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名無しさん@ピンキー
愛するが故に無理やり…… Part9

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愛するが故に無理やり…… Part9
289 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:21:22.97 ID:v7K21nDt
異種姦?注意
童話ネタでムラムラきたので
愛するが故に無理やり…… Part9
290 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:21:56.23 ID:v7K21nDt
 ブルーベルは嘘吐きだ。
 嘘吐きなので友達がいない。恋人がいない。親がいない。


 石造りの獣の屋敷はひんやりとしていて、名前通りの臭気を感じ取ることはできなかった。
 ブルーベルはそのことをやや意外に思いながら、おそるおそる奥へと進む。どなたかいらっしゃいませんか、と声をかけ続けるのを忘れずに。
 彼女は不機嫌だった。人の――いや、よりによって獣の屋敷に勝手に立ち入り、徘徊しているのにはわけがある。
 彼女のコートが端的に物語っているように、嵐に襲われたのだった。一人旅の途中、とぼとぼ歩いているときにひどい雨と雷に見舞われたのだ。
 遠くで雷鳴が轟いた。ブルーベルはしばし息を止め、立ち止まって鼓動が静まるのを待つ。彼女は雷が何よりも苦手だった。
 寄りかかることのできる何かが欲しかったが部屋にまで勝手に入るのは躊躇われた。ただでさえここは近隣で有名な獣の屋敷なのだ。
 隣町での滞在中、恐ろしい獣の姿をした男が棲む屋敷の噂をブルーベルは幾度となく耳にした。
 ブルーベルの容姿に惹かれて声をかけてきた男が、彼女が怖がるのを期待するように教えてきたのだ。夜は低い唸り声が絶えず響き、一歩入れば身の毛のよだつ獣の臭いが、云々。
 よもや立ち入ることなどないだろうと思っていたので、適当に聞き流していたのだが。
 また光。雷鳴、どこかに落ちる音。
 ブルーベルは思わずしゃがみこんだ。獣の男なんかより雷の方がよっぽど怖い。
 目を閉じ、耳を塞ぐ。
 どうせ動けなくなるならばどこかの部屋に入ろう、とブルーベルは顔を上げ――短い悲鳴を上げた。
 彼女の前に獣が立っていた。焦茶色の長い体毛に全身を覆われた獣。獅子のような顔と、牛のような身体と、馬のような尻尾。二足で立っているが、服は着ていない。
 獣が口を開いた。顔中が裂けたかのような大きな口で、鋭い牙が並んでいるのが見てとれた。
「ご挨拶だな」
 低い、唸るような男の声。意味が分かる、とブルーベルは思い、どうにかこうにか短く返事をした。
「申し訳ありません」
 獣は唸った。小馬鹿にするような響きを感じ取り、ブルーベルは獣の金色の目を見て付け足す。
「雷が恐ろしくて。どなた様のお屋敷とも存じ上げておらず……この雷鳴にどうしても耐えられなかったのです」
 折悪く、鋭い光が差し込んだ。立ち上がりかけたブルーベルは足を竦ませ、また目を閉じる。
「嘘であろう」
 獣が言った。ブルーベルが首を傾げると、獣ははっきりと嘲笑した。
「お前はただ逃げて来ただけだ。隣町で男どもから盗みを働き、この屋敷ならば誰も来ないと踏んだのだろう。うまくすれば獣のような主人を籠絡して、しばらく住んでやろうとでも考えていたかも知れぬ。私が本物の獣で残念だったな」
 努めて怯えた風を演じながら、ブルーベルはその実驚愕していた。
 獣の喋ったことはまるきり真実だったのだ。
 もしや彼女が盗んだ相手のうちの誰かと知り合いなのだろうか。
「いいえ、まさか、私は本当に――」
