- 【花とゆめ】白泉社総合【LaLa】
633 :名無しさん@ピンキー[]:2014/10/29(水) 00:02:34.58 ID:9pD0Ln3K - >>632
続き 何かを口にする事も身動きする事も出来ないヨナをいいことに、ハクの大きな手が白い肌の上を滑る。 「っや・・・!」 抵抗を露わにしたヨナに、ハクは黙れと言うように唇を塞いだ。 深く深く貪る様な荒々しいその行為が、脳内を侵食して益々何も考えられなくする。 仄かに香るお酒の匂いが鼻腔をくすぐる。 「・・・っは・・・」 あれからどのくらい深い口付けをしていたのか、痺れた脳ではもう分からない。 何せ呼吸をしようとすればする程、ハクは口唇を塞ぐのでまともに息すらできない。 それがいまようやく解放されたのだ。 先程のようにゆっくり息を整えていては、また何も言えずにハクの良いようになってしまう。 ハクの手がヨナのスカートの中に忍び込み太ももを撫でた。 「ハク!!」 びっくりするほど大きな声が出た。 本人が一番驚いていた。 先程まであんなにか細い悲鳴のような声しか出なかったというのに。 その声に呼応したかのようにハクの動きがピタリと止まる。 ハクは呆然とした。 今まで押し殺してきた感情がこんな簡単に表に出てきてしまうなんて。 目の前の愛しい少女は涙目で乱れた服を纏い、頬を紅潮させて戸惑いの表情を見せていた。 何をしているんだ。 これでは旅の途中、女を性の捌け口にしようと襲ってきた山賊などと変わりはしない。 「ハク・・・?あ、の 何か、あった・・・?」 幾分か息を整えることが出来たヨナが起き上がり声をかける。 「・・・なにも いつもと変わんねーですよ」 そう何も変わらない。 自分は従者で貴女は姫で。 その姫に自分は愚かにも恋心を抱いている。 その感情を何度も何度も殺して何でもないフリをして。 違うことといえばスウォンもイル陛下もいない事。 一体自分は何をしているのか。 少し酔いの醒めた頭で己の軽率な行動を恥じた。 スウォンがいないとしても、貴女の心の中に自分はいない。 いまヨナがスウォンを憎んでいるのか、まだ捨てきれない想いがあるのか分からない。 それでも一時だけでもヨナの心のなかにいたスウォンを妬まずにはいられない。 「・・・すみませんでした。姫さん。 戻りましょう」 ゆっくり立ち上がってヨナを見下ろす。 「どうして、こんな事・・・したの?」 ヨナにはなにも分からなかった。 行動の意味も苦しげな表情も切なげな声も。 だから聞いたのだが、その問いはハクの表情を更に曇らせた。
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