- 新・スマッシュブラザーズシリーズでエロパロ
196 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:31:51.04 ID:JiY5IzZN - 投稿します
>>153-159の続編。 注)流血ないけどリョナっぽい暴力アリ。トレナさん陵辱。 最初は前と同じくリュカ視点一人称で進むんですが、わけあって途中から一時的に三人称視点にチェンジする場面あり。あんまりめまぐるしくないように努力はします……
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197 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:32:58.71 ID:JiY5IzZN - 僕がトレーナーさんと合流してから、もう10日ほど経つ。
最初はすこしだけちぐはぐだった僕らの共同生活も、すっかり板についてきた。 僕はその中で、トレーナーさんがどんな人なのかを知ることが出来た。 トレーナーさんはインストラクターの立場らしく、気真面目でしっかりした人だった。 話し方には少しドライな感じがするところもあるけど、本当はとっても優く親切だ。僕のことも、何かと気にかけてくれた。 トレーナーさんが特に気にしていたのは、僕たちの睡眠時間だった。 こんな状況の中で焦る気持ちは生まれてくるし、そもそも敵がいつ来るか分からない中でうかつに寝ることもできない。実際、僕は一人の間はあまり休みもとらず、寝るにしても敵が怖くて浅い眠りにつくばかりだった。 でもトレーナーさんは、こんな状況だからこそ睡眠はきっちりとったほうがいいと指摘をした。トレーナーさんが言うには、判断力や思考力が鈍らないようにするには少なくとも七時間の睡眠が必要らしい。 そして、二人で行動するなら睡眠と活動の両立が出来る、とも言ってくれた。 そこで僕らは、日中の行動時間を10時間と定め、残りの14時間を二人で分けて、7時間ずつ交代で睡眠を取ることにした。 また、規則的な睡眠も重要なことらしく、寝る、起きるという時間も正確に規定したほうがいいと、トレーナーさんはスケジュール管理のプラニングまでしてくれた。 具体的にはこんな感じだ。 朝7時〜夕方5時 行動時間(少なくとも二回は三十分以上の休憩をどこかでとる) 夕方5時〜深夜0時 トレーナーさんが眠り、僕が危険を見張る 深夜0時〜朝7時 僕が眠り、トレーナーさんが危険を見張る ※睡眠時間は起きているパートナーを信頼してぐっすり眠る ※ただし、危険が迫った時は必ずパートナーを起こし、二人で対処する 基本的に野宿するしかない状況でそんなに細かくできるのかと思っていたけど、トレーナーさんは、トレーニング用の時計を持っていたので大丈夫のようだ。 トレーナーさんはこの計画を話してくれた時 「本当は成長期のリュカさんはもっとちゃんと睡眠を取るべきですが、今の現状ではこれが限界だと思います。行動メンバーがもう一人くらい増えれば、もっと楽になると思うんです。それまでは頑張りましょう」 と、言っていた。計画はしっかりとして、なおかつ僕のことをかなり気遣ってくれているようだった。 トレーナーさんの話は、いつもしっかりとしていて安心感がある。僕はもちろん、彼女の立ててくれたプランに賛成して従うことにした。
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198 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:34:22.62 ID:JiY5IzZN - 実際に言われたとおりに行動してみると、睡眠を中心にした活動サイクルは、トレーナーさんの言う通り重要なことだった。
