- 戦う司書でエロパロ
624 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/25(木) 18:20:48.13 ID:D6GpcTeo - >>619
いやな思いしちゃってたら本当にごめんね! これでもマットさんは大好きですよ! 真面目な話を書こうとすると、本編思い出して悲しい話しか書けなくなっちゃうもんで・・・ 設定はアニメ原作とDVD特典小説の描写をもとに考えてるけど、書いてるうちにふざけるのでキャラは普通に崩れると思うorz 読み返したら本当にマットさんの残念なとこしか書いてなかったんで、ちゃんとしたところも書きます(書けるといいな・・・)
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625 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/25(木) 19:21:52.16 ID:D6GpcTeo - 学パロ4話目です。マットさんとハミの出会いで、ちょいシリアスです。
その日、マットアラストは夢を見た。十年以上前から定期的に見る、あの夢だ。 あれは悪夢というのだろうか。夢の中の自分は血を流している。 辺りは雪のように真っ白に染まっており、そこに自分のスーツの黒と点々と滴る血の赤だけが存在する。 何もない景色の中を、何故か自分は必死に歩いている。血を流しているというのに痛みはなく、 雪の冷たさも感じない。感じるのは焦燥と、今まで生きてきた中で感じたこともないとてつもない 恐怖だった。自分は誰かを探しているのだ。あの人のところへ行かなければならない。その人のところへ 行き、何かを成し遂げなくてはならない。時間の概念すら存在するか怪しい、空虚な空間に突如終わりは来る。 目の前に巨大な物体が突如現れ、マットアラストの歩みはそこで妨げられる。 ―それは黒い、巨大な針だ。 夢の中の自分がその針の頂を見てはならないと叫ぶのに、その先を見ずにはいられない。空を見上げ、そこでようやく 自分のいた空間がただの虚空でないことに気がつく。天には雲があり、そこから真っ白な雪が舞い落ちてくる。 いつも見上げるあの空であることに変わりは無い。どうしようもなく虚しく、クソみたいにつまらない現実と同じ空だ。 しかし、そのひどく現実的な空に映る光景を、自分は受け止めることができない。見上げた針の先から、自分の身体から流れ出ていた ものと同じ色が滴り落ちてくる。真っ白な雪と、毒々しいまでの赤とのコントラストが視界に飛び込んでくる。 そして、現実と虚空の狭間にある針の先に目を懲らそうとしたところで、この夢は終わる―。 「・・・おい、起きろ。」 無愛想な声とともに、マットアラストは目を覚ました。まだ夢から覚醒しきれていない頭は、 ここが現実であるかどうかをすぐには判断できず、数秒ほど辺りを見渡した。そこは学校の敷地内にある土手だった。 そうだ。空きコマの時間に煙草を吸いに外へ出て、あまりに良い天気だったのでその土手に寝転んでみたのだった。 まさか生徒に起こされるまでそこで爆睡してしまうとは思わなかったが。 「ん・・・ああ、エンリケ君か。起こしてもらって悪いね、今何時間目だ?」 名前を呼ばれた白銀の髪の生徒は小さく息を吐き、昼休みがもうすぐ終わりになることを告げた。 「まいったな・・・。3限目はB組の英語じゃないか」 「だから、さっさと教室に来いと言っている。委員長が怒っていたぞ」 「やれやれ、わかったよ。支度したらすぐ行くから、それまで各自自習しておくように伝えてくれ」 いつもの飄々とした態度ではあったが、どことなく普段と違うものを感じ、エンリケは眉を顰めた。 「なんだい、エンリケ君。俺の顔に何か付いてるのか?」 「・・・いや」 相手のちょっとした表情の変化にすぐに気付くその鋭さは相変わらずで、エンリケは気のせいだったかと思い直す。が、その後すぐに やはり気のせいではないと確信する。 「・・・髪に、テントウムシが付いてるぞ。」
