- ☆税理士試験総合スレ Part.60☆
703 :一般に公正妥当と認められた名無しさん[]:2020/05/11(月) 00:13:46.00 ID:U3mXCv9d0 - 日商簿記の「出題の意図」から学ぶことは多い。当時の第107回検定の出題意図もマジマジと見る
と試験委員の心情が想像できる。税理士スレでしつこいかも知れんが、当時の出題の意図を貼っておく。 日本商工会議所 第107回 2級 出題の意図 ※既にリンク切れでソースは示せないが、以下、原文ママ。 [第1問] 本問は、例年と同様に、仕訳問題5問を出題しました。5を除いては、普通の 素直な問題です。ただ、5については、これまでに2級の仕訳問題として出題さ れていない問題であるために、戸惑った受験者も多かったようです。しかし、こ の5は、本支店の問題としてはすでに何回も出題されているので、目新しい問題 ではありません。本支店の問題としてパターン化して出題されれば解けるが、仕 訳問題として単独で出題された場合には解けないということのないように、簿 記処理を覚えるのではなく、よく理解していろいろなケースに対応できるよう に学習しておく必要があります。
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704 :一般に公正妥当と認められた名無しさん[]:2020/05/11(月) 00:14:24.57 ID:U3mXCv9d0 - [第2問]
本問は、固定資産の取得(資本的支出)、売却(除却)および減価償却という基 本的な固定資産取引を題材に、固定資産および減価償却累計額勘定への記入を 問う問題です。丁寧に計算して仕訳し、転記すればよいだけです。確かに、取得 後の資本的支出に係る部分の減価償却、定率法による減価償却は、2級の出題範 囲に固有の問題です。しかし、採点結果を大きく左右したのは、むしろ備品勘定 への記入(4級の出題範囲)、間接法による減価償却の記帳や売却処理(3級の 出題範囲)でした。 「出題の意図」において繰り返し指摘していることですが、検定試験で問われて いるのは、いかに過去に出題された問題を要領よく解くかではなくて、簿記処理 の背後にある基本的な考え方や仕組みを理解しているかです。例えば、総勘定元 帳の各勘定の摘要欄や仕丁欄に何を記入するかが分かっていたでしょうか。勘 定の締め切り方が分かっていたでしょうか。あるいは、定額法と定率法のいずれ を用いるかによって、将来の売却損益に違いが生じますが、過年度の減価償却費 と売却損益を通算すると、定額法と定率法のいずれの方法を採用しても同額と なることが理解されていたでしょうか。 今回の採点結果は、大変驚きをもって受け止めています。簿記の問題の出題形式 は無限であって、限られた数の出題形式に対応した画一的な解き方をもってし ては、十分には対応できないことを肝に銘じていただきたいものです。
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705 :一般に公正妥当と認められた名無しさん[]:2020/05/11(月) 00:15:16.71 ID:U3mXCv9d0 - [第3問]
本問は、修正記入欄で決算整理事項とそれ以外の修正事項による修正を行い、 損益計算書と貸借対照表の作成に至る過程を示す精算表の作成問題であり、8 桁精算表の作成問題としては基本的な問題です。ただし、決算整理事項とそれ以 外の修正事項の中に若干考えさせる点を加えているので、単なる8桁精算表の 問題ではなく、応用能力あるいは思考能力をも問うことを意図しています。本問 のできは、相対的に芳しくなかったといえます。 具体的にいえば、売上割引の処理、誤記入の訂正とそれに対応した貸倒引当金の 計上、建設仮勘定の建物への振替処理とその分に係る減価償却費の計上、期末商 品棚卸高について発生する評価損および棚卸減耗損の処理などがそのような点 に該当するでしょう。本問の解答にあたっては、これらの修正事項に関する仕訳 が正確にできるかどうかが、鍵となります。 これらの事項のうちで、特に考えさせられる点は、商品評価損を売上原価に算入 しないという処理と、棚卸減耗損を売上原価に算入する額と算入しない額を分 けて計上する処理です。全体としてこの事項に関する処理が極めてできが悪か ったようです。これらの処理が精算表を作成した場合に、修正記入欄でどのよう な記入となって現れてくるかをきちんと理解しておくことが必要です。また、売 上原価に算入される金額と算入されない金額の計算もきちんと行うことが必要 です。解答にさいしては、「それぞれの商品の期末帳簿棚卸高の5%」という点 がポイントとなるので、個々の商品ごとに評価損減耗損を正確に計算すること が重要です。しかし、答案には「それぞれの」という文言を見落として、期末の 商品の帳簿棚卸高全体の5%として計算しているものが意外に多く、問題文を 正確に読むことも受験技術としては大事なことであるということを十分に認識 してほしいところです。
