- 若返る女・成長する少女8
670 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/28(日) 00:08:06.08 ID:BsdFbhne - そこは不思議な一室。
広いホールのような円方に広がる薄暗い部屋には、統一感なく様々なものが置かれていた。 クローゼットに培養型のカプセルがいくつか。そして輝く宝石の埋め込まれた玉座が仰々しく最奥に鎮座している。 そして今日、ついにこのホールの大扉が開く。車椅子に座った老婆が数人の幼い子供を引き連れてやってきた。 「フフフ……今日、やぁっと叶うんだねぇ。長年追い続けてきたアタシの望みが」 「そうですよマザー! 今のボク達には、その為の力も技術もあるのです!」 しわがれた声で老婆が呟くと、それに続くように明るい雰囲気の少女が老婆の前に躍り出る。 少女は車椅子に縋り付いて急かすように老婆の裾を引っ張った。その様子を見て、老婆は微笑ましそうに口端を吊り上げる。 「それより、早く始めましょうよマザー! ボク、もう待ち切れません!」 「フフッ……それもそうだねぇ。アタシも同じ気持ちだよ。とは言え、これ自体は目的を叶える手段なんだ。それを忘れちゃいけないよ」 「うんっ! わかってます! わかっていますから!」 明るい調子で話す二人の後ろには、不安げな表情の少女が三人。ちぐはぐな設備と薄暗い照明は、物心のついたばかりの子供達に言い知れぬ恐怖感を与える。 「安心せい。お前達は“適合”し、このアタシに選ばれたんじゃよ。何も恐れることはない」 泣き疲れたのか、既に諦めたのか、或いはもうこの現実を受け入れる覚悟をしたのか。皆押し黙り、老婆に反応する者はいない。 「それではイヴ、彼女達を案内してやるのじゃ」 「了解です! では一番の方〜、こっちです!」 最初に選ばれたのは、金髪翠眼の美しい少女であった。育ちがいいのか、他の二人と同年代のはずなのにやや大人びて見える。 彼女は半強制的に服を全て脱がされ、円筒状のカプセルの中に入れられた。カプセルの中は呼吸可能な培養液で満たされ、イヴはまた後で様子を見ると言い去ってしまう。 もう二人は亜麻色の短髪の姉妹だったが、イヴにはそれを尊重するつもりなど毛頭なかった。あまりにも持っている素質が違ったためだ。 一人は玉座に座らせたまま放っておき、もう一人をクローゼットの前まで案内する。クローゼットを開いたイヴが、微笑みながらあるものを取り出した。 「これを、付けて下さい」 「…………なぁに、これ」 消え入りそうな声で、姉妹の片割れが呟く。見せられたのは由緒ありそうな古びた勾玉だ。一体これが何だと言うのだろうか。 訝しみながら、少女が勾玉に手を触れる。するとその瞬間、怪しげな紫の靄が周囲にかかり、亜麻色の髪の少女の体を包んでいく。 「ひっ……!?」 「恐れないで下さい。これはあなたにしかできないことです。あなたはこれから、特別になるんです」 「とく……べつ……?」 わけがわからない、といった表情で首を傾げる少女。実際、イヴの言ったことの意味がわかったのはこのすぐ後である。
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- 若返る女・成長する少女8
671 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/28(日) 00:09:11.98 ID:BsdFbhne - 「あっ……あぁぁ!?」
靄が手のように蠢き、少女の纏う衣服を乱暴に切り裂いていく。上着も私服もまとめて一度に裂かれ、僅か数秒で幼い肢体が露わになる。 恐怖に耐え切れず涙を流す少女の平坦な胸に、勾玉が溶け込むようにずぷりと入っていく。瞬間、一際大きな悲鳴がホールに響く。 「あっ……あっ……!」 勾玉が内側から心臓のように脈打つ。まるでここから出せと扉を叩く囚人のように、彼女の胸にドクンドクンと鼓動を響かせる。 よく見ると、ビクンビクンと跳ねる度にその胸は少しずつ膨らんできていた。手足も同様に伸びていき、彼女の体が徐々に肉感的になっていく。 「んっ……ふあぁぁあ!?」 ビキビキと音を立てながら、内股になってガクガクと震える脚がすらりと伸びる。