「その腕輪は盗んだものだな」
「父の形見です。盗んだものなどではございません」
 袖で腕輪を隠して、ブルーベルは立ち上がった。一刻も早くこの城を出なければならない。
 うまく言って引き返そうと決めたとき、また稲光が廊下を照らした。
 ブルーベルは目を閉じる。両手で耳を塞ぎ、それでも足りずに何か叫んだ。
「助けてください」
 そういう意味の言葉だったけれど、雷鳴にかき消され、獣に届いたのかは定かではない。
 とにかくブルーベルは、意外に柔らかい獣の毛に縋り付いた。高い体温と野性味のある匂いを全身で感じて、どうしてだか彼女は心底安心した。
 少しの計算と、九割方の投げやりさでもって、ブルーベルは獣の袂へ飛び込んだのである。
愛するが故に無理やり…… Part9
291 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:22:46.31 ID:v7K21nDt
 十歳のときに両親が死んだ。ありきたりなことにそれも嵐の夜で、ブルーベルは一人きりになった。
 盗みを覚えたのは十二歳のときだ。住み込みの仕立屋の売上金を盗んだと疑われたのがきっかけだった。どうせ疑われるのならば本当に盗んでやろうというやさぐれた反抗心でもって彼女は泥棒になった。
 幸いにしてブルーベルは美人で、金髪碧眼の一見して豪華な見た目であったので、盗む相手は自分から近寄ってきてくれた。嘘を覚え、騙すことを覚え、罵られることも覚えた。
 気が付くと、両親が死んでから十年が経ち、ブルーベルは名前と見た目だけが美しい、どうしようもない汚れた女になっていた。


「薄汚い女め」
 全くもってその通りである、とブルーベルは思った。自覚はあったので、獣のその言葉も、嘲るような眼差しも、特段心揺らされるものではなかった。
 ただやはり獣の姿には異様さを覚え、彼女は身を縮こませた。ブルーベルを抱きかかえた大きな獣は、金色の瞳で時折彼女を覗き込む。
 二階に向かっているらしい。そう揺れもせず、移動している。
 獰猛な見た目とは裏腹に、獣は腕の毛も腹の毛もふかふかで、ブルーベルはくすぐったさを我慢するのに必死だった。
「歩けます」
 言ってはみた。もちろん。
 獣は無視して、珍しそうにブルーベルの金髪を太い指に絡ませている。
 とって食うのに邪魔だと思っているのだろうか。
 ブルーベルは少しだけ不安になった。

 お姫様のように連れて来られたそこはどうやら寝室で、しかしまあお姫様のような扱いは期待できまい。
「ありがとうございます」
 ひとまず運んでもらった礼を言い、ブルーベルは考えた。獣はなかなか立ち去らない。金目のものも見当たらない。雷は止まないし、できたら一人になりたくない。たとえ相手が異形の獣でも。
「お名前をお聞きしてもいいですか。私はブルーベルと申します」
 ブルーベルは尋ねてみた。にこりとでも笑えれば良かったのだろうが、彼女は笑顔が苦手――という次元ではなく、もう何年も笑っていない。
 とにかく、ブルーベルは人形じみた無表情でそう尋ねた。
「フォーヴ」
 風の音のような名だ。ブルーベルは口の中で繰り返し、勇気を出して言う。
「では、フォーヴ様。このお部屋をお借りしてもよろしいのですか」
「…………」
 フォーヴと名乗った獣は、牙を覗かせながら何かを言った。
 ブルーベルが聞き返すと、たっぷりした尻尾を自らの足に打ち付け(ブルーベルは驚いた)、これまた小さい低い声で、獣が言う。
「ただで泊まるつもりか」
 ブルーベルは困ってしまった。先程からこの獣に聞きたいことはたくさんあったのだが、とりあえずこのあたりをはっきりさせなければならないらしい。
「お礼は致します。ですがお金はないので……」
 嘘である。フォーヴは鼻を鳴らした。
「掃除や料理など致しましょうか」
