トップページ > エロパロ > 2016年01月16日 > CPp9Q2KK

書き込み順位&時間帯一覧

6 位/102 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000000000500005



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
『テディベアブルース』(後編)
365
立場だけの交換・変化 8交換目

書き込みレス一覧

立場だけの交換・変化 8交換目
362 :『テディベアブルース』(後編)[sage]:2016/01/16(土) 19:15:45.91 ID:CPp9Q2KK
 その日、「彼」は報われない自分の行動を嘆きつつ、ひとり寂しくコンビニで買ったケーキとチキンを食べつつ、シャンパンを自棄気味に煽って、そのままベッドにブッ倒れて眠りについたはずだった。

 しかし……。

 * * * 

 「……ぃーすー、冬休みだからっていつまでも寝てないで、そろそろ起きなさーい!」
 遠くから耳慣れた懐かしい声が“自分”を呼んでいる声がする。
 でも、今くらいはこの温かい布団にくるまれて安らかな微睡みにたゆたっていたいのだ。
 「こら、亜梨子!」
 バタン! とドアが開けられるとともに、いきなり布団を剥ぎ取られる。
 「ふひゃあっ! な、なにごとォ!?」
 「なにごと、じゃないわ。もう、9時半よ。いい加減、起きなさい」
 目の前には、見慣れた年上の女性が両手を腰に当てて、ちょっと呆れた顔をしている。
 「あ……」
 この人は……。
 「おかあ……さん?」
 そう、「わたし」の「母親」である亜由美姉さんだ
 ──あれ、今何かおかしくなかった?
 「さ、目が覚めたんなら、さっさと起きて身支度しなさい、亜梨子」
 え? 亜梨子? それが「わたし」の名前……だよね、うん。何、朝からボケてるんだろう。
 「おはようございます、お母さん」
 「はい、おはよう。もう朝ごはんできてるから早くしてね」
 「はーい!」
 まだちょっと眠かったけど、思いきってベッドから下りる。
 ──うーん、ちょっとだけベッドがきゅうくつな感じ。成長期だから背が伸びたのかなぁ。まぁ、別に手足を縮こめないと寝られないってわけじゃないから、まだいっか。
 うーんっと伸びをしてから、水色のパジャマのボタンを外して、昨日寝る前に勉強机の上に置いておいた白のキャミソールとイチコのワンポイントの入ったショーツに着替えることにした。
 「はぁ〜〜ぜんっぜん、おっきくなってない……」
 キャミソールごしに、いっこうにふくらむ気配のない胸を見てため息をつく。
 (いいもん、お母さんはそれなりにオッパイ大きいほうだから、わたしだって大人になったら、たぶん……うん、きっとだいじょうぶ)
 自分に言い聞かせながら、タンスから出したお気に入りのふだん着──青い長そでカットソーと茶色のキュロットスカートに着がえようとしたところで、ふと今日が何の日か気づいた。
 「あ! 「今日はクリスマスイブ」だよね!」
 毎年、イブの日は家族3人と優樹お兄ちゃん(ホントはお母さんの弟だから、私から見たらおじさんなんだけど、まだ若くてカッコいいから、そう呼んでるんだ♪)で、夕方からクリスマスパーティをするのが習慣になってる。
 そのこともあって、もっとオシャレな服にしようかなって考えたんだけど……。
 「まだ早いよね? 汚したらヤだし、お昼ごはん食べてからにしようっと」
 わたしは、最初の予定どおりカットソーとキュロットに着がえて、お兄ちゃんの来るころに合わせて着がえるつもりのワンピースをタンスから出して壁のフックにつるしておいた。
 「ありすー」
 「はーい、いまいくー!」
 1階から呼ぶお母さんの声に返事して、わたしはダイニングに下りて行った。
立場だけの交換・変化 8交換目
363 :『テディベアブルース』(後編)[sage]:2016/01/16(土) 19:16:35.60 ID:CPp9Q2KK
 * * * 

