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徹夜明け 21
徹夜明け 22
名無しさん@ピンキー
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】

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【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
575 :徹夜明け 21[sage]:2014/11/01(土) 05:27:19.35 ID:XAm4fjck
俺と違って――自分で呟いた言葉で、胸が苦しくなる。
想像の中で動揺して、勝手に傷つくなんて、まるっきりバカみたいだ。でも、だけど――。
『絵になる』構図を想像すると、どうしても自分をそこに落し込むことが出来ない。
監督としての千波ではなく、主演女優としての千波を考えると――ダメだ。自信が持てないのだ。
千波はどうして、この自分を、多田万里なんかを好きでいてくれるんだろう。
たまたま面白い作品を仕上げたから?
じゃあ、面白い作品が作れなくなった時、自分はもう、千波の隣にいられないのか?
――首を振る。
こんな事、今は考えてもしょうがない。しょうがないと分かってる。忘れなければ。
「あははっ、ありがと。そっか、似合いそう、か」
「うん、千波なら絶対に大丈夫。主人公も観客もノックアウトできる、スーパーヒロインが張れるって」
「そっかそっかぁ〜。やっぱり訊いて良かった。自信ついちゃったよ」
――自信? なんの?
そう問い返そう通した時、扉の向こうで、シャワーの音がやんだ。
タオルで身体を拭く気配が、薄い扉越しに伝わってくる。
離れていよう。
慌てて立ち上がった万里の、その背後から――唐突な質問が飛んだ。
「ねえ万里、夕飯の件だけど、考え直す気、ない?」
「え?」
「あたし今、ご機嫌だから、今だけサービスしちゃうよ。シチューもお安くしちゃう。万里に食べてほしいなぁって思えたから」
「はは……ありがと。どれくらいお安くなるの?」
「うーん、万里が上着を脱いでくれたら、二百円引きの、千三百円」
「はぁ? ちょっと意味が分かんないよ。わざわざ上着脱いで、しかも二百円しか安く……」

――え?
と、万里の呼吸が止まる。
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
576 :徹夜明け 22[sage]:2014/11/01(土) 05:29:14.27 ID:XAm4fjck
「うーん、そっか。じゃ〜あ〜……万里があたしの隣で寝てくれたら、五百円引きの、千円」
背後で、バスルームのドアが開く音。
湯気と一緒に、シャンプーの匂いが流れて身体を包みこみ、万里は反射的に息を止めてしまう。
「ねぇ――どう、かなぁ」
その語尾が、微かに震えているのに、今さらながら、万里は気付く。
返事をしようとして、でも頭の芯が痺れたようになって、気の利いた文句は何も思いつかないまま――反射的に言葉を手繰る。
「……その、それでも、たったの五百円引き、なんだ?」
「そ、それじゃあ、ね――――後ろ、振り返ってもらっていい?」
鉄のように固まった肩を、鈍重に動かし、少しずつ、恐る恐る、万里は背後を振り返る。

黒、そして白――だ。

背後に立っていた千波を見て、そんな感慨が頭に浮かんだ。

洗いたての千波の髪は、たっぷり潤いを含んで、鴉の濡れ羽のように艶やかだった。虹を織り込んだような、極上の光沢。見る者の目を釘づけにせずにいられない、清艶な色香。
お湯を浴びて生き返った肌も、もういつもと同じ、赤ちゃんのように瑞々しい。蛍光灯の下で間近に見ると、白い光を半ば跳ね返し、半ば透過させているような、幻想的な佇まいだ。
そして胸元から下には、衣服はなくて、コンビニで買ってきた、無地の白タオルだけを巻いていた。
飾り気など何もない安物なのに、それさえも千波がまとうと、あたかも古代の王女が、神事の沐浴に使った、神聖な衣のように映える。
呼吸のたび、小さな肩が上下し、タオルが震えて――その下に隠した肉体の形に、皺がよったり、崩れたり。
弾かれたように、視線を上に逸らしても――そこも、千波の身体。
小鳩のように華奢な首元。滑らかな鎖骨のライン。そして小ぶりながら、たしかな膨らみを頂く、胸元。
タオルの切れ目から覗くそこは、決して大きいとは言えないけれど――白い柔肌に二つ、小さな丘が盛り上がり、その間には、秘密の谷間が、うっすらと浮かんで。
「――万里」
呼び掛ける声は、南国の風のように、熱く、激しい気配に満ちている。
紅潮した頬で、上目遣いにこちらを窺う表情は、怒っているようでもあり、けれど今にも笑いだす寸前でもあるようで、まるで熱波に歪む、陽炎。
瞳には、透明な光がこぼれそうなくらいに溢れ、けれどそれは、雨のような、涙のような、冷たい揺らめきではなく――煮えたぎるように猛々しい、火山の熱泉だ。
「万里が」
「は、はいぃi」
声が裏返った。
ニコリともせず、千波はそっと、秘密の呪文を唱える。
「万里も、あたしと一緒に服を脱いでくれるんなら……特別に、千円引き……五百円でシチュー、作ってあげる」

こっくり、と。
魂の抜けた人形みたいに、まるっきりのバカみたいに、万里は大きく頷いていた。

タオルが床に落ちる音が、万里の部屋に、小さく響く。


***
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
577 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/11/01(土) 05:32:36.31 ID:XAm4fjck
連投で間が空きましたが、今回はこんなところで。
超、中途半端ですが…書き散らしでも、あまり速い方ではないので…すいません
ちょっとでも暇がつぶせたら幸いです
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
578 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/11/01(土) 05:41:38.53 ID:XAm4fjck
すいません、投下ミスがありました。
16番の途中

「その二次元くんの良い所を映したのが、万里だよ。本当に友達思いの『良い人』じゃなきゃ、ああいうのは撮れないよ」
眩しいくらいに真っ直ぐな笑顔を向けて、千波は万里を
→眩しいくらいに真っ直ぐな笑顔を向けて、千波は万里を直視できない。

お騒がせしました
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
579 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/11/01(土) 05:44:53.06 ID:XAm4fjck
うぁぁ…さらに重ね重ね、すいません……「万里」と「千波」が逆だぁ……
ほんとうに乱文で、すいませんでした


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