- 【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ8
220 :羊娘のお正月1/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:21:14.07 ID:MDm2Ni8M - 空気読まなくてすまない。
どうしても干支という話題を皆が覚えているうちに書きたかったんだ…… そういう訳で、人間男×羊獣人女。濡れ場は9〜11辺りです。 NGは「羊娘のお正月」で。 ** 駅の混雑を抜け振り返ると、案の定彼女はいなかった。 さすがにもう慌てず、携帯を取り出す。 「今どこにいるの」 「……わかんない」 スピーカーの向こうから、泣きそうな声が帰ってくる。 「建物の中?」 「建物の中」 「上の方に案内板はない?」 「あるけど、漢字が多くてわかんない」 「落ち着いて。英語でも書いてあったりしない?」 「あ、書いてある。ええと『西口改札』ってあって……」 そんな風にいくつもの質問を重ね、彼女に辿りついたのは二十分後だった。 いつもと同じように、彼女は潤んだ目で僕を見上げてきた。 「ごめんなさい」 「大丈夫だよ。すぐ会えたじゃないか」 「人が多くて、何がなんだかわからなくなっちゃって……癖、直そうと思ってるのに」 僕は言いつのる彼女の頭を撫でる。指がやわらかな白い巻き毛に沈んだ。 「ママー、ぼくもあのフワフワさわりたい」 「こ、こら、ダメよ」 彼女を指さす幼児とそれに慌てる母親、これも彼女の『迷子』同様、よくあることだ。 「平気ですよ。さわっていいからね」 彼女はすぐに笑顔を浮かべ、幼児の前で腰を屈める。 きゃあきゃあ声を上げて彼女の髪を掻き回す幼児。 それをおろおろ見守る母親と目が合った。 「どうも、すみません」 「いえ、あいつ子供好きですから」 「奥様、ですか?」 「ええ」 「日本語お上手ですね」 「もともと、日本語の通訳だったんですよ。仕事で向こうの国に行ったときに知り合って」 こうして見ず知らずの他人に彼女との馴れ初めを話すのもいつも通り。 外国の旅番組でしか見ることのない彼女の姿は、いつも周囲の詮索を呼ぶ。 頭をおおう白い巻き毛 左右のこめかみから生えるねじれた角 にこ毛の生えたとがった耳 つま先立っているように見えるひづめのついた足 彼女は高原の少数民族「羊人」だ。
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221 :羊娘のお正月2/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:26:31.10 ID:MDm2Ni8M - 「ねえ、つのにもさわっていい?」
「いいよ」 幼児のちいさな指が、彼女の角をなぞる。 「こうするとくすぐったい?」 「そんなでもないかな」 いつものこと、ではあるのだが、 彼女が赤の他人にいじりまわされているのは、正直おもしろくない。 相手は就学年齢にも達していない幼児だ。 大人げないとはわかっているが、 朝、寝覚めのキスをするようなときに撫でる場所を他人にさわられるのはいやだ。 彼女の方はそんなこと、気にもとめていないようだが。 「おねえちゃんは『羊人』?」 「うん、そうだよ」 「『羊人』は自分の毛皮があるから服を着ないってほんと? そのコートの下ってはだかなの?」 この質問も初めてではないのだが、彼女は前と同じく真っ赤になり、 悪ガキは謝る母親に引きずられて離れていった。 ガキ(もう幼児とは呼ばない)がいなくなってから彼女は僕にささやきかける。 「私ってやっぱり、服を着てないように見えるのかな」 「まさか。みんな羊人をよく知らないだけだよ」 僕は彼女を上から下まで眺める。 ひづめに合う靴はないので裸足だが、くるぶしはレッグウォーマーに覆われている。 その足の大部分はロングスカートで隠されていた。 上はコート。その下には薄手のセーターを着ていることだって知っている。 でもまあ たっぷりつきだした乳房や丸い尻肉は衣装の下からでも自己主張しており、 見た人間がその下の裸を想像するには十分だ。 「ぜんぜん裸じゃない。ふつうの人に見えるよ」 僕がそうなぐさめても、彼女はだいたい三十分くらいは納得してくれないのが常だった。 数時間後 僕はその日二度目の迷子となった彼女に電話をかけていた。 目の前を流れる人波を眺めながら、無謀だったかなと後悔する。 日本の年末らしい風景を見せてあげたいとアメ横まで来てみたが、 彼女には刺激が強すぎたらしい。 その上、羊人には「群の流れに沿って移動する」という癖がある。 遊牧を営み、何千年も羊の群と草原をさまよい歩いてきた彼らの習性だ。 今日だけでなく、日本に来てから何度も何度も彼女は人波に流されつづけていた。
