- 禁欲能力開発
217 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2015/02/01(日) 15:41:26.32 ID:NC+BdAMe - 無心の理論は、実に仏教思想の全体系を構成しているといってよい。
これが本当にわかると、仏教は神秘主義でもなく、知性主義でもなく、また汎神論的でもないことが認識せられる。 世間では仏教の心理を、自然科学的に説明しようとするが、それでは鞭が短くて、馬腹に及ばぬ。 またこれを神秘主義の一類型と見たがるが、さきにも言ったごとく、 仏教体験の端的は神人の合致でも、融会でもない、また絶対への没入でもないのである。 ことに仏教をもって汎神論と考え、これをキリスト教の一神論に対照させようとするものもあるが、これは深刻な見当違いである。 どの派の仏教に見ても、心理が基礎になっている。そしてその心理には、汎神論的なところは見えぬのである。 華厳の理事無礙界を一瞥すると、汎神論かとも考えられるが、事事無礙界に到りては、汎神論の一神論のというべき余地はないのである。 こんな論議は西洋的思索にかぶれたところから出るのだ。 東洋的、ことに仏教的理論の体系を建立するには、別に新機軸を出して、体験そのものに即した親切な弁証法がなくてはならぬ。 これは日本哲学者の任務であろう。 『無心ということ(角川ソフィア文庫)鈴木大拙』
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