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706 :一般に公正妥当と認められた名無しさん[]:2020/05/11(月) 00:16:02.47 ID:U3mXCv9d0 - [第4問]
本問は、材料費会計の問題です。材料費会計における主要な問題は、@材料の購 入原価の計算と記帳手続、A材料の消費額の計算と記帳手続、B材料の管理方法 です。@材料の購入原価の計算において、引取費用(材料の買入手数料、引取運 賃、荷役費、保険料、関税など企業外部で発生する材料副費)を購入原価に算入 することは商業簿記・工業簿記共通の基本的論点です。 内部材料副費は工業簿記固有の論点です。材料の購入に関連して企業内部で購 入事務、検収、整理、選別、手入れ、保管などの活動が行われています。そうし た活動にかかる費用(これを内部材料副費という)は、理論的には購入原価に算 入することが望ましいです。本問では、購入代価+引取費用+内部材料副費によ って購入原価を求めさせています。 「原価計算基準」をよく読んでいれば、購入原価と購入代価の違いを理解してい るはずです。本問では、理解が十分でない受験者もいることを考慮して、問題文 を読めば購入原価と購入代価が何を意味するかわかるようにしてあります。 Aについては、材料の消費価格の算定に先入先出法を使用しました。問2は消費 価格を算定したうえで材料勘定を完成させる、きわめて基本的な問題です。Bの 材料の管理では帳簿残高と実地棚卸によって確定した実在高とをまず比較しま す。正常な棚卸減耗費は、製品の製造上やむをえざる損失であるから、製品原価 性をもっています。 今回、問2の材料勘定を完成させることのできた受験者は、第4問全体で8割 以上を得点していました。他方、全体で1割しか得点できていない受験者も多 く、平均点が低かったのはそのためであると思われます。工業簿記の基本をしっ かり学んでほしいと思います。
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707 :一般に公正妥当と認められた名無しさん[]:2020/05/11(月) 00:16:29.22 ID:U3mXCv9d0 - [第5問]
本問は、標準原価計算の問題です。原価標準の意味、差異分析の計算、および仕 掛品勘定の記入が理解できているかどうかを問う問題です。第4問までの解答 で時間が足りなくなってしまった受験者も多かったのでしょうか。単一製品で 月初仕掛品のないケースという基礎的な問題であるにもかかわらず、未記入の 答案も見られました。 原価標準は製品の単位あたりの標準原価のことです。計算そのものはやや複雑 であったかもしれませんが、3の資料を用いて、直接材料費、直接労務費、製造 間接費それぞれを価格要素と数量要素を乗じることで計算できます。 差異の計算も比較的容易な問題です。総差異は、数量要素の差異と価格要素の差 異に分解できます。月初仕掛品はありませんので、実際生産量は製品完成量に月 末仕掛品換算量を加えた数値になります。この実際生産量に見合う標準消費量 を実際の消費量との差で計算するのが直接材料費の消費量差異です。同じく、実 際生産量に見合う標準直接作業時間と実際直接作業時間の差に、標準賃率を乗 じたものが直接労務費の作業時間差異です。 なお、直接材料費の価格差異や直接労務費の賃率差異も、復習をかねて計算して おくとよいでしょう。製造間接費の総差異は予算差異、能率差異および操業度差 異に分解できます。予算差異は、本問で示されている資料では製造間接費予算が 変動費部分と固定費部分に分かれていませんから、単に資料3の予算と資料2 の実際発生額を比較するだけです(このような予算を、変動予算に対して固定予 算といいます)。 パーシャル・プランとは、仕掛品勘定の借方に実際発生額を集計し、貸方には標 準原価で完成品原価と月末仕掛品原価を記帳する方法です。仕掛品勘定の貸借 差額で差異が把握できます。
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