僕たちは日中は森を歩いて、時折襲ってくる亜空軍とも戦うなり逃げるなり臨機応変に対応し、そして他のファイターさんがいないかを探し回った。 幸い、食料は亜空軍を倒すと落とすことがあるので苦労はしなかったけど、こうして過ごしているだけで時間はどんどん過ぎて、あっという間に日が傾いてきてしまう。 「リュカさん、そろそろ日が沈みます。今日はこのあたりで休息を取る場所を探しましょう」 「あっ、もうそんな時間か……。うん、分かった。じゃぁ僕は、薪になりそうな木を集めてくるよ」 計画では、トレーナーさんが睡眠に入る時間は日が沈む前。その代わり、本来寝るべき深夜には、僕に寝てほしいということみたいだ。トレーナーさんにはちょっと申し訳ないけど、僕は素直に彼女に従う。 睡眠をとる時間に入る直前には、トレーナーさんが安全に過ごせそうな場所を探し、僕が薪になる木を探すという流れが自然に決まった。 この世界の夜はけっこう冷えるので、焚き火をして暖を取りながら夜を過ごさないと辛い。それに焚き火をしていれば、もし近くに他のファイターがいる時に煙や明りを合図に見つけてくれるかもしれない。 そういういろんな意味もあって、焚き火を準備する僕の役目はけっこう重要だ。 もちろん、夜に火を焚けば亜空軍に遭遇する可能性を高めることにもなるけれど、今すべきことは一体でも多く亜空軍を退けることじゃなく、一人でも多くのファイターと合流することだ。(これもトレーナーさんの言葉だ) 「では、リュカさん。日付が変わる時になったら起きますから。先に失礼します、おやすみなさい」 「うん、見張りは任せて。おやすみ」 指定の時間になると、トレーナーさんは地面の上に敷いたシートの上に横になって、速やかに眠りに入る。目を覚ます時間は、僕にも頼っているけれど、自分の持っている時計にタイマーをつけていた。 トレーナーさんが眠り、無防備な状態になる。ここからは僕が責任を持って頑張らなきゃいけない。僕は周囲を常に気にしつつ、焚き火を絶やさないようにしながら、日が暮れて夜が更けるのを待ち続けた。 そして僕は、時折トレーナーさんの様子もじっと眺めてみた。 焚き火の向こう側で穏やかに眠るトレーナーさん。寝ている時もきれいな姿勢で、寝息までリズムが整っている感じがする。白い肌が炎で照らされて赤みがかかり、端正な顔がますますきれいに見えた。 と、僕がトレーナーさんに見とれていると、遠くのほうで、ガサガサと葉が不自然に擦れる音がした。 まさかファイターさん? と一瞬僕は期待するけど、その期待は大抵裏切られてしまう。たぶん亜空軍だ。焚き火を焚いて目立つようにしている以上、彼らとはよく遭遇するのだ。 僕はその場ですぐに焚き火を消し(再着火なら僕のPSIですぐ出来る)トレーナーさんには少しだけ寒いのに我慢してもらうことにして、明りを消してから、近くの茂みを探った。 トレーナーさんの居場所が視界から外れない程度で周囲を調べていると、やっぱり、少し遠いところに亜空軍の集団がうろついている。彼らはあまり知的ではないらしく、狙っていた明りが消えて僕らの位置が分からなくなり、うろうろしているようだ。 危険があったら必ずお互いを起こす約束だけど、一人で十分処理できるならそのほうが早い。なにより、わざわざトレーナーさんを起こすのは気が引けた。 僕は相手の頭数を見て、一人でなんとかなりそうだと判断した。そこにいるのはプリム7体とスパー2体。中型以上の敵は見えないし、最近見かける変なプリムもいない。これ以上援軍が来ない限り厄介なことにはならなそうだ。 彼らのところまで飛び出しても、寝ているトレーナーさんの安否は目で確認できる距離だ、僕はそれを確かめてから、勇気を振り絞って、彼らをやっつけに飛び出した。
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199 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:35:57.52 ID:JiY5IzZN - 彼らのようないわゆる雑魚敵が相手なら、僕のフリーズやファイヤーを駆使すればあっという間に全滅させることが出来る。でも僕はそれをしなかった。近接攻撃だけでも十分対処できる相手だし、