胸を苦しげに押さえる指は白魚のようにしなやかな長さに。 ムチッと張りのある肌の上から、赤く輝く紋様が刻まれていく。この時点で彼女の体は、既に色香に満ちた大人の女性の姿をしていた。 それでも変化は止まらない。くびれのできた腰のやや下、その中心の辺りから一房、また一房と獣の尻尾が生えてきた。最終的な数は実に九。 「くうっ、はぁ……はぁ……あぁ、わ、わたっ、ハァッ…………な、なぜ……ハァァ!」 バレーボール大になってもまだ大きくなる乳房を両腕で抱えながら、息を荒げる彼女。甲高い悲鳴を上げていた声も、今は低く艶のあるものに変わっている。 肩まで短く切られた亜麻色の髪も真っ白に染まり、足元まで好き放題に伸びていく。風も吹いていないのに、髪はふわふわと宙に浮き上がった。 むずむずした頭上に突起ができたかと思えば、それはピンと立って左右対称にその存在を主張している。獣の耳が白い毛並みと共に生えてきたのだ。 ずっしりと質量を増した乳房を揺らし、紅い瞳で自分の体眺める彼女。齢二十ほどにまで成長し、謎の紋様を刻まれ、獣の部位が生えた体。指先には鋭い爪。 芸術とも言える美しさを手に入れた彼女に今ある力は、大妖怪九尾のそれだ。だが何も様変わりしたのは何も力と姿だけではない。 「美しい……これが我。これが……! 力が、力が漲るッッ!!」 九尾の力の依代として半人半妖となった娘は、やや厚みを増した唇を歪ませて、歓喜に打ち震えていた。 その様子を見るイヴもまた、変化の成功に喜び笑っていた。その二人の視線は、金髪の少女の入っているカプセルへ。 『ぐっ……ゴボッ……! うぅぅあぁぁぁ!!』 培養液の中で、少女はじたばたと脚をばたつかせた。今彼女には劇的な変化が起ころうとしているはずだ。 呼吸のため酸素入りの培養液で肺を満たした影響が、ここにきて大きく現れたのである。今少女の体はじわりじわりと発熱している。 息を荒げて培養液を吐き出そうとする少女。それは叶わない。カプセルのガラスを叩いても、強化ガラスは子供の拳程度じゃどうにもできない。 最早少女は、自分の身に起こる変化を受け入れるしかない。それを悟って、全身の力を抜いてだらりと培養液に身を委ねた。 『ふっ、ウゥ……アアアアァァァァア!』 体を満たした液体が、内側から膨張しているような感覚に襲われる。それだけではない。頭の中が、何かにかき回されてるような不快感もある。 しかしそんな不快感も徐々に薄れていき、気付けば熱も引いてきた。変化は既に終わったようで、彼女は培養液がなくなって強化ガラスが開くのをじっと待った。 そこに怯える幼い少女の姿は既にない。女性らしく豊満かつ引き締まった体の美女がそこにいた。見た目だけではない。彼女はより科学的な強化を受けた。 しなやかな肢体にぴったりと貼り付くボディスーツを付けられ、上からアタッチメント式の武装や装甲を取り付けて、徐々に機械然とした外見に変わっていく。 「気分はどうですか? “ファースト”」 「チェック、開始」
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- 若返る女・成長する少女8
672 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/28(日) 00:10:15.18 ID:BsdFbhne - イヴに問われた彼女――ファーストと呼ばれた女性が無機質な声と光のない瞳で答える。表情は仮面でも貼り付けているような無表情。
娯楽コミックのアンドロイドのような服装も相まって、最早元の怯えた少女の幼さも面影もない。彼女は、完全なる兵器となっていた。 兵器が無表情のまま自分の手足を触り回し、豊満に膨らんだ胸を自分で揉んだり、伸びた髪に指を通したりして、成長させられた体の触り心地を試していた。 ひとしきりセルフボディチェックが終わると、キレのあるパンチや脚を大きく上げたキックを宙に放つ。 「感度良好。急速な成長による身体機能の異常も見られません。私の肉体は、兵器として極めて良好な状態を維持しております」 無感動な声で淡々と報告する。知らない人間が元の少女の姿を見たところで、誰もそれを同一人物だと見抜くことはできないだろう。それほどの残酷な変化。 