「結構」
「腕輪は差し上げられません。父の形見で……」
「嘘もいい。お前の持つものはそれだけか」
 ああ、とブルーベルは思った。
 一つに結っていた髪を解き、背中に腕を回す。編み上げの紐を緩め、服を脱いだ。雨を吸ったワンピースは重々しく足下に落ち、ささやかな音を立てる。
 フォーヴがまた尻尾を足に打ち付けた。
 ブルーベルは装飾品も外し、「持てる全て」を獣に晒す。
「薄汚い女ですが、こんなものでよろしければ」
 獣は動かない。ブルーベルは訝しみ、違いましたか、と尋ねた。
「…………違わない」
 この獣は話す声も風の音のようだ、とブルーベルは思う。
 頬を撫でる手も毛むくじゃらでやっぱりくすぐったい。長い爪を視界の端に捉え、彼女はそっと息を吸い込んだ。
愛するが故に無理やり…… Part9
292 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:23:46.29 ID:v7K21nDt
 フォーヴは野獣だ。身も心も野獣なので友達がいない。恋人がいない。親がいない。
 今いるのは客人が一人、嘘つきの泥棒女だ。


 この地方の領主の息子だった彼は、ひどく傲慢な男だった。気に入らない者は貶め、蹴落とし、口を開けば策略と計算の甘言雑言でもって国政でものし上がろうとした。
 三十になる頃には父の後を継いだ。彼はますます身勝手になった。使える相手には媚びへつらい、民には厳しい、まこと薄汚い男になっていった。
 ある日のことだ。
 町の酒場で飲んでいたとき、彼はとても美しい娘に出会った。身なりはみすぼらしかったが、たっぷりと艶やかな金髪はどんな装飾品も不要なほど美しく、印象的な青い目は宝石のように角度によって輝きを変えた。
 彼は娘を宿屋に誘った。酒を勧め、勧められ、気が付くと朝だった。
 彼は呆然とした。懐に入れていた財布が消えており、大切な腕輪も、懐中時計も、眼鏡の鎖までもがなくなっていた。
 娘は夢のように消え果てている。
 しばし、彼は獣のように唸った。

 その悔しい出来事の翌日、とても暑い寝苦しい夜に、彼は夢を見た。
 薄暗い道を歩いていると、老婆が一人、彼に語りかけた。
 老婆が何と尋ねたのか、それがどうしても思い出せない。とにかく彼は夢の中で、老婆の質問に答えた。すると彼女はこう言った。
 お前はけだものだ。
 身も心もけだものになるがいい。
 びっしょり汗をかいて、男は目覚めた。
 荒い息を整え、ようやく落ち着いたところで腕の違和感に気付いた。
 悲鳴を――雄叫びを上げる直前、夢で会った老婆の声がした。
 人間に戻りたければ、誰かを心から愛し、愛されなければならない。
 彼は絶望し、咆哮した。
 愛したい女も、愛してくれる女も、いやただ一人の友人ですら彼にはいない。ましてや変わり果てた彼の外見では、この先どんな愛を望めるだろうか。
愛するが故に無理やり…… Part9
293 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:24:34.12 ID:v7K21nDt
 何の因果だろうか――考えて、フォーヴは頭を振る。一体どこからを指して運命を恨めばいいのか彼には分からない。
 久しぶりに出会った人間の雌は、彼が獣になる前に最後に出会った娘だった。少し大人びてはいるが忘れはしない。フォーヴが唯一騙された女で、美しいと思った女だった。
 ただ、違和感があったのは、ブルーベルと名乗ったその女が全く笑わないことだった。フォーヴの姿が恐ろしくて笑えない可能性も否定出来ないが、以前出会った彼女は輝くように彼に笑いかけた。
 その笑顔を思い出し、フォーヴは恥じ入った。それでころりと騙されたのだ。三十路過ぎの男が。