せっかく眠っているトレーナーさんを前に騒々しくするのはあまり好ましくない。僕はPSIで強化した肉弾戦のみで彼らを倒した。 僕はあの時トレーナーさんに言われた自信を胸に、次々に敵を倒した。時折眠っているトレーナーさんに注意をするけど、トレーナーさんが隙を突かれ襲われている様子もない。大丈夫だ、うまくいく。 そう思って少しずつ調子が出てきた時、突然、僕の目の前にふわりと新たな敵が現れた。 出た、このところ何体か見かける、変わり種のプリムだ。 トレーナーさんを救出した時に見かけた個体はロイさんに良く似た戦法をとる赤茶色いプリムだったけど、この変なプリムにはいろんな種類がいるみたいで、どれも独特で誰かしらのファイターに似ている、そして他より頭がいい戦術を取るのが特徴だ。 今ぼくの目の前にいるのは、全身の色がダークブルーで、姿勢は少し前傾、手には水で出来た手裏剣を持っているプリムだった。 やっぱり気のせいじゃない。まるでファイターをコピーしたかのようなプリムだ。このプリムは、ポケモンのファイター、ゲッコウガ君をコピーしている。 この手のプリムはすごく厄介で、もしかしたら僕一人の手には負えないかもしれない。でも、気持ち良さそうに寝ているトレーナーさんを起こしたくない、その気持ちのほうが、僕の中では強かった。 僕は拳をぎゅっと握りしめ、その不気味なプリムに立ち向かった。 世界がまだ平和だったころ、僕はゲッコウガ君と対戦したことがあった。素早くトリッキーな動きについていけず、ダメージを20%も与えられないまま3回も撃墜されて負けてしまったっけ。 あの頃の再現ではないけれど、僕はやっぱり、そのプリムに苦戦していた。ただ、勝算は十分。僕はここまで、打撃以外のPSIを使わずに戦っている。 相手はゲッコウガ君に似ているけど彼ほどじゃない。こっちが全力で叩き込めばぜったい勝てる。だめだ、ここで負けるわけにはいかないんだ。ごめんね、トレーナーさん。 「PKサンダー!」 僕はPSIを解禁した。ここにきていきなり電撃を放った僕に、プリムが怯む。 でも直接電撃を当てるわけじゃない。僕が狙っていたのは 「えーいっ!!」 電撃に小回りを利かせて僕の背後まで飛ばし、僕自身に当てて、その電撃の勢いで体当たりだ。 これは相手にも効いたようだ。体当たりの勢いと、電撃を食らって吹き飛ぶプリム。幸い読みが当たった、電撃が苦手なのはゲッコウガ君と同じだった。 プリムは地面に倒れこみ、他のプリムと同じように影虫になって消滅していく。 この変なプリムを倒したのは今回がはじめてじゃないけど、消滅の仕方は普通のプリムと同じだった。つかってくる技や戦術以外にも普通のプリムと違いは見られない。 じゃぁ、このプリムと、これにそっくりなファイターさんとの関係はなんだろう?
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200 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:38:59.26 ID:JiY5IzZN - とりあえず亜空軍の一団は殲滅完了。僕は急いでトレーナーさんの元へと舞い戻った。
「ん、うーん……」 いけない、騒がしくしたせいでトレーナーさんが起きかけている。僕はトレーナーさんの腕に手を触れてみた。焚き火を消していたせいで、やっぱりちょっと冷たい。 僕はすぐにファイヤーで焚き火に火を灯した。トレーナーさんがもうちょっとゆっくり寝られるようにしてあげたかったけど……残念、トレーナーさんはその前の目を覚ましてしまった。 「リュカさん……」 「あっ、トレーナーさん。ごめんなさい、起しちゃって……」 トレーナーさんは少し眠たそうにしていたけど、すぐに体を起こした。そして、泥だらけになった僕の服を見て、すぐに状況を察したらしい。 「亜空軍ですね」 「うん、でも大丈夫。ぜんぶ追い払ったよ」 トレーナーさんは、無言で僕を褒めるように笑ってくれたけど、その後で僕に一言だけ注意した。 「リュカさん、私に気を遣って下さったんですね。……しかし、敵と対峙することがあったら、どうか遠慮なく起こしてください。もしも取り返しのつかないことになってしまったら……」 確かに、どんな弱い敵が相手でも、ちょっとの油断で負ける時は負ける。油断をフォローしあえる二人以上なら、勝率が上がるのは間違いなかった。 