 その日の立花家の様子は、本人たちから見れば、ごくありふれたクリスマスイブの一日だった。

 「ごちそうさまー」
 父親は出勤済みのため、母親に見守られながら、この家のひとり娘である“亜梨子”は、メープルシロップをたっぷりかけたホットケーキとミルクココアという朝食を美味しそうに平らげる。
 「はい、お粗末様。それじゃあ、亜梨子、歯を磨いてからでいいから、いつも通り自分の使った分の食器はキチンと洗ってね」
 母である亜由美は、「5年生なんだし、そろそろ家事のお手伝いもさせないと」と考えているようで、最近こんな風に食器洗いや簡単な料理の下作業などを手伝わせることが多い。
 「はーい」
 “亜梨子”自身も、「女の子なんだから、お料理とおさいほうくらいはできたほうがいいよね?」と肯定的にとらえているようで、文句も言わずにお手伝いに勤しんでいた。
 皿洗いが終わった後、自室に戻った亜梨子は、学習机に向かって冬休みの宿題を片付け始める。
 「『縦7センチ、横5センチ、高さ9センチの直方体の体積を求めなさい』──えーと、7×5×9だから……315立方センチ、でいいのかな?」
 飛び抜けた天才というわけではないものの、クラスで3番目くらいには入る優等生なので、特に詰まるところもなく、スラスラと問題を解いていく。
 「ありすー、そろそろお昼にしましょうか?」
 「ちょっとまってー、この問題といたらいくから!」
 正午を過ぎた頃、階下にいる母の呼び声を聞いて、解きかけの問題を終わらせ、今日の勉強はここまでとドリルや教科書を片付けて、“亜梨子”は1階に降りていった。
 「今夜はごちそうだから、お昼は軽めのものの方がいいわね」
 亜由美の意向で、今日の昼食はサンドイッチにするようだ。
 「亜梨子は、トマトとキュウリを切ってくれる? ……包丁、大丈夫?」
 「だいじょうぶだよ〜、このあいだ、家庭科の調理実習でサラダも作ったし」
 その言葉どおり、やや手つきがあぶなっかしいものの、特にケガやミスをすることもなく、“亜梨子”は無事に野菜を切り終えた。
 「ご苦労さま。じゃあ、今度はゆで卵の殻を剥いてちょうだい」
 「うん、わかった」
 どうやら野菜サンドと玉子サンドを作るようだ。
 その後も、自家製ドレッシングのつくり方や、ゆで卵を玉子サンドの具にするために刻んでマヨネーズと塩胡椒を混ぜるといった手順を母から教わりつつ、昼食であるサンドイッチが出来上がった。
 早速、母娘ふたりでランチにする。
 「んぐんぐ……ふぅ、ごちそうさま」
 「あら、亜梨子、それだけでいいの?」
 「うん、だって夜はクリスマスパーティだから、あんまりおなかいっぱいにしたくないし……」
 (あんまりおデブさんだと、お兄ちゃんにキラわれちゃうから)と、心の中で呟いてるあたり、幼くとも乙女というところか。
 「あらあら……まぁ、このくらいなら問題はないかしら」
 “娘”の心理などお見通しな亜由美は、クスリと笑いながらも、それ以上追及はしなかった。

