- 【パチンパチン】ブラックラグーンVOL.16【バシィッ】
332 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:13:53.18 ID:aA09wrc+ - 今日のロアナプラも例外なく暑かった。
昨夜レヴィは部屋で一人飲みを開始し、いつの間にか気分良く眠ったのは覚えている。 朝、うだる様な暑さで起きた時、部屋中が穴という穴で埋め尽くされていた。 どうやらまた酔っ払って、カトラスをぶっ放しまくったらしい。 クーラーに大きな風穴が空いて、動いていない。 「あー!クソっ!」 行き場の無い怒りが部屋中に響いた時、大きな音を立ててクーラーが床に真っ二つになって崩れ落ちた。 レヴィはその光景を見て大声を上げ、唖然と立ち尽くした。 その一時間後。 レヴィの姿は暴力協会の礼拝堂の中にあった。 折角のオフを暑い部屋で過ごすのは耐えられないと、酒瓶を抱えてエダの所へ押しかけてきたのだ。 涼しい所で飲めればいい、そう思っていたのだが。 「なぁーロックとヤったんだろぉ?さっさと白状しろよぉ」 先程から壊れたラジカセの様に何度も繰り返される同じ質問に、正直うんざりしていた。 「だーかーらー。言いたくねェって言ってんだろ」 「酒のツマミには丁度いいだろぉ?聞かせろよぉ」 こいつは何としても吐かせたいらしい。 あー…そろそろカトラスの出番か? 金属音がレヴィの脇の辺りで、小さく鳴る。 何としても話す気はないレヴィと、何としても吐かせたいエダ。 そろそろレヴィの短い導火線に火がつくか…そんな緊張感の中、エダは溜息をついて手に取ったボトルを傾け、酒を注いだグラスをテーブルの上を滑らす様にレヴィに差し出した。 「どうしても言わねェってンならコレ飲めよ、一気でな。そしたらもう聞かねェよ」 なみなみと注がれた、見慣れたバカルディ。 レヴィは一瞬疑いに眉を顰めて、疑う様な眼差しをエダに向けるとそっとグラスを手に取る。 「…ホントだな?」 「ああ、嘘なんかつくか」 これで解放されるなら…と、グラスに口を付ける。 変な匂いはしない。いつものバカルディだ。 エダが見つめる中、レヴィは言われた通りに一気にそれを喉に流し込んだ。 レヴィの喉が上下する時、一瞬エダのサングラスの中でブルーの瞳が怪しく光ったのは気のせいだろうか。 「…ほら、お望み通り飲んでやったんだ。この話はナシだぜ」 「へいへい」 心底面白くなさそうな顔で、自分のグラスの酒を煽るエダ。 レヴィもまた、空になったグラスに酒を注ぐとちびちびと口を付けた。
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333 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:15:31.27 ID:aA09wrc+ - 「ん…?」
自分の身体がガタガタと揺れていることに気が付いて、レヴィは目を覚ました。 「あ、起きた」 「…ロック?」 隣には何故か車のハンドルを握ったロックの姿。 自分は何故か背もたれの倒れた助手席に乗っている。 「………は?」 「やっぱり…覚えてない?」 戸惑うレヴィを横目に、ロックは呆れた表情で運転を続ける。 ロック曰く、教会で飲んでいたらいつの間にか寝てしまった自分を呆れたエダがロックに連絡し、ロックはわざわざ車を借りて迎えに来た、と言うことらしい。 潰れる程の量なんて飲んだだろうか…ぼやけた頭で考えてみるものの、よく分からなかった。 「部屋に送って行けばいいだろ?」 「ああ……いや」 「ん?まだ飲むのか?あんだけ飲んだ癖に…また迎えに行くのは正直面倒だ」 「クーラー壊れてンだよ!このクソあちぃ中に居たら干上がンだろ」 今家に帰るのは、遠慮したい。 だからと言って、今からイエローフラッグに行っても(ムカつくが)ロックの世話になりかねない。 さて快適につかの間のオフを過ごすにはどうするべきか…考え始めるレヴィ。 「…俺の部屋に来る?」 視線はフロントガラスの向こう側に固定させたまま、ロックが普段通りに話す。 「…………あ?」 「クーラー壊れてんだろ?俺の部屋のは壊れてないから…ん?何て言うか…その…酷い顔何とかならない?」 