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名無しさん@お腹いっぱい。
炎の少女チャーリー [無断転載禁止]©2ch.net

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炎の少女チャーリー [無断転載禁止]©2ch.net
118 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 00:16:52.35 ID:85B8ldyV
【とある住宅街】

行く宛のないチャーリーは、住宅街を歩いていた。1件の家の前から、チャーリーと同じくらいの歳の女の子、続いてスーツケースを抱えた父親らしき男性が出てきた。
チャーリーは木の陰に隠れて様子を伺っていた。

女の子「♪フロリダ〜、フロリダ〜。」

女の子の父「さあ行こうか。夢の国だぞ。」

女の子「ミッキーに会えるかな〜?」

女の子の父「どうだろうね。」

女の子「会いたいな〜。」

母親らしき女性が玄関に鍵をかけている。

女の子の母「お待たせ、さあ行きましょう。」

チャーリーは彼らの頭の中を読み、今日から3週間のフロリダ旅行に出かけることを理解した。

チャーリー「ちょっとだけ、旅行に行っている間だけ、家を貸してね。」

彼らの車が出発すると、チャーリーは玄関の前に立ち、鍵を見つめる。

チャーリー「開いてちょうだい…。」

♪カチャリ

チャーリーは家の中に入っていった。
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119 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 10:26:57.64 ID:85B8ldyV
【陸軍特別会議室】

幹部会議専用の会議室には、陸軍上層部の面々が集まって、チャーリーの超能力実験映像の上映会が行われていた。

画面には、最初の念力放火実験が映しだされている。

中将「これが…、あの少女の能力なのか。タヌキどもめ。私を欺きやがって。ところで、少女の行方は掴めたのか?」

超能力プロジェクトの責任者になった大佐が答える。

大佐「依然としてわかりません。前の施設から回収してきたデータをしらみ潰しに調べています。
施設の生き残りで、少女の部屋をモニターしていた男の話によると、父親と新聞社に行くような事を言っていたとの事で、近隣の新聞社を張らせているところです。」

幹部「もし、別の州の新聞社に駆け込まれたらどうする?」

大佐「我が国全ての新聞社を網羅することは不可能です。」

別の幹部「仮に少女が新聞社に行って話したとしても、誰が彼女の話を信じるでしょうか? 子供の妄想で片付けられるのでは?」

中将「話の最後に、少女がちょっとでも火を着けるところを見せたらどうなると思うかね?
何はともあれ、データを調べて少女が行きそうなところをピックアップしろ。」
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120 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 10:37:25.47 ID:85B8ldyV
【とある女の家】

The Shop 職員の生き残りである一人の女が、陸軍施設での事情聴取を終えて家に帰ってきた。

女「ただいま…。」

男「おかえり。大丈夫だったのか? 爆発音がここまで聞こえる程の大火事だったからな。何はともあれ、無事でよかったよ。」

男は女を抱きしめた。

女「ありがとう。疲れたから、先にベッドに入るわね。」

女はベッドに入ると、施設での出来事を考えだした。

『あの子、どうしているのかしら。酷い事を言ってしまったわ。あの子の言うとおり、あの子は何も悪くないのかもしれない。私たちがあの子を変えてしまった。
停電で部屋に閉じ込められた私を、彼からのプロポーズがあることがわかってて、私を部屋から出してくれて、そして昨日は骨折した私の足を治してくれた…。
あの子が怒ったのは、大好きな父親を殺されたから。怒って当然よね。
そんなあの子を責められないわ。なのに、あんな小さい子に向かって、魔女だなんて言ってしまった…。』
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121 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 11:58:53.63 ID:85B8ldyV
【チャーリーが間借りしている家】

チャーリーが家を拝借して3日が経った。チャーリーは女の子の部屋を借りていた。2年前のチャーリーにはあって今は失った、普通の生活がここにはある。机の上には学校の教科書とやりかけのドリル。

チャーリー「私も普通の子に戻りたい…。」

チャーリーは女の子一家の様子を見た。

女の子『ミッキーさんいないね。』

父『園内は広いからね。どこにいるのかな。』

女の子『ミッキーと写真撮りたかったな…。』

父『もう少し探してみようか。』

チャーリーはミッキーを見つけると命令した。

チャーリー『女の子の所に行って、一緒に写真に収まりなさい。』

チャーリー「部屋を貸してくれたお礼よ。」
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122 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 12:06:19.79 ID:85B8ldyV
【とある女の家】