しかも、僕はさっき、あの変なプリムとも戦った。あの時は僕も調子がついていたから勝てたけど、もしも僕が少しでも隙を見せたら…… 理性的に言えば、遠慮なくトレーナーさんを起こして一緒に戦ってもらったほうが確実だった。 でも、こんな状況でも、僕はそんな判断だけが全てではないと思う。 「うん、分かった。でも大丈夫だよ。眠ってるトレーナーさんを守るくらいのこと、頑張ってしなくちゃ。心配しないで、勝てるか勝てないか判断して、必要な時にはトレーナーさんを起こすから。 ……僕だってファイターなんだ、戦うのは、その……自分のためだけじゃなくて……」 一度うまくいったからといって、ちょっと調子に乗ったことを言ってしまったかもしれない。 僕はそう思って、最後には口を噤みかけた。なんだか格好悪いことを言ったかな。僕は思わず慌ててしまったけど、トレーナーさんは僕の頭にそっと手を置いて 「……そうでしたね。失礼なことを言ってしまいました。本当にありがとうございます」 もう一回、僕のことを褒めてくれた。
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201 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:40:29.09 ID:JiY5IzZN - トレーナーさんは自分の時計をチェックしていた。僕も覗きこんでみると、交代の深夜0時まであと15分しかない。
「もうほとんど寝る時間はありませんね。私も目が覚めてしまいました。リュカさん、交代しましょう」 「えっ? で、でも大丈夫?」 トレーナーさんは以前、僕のような子供に限らず一般的な睡眠はもっと時間を必要とする、ということを話していた。 だから本当はトレーナーさんも、満足するまで寝ていたいんじゃないかと思う。僕だって、朝めざまし時計がなる五分前に起きたら、残りの五分間だって二度寝したいと思うくらいだし。 予定より少しだけ早く起こしてしまって、ここから彼女に任せると言うのは少しだけ申し訳ない気持ちにもなる。 そもそも、僕は若いから寝たほうがいいっていうトレーナーさんだって、全然年をとってなんかいない。 確かにトレーナーさんは僕よりは年上だし、態度もすごく礼儀正しくて、大人な感じはする。だけど本当は、トレーナーさんだって大人になりたて、というくらいの若い体なんだ。休みを気にしなくていいなんてことは、絶対にないはず。 僕はトレーナーさんに悪いような気がしてならなかった。でもトレーナーさんは、寝起きだというのにいつも通りのはきはきした様子で「私は大丈夫です、リュカさん。明日のために眠ってください」と、言ってくれた。 心配ごとや気になることはいろいろあるけど、せっかく僕のためにいろいろ良くしてくれるトレーナーさんに生意気なことなんか言いたくない。 それに、実は僕も、疲れて眠くて仕方がなかったのは本当だ。戦いが終わってトレーナーさんと話して安心すると、眠気が一気に襲ってきた。 「うーん、わかった。トレーナーさん。……もしものことがあったら、起こしてね。それじゃぁ、おやすみなさい」 結局トレーナーさんの言葉に甘え、僕はそれまでトレーナーさんが横になっていたシートに仰向けになった。 僕はトレーナーさんの計らいには助けられていた。 このサイクルで行動するようになってから、日中は頭もすっきりするようになったし、体調もいい。そしてなにより、安眠出来ることは僕が思っていた以上に心に安心感をくれた。眠っている間も、僕を守ってくれる人がいる……。 炎で体が暖まってきて、僕はそれからあっという間に、深い眠りについてしまった。 ……トレーナーさんの身に何が起きても、気づいて起きてあげることが出来ないくらいに……
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202 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:41:38.89 ID:JiY5IzZN - …………