 昼食のあとは、“亜梨子”は近所に住む友達の家に遊びに行き、別の友達も交えて3人で少女マンガを読んだり、トランプやUNOをして遊んだ。
 「え〜!? 知夏ちゃん、まだ『プリティーキュート』見てるの〜?」
 「い、いいじゃない、あたし、ああいう話が大好きなんだモン!」
 「5年生になっても『プリキュー』って……亜梨子ちゃんはどう思う?」
 「え? わ、わたしは……そのアニメのことはよく知らないけど、べつに人それぞれじゃないかなぁ」
 実は自分も家で『プリキュー』を見ているクセに、それを隠してどっちつかずの返事をしてしまう“亜梨子”だったが、友達ふたりは「さっすが、亜梨子ちゃん、オトナなはつげーん」と尊敬の目で見ている。
立場だけの交換・変化 8交換目
364 :『テディベアブルース』(後編)[sage]:2016/01/16(土) 19:17:14.46 ID:CPp9Q2KK
 そんなこんなで、友達と楽しいひと時を過ごした後、4時過ぎに家に帰った“亜梨子”は、母親の手を借りつつ、朝用意しておいた服に着替えた。
 全体に薄い桃色で、紅いレース飾りとフリルが満載の、ドレスと言っても過言でないような長袖ロングスカートのワンピースは、“優樹お兄ちゃん”から先日贈られたもので、“亜梨子”自身も非常に気に入っているのだ。
 そのままだと少し寒いので、ハート模様の入った肩掛(ストール)を羽織り、足元には赤と臙脂と桜色で構成された格子柄のタイツを履いた。
 「せっすかくだから、髪の毛もいじってあげるわ。こっちに来なさい、亜梨子」
 母の部屋の化粧台前のストールに座ると、肩にかかるほどに伸びた焦茶色の髪をブラッシングされ、仕上げに紅白ツートンカラーの大きなリボンで髪を結わえられた。
 「ほら、できたわ。うーん、我が娘ながら、なかなかイイ感じじゃない?」
 促されるままに鏡の中をのぞき込むと、「いかにもクリスマスパーティ向きのおめかしをした可愛らしい女の子」が映っている。
 「ふわぁ〜〜わたしじゃないみたい。ありがとう、お母さん!」
 「ふふふ、お礼なら、そのお洋服を買ってくれた優樹に言いなさいね」
 「はーい」

 そして待つことおよそ30分。

 ──ピンポーン♪

 「こんにちは、姉さん、ご無沙汰してます。それに、アリスちゃんもこんにちは」
 いつものラフな格好と異なり、幾分トラッドなスーツを着た“武内優樹”が到着した。
 「あ、お兄ちゃんだ! いらっしゃいませー!」
 うれしそうに飛びつく“亜梨子”。
 「小学5年生の姪より数センチ小柄な青年」は、しかしながら「自分より大柄な女の子」を小揺るぎもせずに抱き止め、あろうことかそのまま抱き上げててクルクル回ってみせる。
 「キャア、お兄ちゃん、下ろしてー!」
 悲鳴をあげる“亜梨子”だが、言葉の割に嬉しそうな表情をしているので実は満更でもないのだろう。
 「いやぁ、ゴメンごめん、アリスちゃんが可愛らしいから、つい、ね」
 爽やかに笑いつつ、若き“叔父”は“姪”を床に下ろす。
 「もぅ、優樹お兄ちゃんったら……わたし、もう、子供じゃないんだからね!」
 「ああ、それは失礼。では、お詫びにというワケでもないけど──メリークリスマス! ミス・アリス、こちらをどうぞ」
 芝居がかったポーズで一礼すると、“優樹”は足元に置いた荷物から綺麗な緑と赤の包装紙でラッピングされた大きなプレゼントを“亜梨子”に手渡す。
 「ふぇっ!? あ、ありがとう。何だろコレ……開けてみてもいい?」
 半ばは叔父に、半ばは母に問いかけるような視線を向ける“亜梨子”。
 両者の肯定を得られたので、パリパリと慎重に包装紙を開いていく。
 「ぅわぁ、おっきなクマさんだぁ♪」
 中から現れた高さ1メートルはありそうな大きなテティベアのぬいぐるみに、“亜梨子”は歓声をあげて頬ずりする。
 「お兄ちゃん、ありがとう! 大好き♪」
 「ははっ、喜んでもらえたようで、ボクも嬉しいよ」
 優しく微笑む“叔父”の顔を見て、“亜梨子”は胸がキュンとなる。
 (あぁ、やっぱり、わたし、お兄ちゃんのことが好きなんだ……)
 それはファザコンというよりブラコンに近い感情なのだろう。
 また、この年代の女の子特有の「同級生の少年たちがガキっぽく見えて、大人の男性に惹かれる」傾向の発露だと言えるかもしれない。
 それでも、今この時、“亜梨子”が叔父であるはずの“優樹”を異性として意識し、LIKEではなくLOVEよりの好意を抱いていることも間違いない事実であった。
立場だけの交換・変化 8交換目
365 :『テディベアブルース』(後編)[sage]:2016/01/16(土) 19:18:13.46 ID:CPp9Q2KK
 * * * 