切れ長になった翠眼が見据えるのは、自分をここに連れてきた老婆。彼女も今自分に注射を打ってみるみる若返り、20代の姿でボンテージを纏っていた。 「クスッ……いいわぁ。こんな気分味わうなんて何時ぶりかしら! ウフフフフ! 若い! 若いのよ、アタシ! アハハハハハ!!」 「マ、マザー!」 「あらあら、どうしたのイヴ。まだ作業は終わってないわよ?」 「…………ボ、ボクも……ボクも、大きくなりたい」 「そ。だったらこれを着なさい」 そう言って手渡されたものは、ファーストの着ていたものに似たような戦闘用のボディスーツだ。ただし、イヴの体のサイズに合うような小さなサイズのもの。 わけがわからないまま、イヴは全裸になってそれを身に着ける。ファーストの挑発的なスーツと違い、これは首から下を全て覆うタイプの全身式のスーツだ。 子供特有の起伏のくびれもないボディラインが露わになり、恥じらうあまり腕で体を抱くイヴ。 「マザー……なんなんですか、これ。嫌味なんですか?」 「まあ、見てなさい。首元のスイッチを押してごらんよ」 若返ったマザーに見惚れないよう注意しながら話すイヴが、疑いつつも素直にその言葉に従う。首元のボタンを押すと、全身をくすぐられるような感覚がした。 何かが肌のすぐ上で微生物のようにざわめいている。かと思えば一瞬全てが止まったりする。気まぐれな何かがスーツの下にいるのだろうか。 「ひゃうっ!?」
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- 若返る女・成長する少女8
673 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/28(日) 00:10:54.29 ID:BsdFbhne - スーツが、おかしい。スイッチを入れると同時に光るラインがお洒落なのは気に入ったのだが。
生地と肌との間でこの液体のようなものは何をしているのだろう。それに発汗作用でもあるのか、やたらと汗が出て暑い。 というかこのスーツ、ラインが発光してから、徐々にきつくなっているような……いや、きつくなっているのは自分の方? 「あっ……えぇー!? お、おっぱいが! おっぱいがぁぁ!」 気付けば、平坦だったイヴの胸は手のひら程の厚さまで成長していた。他の少女同様、徐々に大きくなっている。 胸がむくむくと体積を増す度に、イヴの心はうきうきと踊り狂っていく。そういえば手足をスーツが包む感触も、きつくなっている気がした。 「はっ……あっ……マザー! この、スーツ、は……あはぁ! 成長用の細胞が全身に回って細胞を活性化させてる、んですよねァンッ!」 「平たく言えばそうよ。着るだけでどんなロリでもあっという間に戦える美女に大変身。成長細胞は光を放つし、防犯グッズに最適かもねぇ」 冗談を言いながらも、マザーの顔は本気で彼女の変化を楽しんでいた。だが彼女の乳房が自分のそれと同じぐらいになったところで、自動的に成長は止まる。 「おっぱい! おっぱい大きく! もっと! …………あ、あれ?」 「アタシ以上になると、日常生活にも困るわよ」 「で、でも………………あ」 ボディスーツの美女が誕生したところで、別の場所に光が生まれた。宝玉の埋め込まれた玉座だ。 そこに亜麻色の髪の幼女はいない。いるのは赤髪に角を生やし、黒い鎧を纏った彫像のように完成された美しさを持つ女性唯一人。 「私は……どうやら魔王になってしまったようだな。なったからには、我も魔王としての使命を果たしてやろう」 「ついにこの時がきましたね……アタシの悲願は貴方の望み! 陛下、仰せのままに!」 「クククッ……仰せのままに」 「仰せのままに」 頬杖を突きながら溜め息を吐く魔王に、マザーと九尾が傅く。それに続き、ファーストも同様の姿勢で傅いた。 「え? あっ……お、仰せのままに!」 遅れてイヴが傅くのを見て、魔王は満足気に微笑んだ。 今ここにいるのは全てが元の年齢をかけ離れた姿と人ならざる力を持った出来立ての戦闘美女達である。 果たして彼女達がもたらすものは、破壊か、創造か…… つづかない APAR軍団書きたかっただけなんです
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