リュカは静かに眠り、Wiifitトレーナーは相変わらず綺麗な姿勢で腰をかけたままでいた。 トレーナーは耳をすませて周囲から物音がしないか十分に警戒してはいるが、その目線は炎の向かい側にいるリュカに向いている。 リュカはとても気持ちよさそうに眠っていた。ベッドの上でもなく、ただの硬い地面の上に敷いたシートの上だというのに。 トレーナーは、彼が寝る前に言っていた言葉を思い出していた。 「眠ってるトレーナーさんを守るくらいのこと、頑張ってしなくちゃ」「……僕だってファイターなんだ、戦うのは、その……自分のためだけじゃなくて……」 トレーナーはあの時すっかり眠ってしまっていたが、目を覚ました時に見たリュカは明らかに激しい戦闘を終えた後の格好だった。疑う余地もなく、リュカの言葉は本音だ。 トレーナーから見ても、リュカはまだ年端のいかない少年だった。まだまだ甘えたい部分もあり、支えてくれる人が必要な年頃なのは違いない。 それなのに、こんなに小さい体で、優しくて少し怖がりなところもある彼が、自分を守ってくれようとする。自分のことで気を遣い、そのために全力を尽くしてくれる。 トレーナーは胸が自然と温まるのを感じながら、リュカの寝顔を見守った。 「!」 背後から物音が聞こえて、トレーナーはすぐそちらに目線を映した。暗くてよくは見えないが、トレーナーは、少し距離が離れた場所に何かがいるのを察した。 亜空軍なら、すぐに何とかしなければならない。必要なら、リュカを起こして戦うなり逃げるなりすることも必要だ。それらを判断するために、トレーナーは静かに立ち上がり、自ら音が鳴ったほうに向かった。 あくまでも音をたてないよう慎重に、トレーナーは何者かへ向かって距離を詰めていく。その間にも、その者が出す音は少しずつ大きくなり、明らかに焚き火に近づいてきているのが分かった。 生い茂った草木で姿が確認できないが、もう互いの距離は10メートルもない。必要ならば先手を取れるようにと、とっさに一撃を繰り出す構えもして、トレーナーは茂みをかき分けた。 「ああっ! もしかしてトレーナーさん?」 「あっ、あなたは!」 そこにいたのは白いキトン姿に頭には月桂樹、背中には鳥のような白い翼が生えている天使。まぎれもないファイターの一人、ピットだ。 ピットも茂みの向かい側を警戒していたようで神弓をかまえていた。しかし、向かい合っていたのがトレーナーだと知ると喜んだ様子で、トレーナーの両腕をつかんで揺すった。 「わぁ、トレーナーさんだ! 良かった、こんなところにいたなんて!」 「おっと。ピットさん、無事だったのですね。よ、良かったです」 トレーナーが言おうとする前に、ピットはむぎゅうとトレーナーの胸に顔を埋めた。 やはりこんな状況で、寂しい思いや不安に駆られていたのだろうと思い、トレーナーはしがみつくピットの背に手を触れた。背中の羽が嬉しそうに、ぱたぱたと揺れる。 まだ世界が平和だったころ、ピットはパルテナと共に、トレーナーが開いていたヨガ教室に足を運んでいた。そのこともあって、ピットとトレーナーはよく話をした仲だった。 トレーナーはピットのことを良く知っている。やんちゃで明るく、口を開けばパルテナのことばかり話していた。 「ピットさん、パルテナさんはどうしましたか? それに、ブラックピットさんも……」 トレーナーは、この世界が亜空軍に襲撃された時のことを覚えていた。ファイターたちのスタジアムが根こそぎ崩壊させられてしまった時、何人かのファイターが逃げ切れずに亜空軍につかまり連れ去られてしまった。 しかしそんな中でパルテナは、ピットとブラックピットを掴んで「テレポートの奇跡!」で無事に逃走していたはずだ。 それならばパルテナとブラックピットもすぐ近くに、と、トレーナーは少し期待したが、ピットは俯いて首を横に振る。 「ううん、パルテナ様もブラピも、はぐれちゃって……今は僕一人なんだ。トレーナーさん、もしかして、トレーナーさんも一人?」 「いえ、私はリュカさんと合流しています」 「本当!」 「はい。……とりあえず、来てください。ここは冷えます、暖をとりましょう」 トレーナーは、自分の腕を掴んできたピットの手がひんやりとしていることに気づいていた。またリュカからも距離を置いてしまったことも気にしており、ピットを連れて、すぐに焚き火のもとに引き返すことにした。