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222 :羊娘のお正月3/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:32:27.35 ID:MDm2Ni8M - 人波を眺めながら、
彼女の国の首都だって、こんな人口密度になることはなかったな、と思い返す。 いや、今ここにいる人数だけで彼女の国の人口より多いかもしれない。 空港を一歩出れば、見渡す限り広がる草原、彼方にかすむ山脈、 そして僕の会社名が書かれたボードを持ち待っていてくれた彼女。 電話がつながった。 彼女の泣きそうな声に応じながら、 僕は彼女をここに連れてきてはいけなかったのではないか、とかすかに考えた。 自宅の玄関に、ぱんぱんに膨れたエコバッグを置くと、彼女は大きく息をついた。 「疲れた?」 「ぜんぜん。でもおなかいっぱいで夕ご飯食べられないかも。 あのニンギョヤキ? いっぱいもらっちゃったから」 迷子になっている間、 彼女は羊人を珍しがる中年女性の群に捕獲され、大量の和菓子を与えられていた。 彼女は子供にも人気だが、妙に年輩の女性に好かれるところがある。 僕の母親も「めえちゃん」と呼んでかわいがっていた。 「今年はめえちゃんを連れてきてね」 母親の声が耳の奥に蘇り、僕は頭を振って打ち消す。 彼女は僕の方を見ずに、エコバッグの中身を冷蔵庫に詰めていたが、ふと口を開いた。 「今年はいつおうちに帰るの?」 考えていたことを言い当てられたようで、一瞬うろたえる。 そのため、少し荒い口調になった。 「説明しただろ。今年は仕事が忙しくて行けないって。大晦日だって仕事はあるんだよ」 「でも、お正月をすぎたらお休みがとれるでしょう? 新幹線の切符、早く買った方がいいんじゃない?」 「そんなの、そのときになったらすぐ取れるよ」 「ねえ」 彼女は僕の肩をつかみ、強引に振り向かせる。 「本当は、私のせいで帰らないんじゃないの? 私が変なこと、言ったから」 「違う」 「私が羊人で、変なことをしてしまうかもしれないから」 「これ以上言ったら、怒るよ」 僕がにらみつけると、彼女はうつむいたまま背を向けた。 「……ごめんなさい」 ぽつんと言ってから、彼女はアメ横の戦利品を冷蔵庫に詰める作業に戻る。 僕はその背中を見つめながら、うまく言葉にできない思いをもてあそんでいた。 彼女がピントのずれた言動をするからじゃない。 僕の両親や親戚に苦笑いされるのがいやなんじゃない。 ただ、僕のものにしておきたい。 ほかの誰かのものにもできる、という可能性を、誰にも気づいてほしくないだけなのだ。
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223 :羊娘のお正月4/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:37:06.29 ID:MDm2Ni8M - 今年の八月。まだ僕と彼女が結婚したばかりで、日本に帰国したばかりのころ。
僕は彼女を連れ、意気揚々と帰省した。 本音を言えば、美人でかわいい嫁を見せびらかしたいという気持ちもあったと思う。 僕の家は田舎の旧家というやつで、やたらに広い住居とやたらに多い親戚がいる。 その親戚たちと家の広間でどんちゃん騒ぎをするのが、いつものことだった。 それでも年寄りが多いので十時くらいにはお開きになり、 泊まるものは別室に寝床を作り、家が近いものは帰っていく。 今年もそうで、そろそろ別室にお布団をしきましょう、 羊のお嫁さんも手伝って、と言われたとき、彼女はこう答えた。 『えっ、ここでみんなで寝るんじゃないんですか?』 周囲の親戚たちは笑い、 僕は『羊人は大きな天幕でみんな一緒に寝る習慣だから』とフォローした。 ただそれだけの話だ。 僕の両親や、親戚たちにとっては。 