トップページ > エロパロ > 2014年09月26日 > rpJ3U543

書き込み順位&時間帯一覧

17 位/205 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000002000000000000002



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しさん@ピンキー
【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】

書き込みレス一覧

【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】
391 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/26(金) 09:16:40.89 ID:rpJ3U543
西門の踏切は、今日もあの頃と同じように人でごった返していた。
黒い頭の群れが一様に踏切を目指し、開いた遮断機の間を通り抜けていく、
そんな風景が私は好きだった。

私はシェンホァ。
あのころの私は、平凡な、ごく普通の本省人の少女だった。

警報機が鳴り、少し間を置いてクリーム色と臙脂に塗り分けられた列車が、
はるか南の高雄を目指し通り過ぎていく。
線路からほど近くのかつての日本人たちの宗教施設―それは日本時代には
西本願寺と呼ばれていた―は、もう廃寺となって久しく、無残な姿を晒していた。

この国が美国に、そして日本によって見放されてから、私たちの生活はガラリと
音を立てるように変わっていった。
世界の孤児たる私たち中華民国国民は、いまや核兵器をも有する海の向こうの
共匪によっていつ攻め落とされるかもわからない、不安な日々を過ごしていた。

中華民国―かつては蒙古から中原を経て西蔵までを支配した、アジア最初の共和国。
私たちはその正当な末裔だと、文化大革命などという愚かな所業で文化を
完全に破壊した大陸の奴らと違い、伝統ある正しい中華文明の庇護者だと、
日本にかつて占領され奴隷のような生活を送っていたけれど、偉大なる大元帥の
おかげをもって栄光ある祖国に復帰したのだと、学校ではそう教えられていた。

だけど、「先生の言うことは嘘だ」と、両親は常日頃から言っていた。
クラスにいる外省人の子供たち―両親は彼らをシナ人と呼んでいたけれど―と違い、
私たちは一度清国政府に見捨てられた漢民族と原住民の混血なのだと。
だから、彼らと一緒に海峡を越えてきた外来政権は、私たちの本当の政府ではないのだ、
と。
二戦前に私たちを統治していた日本は、美国には負けたけれど、シナには負けていない
のだ、と。
【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】
392 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/26(金) 09:17:11.49 ID:rpJ3U543
事実、外省人の子供たちと私は、馬が合わなかった。
眷村と呼ばれる、私にはスラム街にしか思えないエリアから来る子供たちは、どこか
私たちと違っていて。
日本人が残した官舎から通ってくる子供たちも、どこか高慢で、私たちの話す日本語
混じりの台湾語を一段低く見ていて。

「自由民主統一中国」がてんで呆れる、とビールを飲むたびに多桑はよく私に言うでもなく
ひとりごちていた。
自由も民主も、何もない、いつまで続くかもわからない戒厳令に縛られたこの国。
国連からも、「国ではなく地域だ」とされ、「漢賊不両立」と叫び議席を放棄した、この国。
そこらじゅうに銅像の立っている、あの交通事故以来表に姿を現さなくなった禿と、
その息子の百貫デブが生きている限り、私たちには自由も民主も、いつまでも
訪れそうにはない。
そんな、秘密警察に聞かれたら緑洲山荘送りになりかねないようなことを、家では
平気で多桑は口にしていた。

だからこそ、あれは必然だったのかもしれない。
あの夜のことは、私たち姉弟を奈落のどん底に落としたあれは、運命だったの
かもしれない。

あの黒服の男たちに両親が連行されたあの日を、私は今でもはっきりと覚えている。
泣き叫ぶ私たちをよそに、ユーロンのエンブレムのついたあの黒塗りの車で、
手錠を嵌められて連れて行かれた両親の姿を、私は今でもはっきり覚えている。

いつまで待っても、両親は帰ってこなかった。
「シェンホァ、すぐ戻る。」
両親はそう言っていた。
だけど、そんな約束が叶うはずもなかった。

私は、生きるために何でもやった。
思い出したくもない、脂ぎった中年親父にだって、お金のために抱かれた。
うんざりするような、どろどろの下水から食用油を取り出しては売る作業だって、
何も辛くなかった。
ただただ、がむしゃらにお金を貯めた。
そして体を鍛え、いつか荒事師としてこの娼婦生活から脱したかった。
いつかこの国の政府に復讐するために。
いつか両親を奪ったこの国に、倍返しするために。

「お姉さん、可愛いね。いくら?」

ほら、今日も客が来た。
私は営業スマイルで、その男の声のほうへと振り返った。




※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。