 今、ブルーベルの表情は面を付けたように動かない。恐ろしがったり、驚いたりはするが、微笑みだけが欠片も浮かばない。媚びへつらうべき場面があったにも関わらず。
 腹立たしかったのは、フォーヴが遠回しに要求したのに対し、あっさりと服を脱いだことだ。恥ずべき娼婦め、と断じ、軽蔑しながらも彼は彼女の裸から目が離せなかった。
 女を抱くのはどれくらいぶりだろうか。二年、いや三年。もともと女嫌いの気があったため、そう経験が豊富なわけでもなかったが、どうしようもなく女の欲しくなる夜もあった。もちろん、叶うはずもなく一人で慰めていたのだが、人肌恋しさはそれで止むものでもない。
 フォーヴは鼻先をブルーベルの喉元に押し付けた。何はともあれ、久しぶりの女である。嘘つきだろうが笑わなかろうが、女の体であれば何も問題はない。
「女よ」
 大きく、分厚い舌で白い喉を舐めあげる。
「獣に抱かれる気分はどうだ。ここまで堕ちる娼婦もおるまい」
 話し掛けて、彼は気付いた。人と話すことすら久しぶりだ。罵り、嘲ることの心地良さも。
 ブルーベルは首を傾げた。無表情の幼い仕草は何がとは言えず不均衡で、フォーヴはしばし彼女を見つめた。
「気分は特に悪くありません。あなたの毛並みは柔らかい」
 白い細い指が、フォーヴの二の腕の毛に絡まった。彼は何か言おうと口を開いたが、すぐには言葉が浮かばなかった。
 触れられた腕を動かすのにもしばらくの時間が要った。彼は先程よりもぎこちなく女の身体を舐め、シーツに広がる鬱金の束を指で触った。
「髪が気に入りましたか?」
 ブルーベルが言った。迂遠なことばかりしている、とフォーヴは気付いた。
 質問は無視して、彼はペニスを女に示した。先程から主張していたそれは彼の身体ほどは大きくないものの、人間の時より大きくて長い。形も異なり、鞘から飛び出た部分は赤く、根元が少し膨らんでいる。
 フォーヴが何か言う前に、ブルーベルは合点したようだった。物珍しそうに彼のものに近付き、まじまじと見ている。
 ブルーベルは金髪をかきあげた。幾つかはそれでもさらさらと彼女の顔の横を流れ、彼のペニスに触れた。フォーヴは無言でそれを見つめ、ただ深い息を吐いた。
愛するが故に無理やり…… Part9
294 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:25:15.67 ID:v7K21nDt
 清楚な形の唇が獣のペニスの先端に触れた。柔らかな手の平が長い幹を優しく撫でさすり、鞘をさらにぐいと剥く。
 ぷるぷるの唇が真っ赤な幹を飲み込んでいく。熱い、濡れた舌が蠢き、剥き出しになった敏感な粘膜を刺激する。
 フォーヴは背を震わせた。
 先端が喉に当たる感触があった。吸い上げられ、思わず声を漏らす。じゅるるる、とはしたない、二人に相応しい音がした。
 根元の膨らみが大きくなる。女はそれに興味を引かれたようだった。ペニスを吸い上げ、頭を前後させながら、こぶを撫でている。
 その指先にブルーベルの髪が絡んでいた。しゃりしゃりとくすぐったい感触と、頼りなく輝く金髪の色を見、フォーヴは早口で言った。
「髪で擦れ、もっと」
 ブルーベルが顔を上げた。不思議そうに彼を見る顔の中で、口元が濡れて輝いている。
「吸わなくていい。唇で触れるんだ」
「はい」
 相変わらずの無表情で、ブルーベルは凶暴な形をした赤い棒にキスをした。長い髪を掬い取り、幹に絡ませる。
「こうですか」
「……ああ」
 ブルーベルは両手を使って扱き始めた。言いつけ通りに獣の性器にキスをまぶしながら。
 フォーヴは毛むくじゃらの手でブルーベルの頭を撫でた。全くそうではないと分かってはいるが、キスをする仕草は愛おしげで、何となく可愛らしい。
 艶やかな髪は細かな刺激を与えてくれる。普段露出することのない獣のペニスは敏感で、さらに言えば久しぶりの他人の手による愛撫である。
