邪悪なる心の持ち主は腕を失うだろう―――そんなことが看板に書いてある。
とりあえず迷宮の番人にして守護者、つまるところ責任者はこの石造の悪魔、という設定らしい。

「………………はあっ!!」

迷いはなかった。
電光石火の一撃で虎太郎は壁に腕を突っ込む―――わけではなく、迷宮の支配者に拳を叩きつけた。
最初からこんな決められたルールに従うつもりはない、と言わんばかりに。ガーゴイルの彫像は埋め込まれた壁ごと、粉砕される。
その向こう側から涼しい風が吹いた。トンネルを開通すると、こんな爽快感を得ることができるのか、などと感心する。


182 :月光カプリッチオ ◆WAWBD2hzCI:2008/03/22(土) 22:55:19 ID:UD.I5Fls

「待ってろよ、ふざけた二人組。貴様らも同じ道だ」

腹いせに近い行為に、誓いの呟きを乗せて虎太郎は迷宮のお化け屋敷より退出する。
さあ、あの悲鳴をあげた少女はまだこの近くにいるだろうか、などと周囲を見渡したところで、周囲の空気が震えるような爆発音が響いた。
虎太郎は瞳を鋭く細め、走り出した。
悲鳴だけでなく、この重火器が放たれたかのような轟音は……ただ事ではないのだから。
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616 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:39:04 ID:hLWr1kal
     ◇     ◇     ◇     ◇


その様子をユメイは最後まで見ていられなかった。
改めて覗き込んだときには、既に大爆発を起こしていたのだから。
自分が放ってしまった兵器を呆然と見つめて……デイパックにしまうと、静かに窓を閉めた。
ベンチに座り、一呼吸。危機は去ったが、あれでは彼は助からない。自分は人を殺してしまったのだ。意図であろうとなかろうと。

「あっ……」

だけど、それがどうしたというのか。
最終手段としては、桂を生かすために皆殺しにしなければならないのだ。
だから、口元から逆流しそうな胃液など吐いてはならない。今すぐにでも桂を捜そう。観覧車から降りたら、ここを離れて捜しに行こう。
数分が経過しただろうか。もう、周囲の景色も見たくなかった。
駆動音が止まる。どうやら一周してきたようだ。
ユメイは周りも省みらずに走り去ることに決めた。どこにあの男の死体が転がっているかは分からないが、あまり見たくない。
そうしてドアを開閉、一気に遊園地から離れてしまおうと考えて。


「出〜〜〜〜〜た〜〜〜〜〜ぞ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
「ひうっ…………!」


桂曰く『映画やドラマの悲鳴なんて嘘っぱちだよね。本当に驚いたときは息も吸えないんだからね』
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617 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:40:07 ID:hLWr1kal
平蔵は斉藤のマスクをデイパックにしまうことにした。役に立つかはともかく、今回は利用の意味がなかったからだ。
だからもうひとつの支給品に身を包んで、ユメイを待っていた。

はらり、支給品の説明書が懐から宙に舞い、地面に落ちる。

【地方妖怪マグロ】
『弱い子はいねがぁーっ、でお馴染み、皆のアイドル地方妖怪マグロ!人間との適応を望み、現代社会に上手に溶け込んだ知性派さね。
 でも上司からの抑圧など、人間社会のしがらみむかついて弱いものイジメしてはスッキリして帰っていく狡猾や妖怪さ。
 のどかな昼下がり、閑静な住宅街、一人暮らしを狙って現れる。こけを着て人気者になろうよ! さあご一緒に「出ーたーぞーーーッ!!」』


ユメイが最後に認識したのは、白い布に黒筆で綴られた『諸行無常』の文字だった。
貧血ではない、卒倒だ。
気絶し、倒れ伏すユメイをしっかりと平蔵は抱きとめる。
観覧車が炎に包まれたときは死ぬかと思ったものだ。いつもなら問題にもならないが、動きが極端に制限された今では本当に危なかった。
まあ、無傷で済んだのは日頃から鍛えていた恩恵だろう。

(むう……何か間違っているような気がしないではないがの……)

気絶してしまったユメイを見ていると、そう思う。
驚かしたくない、という方向で話を進めていたのだが、結果としてこうなったのは本当に遺憾だ。
とにかく地方妖怪マグロのシーツもデイパックの中にしまい込み、平蔵はユメイをお姫様抱っこで抱きかかえる。
先ほどの爆発を聞いて、誰かが飛んでくるかも知れない。一度、ここを離れるべきだろう。
ギャルゲ・ロワイアル2nd 本スレッド2
619 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:41:26 ID:hLWr1kal
「ふむ、とにかく一人保護だの」