口をあんぐりと開けて彼の方を見るレヴィの表情たるや、鳩が豆鉄砲食らった位じゃ済まない程酷いものだった。 まぁ、レヴィが驚くのも無理はない。 まさかロックの口からこんな台詞が出て来るなんて、夢にも思わなかったのだから。 「……だ…誰がひでェツラだよ!手前の方がよっぽどひでェ!いつまでもホワイトカラー臭さが抜けねぇマヌケなツラしやがって!」 車内が静かになるだけの間があって、それを取り戻す様にまくし立てる。 そんなレヴィを横目に、呆れた顔で大きな溜息を零すロック。 「そんなに言わなくても、手出したりなんかしないよ」 「手………っ?!…ンなこたァわかってる!そんな事してみろ、ケツ穴増やすだけじゃ済まねェからな!」 「はいはい」 ロックの手がハンドルを回転させると、車が左に傾く。 自分の部屋の方とは違う道に逸れて行く車。 レヴィはまだ気付いていない。 自分の身に何が起こっているのか、それに気付くのはあと1時間後。 それから10分もしない内に薄汚れた建物の横で車が停まった。 車を降りると、建物の中にある薄暗い階段を上る。 あるドアの前でロックの動きが止まり、胸ポケットから鍵を取り出し慣れた手つきで鍵を開けた。 薦められるまま中に入ると、ひんやりした空気が漂う部屋は殺風景な程小奇麗に片付けられていた。 「へぇ…結構片付いてんだな」 「まぁレヴィの部屋よりはね」 口答えするロックをちらりと睨み付け、目に留まったソファーにレヴィは我が物顔でどかっと腰かける。 「何か飲む?冷蔵庫にシンハーとサンミゲルがあるけど」 「…ちっ。ピスしかねぇのかよ」 「文句言うなよ。ほら」 冷蔵庫を開けたロックが放り投げたサンミゲルの缶を片手で掴む。 プルタブを倒すと、子気味好い音を立てて泡立った液体があふれ出す。 飲み口に口付け缶を傾けると、良く冷えた液体が喉を通って行くのが心地よかった。 その後は別に二人で何かする訳でもなくお互いのしたい事をし、たまに会話をし、だらだらと過ごした。
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334 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:16:13.94 ID:aA09wrc+ - あまり興味のない雑誌をめくったり、よく分からないタイ語のテレビを眺めながら、レヴィがビールを5本ほど空けた頃。
ソファーに腰掛けていたロックが、何かを思い出しかの様に立ち上がる。 レヴィの視線が自然にロックに移る。 「車、返してくる。適当に漁って構わないけど…散らかすなよ」 「へいへい。…さっさと行っちまえ」 早速ソファーに寝転ぶレヴィに、やれやれと眉尻を下げながらロックは開けたドアを静かに閉めた。 廊下に響く革靴の音が遠ざかって行く。 全く聞こえなくなると、レヴィはため息を漏らした。 ――手ェくらい出せよ。バカ野郎 手を出すなと言ったのは自分だが、全く何もされないのも何だか悲しい。 矛盾した気持ちを抱えたまま、ソファーの上で寝返りを打つと瞳を閉じる。 うとうとし始め、このまま寝てしまおうと思ったその時。 「……ん?!」 身体の奥が熱くなっていく。 何をしているわけじゃ無いのに、とろりとした愛液が滲み出るのが分かる。 「…んっ…はぁっ…」 腰を揺らめかせ、必死に何かに耐える。 じわじわと這い上がって来る様な何とも言えない感覚に、ゾクソクと背中が震える。 ――なんだ…コレ… 今まで味わった事のない感覚に戸惑う。 歯を喰いしばってみても、身体を抱く様に丸めてみても変わらない。 代わりに股の間から、くちゅ…と卑猥な水音が聞こえるだけ。 「…クソっ!どうなってや…がる…」 とりあえず水でも飲んだら落ち着くだろうか…そう思い立ち上がろうとした時、膝から力が抜けて身体は再びソファーに崩れた。 何度立ち上がろうとしても、膝も腰も言うことを聞かない。 心当たりを探して、ひとつの結論に辿り着く。 何かがおかしいと思った時点で辞めておけば、と思ってもそれは後の祭りで。 レヴィの吐く息が急に荒くなったのは、酒の所為だけではないだろう。 しかし、今はそんな事で怒っている場合ではない。 この熱く疼く身体をまずなんとかしなければ。 そろそろとベルトに手を掛ける。 