 フォーヴは呻き声を上げた。視界が眩むような快感だったが、自分のものに鬱金の髪が絡む様子をどうしても目に焼き付けたかった。
「出ますか?」
「……」
 迷った。
 フォーヴは苦渋の思いで決断し、女の顔を引き離す。
「こんなことで済むと思ったか」
 フォーヴは乱暴に女の腕を掴んだ。突き飛ばして、後ろを向かせようとしてのことだったが、勢い余って引っ張る形になる。
 ブルーベルがすっぽりと、フォーヴの胸元に嵌った。毛並みを押し除けるささやかな重さに、彼はびくりとした。
 ブルーベルは動かない。どうしたことか、フォーヴも動けない。
 動揺しているのだと彼には分からなかった。
「意外に柔らかい毛並み」の中で、ブルーベルが身じろぎした。いつの間にか――本当にいつの間にだろうか、彼女を抱きしめていたフォーヴの両腕も、それで僅かに動いた。
 ブルーベルがフォーヴを見上げた。長いまつ毛と、青い目が彼の真ん中にあった。感情を示さない女は、獣と目が合うとしばらくして俯いた。
愛するが故に無理やり…… Part9
295 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:26:34.61 ID:v7K21nDt
 と、部屋が真っ白く輝いた。雷だ。先程から気付かなかったが何回か光っていたのだろうか――フォーヴはまた固まった。
 ブルーベルの腕が、彼の太い、分厚い胴体をぎゅっと抱き締めたのだ。
 後ろから犯すつもりだった。薄汚い獣が薄汚い女を抱くにはそれが似合いだと思ったからだ。
 抱き着くブルーベルの身体をフォーヴはそっと抱き上げた。紙のように軽い、と思いながら、その尻を掴む。
「あ」
 ブルーベルが声を上げた。柔らかい弾力を味わいつつ、爪が食い込まないように気を使う。傷付けてもよいのだが、取り敢えずはばか丁寧に、フォーヴは彼女を自分の腿の上に、ペニスの沈み込む位置に導いた。
 雷。光、音。彼を抱く女の腕力。
 フォーヴは無言でペニスを女の入り口に当てがった。驚くべきことにそこは濡れていて、彼の剛直はするりと侵入した。
「あ、あ、入っ――あ、んっ」
「…………」
 彼は息をついた。ブルーベルを、その金髪ごと抱き締め、長い毛並みの中に閉じ込める。彼女の腕が震えている。ああ、と切ない声を上げ、ブルーベルは今日一番微笑みに近い、うっとりとした顔をした。
 愛し合う恋人同士が抱き合うように。けれど一匹は獣で、野獣が娘を抱き殺そうとしているかのようにも見える。フォーヴは小さな彼女を腕の中で揺すりながら、久方ぶりの女を味わう。
 強いとは言えない微妙な刺激だが、どうしてだかとても心地いい。抱きしめられるのも、女がすっぽり腕に入っているのも。
「あ、あ、あっ……」
 軽く揺すると、女は声を上げた。優しい、いやらしい声だと彼は思った。もっと聞きたい、と。
「あの、あなたの、こぶ、がおっきくて」
 とろんとした顔で女が言った。
「長くて、あの、私、とても……」
「とても、何だ」
「いえ……んっ」
 フォーヴは女の身体を反らせた。たわわに揺れる胸を掴み、その先端を指の腹で転がす。乳房はフォーヴの手の平の中でたぷたぷと揺れ、彼は何度もそれを楽しんだ。
 はぁ、とブルーベルが熱い息を吐いた。
「ああ、ふくらんでます、あなたの……」
「ああ。射精が始まるとお前は人間でもない、ただの肉の杭みたいに俺に繋ぎ留められる」
 ブルーベルは聞き取れない大きさで、曖昧な返事をした。
 金色のつむじがフォーヴの目を引いた。接吻としか例えようのない動作で、彼はそこに自分の唾液を付けた。
愛するが故に無理やり…… Part9
296 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/09/19(金) 02:27:32.46 ID:v7K21nDt