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626 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/25(木) 22:34:08.68 ID:D6GpcTeo - 放課後になり、マットアラストは何とは無しに、社会科資料室の扉を開ける。
そこには、いつものように鼻唄を歌いながら呑気に刺繍しているハミュッツの姿があった。だらしなく開いた胸元も、 碌に化粧を施さないそばかすだらけの顔も相変わらずだったが、一つだけいつもと違う箇所があることに気付く。 「あら、授業終わったのう?お疲れ〜マット」 「・・・なあ、今日髪どうしたんだ?」 「ん〜?ああ、これ?」 いつも黒のリボンで無造作に纏められた髪型ではなく、十数年ぶりに見る姿だった。豊かな黒髪を後ろでざっくりと編み上げ 背中に垂らした髪型だった。なぜか唐突に昼間見た夢のことを思い出した。 「懐かしいでしょう?まだあんたと付き合ってたときはこの髪型だったもんね〜」 まるでこちらの夢のことを見透かされているような心地になり、微かに心臓が跳ねるのを感じた。 「ああ、そうだったな。でも、何でまた急に・・・」 「別に〜。何となく懐かしくなっただけよう。」 それだけ答え、ハミュッツはまた黙々と針を動かし始める。出会って十数年になるというのに、変わらず作り続ける 謎のウサギの胸を針が貫いたのを見たとき、ひどく嫌な気持ちになった。 「どうしたの?何か、顔色悪いわよう。」 「・・・夢を見た」 「前からよく見るやつ?」 「ああ。しばらく見てなかったんだが、こう久々に見るとどうにも落ち着かなくてな。」 「授業サボってばっかりいるから、罰があたったのよう。・・・にしても、ほんと不思議よねえ。まさかあんたと二人で母校で教鞭を振るうなんて。 正直、あんたが教師なんて想像すらつかなかったわよう」 「おい、あの時の話はしない約束だぞ、ハミ」 昔を思い出したハミュッツは、こちらの顔を見てクスクスと笑う。思い出したくない記憶を掘り返され、マットアラストは思わず顔をしかめた。 二人はこのバントーラ高校を十数年前に卒業した生徒で、しかも元同級生だった。 しかし、当時は今の仲の良さが嘘のように、互いに互いを嫌悪していた。二人とも優秀な生徒だったが、マットアラストは家庭環境が冷え切っていたせいか、 教師も手をつけられない不良であった。方やハミュッツは、規則にルーズで破天荒な性格、おまけに容姿に無頓着な野暮ったい風貌で、 クラスでも浮いた存在だった。同じくクラスの輪から外れた二人であったが、そこで連帯意識が生まれるようなことはなかった。むしろ、そんな調子の ハミュッツをマットアラストがふざけ半分でからかい、そんな子供染みた彼の痛いところをハミュッツが的確に突いたことで、仲は最悪になった。 ことある毎に殴り合い、いや、殺し合いというにふさわしい派手な喧嘩を二人は三年も続けたのだった。 何故その関係から今に至ったのか。正直なところ、マットアラストは自分でも分かりかねる部分がいくつもあった。ただ、はっきりとその関係が変化したと 感じたのは、二人が学校を卒業した日だった。せっかくの高校生活を、こんな奴にほとんど費やすことになるとは。そんな気持ちで、最後に一言何か言って やろうとハミュッツに近寄ったのがきっかけだった。 「ねえ。」 先に話しかけてきたのは向こうが先だった。こちらから言ってやろうと思っていたのを邪魔され、気分は最悪になる。最後に挨拶くらいは交わしてやろうと思っていたが そんな気分も台無しになった。 「あ?なんだよ」 「あんたさ、大学出たら何になるの?」 思いもよらぬことを唐突に聞かれ、胸にこみ上げていた怒りは完全にかき消えてしまった。そして、丸い銀縁眼鏡の奥の瞳が決してからかいで聞いているわけでは ないことを伝えていた。完全に調子を狂わされたマットアラストは、困ったように首の後ろを掻いた。 「・・・何って、親の会社の後を継ぐよ。昔から、俺のことなんざ単なる跡継ぎの道具としか思っちゃいない連中なんでね。今更刃向かったところで、俺に何か見返りがあるわけ でもなし。このまま合理的に生きていくさ」 関係の冷え切った家族の話は、マットアラストが最も話したくない話題の一つだった。その話題が、まさか自分の口から飛び出るとは思わず、そのとき既に何かが変だとは 感じていた。一方のハミュッツは、自分から聞いたくせに、三つ編みの先を弄りながらつまらなさそうに聞いていた。 「ふ〜ん。意外と従順なんだ、そういうところ。」 「そういうお前は何になるつもりだよ」 むっとした口調で聞き返すマットアラストだったが、その問いの答えを聞いたあと、驚愕のあまり思わず目の前の少女の正気を疑ってしまった。