女「ちょっと私の話を聞いてくれる?」

男「突然何だい?改まって。」

女「懺悔…、かな。」

男「おいおい、浮気の告白じゃないだろうな?」

女「仕事の事よ。誰かに聞いてもらいたくて、胸が苦しいのよ。」

「私の職場、火事で燃えてしまったけど、元職場かしら、解雇されたし。あそこは研究施設なのよ。私たちは一人の不思議な女の子を観察してたの。
その子は頭の中で考えるだけで色々な事が出来た。物を動かしたり、火をつけたり。
いいえ、観察じゃないわね。私達は自由を奪い、嫌がる女の子に無理矢理力を使わせていた。何時かは父親に会わせてあげると嘘を付きながらね。途方もない超能力を持った女の子を手放すつもりなんてないのに。
あなた、覚えているかしら? 私にプロポーズしてくれた日のこと。あの日、私はその少女と部屋で遊んでいたの。そしたら停電が起こって、私たちは閉じ込められちゃってね。
私があなたとデートだと言うとね、あなたが一代決意をして私を待ってるから、早く行きなさいと急かすの。優しい子でしょ?
そんな優しい子だったんだけど、私たちはあの子の大好きなパパを殺してしまった。そしたら、あの子は怒って暴走して。それがこの間の出来事の真相なの。
あの子が起こした爆発で私は怪我をしたわ。でも私を見つけると怪我をさせた事を謝って、そして不思議な力で怪我を治してくれた。
なのに、私、女の子に酷い言葉を投げつけてしまったの…。
今、女の子はどこて何をしているのかな?寒くないのかな?食べ物はあるのかな? そして何より謝罪したい。
これしか考えられないのよ。

以上、これで懺悔は終わり。」

男「お前の話、ちょっと理解し難いところもあるが、そんなに謝りたいなら、私ではなく、その少女に向かって謝ってみたらどうだい? 不思議な女の子なんだろ? お前の声が届くかもしれないぞ。」

女「そうね。あなたの言う通りだわ。」
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123 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 22:27:52.93 ID:85B8ldyV
夫に言われた通りに、女はチャーリーに向かって語りかけた。

女「チャーリー、聞こえるかしら。この間は酷い事を言ってごめんなさい。出来れば直接お話をしたいわ。チャーリー…。もし私の声が聞こえたら、私の家へ来て…。」





翌朝、呼鈴が鳴り外を見ると、玄関の前にはチャーリーが立っていた。
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124 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 22:35:02.07 ID:85B8ldyV
前の晩、チャーリーが女の子から借りたベッドで寝ていると、女の声が聞こえてきた。チャーリーに対する強い後悔の念、心配する心。後悔の心に押し潰されそうな女の気持ちを癒せればと思いやってきた。

女はチャーリーの姿を見ると、急いで外へ 向かった。

女「チャーリー…。」

女はチャーリーを抱きしめた、そして泣き始め、謝罪した。

女「ごめんなさい、チャーリー。酷い事を言って…。何としても直接謝りたかったの。」

チャーリー「私は大丈夫よ。あの日お姉さんを怪我させちゃったのは事実だし、私はそう言われても仕方ない事をしちゃったし…。」

女「ううん、あなたは悪くないの。悪いのは私たち大人よ。」

チャーリー「私は大丈夫だから、お姉さんも彼氏さん、今は丹那さんか…、と幸せに暮らしてね。それじゃあ…。」

女「チャーリーちょっと待って。あなたこんなに冷たくなって。お腹はすいてない? ちょっと休んでいってよ。」

別段急ぐ用事もないチャーリーは女の好意に甘えることにした。
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125 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 22:42:03.27 ID:85B8ldyV
チャーリーはリビングに通された。テーブルの上には簡単な食事も用意されている。女の夫もリビングにやってきた。

女「急な訪問だったので、あまり用意できなかったけど。良かったら食べてちょうだい。」

チャーリー「ありがとう。嬉しいわ。」

チャーリー達は食事を開始した。

チャーリー「美味しいわ。みんなで食べるのっていいね。」

女「おかわりもあるからね。遠慮しないで。」

チャーリー「ありがとう。」

女「チャーリー、ご飯はちゃんと食べてたの?」

チャーリー「…、うん。」

女「嘘ね。今はどうしてるの?家に帰れたの?」

チャーリー「お家は滅茶苦茶になっちゃってるから…、だから…、ちょっと留守のお家を借りてる…。」

女「これからどうするの?」

チャーリー「…。」

女「どこも行く宛がないなら、しばらくウチにいなさいよ。家なしのこんな小さな子を放り出せないわ。」

チャーリー「でも…。」

女「でもじゃないわ。あなたからも言って」

男「そうだな。お嬢ちゃんさえ良ければ、しばらく泊まっていくといい。こいつの言う通りだ。ちょっと狭いが我慢してくれるかな?」

チャーリーには2人が本心から心配していることがわかる。The Shopでも優しくされたが、それは自分に実験をさせるために機嫌をとっていただけ。両親からと同じ愛情を感じ取って涙ぐむ。