金属音を立ててベルトが外れ、下着の上からそっと割れ目をなぞると、そこは触れてもいなかったのに下着の意味を成さない位に濡れていた。 「はぁ……っん」 そっと膨れ上がった突起に触れる。 微かな刺激にも関わらず、身体は強烈な刺激を与えられた様な反応を示す。 我慢できず下着の隙間から直に触れると、自身が分泌した潤滑油で溢れかえったそこは簡単に指を受け入れた。 「ん……ふ…あっ」 熱くぬめる液体の中、探りながら奥へと進む指。 ざらりとした内壁を指の腹で擦り上げると、背筋に小さな電撃が走った。 重点的にその場所を刺激する。 何度も何度も指を出し入れし、快楽を貪る。 あと少し…と熱に浮かされながら指を動かしていると、ドアの向こうから先程出て行った靴の音が聞こえる。 ――マズい! 段々と近づくその音に、慌てて指を引っこ抜いた。 てらてらとぬめりを纏った指を近くにあったちり紙で拭い、ベルトの金具をひっかける。 程なくして鍵が回され、ドアが開く。
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335 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:21:24.52 ID:aA09wrc+ - 「ただいまー…あれ、レヴィ起きてたの?」
「…お…おう」 片腕に紙袋を抱えたロックがきょとんとした顔で見ている。 バレるんじゃないかとそれどころではないレヴィは、無意識に視線を逸らした。 「…具合でも悪い?顔赤い」 「っ!…何でもねェ…」 「何でもなくないだろ…ほら」 ロックが隣に座った…そう思った瞬間。 レヴィの両の頬を包むように触れる掌。 「ちょ…おま…!何す…」 「いいから黙って」 静止を促す低い声に、レヴィの口が閉じる。 段々と近付く顔の距離に、思わず瞼を閉じた。 お互いの息遣いを感じる距離。 キスされる――そう思ったのも束の間。 触れたのは唇同士ではなくて、額だった。 「うーん…やっぱ少し熱いな…」 ロックが心配そうな声で呟く。 少し残念な気持ちはあったものの、そんな彼を余所に心臓はバクバクと早鐘を打つ。 こんなにも近くにロックの顔があるのだから、至極当然な事。 それに変なものを飲まされて、妙に昂ぶっているのもある。 そっと瞼を薄く開くと、唸る彼のワイシャツの襟からちらりと見える鎖骨。 普段きっちりとネクタイを締めているので見えない所が、見えているのが妙に興奮する。 自分に変な性癖があるんじゃないかと疑う位に。 これ以上はまずい、レヴィはゆっくりとほんの少し額を離す。 「…ロック、違うんだ。病気じゃねェ」 「…どういう事?」 「クソ尼と飲んだ時、多分…盛られた。睡眠薬と……催淫剤か何かをな」 恐らく話さなかったレヴィへの腹いせかなんかだろう。 考えれば考えるだけ胸糞悪い話だ。 「………あー…そういう事か」 妙に納得した表情で、彼はレヴィの頬をを包んでいた手を離す。 冷気にさらされて消えていく温もりが、妙に寂しかった。 「迎えに行った時、エダが気味悪く笑ってたから、何かあるなと思ってたけど…なるほどね」 「まぁ…そういう事さ…だから…あたしから離れろ。何すっかわかんねェ」 荒い息遣いのまま、レヴィは震える手でロックの胸元を押し退ける。 それは本当に弱い力で、いつもの威勢の良い二丁拳銃とは思えない程か細い。 「レヴィ…」 「こんな汚れた売女なんかと…二度もヤりたくねェだろ…?」 肩で息をしながら、薄く嗤う。
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336 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:22:41.21 ID:aA09wrc+ - 日本に行ったあの時、初めてロックと相棒というボーダーラインを超えた。