「正直に言えば許してやる」
「はい……っ、何を、」
「その腕輪を盗んだ夜のことを覚えているか」
「ああっ!」
 返事が聞きたいのか聞きたくないのか。フォーヴの頭は理性的でなくなり、一際強く彼女を突き上げた。
 ブルーベルが晒した白い喉を片手で掴み、彼はそこに爪を食い込ませる。
「覚えているか、と聞いている」
「覚えて、います」
 心臓が鳴った。俺の心臓が、とフォーヴは思った。
「どんな相手だった」
 喉を掴む手に力が入る。ブルーベルが涙を滲ませた。両手でフォーヴの右手に取りすがり、彼は気付いて力を緩める。
「嫌な、男でした」
 フォーヴはブルーベルを再び強く抱き締めた。それで女が死んでも構わないと彼は思った。
「他には」
「何も。他の、男と同じです。間抜けで、偉そうで、私のことを馬鹿にする――苦しい」
「苦しめてるんだよ」
 人形を抱くように、女を動かす。二、三度の往復でフォーヴは爆ぜた。だらだら零れていただろう透明な液が、白い、勢いのある精液に取って代わり、彼はじっとブルーベルを抱き締めた。
「あ、あ、だめ……」
「これで、お前は、子宮の中まで」
 俺の、と言いかけて、やめる。
 何を言おうとしたのだろうか。結局何の言葉も継がず、フォーヴはもう一度金髪に口を寄せた。舌で舐め、食み、べとべとにして吐き出す。
 ブルーベルは逃げなかった。彼女の膣内でフォーヴのこぶは膨らみ、一滴の逆流も許すまいと栓をしている。
「しばらくこのままだ。汚らわしい肉め」
 はい、とブルーベルは答え、俯いた。息は荒く、乳房も、腰も、小刻みに震えている。
「あの、お腹が、熱いです……」
 ブルーベルが額を毛並みに埋めた。もごもごと喋る声はさらに続く。
「こんなに、たくさん出ちゃって、蓋をされて……」
 煽られた、とフォーヴは思った。射精は終わりかけていたが、固いペニスをぐりぐりと女の子宮口に押し付ける。
「ああ、だめ……! おねがい、やめて下さい」
「ここに」
 白い腹を獣の手でなぞる。ペニスが入っている上をとんとんと叩きながら確かめる。
「獣の汚いものが入っている」
「はい……っ」
「盗みをして逃げてきたばかりに犯されて、子種をたっぷり注がれて」
「あ、あ、やめ、ぐりぐりしない、で!」
「分かるか? 腹の中いっぱいにしてやる」
「はい……!」
 ブルーベルは泣き出していた。首を振り、青い目で獣の顔を見つめている。彼女の三倍はある獣にしがみ付き、必死に耐えていた。
「泣きはするのか」
「はい、はい、あ――」
「……笑わないのか」
「それは――ああああ!」
 ブルーベルが全身を震わせた。涙が頬を伝ってフォーヴの焦茶の毛を転がる。
「あ――はっ、あ――」
 背を反らせ、びくん、びくんと痙攣し、ブルーベルは脱力した。ことりと頭をフォーヴの胸に預け、しばらく早い、甘い声の混じる呼吸をした。
 フォーヴは耳を澄ませてそれを聞いた。彼女の背には彼の付けた傷が幾筋も残っている。
「……汚くは、ないです」
 ブルーベルが小さな声で言った。
「私の方が汚いので、むしろ、あなたが、汚れたと思います」
 ぎゅ、とブルーベルを拘束し、フォーヴは彼女の耳を舐めた。
「そうか」
 短く言って、目を閉じる。
「それはそれで構わん」
 誰も見ているものはいなかったが――もし彼らが、客観的に自分達を見ることが出来たとしたら、まるで揺り籠で子どもをあやしているようだと思っただろう。
 それぐらいの甘やかさで二人は繋がっていた。それからの長い時間、ブルーベルは時折微睡み、フォーヴは彼女の髪や耳を舐め、交尾はだらだらと続いたのであった。


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