僕と彼女も自室にひっこむ。 自活するまで使っていた部屋だが、 真ん中に大きな布団と二つ並んだ枕が置かれると、なんともむずがゆい気持ちになる。 僕が感慨にひたっている間も、彼女は落ち着かない様子で部屋の外に視線を泳がせていた。 「本当に一緒に寝なくていいのかな」 「いいんだよ」 彼女がなにを気にしているのかわからない僕は適当な返事をした。 「あとで怒られたりしない?」 「そんなことないって」 「あそこの嫁は気がきかないって言われたりしないかしら」 そう言っている彼女の顔は妙に赤く染まっていた。 座っていても腰は落ちつかなげにくねり、浴衣の下で胸がたゆんと揺れる。 「あのね、勘違いしないでほしいんだけど」 「うん」 「私が『それ』を、したいってわけじゃないの。あなたが一番に決まっているでしょう」 「うん」 「でも、おつきあいって大事だし、嫁いでくるときも両親に、粗相をしないように、 わがままを言わないように、って言われたし」 「うん」 僕はまったく意味がわからないまま相づちをうっていた。 しこたま飲み食いして眠くなっており、考えるのが面倒くさかったのだ。 「こういうとき、まず、あなたの義父さまのところから行ったほうがいいのかな。 それとも一番お年を召した方から?」 彼女がそう言いながら襟をゆるめるのを見て初めて、なにかが食い違っていると気づいた。
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224 :羊娘のお正月5/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:42:11.03 ID:MDm2Ni8M - 羊人は移動式の巨大な天幕で、二十〜三十人単位で生活している。
仕切などはなく、老若男女が雑魚寝だ。 僕も泊めてもらったことがあるが、 誰ともしらない人間(朝になってから気づいたが、僕は彼女の祖父母にはさまれていた) の体温と体臭に包まれ、無数の寝息といびきを耳にしながら眠るのは難しいものだった。 真っ暗闇の中、空気自体がねっとりとした質感を持ち、 巨大生物の内臓に飲みこまれた気分だったと記憶している。 そう、あのときだって気づいていた。 あの無数の寝息の中に嬌声が混じっていることも、 天幕の空気に馴染み深い生臭さが含まれていることにもだ。 「よくまあこんな人だらけのところで出来るな」と僕はあきれ、 その次に「いやいや、これが彼らの風習なのだから、馬鹿にしてはいけないな」と反省し、 最後に彼女と僕がここでそうするところを想像した。 彼女と、彼女の両親や祖父母や弟妹が眠る横で、獣のように交わるさまを。 一晩中そんなことを考えていた僕の股間は、彼女の祖父の尻に押しつけられていたらしく、 翌朝の彼は明らかに引いた様子だった。 帰国までに誤解をといておきたかったのだが、 羊人語しかわからない彼に説明する言葉を持たず、彼女に通訳してもらう訳にもいかず、 結局そのままになってしまった。 心残りの一つだ。 もっとも、この晩の体験は僕にとって「めずらしい土産話の一つ」でしかなかった。 このときまでは。 「こういうときは、父さんからだ。廊下の突き当たりが父さんの部屋だよ」 そして僕はそんなことを言ってしまった。 口にしながら、これはきっと勘違いで、 そう言ったところでなにがおこるわけでもないのだ、と自分に言い聞かせていた。 彼女はほっとしたような笑顔になり、浴衣の帯を解く。 全身に生えた白い縮れ毛は汗に濡れ、甘い匂いを放っていた。 「あなたも、はやく、ぬいで」 そう言って僕の帯に手をかける彼女の胸に、僕は顔をうずめた。 口の中に彼女の乳首と、汗と、じゃりじゃりした毛の感触を感じながら、 僕は彼女の甘い声を遠くから響いてくるように感じていた。
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225 :羊娘のお正月6/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:47:20.57 ID:MDm2Ni8M - 彼女の中で果ててから、僕はあえて彼女と距離をとり、背を向けて眠ったふりをした。
