- 俺の屍を越えてゆけでエロパロ2
257 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/11/04(火) 01:14:58.40 ID:IHyiOKYW - 火乃香は自ら言うようにあまり愛想のいい娘ではなく、家の外の誰かに親しまれてもそういない。
故に、見知らぬ誰かに友好的に話しかけられた経験はほぼ全くと言っていいほどにない。 ましてや、相手は神だ。初対面で「守ってやる」などと言われるとは、予想だにしていない。 福郎太が現れたことを察知できなかった驚きもあり、火乃香は差しのべられた手から少し後ずさってしまう。 「怖がるなって、な?そうだ、お前の名前をまず聞かせてくれ。えーと、例の一族の氏は確か……」 「世明(よあかり)。世明…………火乃香。火の香りと書いて……火乃香」 迷子をあやすような口調で声をかけられ、弾かれたように答えを返した。 直後、慌てた仕草で頭を下げる。 「失礼、した。謁見しに参った側から、まずは名乗るべきだった……でした」 「ああいや、そんな事でいちいち頭下げンなって。それにそんな畏まらなくたっていいさ、なぁ?火乃香」 「けど、あたしは交神の儀をして貰いに来た立場で――」 「俺がいいって言ってるんだからいいって。そんな事より、お前が肩の力抜いていられる方が大事だよ。 普段、気の休まる暇もそうないんだろう?……貴重な一月なんだ、儀も大切だろうけどゆっくりすればいいじゃないか」 「……口が上手い方じゃ、ないんだぞ。いいのかよ、いつもこういう感じの奴がいつもみたいに喋って」 随分、この鳥神は火乃香の事を気遣ってくれているようだ。 その様子に戸惑いながら、火乃香は低い声で福郎太へ問いかけた。 「ああ、構わない。お前さん、真面目なんだろうけどな。もっと気楽に色々考えた方が、疲れなくて済むよ」 「気楽に、って急に言われても」 押し問答のような会話になってきたところで、福郎太が急に悪戯を思いついたような顔をする。 「まずは、そうだな。笑ってみればいいんじゃないか?こんな風に!」 「っ!?」 次の瞬間には、火乃香の滅多に上向きにならない口の端が大きな両手で持ち上げられていた。 「うーん、目が全っ然笑ってないから笑顔って風にならないな。もっとこう、にこっと」 「あんたはいきなり何やってんだ!!」 あまりに驚いて、思わず大声を出しながらその手を振り払ってしまう。 そうされた張本人はというと、火乃香の剣幕と対照的な様子で楽しげに笑っていた。 「そうだ、それでいい!怖がりも心配がりもしなくていいんだ、馬鹿な事されたら怒って楽しい事があったら笑う。 そんな感じでいいんだ、俺も別に遠慮がられたい訳でもないからな。どうだ、ちょっとは力抜けたかい?」
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