- 新・スマッシュブラザーズシリーズでエロパロ
204 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/10/10(金) 19:51:15.66 ID:ASYJ9HvC - 「ト、トレーナーさん。どうしちゃったの?」
「…………」 ピットが問いかけてくるが、トレーナーは、ピットの瞳から目を離さなかった。 トレーナーは自分の直感を信じていた。明らかにおかしい、以前きさくに話してくれたピットと、今目の前にいるピットは、何かが違う。 ピットはしばらく、トレーナーと見つめ合う形で彼女に視線を返していた。 しかし、互いに無言の時間が続くと、不意に口を開き 「ねぇ、トレーナーさん。僕、なにか変?」 あまり抑揚のない言葉をトレーナーに投げかけた。トレーナーはその声を聞いて、恐怖心を覚えた。 今聞こえたのは確かにピットの声だ、しかし、目の前のピットがしゃべったわけではないような気さえした。彼の感情がこもっていない。 例えるならば、ピットという人形に誰かが声をあてているかのようだった。 いよいよおかしい、とトレーナーが思った瞬間だった。 「……やっぱりごまかしきれないか」 トレーナーはとっさに身を捻った。それと同時に、トレーナーの肩をすれすれに光の矢が掠る。 ピットがトレーナーめがけて、光の矢を放ってきた。もしトレーナーが彼の違和感に気づかなければ、光の矢は間違いなくトレーナーの左肩に直撃していただろう。 トレーナーはピットと距離を置いた。わけがわからないが、ピットが敵対してきているということだけは確かなことだ。 「トレーナーさん、なんて顔してるの。僕をそんな目で見るなんて」 ピットが冷たい口調でトレーナーに語りかける。もう観察するまでもない、彼の様子は明らかに異常だった。 「ピットさん、いったいどうしたんですか? しっかりしてください!」 トレーナーが呼びかけても無駄だ。ピットはすぐに次の矢を番えて、トレーナーに放つ。トレーナーはそれを見切ってかわそうとしたが、ピットの矢は軌道が自在、かわしきれずに命中してしまう。 「うっ!」 攻撃が当たって少し怯むも、トレーナーはすぐに体勢を立て直した。だが、次に顔をあげたときにはピットはいなかった。見回しても、周囲には森ばかりで姿がみえない。ここにいるのは、これだけ物音を立てても眠り続けているリュカだけだ。 と、少し気を取られている間に、森の奥から光の矢が飛んでくる。次の一撃は、トレーナーは思い切り回避をしたので当たらなかった。 トレーナーは短時間で素早く呼吸を整え直し、それからリュカのほうを向いた。ピットが来たことにも、戦いをしていることにもまったく気付かず寝ているリュカに向かって 「リュカさん、すぐ戻ります」 声をかけ、それからすぐに、ピットが矢を放ってきた方向へと走った。 様子がおかしいとはいえ、やっと会えたファイターだ。 なんとしても正気に戻ってほしいし、そうでなくてもなぜ彼がああなってしまったのかを見過ごすわけにはいかない。それに、何か新しい情報を得られるチャンスかもしれないのだ。 このままピットを逃がすわけにはいかなかった。幸い、ピットは休むことなく矢を撃ってくるので彼のいる場所を見失うことはなかった。トレーナーは矢をかわしつつ、ピットを追いかけた。 「……これは……?」 森のひらけた場所に出て、トレーナーの目の前に現れたのはピットではなく赤い扉だった。 設置されているというわけでもなく、ただ空中に、ぽつんと置かれるようにしてそこに存在している扉。 と、トレーナーの目の前で、その扉は勝手に開いた。扉の先は向こう側の風景ではなく、真っ暗な闇が渦巻いている。 トレーナーはこの扉の話を聞いたことがあった。亜空軍が使用する、異なる空間同士をつなぎ合わせる不思議な扉だ。 トレーナーはつい気になって、扉にもう少し近づいて、中を見てみようとした。 と、その時、彼女が振り返る間もなく、何者かがトレーナーの背中をガンと蹴りつけて扉の向こうへと突き飛ばした。 とっさのことでトレーナーは避けることもできなかったが、それでも一瞬背後に目をやって、自分を蹴り飛ばした相手がピットだということを察し……しかし、彼女にそれ以上のことは何もできなかった。 トレーナーは時空の扉に飲み込まれてしまった。背後から彼女を蹴り落としたピットも続いてその扉に入ると、扉は煙のようになって、その場から消えた。
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