そんなに気になるのなら、しがみついて離さなければいいのだ、とわかってはいる。 だがそうすると、彼女が離れていくと認めるようで、どうしても抵抗があった。 それにもし、彼女が僕の腕をふりほどいたらと思うと、 僕の豆腐よりやわな心臓はつぶれそうだった。 彼女は僕から離れたりしない。 僕が想像したのは、くだらない邪推なのだ。 掛け布団が一瞬軽くなり、その前よりも重量を増して僕を押しつぶす。 僕と一緒に掛け布団を支えていた彼女の身体が、そこから抜け出た証だ。 背を向けたまま耳をすます。 身繕いをしている気配があり、やがて静かにふすまが開かれる。 廊下の明かりが部屋に差しこみ、僕の上に彼女の影を落とした。 静かにふすまが閉じられ、部屋はまた闇に包まれる。 僕は布団の上に起き上がり、また耳をすませる。 板張りの廊下を少しずつ遠ざかっていく気配がある。 やがて足音はとまり、がたっという音が聞こえた。 突き当たりの木戸の音だ。他の部屋はふすまなので、こんな音をたてたりしない。 木戸はたてつけが悪く、開けるのにこつがいる。 また、がたがたと音がする。開けられないようだ。 僕は立ち上がって身繕いをし、静かにふすまを開けた。そっと廊下をうかがう。 はたして、突き当たりに彼女がいた。 木戸に集中していて、僕にまるで気づいていない。 僕はそっと足音をひそめて背後に近づいた。 桃色に染まった耳と、おくれ毛の張り付いたうなじが見えるほどの距離で、 やっと彼女は気づく。 「あ、あの」 「その戸、開けるにはこつがいるんだ。開けてあげるよ」 「だ、だめ」 彼女は声をひそめて囁きかける。 「おねがい、帰って」 「どうして?」 僕は唇をいやらしくつり上げて笑う。 「僕に見られて困ることでも、するつもりなの?」 彼女はこわばった顔で僕を見返した。 「ねえ、もしかして、日本では……」 僕はそれに答えず、彼女の身体ごしに手を伸ばして木戸を開ける。 すうっと涼しい風が戸口から吹きこんだ。 ほかにも、いろいろなものが入ってくる。 虫の声、草のにおい、月の光。
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226 :羊娘のお正月7/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:53:25.86 ID:MDm2Ni8M - 「うそをついたんだ」
僕は彼女を突き飛ばした。 彼女はたたらを踏んで戸口を越え、土の上に手をつく。 僕は戸口、すなわち裏口の前にそろえられていたサンダルを履き、彼女に歩み寄る。 「父さんの部屋は別の場所だよ。そこで母さんと寝てる。 日本では夫は妻以外と寝ないし、妻も絶対に夫以外とは寝ない」 「ゆるして」 僕を見上げる彼女の目にはきらきらした涙がたまっていた。 「知らなかったの。こうするのがあなたのためだと思ってたから、わたし」 「きみはなにも悪いことをしていないよ」 僕はいつものように、彼女のふわふわした頭を撫でた。 それから、その場で彼女の浴衣を剥いで犯した。 この一件で彼女との関係が壊れたというわけではない。 乱暴なことをしたのも、あの夜だけだ。 端から見れば理想の新婚夫婦に見えるだろう。 僕の母など「仲がいいのもいいけど、少しはひかえめにしなさいよ」と注意するくらいだ。 でもお互い、他人に見えない部分にざっくりとした傷がついているとわかっている。 屈託のなかった彼女はすっかり臆病になり、 ふつうの日本人らしい行動にこだわるようになった。 僕の方は彼女に対する独占欲が日増しに強くなっているのを感じる。 本当は、彼女と外出なんかしたくない。 他人と親しく話して欲しくないし、ずっと部屋にとじこめておきたい。 自分の異常さに気づいているから、 あえて逆のことをしようと努めているが、いつまで持つかはわからない。 パートナーを束縛したり暴力をふるったりするような男なんて、 自分とは別の生き物だと思えていた昔が懐かしい。 来年には、僕もそいつらの仲間入りをしているかもしれないのだ。
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227 :羊娘のお正月8/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:56:52.79 ID:MDm2Ni8M - **