 「はぁ〜、今日は楽しかったなぁ」
 9時ごろにパーティが終わってからも、なんだかんだ言って起きてたんだけど、11時になって、「さすがにこれ以上おそくまで小学生が起きてるのはよくないって言われたから、仕方なくわたしはベッドに入っていた。
 「優樹お兄ちゃんからステキなプレゼントがもらえたし、お兄ちゃんにドレス姿がかわいいってほめてもらえたし♪」
 しかも、遅くなったから今夜はお兄ちゃんはウチに泊まるんだって!
 明日の朝もお兄ちゃんに会えるというのが楽しみでしかたない。
 ──うん、わかってる。わたしだって、もうちっちゃな子じゃないもの。
 お兄ちゃんがホントは叔父さんで、わたしは、どんなにがんばってもお兄ちゃんの恋人やおヨメさんにはなれないってことも。
 (でも……せめてお兄ちゃんに「そういう人」ができるまでは、妹分の立場で甘えててもいいよね?)
 わたしは自分にそう言いわけしながら、さびしい気持ちをふりはらって、ギュッと目を閉じて眠りついた。

 * * * 

 そして、12月25日の朝。
 「ふぅ、どうやら巧くいったみたいね」
 朝食の席で、寝床から起きてきた娘と弟の様子をうかがいつつ、立花亜由美はホッと安堵の溜息をついていた。

 昨晩、旧友の“魔女”に依頼して作成してもらった魔法陣を利用して、亜由美は、「ふたりの立場が入れ替わった状況を夢で見せる魔法」を亜梨子と優樹にかけて、互いの気持ちを実感させたのだ。
 この魔法の秀逸な点は、夢でありながら記憶が明確に被術者に残る──のみならず、現実の状況にも一部が反映される点だろう。
 その証拠に、昨日自宅に帰ったはずの優樹が、今朝は立花家の客間から出て来たし、応接間に飾られていたはずのクマのぬいぐるみは、今朝、娘を起こしに部屋に行くと、娘がしっかり抱いて寝ていたのだから。
 朝食の席でのふたりの仲睦まじい様子からも、両者が互いを想う気持ちを再確認したことは間違いなさそうだ。
 無論、亜梨子が優樹に抱いている複雑な思慕の情には、亜由美としても思うところがないではない。
 しかし、今のままなら「ちょっとブラコン気味なおマセな小学生の片思い」だし、さしたる問題はあるまい。成長するにつれ兄(叔父)ばなれして、誰かいい人を見つけてくれるだろうし……。
 (万が一、数年後も本気で、両想いになっても、実は絶対アウトってワケでもないのよね〜)
 本人も知らないが、実は優樹は亜由美の父の再婚相手の連れ子なので、直接的な血縁はないからだ。
 無論、周囲の目やなんやかやで色々難しい状況であることは間違いないが、法的にはギリギリセーフというのも事実だ。
 (ま、亜梨子もまだ11歳だし、あと5年はそういう心配するのも無粋かしら)
 内心で肩をすくめつつ、亜由美はにこやかにふたり──娘と義弟に「ミルクティーのお替りいる?」と尋ねるのだった。

 ──しかし、彼女は知らない。
 旧友の魔女とその娘が、昨晩自宅で交わしたこんな会話を。

 「あら……ねぇ、お母さん、先ほど立花のおば様に送られたこの術式の此処、ほら、持続時間の部分が“一晩”じゃなくて“一年”になってます」
 「え!? あ、ホントだぁ! はぁ、ウッカリしてたわね。ま、痩せても枯れても、あの子も魔女のハシクレ。魔法解除くらいは自分でできるでしょうし、何か問題があれば連絡がくるでしょ」
 「お母さんがそう言うなら、それで構いませんけど……」

-おしまい-
立場だけの交換・変化 8交換目
366 :365[sage]:2016/01/16(土) 19:19:21.95 ID:CPp9Q2KK
#今回はサクッと〆ました。最後でわかる通り、実はクリスマスの朝も、ふたりの立場は交換されたままです。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。