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627 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/25(木) 22:36:33.97 ID:D6GpcTeo - 「・・・お前それ、冗談じゃないだろうな?」
「何言ってんのよう。最後に嘘吐くわけないでしょう?本気よう。あたし、この学校で先生やるの」 校則はおろか、社会の常識そのものを覆さんばかりの無茶苦茶なこの女が、人を指導する立場になれるのかと思った。 「何でまた教師なんかになろうと思ったんだ?・・・お前、教師どころか、学校自体大嫌いだろう。」 「・・・やだ、何でそんなこと分かるの?」 隠していたつもりだったのか、ハミュッツは本気で驚いていた。しかも、大の学校嫌いであることについても一切否定はしなかった。 「お前、そんなんで本当に教員になるつもりか?まさか、楽だからなろうなんて考えてるんじゃないだろうな」 「楽だし、お給料も安定してるから。決まってるでしょ?」 呆れるほど平然とそう答えるハミュッツに対し初めは驚き、しかし段々と怒りが湧いてくるのを感じた。ふざけるな。お前も自分の都合で子供を振り回すのかと。 心のどこかで、とうの昔に失ったと思っていた正義感が叫びを上げているのを感じていた。同時に、何故自分はそんな綺麗事を、一番嫌いなはずの相手に求めているのだろうか と頭の片隅で考えていた。 「・・・お前、いくら何でも世の中舐めすぎだぞ。他人の子供の命預かって、その未来まで考えて導くのが教師の仕事だろう。お前なんかに教師の仕事が務まるとは思えない。」 らしくない説教までしてしまったことに、言った後で後悔した。しかし、マットアラストをからかうでもなく、ハミュッツは「そうかもね」とあっさり認めた。 簡単に開き直るその態度に余計腹が立ち、更に一言言おうとしたところで、ハミュッツは言った。 「でも、あんたとおんなじでしょ?合理的に生きる。ただそれだけよ」 卒業した後も、大学を出て社会人となった今も、その言葉は忘れられなかった。その言葉を言われたとき、内心では「違う」と否定したかったが、結局何も言い返すことが できなかった。ただ周りの状況を諦めて、心の中で望んでいた信条も平然と捨てて生きてきた。結果的に周りにも迷惑をかけず、自分の利益に害をなさなければそれでいいと、 「合理的」であることを言い訳に、流されてきたことに気付かされたのだ。そのことに気付かされた時には、自分は望みもしない親の金融会社に入り、理不尽のはびこる世界の中で生きていた。 例の夢を初めて見たのが、ハミュッツのその言葉を聞いた日の夜だった。夢には自分一人しか出てこないはずなのに、巨大な針が出てくる度に何故かあの嫌いだった女の 顔を思い出すのが、初めはどうしようもなく胸糞が悪かった。 出世していく度、以前からクソ食らえと思っていた親の会社の、更なる悪の面が見えてくる度、何度も何度も同じ夢を見た。他人の利益の為に財産をむしり取られ泣く家族、 会社内の競争で、汚い手で貶められていく同僚。そんな姿を見る度、自分は何度もあの不気味な針に遭遇するのだ。 あの針の先にいるのは、誰なのだろうか?一つ確信を持てるのは、あれは、自分が救うはずだったとても大切な何かのはずだったということだ。その姿はいつも見ることができないが、 代わりとして、決まって彼女のあの言葉が目覚めの後に木霊する。あの針の夢を恐れると同時に、マットアラストは夢の女の声に救いを求めていたのだと理解するようになった。 その頃になりようやく、マットアラストはハミュッツに抱いていた本当の想いに気がついたのだった。 会社の経営が傾いたところで、マットアラストはそれまでの地位も、家族との縁も全て絶ち切り、金融会社を退職した。 関連企業や取引先企業との繋がりも全て断ち切られ、マットアラストは完全にその世界から隔絶された。全く、仕事はできない癖にこういうことには用意周到だと鼻で笑ってやったが。 退職後、今まで貯めてきた莫大な財産で大学を入り直し、マットアラストは教師の道を歩むことにした。 全くの自分の信念でその道を選んだのかと聞かれれば疑問は残るが、それでも、前の職に比べれば遥かにマシな仕事だと思えた。働かない理事長に、学校一恐れられる 存在のイレイア・・・自分がいた頃と何も変わらない学校が、そのとき初めて愛おしいものに感じられたのだった。
