- 完全拘束・超拘束に萌える 5
240 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 13:08:47 ID:VdCmK6an0 -
翌日、同じように一日が始まり、夕方束子は部屋に戻って来た。 束子も自分のことで多少は悩んでいたので、今日はあまり自慰する気にもならず、普通に課題を終わらせ、 美術雑誌を読み漁っていた。 そこへ智逗瑠が戻って来た。 今日は大きめの塊を抱えて来て、ドサリと制作物置き場に置いた。 それを見て束子はまたギョッとした。 それは人間の頭全体をすっぽりと覆うようなマスクだった。 しかも、柔らかいクタッとした革ではなく、硬めの革を成型し縫製して作った硬そうな物だった。 バッグや財布、手帳カバーなどが雑然と置かれた智逗瑠の制作物置き場に、昨日の首輪といっしょに置かれた、この あからさまに非日常的な革製品から束子は目が離せなかった。 それは良く見ると頭の後ろ半分を覆うパーツに前半分をお面のように被せて、左右何か所もあるベルトで調整しながら 締め込むようになっているようだった。 前を覆うパーツにはちゃんと目と鼻と口の穴が明いていたが、その周囲もなんだかゴテゴテしていた。 智逗瑠は相変わらず寡黙なまま、悶々とした表情で課題を始め、その黒いマスクのことについては何も話さなかった。
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241 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 13:09:36 ID:VdCmK6an0 -
その夜、束子は眠れなかった。 手が股間に伸びて、クチュクチュとそこを弄っていた。 首輪のことや黒革のマスクのことが頭に渦巻いて、興奮が止まらなかった。 奴隷やSMといった、今まで絵空事やネットの中の世界だと思っていた事が、具体的なイメージを全く伴わないまま、 すぐ身近に来てしまった。 そして何故その事に興奮するのか分からないまま、次第に自分がそこに嵌まって行くような気がした。 淫らな水音が、低く微かに室内に響く。 自分の身体の一部であるにもかかわらず、つい先日まではどこを効果的に刺激すれば良いかわからず、つたない指遣い だった自慰が、この数日で急速にコツを極めてしまった。 最初に指で遠巻きに刺激したあとで、むっくり勃起した陰核に濃厚な蜜を絡ませて軽く速く擦ると、飛翔するような 快感が連続して走る。 そして浮き上がりそうになる身体を、イメージとしての黒革に、覆うように抑え込まれる妄想に浸る。 とたん、何も考えられなくなるほどの興奮に腰が跳ね、腹奥も、頭も、肩も、指も、つま先まで、均等に高熱に火照る。 溶けそうな淫部を、指の限界まで激しく擦る。 やがて、頭まで掛け布団の中に埋めた身体を、くねるように引き攣らせ、束子は激しく果てて、そのまま眠り込んだ。 智逗瑠は隣のベッドで束子に背を向け、暗闇で眼を見開いたまま、その束子の気配を感じていた。
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242 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 13:10:30 ID:VdCmK6an0 -
翌日、智逗瑠はその全頭マスクを持って出て行き、いつも通り放課後になると工房に詰めてそのオプションを作っていた。 放課後、束子はいつも通り智逗瑠より先に部屋に戻ったが、今日は自分の人生が大きく変わるような胸騒ぎを覚えていて 落ち着かなかった。 しばらくすると智逗瑠がいつもよりかなり早めに戻ってきた。 手にはあの全頭マスクが握られていたが、そのマスクの穴はオプション品で全て塞がれていた。 鼻の穴までもチューブのようなものが差し込まれる構造になっていた。 智逗瑠はそれを握りしめたまま、束子のそばに来て、思い詰めたような表情で口を開いた。 「……束子……お願いが……ある……」 「え、何?」 「……首輪……して……」 束子は全身の血が沸騰するのを覚えた。 「え! ああ、ああ、ま、また、試着ね?」 「……そう……。……だけど……今度は……ずっと……」 一瞬うまく切り返したつもりだったが、すぐに予想外の反撃を食らって束子はうろたえた。 手にはビッシリと冷たい汗が浮いていた。 「ずっと……って、そんな……」 「……学園長にも……許可……もらった……」 「へ?」 「……知ってる…… …………わ、…… ……私の革に……感じて……くれたこと……」 「え?」 「……夕方、部屋に籠る……えっちな……匂いも……、 ……夜の……蠢きも……、 ……同室の……人間に…… ……わからないわけ……ない……」 恥ずかしさと罪悪感と、そして半ば脅迫されているような恐怖に、束子の耳はカアッと熱くなった。