あのスクールガールとジャンボが死んだ日から、ロックはどこか遠くを見ていることが多くなった。 脚の怪我を心配しながらも、何処か心ここに在らずで。 笑っていたと思えば、ふと虚空を眺めていたりする。 耐えられなかった。 ロックが悲しんでいることではない。 ロックが悔しがっていることではない。 自分以外の誰かを憂いているのが、堪らなかった。 自分の事を考えて欲しい。 自分を見て欲しい。 その一心で半ば強引にロックを誘い、身体を繋げた。 結果良かったのか、悪かったのかは分からない。 自己満足と言われればそうかもしれないし、ただの慰安婦扱いされただけかもしれない。 それでも良かった。 ひとときでも自分の事だけを考えて、自分だけをみつめてくれたから。 だから誰にも「言いたくない」のだ。 独りよがり過ぎて、言えたもんじゃない。 あの日から二人の距離が縮まった様に思えたのは、日本という異国が見せた幻だったかもしれない。 ロアナプラに戻った二人はいつもと同じだった。 それでも、ここにいる限りはロックは自分を見て考えて、頼ってくれる。 それでいいじゃないか、と自分に言い聞かせてきた。 一度きりの幻だったが、次があるかもしれないと期待はしていた。 「銃」としての自分だけじゃなく、他の自分も求めてくれるんじゃないかと…。 しかし、いざ二人きりになっても素直になれないのが、レヴィという女。 ロックの方も、手を出して来るどころかその話題にさえ触れなかった。 「レヴィ」 優しさを含んだ声で名前を呼ばれる。 視線を移すと穏やかにレヴィを見つめるロックの姿があった。 「あの時レヴィが俺を慰める為に誘ったのは知ってる。心から救われた、感謝してる」 「別に…どうって事じゃねェ」 「でも…慰めでした事が、俺の中では許せなかった」 ロックの拳に力が入る。 穏やかだった表情が、苦痛に歪んだ。 「あたしは…あんたにボランティアしたかった訳じゃねェ…そうしてェからそうしただけだ。マスと変わンねェよ…」 「それは違う、レヴィ」 一瞬何が起こったのか分からなかった。 ただでさえ苦しい呼吸が、唇を塞がれた事によって更に苦しくなった事だけは、理解できた。 塞いでいたものがロックの唇と分かったのは、舌が口内に侵入してきた時。 自分の舌を絡め取られた時だった。 濃厚な二酸化炭素がただでさえ回らない頭を犯して、何も考えられなくなる。
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337 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:23:51.50 ID:aA09wrc+ - 「……はぁ」
やっと解放された唇は、酸素を求めて大きな溜息を零した。 「…ずっとこうしたかったんだ」 苦しい位に抱きすくめられて、震える声で告げられる。 ロックの顔は見えない。 見たい気もしたが、自分の顔も見れたもんじゃないと諦めた。 なんと言うか…そう、泣きそうなのだ。 身体が昂っていると、感情もそうなるのだろうか。 幼い頃ニューヨークのクソ溜めに置いて来た筈の涙が、視界を歪ませる。 「…抱いていい?今すごくレヴィを抱きたい」 「…………好きにしろ」 もう一度、唇が重ねられた。 「はぁ……んあっ」 部屋の片隅で吐息と甘さを含んだ声が聞こえる。 二人の結合部からは淫らな水音が聞こえ、合わせてベッドのスプリングが軋む音が、テンポ良く響いて部屋を満たしていく。 「あ…っロック…」 「…レヴィ…っ」 痙攣するレヴィの中と、その中で薄い膜越しで吐き出される白濁色。 感度の上がったレヴィの身体は何度絶頂を迎えようとも、収まる気配を見せなかった。 ロックがイくまでに何回自分がイったのかも分からなくなるくらい、レヴィはぐったり身体をベッドに沈めていた。 暫し繋がったまま、二人は息を整える。 「…もう、薬抜けた?」 ラテックスをゴミ箱に放りながら、問うロック。 やっと呼吸が整ったレヴィは、閉じていた瞼をゆっくりと開けた。 「…多分な」 「そう…じゃあもう一回」 レヴィの豊かな胸の先端に舌を這わせ、片方を掌でゆっくりと揉みしだく。 「もう大丈夫だって」 「だから、するんだ」 ロックの言いたいことが分からない。 混乱するレヴィを他所に、這い回る舌は動きを止めない。 奥で消えかけていた熱が、ゆっくりと振り返す。 「薬の所為にしたくないからね」 「…意味分かんねェ」 「慰めでもなく、薬の所為でもなく、レヴィを抱きたいんだ……嫌?」 「……………好きにしろ、バカ」 他から聞いても小っ恥ずかしい台詞。 いつもだったら言い返す、スラングも蔑む言葉も言えなかった。 「銃」以外の自分を求めるロックに、胸の奥が苦しくて、それ以上何も言えなかった……。