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203 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:44:01.93 ID:JiY5IzZN - トレーナーはピットを焚き火の傍に座らせ、自分もその傍に腰掛けた。
また一人のファイターと合流できたことは、トレーナーにとっても大きな喜びだ。本当は、すぐにリュカを起こして教えてあげようかとも思ったようだが、それは控えることにした。 なにしろリュカは疲れが出たようでぐっすり眠っているし、ピット自身が 「明日起きて僕がいたらきっと驚くよ。朝まで待とう」 と言ったので、今は、リュカは気持ちよく眠らせておくことにしたのだった。 ピットは焚き火の前でくつろぎながら、すぐにトレーナーに、いろいろなことを尋ね始めた。 「仲間は二人だけ? 他のメンバーは、見てない?」 「はい。今は出会えたのはリュカさんと、ピットさんだけですね。他の方は見ていません。……残念ながら、パルテナさんやブラックピットさんも見かけてはいないです」 「そっか……とにかく、トレーナーさんは二人行動してるんだ。それで、こうして交代で眠ってるんだね」 「はい。寝込みを襲われるのは危険ですが、睡眠をとらないと体力が奪われます。ピットさんは? ちゃんと睡眠はとっていますか?」 「あぁ、僕なら大丈夫。うん、心配ないよ。ほら、こんなに体力いっぱいだし!」 ピットは言った通り、元気なポーズをとってから、また座り直し、ぼそりと呟くように 「じゃぁ、二人同時に眠ってることはないんだね」 「?」 「ううん、なんでもない」 明るい顔をぱっとあげた。 「ピットさん」 「ん? 何?」 「…………?」 トレーナーはピットと会話をしているうちに、不意にピットに違和感を覚えはじめた。 ピットの振る舞いはいつも通り、明るくて元気いっぱいなものだった。しかし時折、話を中断している時のピットの顔を見ていると、たまに暗い表情をして見せているのだ。 いや、暗いなどというものではない。元気がない、というよりは、まるで死人のように生気がない表情になるのだ。トレーナーはその顔を見て、妙な寒気を覚えたくらいだった。 「何、どうしたのトレーナーさん」 思わず呼びかけた際の反応は、いつも通りのピットだ。 だが、トレーナーはどうしても気になって、ピットをじっと見つめて、観察した。 「な、なに? トレーナーさん……僕の顔になにかついてる?」 「いえ、なんでもありません、が……」 覗きこまれて恥ずかしくなったのか、ピットが頬を赤くしてみせる。だがトレーナーはかまわずにピットの瞳をじっと覗きこんでみた。 サファイアのような青い瞳には揺らめく炎が反射して美しく映っている。だが、その瞳自体に、あまり光を感じられないのだ。以前、トレーナーが彼と話したときには、ピットの瞳はまさに光に満ちたという雰囲気だったのに。 トレーナーははじめ、ピットがこんなに明るくふるまい、そして時折元気がない一面を見せるのは、彼が空元気で振る舞っているからなのではないかと思った。 なにしろ、トレーナーが知っている限りでは、彼は普段はパルテナにくっつきっぱなしだったのだ。もちろん一緒でないこともよくあったが、その時にも、パルテナのことは片時も忘れない、というほどに信頼を置いていた。 そんな彼が今まで一人きり、パルテナの安否も分からない状態に置かれていたのだ。さぞかし不安だっただろうということはトレーナーにも容易に察せる。 だが、トレーナーの中で、彼への違和感は消えなかった。 ところどころ、一瞬だけ見えるピットの異様な表情が忘れられない。恐怖でも不安でも失望でもない。まさに「からっぽ」のような表情だった。 確かにパルテナを失いかけていることは、彼の心に深い傷をつくっただろう。だが、それにしても……
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