- 戦う司書でエロパロ
608 :名無しさん@ピンキー[]:2014/09/18(木) 15:44:12.39 ID:TTJN8VLY - 教室に戻ると、委員長のミレポックがクラスメートたちに囲まれ、質問攻めにされていた。
男子か女子か、どこの高校から来たのかなど・・・。次々に来る質問に、ミレポックは完全に困惑している。 「ほら、委員長も困ってるから、席に戻れよ」 大きな心と身体の持ち主のルイモンが周りの生徒達を諭し、いくらか教室は静かになったが、 ホームルームを前に、皆そわそわと落ち着かない様子だった。時計の針が8時10分を少し過ぎた ところで教室の扉が開き、担任のハミュッツが現れる。目を覆うまん丸の眼鏡に、 ボサボサの黒髪を無造作にリボンで纏めた、いつものスタイルだ。足下は便所サンダルで、 綿のシャツは大きくはだけ、豊満な胸の谷間が丸見えである。このだらしない服装の教師を見て、 転校生は果たしてどう思っているのだろうか・・・。委員長の号令と共にホームルームが始まり、 起立・礼・着席を済ませると、いつもの間延びした口調でハミュッツが話を始める。 「はぁ〜い、みんな今日も元気かなあ?何かもう知ってるみたいだけど、今日このクラスに 転校生が来るわよう。じゃ、早速入ってきてちょうだい」 ハミュッツの合図とともに、扉の外から長身の男子生徒が現れる。しかし、その服装を見た瞬間、 教室が一斉に静まりかえった。膝丈よりも長い黒の学ランに、鍔付きの学帽。バントーラ高校は 服装規程の緩い校風ではあるが、下駄を履いている生徒など見たことがない。学帽の下から流れる 透明な髪も他にない特異な色で、異様さを際立てていた。ノロティのすぐ前の席に座るキャサリロが 後ろを振り向き、こっそりと耳打ちする。 「ねえ・・・あの学ラン、溺高の制服だよね?」 「え?う、うん・・・」 徐々にざわつき始める生徒たちに構うことなく、ハミュッツはマイペースに紹介を始める。 「エンリケ=ビスハイル君よう。今日からクラスの一員だから、みんな仲良くするのよう。 じゃ、君からも自己紹介してちょうだい。」 クラスにやってきた大柄な転校生はにこりともせず、淡々と話し始める。 「名はエンリケ=ビスハイル。神溺工業高校から来た。・・・今日から頼む」 それだけ言い口を閉じるエンリケに、ハミュッツはポリポリと頭を掻く。 「・・・うーん、転校生が来るときって、もうちょっと楽しそうなイメージだったんだけどなぁ。 そうねえ、あんたたちからも質問はない?」 よく見ればイケメンであるが、強面で無愛想な転校生、しかも恐らく札付きの不良相手に、なかなか 質問の手が上がらない。基本気の良い連中ばかりであるが、こればかりは皆戸惑いを隠せない。 しかし、気まずい雰囲気の中、互いの顔を見合わせるばかりの生徒達の中から一人、手を挙げた少女がいた。 細く引き締まった腕を真っ直ぐ挙げる少女の方を全員が注目した。漸く手を挙げた生徒をハミュッツは指名する。 ノロティは椅子から立ち上がり、仏頂面の転校生に大きな瞳を向ける。エンリケもノロティの顔を真っ直ぐに見据える。 「あの、あたし、ノロティ=マルチェっていいます!部活はチアリーディングに入ってて、好きな授業は体育です。 エンリケさんはその・・・前の学校では部活とか入っていましたか?」 快活な少女の質問に、学ランの転校生は律儀に答える。 「前の学校に、部活はなかった。生徒が暴れすぎたせいで・・・全部廃部になった」 「じゃあ、入ってみたい部活ってありますか?うちの学校、部活にも力を入れてるから 大きい大会に出られるところもたくさんあるんです!」 転校生にもう慣れたのか、屈託ない笑顔で質問をぶつけるノロティに皆驚くが、部活に関しては 皆興味のあるところだった。クラス全員に見つめられ、照れくさそうに俯くエンリケだったが、 しばらくし、ぽつりと呟いた。 「・・・・・・お笑い研究会。」 「え?」 「・・・ずっと、笑ってみたいと思っていた。この学校には、お笑い研究会があると聞いたことがある。 だから、そこに入るためにこの学校に来た」 衝撃的な答えにびっくりする一同であったが、このやり取りのおかげで、この後少しずつエンリケは クラスに馴染むことができるようになった。しかし、肝心のお笑い研究会が部員不足と生徒会による 経費削減で昨年廃部になったことは、ハムロー兄弟を除きまだ誰も知らないのだった。 二話目終わり。
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