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628 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/25(木) 23:06:41.74 ID:D6GpcTeo - 着任式当日、以前学校に送った荷物が社会科資料室にあると言われ、マットアラストはその部屋の扉を開いた。そこで見たのは、高校卒業時と変わらない、あの野暮ったい女の姿だった。
マットアラストの方は、彼女が絶対にここにいると確信していたが、ハミュッツの方は全くの想定外だったようで、眼鏡の奥の瞳がまん丸に見開かれていた。 「・・・嘘、でしょ・・・?何で、あんたがここにいるのよ」 「よう。ちゃんと働いてるみたいだな。ハミュッツ先生?」 久々に再会した同級生は、高校時代のあの不良とは思えない、品のある大人の男性に成長していた。その姿を見つめるハミュッツの表情に、微かに女の色が浮かんだ のをマットアラストは見逃さなかった。卒業した後の長い時間、あの不気味な夢だけでつながっていた女性がちゃんと目の前にいるかどうか確かめたくなり、ハミュッツの 了解を得ることなくその身体を抱きしめた。突然抱きつかれたハミュッツは完全に動揺し、手足をばたつかせて暴れていたが、そんなことには構わず、ただその身体の温もり を確かめた。彼女をこうして抱いたのは初めてであるのに、不意に懐かしさが胸をこみ上げるのを感じた。 ―数年の時を経て二人は完全に和解した。その時から、付き合ったり別れたりを繰り返す奇妙な間柄となっている。あの不思議な夢はその後見る回数は少なくなっていったが、 たまに見たときは、なぜかとてつもなく不安な気持ちに苛まれた。最初に夢のことを打ち明けたときには、腹を抱えてハミュッツは笑っていたが、マットアラストがその後口を 聞いてくれなくなったので、今ではちゃんと話を聞くようにしている。 「ふ〜ん。ここしばらく見てなかったのに、珍しいわねえ。ま、そんなに気にする事じゃないわよう、きっと」 「・・・だといいんだがな」 「マットって、意外とロマンチストっていうか、結構そういう夢とか迷信とかなんだかんだで気にするわよねえ。昔から」 「馬鹿言え、男は皆ロマンチストだよ。」 「はいはい。でも、仕事サボった罰っていうのは当たってる気がするのよねえ。ちょっと初心に返ってみたら?」 言われてみれば、この夢を見た最初の頃、自分の求める信条やら生きていく上での合理性やらで、様々な葛藤に苦しんでいたのを思い出した。周囲の流れに乗るまま、 様々な悪事に手を染めなければならなかったあの頃が特に夢見が悪かった。あの夢は、自分が無意識のうちに心の中で飼っていた警告のようなものなのだろうか。 明日から気をつけるよ、と返したマットアラストは、ふと気になったことを聞いた。 「なあ。君はどうして、教師になろうと思ったんだ?あのときと同じ答えだったら、君はとっくにこんな仕事辞めてると俺は思うよ」 自分の歩む人生まで大きく変えたこの女の答えを、ずっと知りたいと思っていた。彼女は何を思い、何を目的に生きているのか、それはどんなに考えても分からなかった。 完成したアップリケを机に置き、ハミュッツは大きく伸びをする。そして、少し考え込むように頭を掻いた後、一言だけ答えた。 「う〜ん・・・忘れちゃった」 4話目はこれで終わりです。相変わらずの駄文ですが、マットさんとハミの関係を書けて満足です
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