シャワーの音で目を覚ました。 ソファでねころんでいる間に眠ってしまったらしく、身体には毛布がかけられている。 彼女の毛で編まれた手作り毛布だ。 僕はぼんやりした頭を振っておきあがり、彼女の名前を呼んだ。 「起きたの?」 風呂場の扉ごしに声がかえってくる。 「一緒に入ってもいいかい?」 かすかな間があった。 「今、ちょっと、毛を剃っているから」 「先月剃ったばかりじゃないか」 「寒いとすぐ伸びてきちゃうの。それに、コートを着てると暑いし」 「また風邪をひくよ」 先月剃ったとき彼女はひどい風邪をひいてしまった。 冬なんだから剃ることはない、と言っているのだが、 彼女はなんのかのと理由をつけて剃ろうとする。 太って見えて恥ずかしいとか、毛が多いと掃除が大変とか、だ。 でも、僕の実家に行くまで、彼女はそんなことを気にもしていなかった。 水着だって毛の上から着ていたくらいだ。 それなりに布地の少ない水着だったのだが、 もこもこした体毛のせいでさっぱりいやらしくならなかった。 あの夜から、彼女は自分の中の羊人を殺そうとしているように思う。 「手伝ってあげようか?」 僕の声に対し、また少し間があった。 「一人で大丈夫だから」 「背中とか、うまく剃れるかい?」 「平気」 「手伝うよ」 「……じゃあ、おねがい」
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228 :羊娘のお正月9/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 02:59:29.18 ID:MDm2Ni8M - できるだけゆっくり扉を開けたつもりだったが、
白くてふわふわの毛が舞い上がり、風呂場の外へ流れ出す。 踏み出した足が踏みしめるのも、ふわふわの毛だ。 僕はすべらないように気をつけて彼女に近づく。 毛がたまった層の下はビニールシートだ。 毛をそのまま流したのでは、すぐ排水口が詰まってしまうので、 僕たちは風呂場のタイルにビニールを敷き、その上で毛を刈ることにしていた。 「前の方は、もう刈っちゃったから」 という彼女は片手で胸を隠している。 言葉通り乳房や腹部分は毛がなく、つるんとした地肌をのぞかせていた。 肝心な部分がすべて丸だしの格好は、いかがわしい衣装を着せられているようにも見える。 短いしっぽがぱたぱたと水滴を払いながら振られているのも、どこか誘っているようだ。 「背中の方、せっけんは塗ったのかい?」 「いちおう。泡立ってない?」 「ちょっと、泡立ちがたりない感じだ」 僕はそう言いながら彼女の背に手を当てた。 指に湿った毛とボディソープのぬめりが絡みつく。 「もう少し、泡立ててから剃るよ」 「……うん」 僕は毛に差し入れた指をゆっくり動かし始めた。 肩胛骨をなぞるように大きく楕円を描きながら、爪が素肌にかからないよう気をつける。 僕の前で彼女の耳はぺったりと寝て、かすかにふるえていた。 白い毛が薄く生えた耳は血管が浮き、桃色に染まっている。 短い毛に落ちた水滴は丸まり、耳を飾るアクセサリのようだ。 僕はそっと舌をのばし、水滴の一つを舐めとる。 彼女の身体が跳ね、毛のかたまりが宙に舞った。 「だめ。まじめにやってくれないと、怒るから」 「ごめんごめん」 僕はそう反省もせず手を動かし続ける。 僕たちの前には鏡があり、若干くもってはいるものの、 彼女のとろけた目やぽっちりと自己主張する乳首をはっきり見てとることができたからだ。 鏡の向こうの乳房をもみあげるつもりで、背中にふわふわと泡を盛り上げる。 胸も自分に剃らせてくれればよかったのに、と理不尽な不満がこみあげ、 こうなれば絶対触ってやるもんか、とさらに理不尽なことを思う。 自分の両手をぎゅっとかかえ、赤い顔でうつむいた彼女が、自分の口でねだるまでは、 絶対に「身体の前側」は触らない。
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229 :羊娘のお正月10/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 03:03:56.29 ID:MDm2Ni8M - 結婚してから、友人に聞かれたものだ。