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338 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:24:41.02 ID:aA09wrc+ - 先程の愛撫よりも、丁寧にねっとりと隅々まで這い回るロックの掌と舌。
その動きひとつひとつに反応するレヴィの身体。 薬は抜けた筈なのに、感度はどんどん上がっていく。 肌を掠めるロックの吐息にさえ、反応せずにいられない。 「んっ…」 胸の先端を口に含まれ舌先で転がされると、堪え切れない甘い声が、吐息と共にレヴィの唇から溢れる。 肌の上を滑るロックの指先の行方に期待して、濡れそぼる入り口からは愛液が零れた。 しかし、知ってか知らずかなかなかそこに触れない指先に、もどかし気に腰が揺らめいた。 「レヴィ…欲しいの?」 意地悪な笑みを浮かべてレヴィを見つめるロック。 「っ……!余計な事言うんじゃねェ!さっさと突っ込めよ。それとも、もうお前のコックは使い物になンねェのか?」 顔を耳まで赤くしながら捲し立てるレヴィを見て、ロックは笑いが止まらないといった様子。 ますます面白くないと、レヴィはそっぽを向いた。 「素直になってくれてもいいのに」 「うるせ…」 「そう。じゃあ遠慮なく」 「っんああ!」 いきなり中にロックのモノを差し込まれ、レヴィの腰が浮いた。 一度吐き出しているにも関わらず硬く熱を持つ塊が、内壁を抉る。 根本まで埋め込むと、大きくため息を零しながら、ロックはレヴィに倒れこんだ。 「…ロック?」 「少しこのまま…」 ロックの両腕が、背中とシーツの間を縫ってレヴィの身体を包む。 この行動に意味を見いだせないレヴィは只々戸惑った。 今までレヴィが出会ったのは、突っ込んで動いて勝手に吐き出して終わり、そんな男ばかりだった。 残るのは裂けるような痛みと、少しばかりの金。 何日かして痛みと金が無くなれば、またそれを繰り返す。 繰り返していれば食う事には困らないが、なぜか虚しいような寂しいような感情が増していく。 どうしてこんな感情を抱くのか、それがやがてもやもやとした怒りに変わって暴れる。 ファックなんてこんなもんなんだろう、そう思わなければやってられなかった。 食う為、金を得る為、生きる為。 その手段にしか、この穴は使えないのだろう、と。 幸せを感じる為とか相手とつながる為とか、そんなのは安物の映画の中だけの話。 頭がお花畑でいっぱいの馬鹿の作り話だと鼻で笑った。 所詮嘘吐きの話だと自分に言い聞かせた。 自分が求めている事を知りながら、自分に嘘を吐き続けていた。
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339 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 10:29:07.92 ID:aA09wrc+ - 「レヴィ?」
「…ん?」 「苦しい?」 身じろぎひとつしないレヴィに、心配した様子でロックが声をかける。 レヴィは一言否定すると彼は、そっか、と腕の力を強めた。 「…こんなことして気持ちいいのかよ」 「別に気持ちいいだけがセックスじゃないよ」 「ハッ…あんた馬鹿だな。男なんて気持ち良く出せればいい、そうだろベイビー?」 「何でもない相手ならそれでいいだろうね。でも、レヴィは別」 「はぁ?」 ロックが身を少し起こすと二人の視線が絡む。ロックはひどく穏やかな表情だった。 「一分一秒でも長く繋がってたいんだよ、レヴィとは」 驚いた。 今自分が考えていた安物の映画にしか出てこない台詞。 そんなことを言われたことは今まで一度もなかった。 むず痒い感情とは別に、何か別の感情に支配されそうになって慌ててロックをなじる。お 「………ラブロマンスがしてェなら相手を間違えてるぜ?」 「いや、間違ってないよ」 「ケッ……こんな売女のどこが…っん」 永遠に文句を続けそうな口をロックが唇で塞ぐ。 突然の出来事にレヴィはそれ以上言うことを止めた。 ゆっくりと離れていく二人の距離。 「別にいいじゃないか。こんな時ぐらい夢を見たって」 穏やかだった表情に苦痛が混じる。 