いたって真面目に橘館長は頷く。
幸先は良い。このまま生徒会メンバーたちも保護できればいいのだが、と一人呟いて、その場を後にする。
肩にはユメイの分も含めてふたつのデイパック、両腕には気絶したユメイを抱えたまま。

あとついでに、何故か気に入ってしまった斉藤のマスクを被りなおしながら。

っと、ここで走ってくる男の影に平蔵は気づいた。
ランチャーの轟音で耳を少しやられていたのか、彼の接近に早期に気づくこともできなかったらしい。
とはいえ、ここで逃げ出すこともできないだろう。平蔵は身を整え、いつでも戦闘に入ってもいいように心を決めて、参入者を迎え撃つ。
やがて現れたのはよれよれのスーツを着た、眼鏡の男だった。
一目見て、平蔵は彼の実力を見抜く。足の運び、視線を動かし方、腕の振り方、間合いの計り方。
その熟練度は……達人同士において、理解できるものだ。だから、橘平蔵は素直に彼のことをこう思った。


こやつは―――――強い、と。きっと戦士のようなものだ、と!


そして一方、駆けつけた虎太郎はその光景を目に焼き付けた。
熊のように大柄な男。外見は生傷だらけの腕と、そして豊かと言って過言ない胸まで伸びた黒い髭。
極めつけは装着している民族衣装の仮面。威嚇しているのか受けを狙っているのかも分からない。だが、理解していることがいくつかある。
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621 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:42:18 ID:hLWr1kal
ひとつ、悲鳴をあげたと思われる少女が気絶して、インディアンの腕の中にいる。
ふたつ、少女は外傷を負っているわけではなさそうだが、悪夢を見ているかのように魘されている。
みっつ、爆音と悲鳴と外見その他を鑑みた結果、決して少女とこの未開地からやってきました地方民族は友好的関係ではないということ。

「……うぅまうぅー」
「あー……」

一目見て、虎太郎は彼の正体を見抜く。図体、和服、奇妙な唸り声、声のトーン、髭、そして仮面。
その異様さは……同じ人種でなければ理解できないだろう。だから、加藤虎太郎は素直に彼のことをこう思った。


こいつは―――――変態だ、と。きっと誘拐犯みたいなものだ、と!


互いに無手のまま、二人の漢が遊園地で対峙する。
大熊のような男の腕に抱かれたまま気絶する少女、ユメイの明日は――――どっちだ。


【チーム『ぱっと見た感じ誘拐犯』】
【F-7 遊園地/1日目 深夜】

【橘平蔵@つよきす -Mighty Heart-】
【装備:マスク・ザ・斉藤の仮面@リトルバスターズ!】
【所持品:支給品一式、地方妖怪マグロのシーツ@つよきす -Mighty Heart- 不明支給品0〜1】
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622 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:42:57 ID:hLWr1kal
【状態:健康、肉体的疲労小】
【思考・行動】

基本方針:ゲームの転覆、主催者の打倒
0:……うぅまうぅー
1:目の前の男(加藤虎太郎)にしかるべき対応をする
2:ユメイを保護、そして協力者を増やす
3:生徒会メンバーたちを保護する
4:どうでもいいことだが、斉藤の仮面は個人的に気に入った

※自身に掛けられた制限に気づきました。
※遊園地は無人ですが、アトラクションは問題なく動いています。


【ユメイ@アカイイト】
【装備:メガバズーカランチャー@リトルバスターズ!】
【所持品:支給品一式、不明支給品0〜2】
【状態:健康、精神的疲労中、気絶】
【思考・行動】

基本方針:桂を保護する
0:…………ひうっ……
1:桂を捜索する
2:烏月、サクヤ、葛とも合流したい
3:桂が悲しむので殺し合いには乗りたくないが、もしもそれ以外の手がなくなれば……
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623 :月光カプリッチオ 代理投下[sage]:2008/03/24(月) 13:43:25 ID:hLWr1kal
※霊体化はできません、普通の人間の体です。
※月光蝶については問題なく行使できると思っています。
※メガバズーカランチャーを行使できたことから、少なからずNYPに覚醒していると予想されます。



【加藤虎太郎@あやかしびと −幻妖異聞録−】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、凛の宝石10個@Fate/stay night[Realta Nua] 包丁@School Days L×H、タバコ】
【状態:健康】
【思考・行動】

基本方針:一人でも多くの生徒たちを保護する
0:……あー
1:目の前の男を何とかして少女(ユメイ)を保護したい
2:子供たちを保護、そして殺し合いに乗った人間を打倒する
3:誰か、火を貸してくれんか?

※制限の人妖能力についての制限にはまだ気づいていません。
※ライターは破損、タバコのみです





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