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246 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 22:36:36 ID:VdCmK6an0 -
「……ずっと……父に……言われていた……『革に感じろ』と……でも……意味が……わからなかった……」 言いながら智逗瑠は全頭マスクを制作物置き場に置き、代わりに黒革の首輪を手に取った。 「……それが……束子なら……わかる……かも……」 形はほぼ大型犬用のそれとそっくりな首輪、縫製や仕上がりはまんまブランド品、その留め金を革の穴から抜き、 開いて束子に近づく智逗瑠。 犬用と違うのは、留め金の脇にもう一つU字の金具が突き出ていて、そこに留め金から余った穴を重ね、南京錠で 施錠できるようになっている点だ。 金具はすべて金メッキされていて、金具のデザインも同社のそれとそっくり、また南京錠も同社の鞄用のものだった。 束子は椅子に座って鉛筆を握ったまま、やや首を捻って 智逗瑠の方を向き、耳を真っ赤にして身動きできなくなっていた。 智逗瑠は束子の歪んで震える瞳を無視するように、束子の首に首輪を巻き付け、向きを調整して締め込み、南京錠で施錠した。 ――カチリ―― 施錠の音が響くと、智逗瑠を見つめている束子の目に、うっすらと涙が滲んだ。 「こ、これを嵌めて、暮らすの?」 「……そう……」 「わ、わかった。 と、とりあえず、そ、そう、い、今は、宿題、よね」 ギギギという音が聞こえてきそうなぎこちない動作で机に向き直り、今すぐにでも股間をいじり倒したい興奮を抑えて、 束子は鉛筆を走らせ始めた。 しかし、問題のうわべだけが目に入るが、ちっとも思考して解くことはできなかった。
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247 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 22:37:06 ID:VdCmK6an0 -
「えっと……さ、これ」 首を捻って智逗瑠を振り返った時、南京錠が揺れてカチカチと軽い音を立てた。 とたん、束子は今のパニックじみた緊張の中から、自分の首をぐるりと圧迫するテンションの正体を実感した。 「う……」 発するつもりだった言葉を呑み込む。 しかしここで押し黙っては、緊張に負けそうだった。 「こ、これ、さ、お風呂とか、どうするの?」 「……そのまま……入れる……加工済みの……革……」 「し、絞まって死んだりしない?」 「……大丈夫……。……金具……メッキの下は……真鍮……。……錆も出ない……」 「あ、そ、そう」 またギギギと首を戻して、もう正解も何も考えずただ空欄を埋めて課題帳を閉じた。 夕飯のチャイムが流れた。 束子は早速晒し物になる覚悟を決めて、智逗瑠と共に部屋を出た。
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248 :トルソー[sage]:2011/01/23(日) 22:38:04 ID:VdCmK6an0 -
この学園の寄宿舎では室内着は指定されている。 ほぼ体操着と同じ素材や形のそれは、Tシャツ、短パン、ジャージの上下で、組み合わせ方は各人の自由だ。 Tシャツの束子の首は当然剥き出しで、束子のショートヘアと相まって、そこに食い込む黒い首輪を はっきりと人目に晒している。 驚きの目、奇異の目、嘲笑の目、無関心、皆それぞれの反応だが、敢えて直接口に出す者はいない。 なぜなら、こういったことはこの学園ではさほど珍しいことでもなかったからだ。 ヘアデザイナーを目指す子が、同室の子や親友に頼んでカットさせてもらう。 メイクアップアーティストを目指す子が、同様に友人に頼んでメイクする。 和装などもそうだ。 先生ももちろん理解しているので、申告さえしてあれば、被験者は何日か普段を逸脱した格好でも許される。 束子自身も自分の作品を教室や廊下に飾らせてもらっているので、もちろん彼女の覚悟はそれを差し引いた上でのものだ。 智逗瑠の頼みでやっているのだから、別に恥ずかしくない。 だがそれは奇しくも自分の性癖を体現している。 その『性癖を晒す』、という部分が束子の覚悟なのだった。
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