レヴィは思う。 ロックはきっとこの先の事を案じているのだ。 ここにいる限り二人ともまともな死に方はしないし、二人で生きることを望んだ時その首を狩らんと死神がほほ笑むのだろう。 どっちにしたって、間近の死は免れない。 唯望めるのならば、この安物のシングルベットの中だけでも、許してほしい。 「普通」ならば望めるはずの関係、「普通ではない」二人の背徳の関係を。 ロックは何も言わないが、レヴィには手に取るように彼の考えていることが分かった。 二人が過ごしてきた時間がそうさせてしまった、そんなことは分かっていたから。 だから、何も言えなかった。 レヴィは小さく、本当に小さく笑った。 「…仕方ねェな。チープなラブロマンスに付き合ってやるよ」 眉尻を下げ、そっと笑いながらロックの首に回る腕。 夢でも幻でもどっちでもいい。 硝煙と血の匂いが充満するこんな荒れくれた街で、遥か昔望んでいたものが手に入ろうとしているのだから。 それだけで十分だった。 ゆっくりと律動が始まる。 先程の激しさはなく、内壁を隅々まで探るような動き。 まるで、全てを記憶するように。 「レヴィ…」 快楽の波が段々と押し寄せて来ては、引いていく。 呟くように、譫言のように紡がれる名前。 刹那の時を刻む、言葉。 「レヴィ……」 胸が苦しい。 そんな風に名前を呼ばれたら、溢れてしまう。 この感情が。 伝えてはいけない、言葉が。 何かを言おうとしては、閉じる唇をレヴィはそっと自らの唇で塞いだ。 或いは自分の口を閉じる為だったのかもしれない。
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340 :ロクレヴィ 夢と幻[sage]:2014/09/11(木) 11:16:47.13 ID:aA09wrc+ - ――分かってる。ロック。でも、それは言っちゃならねェ。
快楽の所為なのか、切なさの所為なのか。 涙で視界が歪んだ。 きっとこの夢の中だって、それを口にしたら死神は黙ってはいないだろう。 日本で死んでいった二人の様に。 だから、言うな。 レヴィは、言葉と一緒に涙を飲み込んだ。 唇を離すと、切なげに眉を顰めるロックの顔。 レヴィはそっと口角を吊り上げて、首を振った。 無理矢理笑ったつもりでも、きっと二人は同じ顔をしているんだろう。 自分の顔を見られるのも、ロックの顔も見るのも辛くなって、レヴィはロックの首に回していた腕の力を強め首元に顔を埋めた。 触れ合った互いの胸から心の声が伝わったかのように、ロックの律動は速度を早める。 二人の息が荒くなり、言葉はどこかに消えた。 息遣いとスプリングの軋む音だけが、部屋を満たしていく。 いつもだったら騒がしい外の喧騒も、今日は酷く静かに聞こえた。 もっと五月蝿い位に騒がしかったなら伝えることが出来たかもしれない、と脳裏を掠めたが、どうあったって無理な話だな、と胸の中で嗤う。 きっとどうであれ聞こえてしまうから。 他人から見れば二人の行為は酷く滑稽に見えるのだろう。 互いにどうでもいい相手としている訳でもないのに、想いを伝えずに身体だけ繋げている。 それでもいい。 ロックさえ、この行為の意味を分かってくれるなら。 言葉で伝えることが叶わないなら、せめて身体だけでも。 「あっ…ロック…ッ」 限界は近かった。 堪らずにロックの背中に爪を立てる。 ロックは痛みに眉を微かに顰めたのを見て、慌てて手を離したがロックの手によって再び戻された。 「そのままでいい」 ふわりと笑うロック。 何でこんな時に笑えるのだろう。 頼りないホワイトカラーの癖に、変な所で強くて。 盗みなんてしないのに、簡単に心は奪っていく。 嫌いだ。 こんな奴大嫌いなのに………… 「ロック…ロック!」 再び爪を立てる指先に力が篭る。 お望みならば幾らだって爪を立ててやる。 痕が残って消えない位に。 「レヴィ……ッ」 「……あああっ!」 最奥を突かれて絶頂が訪れる。 薄らぐ意識の中で、ロックも白濁色を吐きだしたのを感じた。 意識なんて殆ど残ってなかった。 だから、きっとこれは幻だと思う。 耳元で囁かれた 「愛してる」 なんて。 終
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