「下世話な話だけど『毛だらけ』」の相手と寝るのって抵抗ないのかい? ざらざらしてうっとうしくない?」 正直、最初はとまどった。 独特の触感に慣れなかったというのもあるが、 着衣の相手としているみたいだと感じたからだ。 こっちは全てさらけだしているのに、向こうとは毛皮一枚へだてられ、 いくら探っても本体にたどりつけない感覚。 今でもその感覚はあるが、また別のことを考えるようになった。 毛皮にとじこめられ悶える彼女に、指を差し入れ愛撫するも、 表面だけ撫でてじらすのもこちら次第、という考え方だ。 けばだった胸の毛で乳首をくるんでこすりあげるのも楽しいが、 あえて手をふれず期待に膨らませるのも楽しい。 「……んぁ」 「そろそろ、剃ろうか。首のまわりは残しておく?」 「……え? あ、そ、剃っちゃって。服、着辛いから」 やっと我にかえった彼女のうなじにシェーバーを当て、左手を彼女の肩に置く。 「じゃあ、遠慮なく」 何度も、撫でるようにシェーバーを動かすと、泡にまみれた毛の下から地肌があらわれる。 うなじから背骨に沿うように、しっぽの生える尻のくぼみまでを剃り落とした。 着ぐるみならここにチャックがあるんだろうな、と思いながら指でなぞる。 「や、やめ、くすぐったいよ」 「わざとじゃないよ」 もちろんわざとだ。 毛を失った直後の肌は極端に感じやすく、それがおもしろくて手を出してしまう。 「ここからどう剃るか考えててさ。うん、やっぱり腋かな。ばんざいして」 「う、うん」 僕はひざまずく彼女の背後で立ち上がり、彼女の両手首を左手でつかむ。 彼女はかすかに震えたが、抵抗はしなかった。 僕は左掌の中にある細い手首に、胸がざわつくような征服感を得ていた。 自分でもつまらないことを考えていると、わかってはいる。 だが、僕は彼女を所有したい。 他の誰にもできないことをさせ、誰も見たことのないところを見たい。 僕は狩りの獲物を吊す気持ちで彼女を吊し、毛皮を剥ぐ気持ちで刃を滑らせた。 頭の中ではなめらかに剃刀を動かしているつもりだが、 実際は電動シェーバーにすぎないので「なめらか」とはいかず、 刃はぶぶぶぶぶと蠅のような動作音をさせ毛を引っかけながら進んでいく。
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230 :羊娘のお正月11/19 ◆vpePLp7Z/o [sage]:2014/12/17(水) 03:10:19.63 ID:MDm2Ni8M - 右腋を剃り終わろうとしたころ、彼女が小さな声をあげた。
「痛くしたかい?」 「……ちょっとだけ」 右の二の腕が、かすかに赤く染まっている。 お湯をかけると、地肌についた小さな傷から赤い珠が盛り上がってくるのが見えた。 すっと頭の奥が冷え、それから罪悪感が頭を沸き立たせる。 こんな小さな傷、一日も立たず消えるような傷だ、と自分に言い聞かせるが、 それは心の傷口を押し広げるようなものだった。 僕は唸り続けるシェーバーを持ち、しばし固まる。 「ねえ」 そんな僕に、彼女は鏡の向こうから呼びかけた。 「なめて」 彼女は熱に浮かされたばら色の頬と、じんわりと潤んだ瞳で、言う。 「血がでたとこ、なめてくれると、うれしい」 「いいのかい」 「そうされると、きもち、いいから」 その後、目を伏せて続ける。 「でも、全部をするのは、全部を剃ったあとだよ。 全部剃って、ほんとに裸になったあとが、いい」 「そう」 僕は彼女の二の腕に唇をつけ、強く吸う。 腕の中で彼女の身体がびくびくと震え、 僕の下腹にちょうど当たっている彼女のしっぽが男性器のように硬くこわばる。 僕は自分自身を彼女のしっぽにこすりつけ、 こういうのも兜合わせと言うんだろうかと少しくだらないことを考えた。 そして、このあとの流れを夢想する。 彼女を床に這わせ、背中の毛を刈り取る。 一気には刈らず中途半端に残すのも好きだ。 その方が背中をつかみやすいし、 最中に縮れ毛を引っ張ったり指に絡めると彼女の「中」が引きつれたりするのが楽しい。 逆に尻はつるつるに剃りあげるつもりだ。 一般人の感性を捨て切れていないのを恥じる気持ちもあるが、 やっぱり女性の尻はつるんとしているのが好みだ。 足やしっぽの毛は残す。 そうすると尻がより「裸らしく」見えてそそる。 僕の前で無防備に揺れる尻に突き入れる。 彼女と僕の身体の下で、ふわふわの毛が精液と淫水で汚れていく。 それが僕と彼女の「毛刈り」の、いつもの流れだ。
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