チャーリー「ありがとう…。お姉さん…。」

チャーリーは女に抱きつき、そして今度はチャーリーが泣きだした。
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126 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 23:48:20.60 ID:85B8ldyV
【とある女の家】

チャーリーが女の家に居候を始めて1週間が過ぎた。チャーリーは部屋に閉じ籠りっきりだが、近所の子供が学校に行ったり遊んだりしているのを羨ましそうに見ているのを、女は見逃さなかった。

女「チャーリーの事なんだけどさ。」

男「そろそろ来ると思ってたよ。」

女「あの子、毎日外を見てるのよね。同年代の子供たちを。いつまでもこの家に閉じ込めておくわけにはいかないわ。」

男「それで?」

女「私達で引き取りたい。そして私達の子供として元の生活に戻してあげたい。どうかな?」

男「そう言うと思ったよ。俺の考えも聞いてくれる? 前に君の話を聞いてから考えてたんだけど、軍の連中はチャーリーの事を諦めたとは思えない。今は態勢が整っていないから大丈夫だけど、しばらくしたら必ず捜索を開始すると思う。」

女「私もそれは考えてた。だからこそなのよ。そしてそれにはあなたの助けがいるわ。」

男「3人で日本に行くかい?」

女は男に抱きつく。

女「あなたが同じ事を考えていてくれて嬉しいわ。」

男「異国での生活は大変だと思うけど、ここで追手に怯えながら暮らすよりはいいと思うんだ。後はチャーリーが何と言うかだな。」
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127 :名無しさん@お腹いっぱい。[sage]:2016/04/24(日) 23:56:33.56 ID:85B8ldyV
【とある女の家…チャーリーの部屋(仮)】

チャーリーのところに男と女が入ってきた。

女「ちょっといいかな?」
チャーリー「もちろんよ。どうぞ。」
男「ちょっとお話をしようか。」
女「これからの事なんだけどね、チャーリー、あなたはどうするの? どうしたいの?」
チャーリー「…。」
女「いつまでもここに閉じ籠っている訳にはいかないわ。」
チャーリー「…。」
女「そこでなんだけど。私たちと暮らさない?」
チャーリー「えっ!?」
男「こいつから聞いたんだけど、君はいつも羨ましそうに外を眺めていたって。本当は外に、学校に行きたいんじゃないかな?」
チャーリー「行きたいわ。でも…。たぶん…、それは無理よ。私はもう死んじゃったことになってるの。」
女「だったらあなたの力で、住民登録データを変えられない? あなたは私の子供って事にするの。
この人とは…、ちょっと日本人のこの人と私じゃあ、金髪で青い目ののあなたが生まれたっていうのは無理があるから、私がシングルマザーであなたを育てていた事にするの。そしてこの人と結婚。」
チャーリー「そんな事したら、お姉さん達に迷惑がかかる。もうじき軍隊の人達は私を探し始める気がするの。あの人達、私が実験を受けてるビデオを見ちゃったの。私が色々と…、超能力を持ってることを知られちゃったわ。
私は急いでファイルを消したんだけど、そしたら色々対策されちゃって…。今はあの基地の中だけは何も見えないの。」
男「そうだね。そこまでするくらいなら、軍の人間は君の事を探すだろうね。そこでだ、軍の人間の手の届かない所へ行こう。」
チャーリー「!?」
男「私は日本人なんだ。今はここで仕事をしているけど、数年以内には日本に帰るんだ。帰る日を早めてもらうお願いをして、3人でこの国を出よう。
会社が前倒しを許してくれないなら、会社を辞めて日本に帰るよ。こいつと君くらいなら何とかなる。勿論、君がOKしたらだけど。」
チャーリー「本当にいいの…? 迷惑じゃない?」
女「何言ってるのよ! 少しは大人を頼りなさい。 2年間、あんな所で一人で戦ってきて、急に変わるのは難しいかもしれないけれど、あなたはまだ子供なの。大人に頼っても罰はあたらないわ。」
チャーリー「お姉さん…。ありがとう。。よろしくお願いします。」
女「それともうひとつ、これはあなたが嫌ならいいんだけど、名前も変えたほうがいいと思うの。奴等を欺かないとね。」
チャーリー「アナ。私のミドルネームなの。どうかな?」
女「素敵な名前ね。今日からあなたはアナ、そして私はあなたのお母さん。」
チャーリー「お、おかあさん…、 本当にありがとう!」
男「私は蚊帳の外か…。」
チャーリー「お父さんもありがとう!」

その夜、チャーリーは男の頭の中を覗いて、彼の勤める会社情報を得た。日本にいる人事部長を探し出すと、命令した。

チャーリー『お父さんに日本への帰国命令を出しなさい。』

翌日男が会社へ出勤すると、数日中に日本へ帰国の辞令を出す旨のメールが入っていた。


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