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いつもの人 ◆2XMU15nbVw
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3

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黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
29 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 22:57:08.24 ID:V6Ki2N7s
>>27
ありがとです。
わたしも「要領オーバーで落ちることなんてそうそうないから停滞してると思われてるかもな〜」って思ってたり
また読んでくださってありがとうございます。

では続き投下。
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
30 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 22:58:39.04 ID:V6Ki2N7s
「・・・・・・・・・。
 ・・・すみません・・・。
 ・・・ありがとうございます」

貞一くんは観念したかのようにため息をつくと、すっと封筒を手に取った。
その拍子に、わたしも一緒に封筒に手を伸ばす。

・・・厚い。
この世の理から外れた存在であるわたしが言うのも何だけど、中学生が手にしていい厚みではないように感じた。

「・・・さて、ではわたしも、今度こそ全てを話そうかね」
「・・・。
 ・・・はい?」

は?
・・・なに?これ以上まだ何かあるの?

「ま、まだ何かあるんですか?」
「まあ、そう身構えるようなことじゃない。
 ・・・きみは、想い人はいるかね?」
「え?え?」

何?何なの薮から棒に。

「な、なんでそんなこと」
「いいからいいから。・・・で、どうなんだい?」
「・・・。
 ・・・います・・・」

うんうん。もちろんよね。

「そうか。
 ・・・全くもってお節介だが、もしその人にまだ想いを伝えていないのなら、とっとと告白した方がいい」
「・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・。

「わたしは、実は若い頃、理事長に想いを寄せていてね・・・」
「ええっ!?」

ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?

「若い頃の理事長・・・紫子さんは、それはそれは可憐で美しい人だった。
 ・・・いや、早逝したお姉さんもね」

え?え?え?わたしのこと?

「・・・。
 知ってます。
 ・・・見たことがあるので・・・」

うんうんうん。
姉の方は、見たことあるどころか、いつも見てるんだもんねーっ?

「そうか。
 ・・・容姿だけじゃない。誰にでも優しく、お嬢さんなのに気取らなくて、姉妹とも村のみなから好かれていた。
 高嶺の花、というやつさ」
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
31 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 23:00:56.44 ID:V6Ki2N7s
えへへへ。いや〜〜〜・・・、それほどでも・・・

・・・あるかも知れないけど。

「だが・・・いや、だからこそと言うべきか、
 近づきたい、とは思っても、触れるのははばかられる、そんな姉妹だったんだ」
「・・・」
「・・・だが、疫病の猛威が人心までも蝕み始めて、村の状況は一変してしまった。
 ・・・きみも恐らく知っているだろうが、紫子さんのお姉さん・・・夕子さんが亡くなったのは、
 疫病によるものではないんだ」
「・・・はい。よく知っています・・・」

・・・・・・・・・・・・。
この人、知ってたんだ。

「うむ・・・。ならば、話しても良さそうだね。
 ・・・紫子さんの過ちによって、夕子さんが亡くなったあと・・・彼女は抜け殻のようだった。
 彼女にしてみれば、むしろ裁いてもらった方が救いになったんだろうが・・・。
 村の人たちはその事件を禁忌と定め、ことごとく隠蔽してしまった」
「・・・・・・」
「紫子さんが庚家に一人遺されたあと、彼女は来る日も来る日も、うわごとのように悔恨と懺悔の言葉を唱えていたよ。
 後見人となった各家の者は、監視も兼ねて彼女の世話をしていた。わたしも当番の一人を任されていたんだが、
 ・・・消え入りそうな彼女の世話をしている内に、守ってやりたいと思うようになってしまってね・・・」
「・・・・・・・・・」
「だが、当時の木嶋家は家長・・・親父がああいう状態で、
 その他の親族も傷痍兵・・・つまり、戦争で傷害を負ってしまった者ばかりで、力が急速に衰えつつあった。
 家長代理だったわたしからして当時は青二才で、とても他の有力者に意見できるような立場ではなかったんだ。
 その上混乱収拾のために、多忙の極みで・・・
 ・・・何より、紫子さん自身の心境を慮ると、とても伝えられるものじゃなかった」

紫子・・・。

「そうやって何年もまごついてるうちに、紫子さんの縁談がまとまってしまってね・・・」
「後悔・・・しているんですか?」
「後悔・・・か。ふふ。いや、ちょっと違うねえ。
 ・・・当時、破滅の一歩手前であった庚家を伴侶として支えるには、木嶋家は明らかに力不足だったよ。
 伝えたところで想いは報われなかっただろうし、万が一報われたとしても、
 ヘタをすれば共倒れになっていたかも知れない。
 ・・・だがね、どうせ玉砕するなら、やるだけのことをやって、
 納得してから前のめりに倒れるべきだと、わたしはその時身に沁みたんだ」
「喜之助さん・・・」

貞一くんに切なげな瞳で見つめられると、おじいさんは再び自嘲気味に笑った。

「どんな苦境にあっても、納得や覚悟があれば、案外乗り越えて行けるものだ。
 そして親父は今日、きみのおかげできっと『納得』したんだろう。
 ・・・これでいい。親父の半世紀以上に渡る呪いのような余生は、決して無駄ではなかった・・・」

おじいさんが感慨深そうに天を仰ぐ。そして、その目元をもう一度、袖で拭った。

「・・・だからね、新谷くん。きみもそういう人がいるなら、とっとと想いを告げてしまうべきだ。
 結果がどうあれ、やるべきことをやれば、『納得』は得られるからね。
 ・・・なに、気持ちが本物ならば、どんな時だって早すぎるということはない」
「・・・お気遣いいただいたのに、申し訳ないんですが・・・」
「・・・うん?」

困惑したような、はにかんだような表情を浮かべながら、貞一くんが言葉を続けた。
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
32 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 23:03:14.50 ID:V6Ki2N7s
「そのご忠告は、多分活かされないと思います。
 僕の大切な人は・・・。
 ・・・身も心も通じ合いすぎて、ちょっと困ってるくらいですから」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「・・・どうしましょう、これ・・・」

貞一くんは困惑気味に、机の上の封筒を見つめている。

「どうにもこうにも・・・。お前が受け取ったんだから、お前が着服すればいいだろ」

あのコが突き放すように答えながら、ふいっとそっぽを向いた。
・・・と言いつつも、その視線は先ほどからチラチラと封筒を捉えている。

今日は8月の16日。合宿から数日を経て出校日を迎えていたわたしたちは、
合宿中に起こった出来事をまとめるため、怪異調査部の部室に集合していた。

・・・と言っても、集まっているのはわたしと、貞一くんと、自称美少女退魔師さんだけ。
いつも慌しいあのコは新聞部の作業が忙しいらしく、あの先生は仕事が忙しくて来れないみたい。

まあ、この面子だとわたしも積極的に会議に参加できるから、それはそれでいいんだけどね。

「人聞きの悪い言い方しないでくださいよ・・・。割と真剣に困ってるんですから」

あのコから向けられた毒気を避けるかのように、貞一くんが顔を背ける。

「だったら募金でもすればいい」
「その使い方は、木嶋さんの本意じゃないと思いますし・・・」
「じゃあ結局お前が使い込むしかないじゃないか。なんだ?自慢か?自慢なのか?」

あのコは軽く歯軋りしながら、じっとりと貞一くんを睨みつけた。

「だから、変な言い方はやめてくださいってば!」
「なあに?あなたこそ。妬み?妬みなの?」
「うるさいっ!」
「・・・まあ、とりあえず僕が預かっておいて、
 冬まで残っていたら、ありがたく合宿費用として使わせてもらいましょう。
 去年は夕子さんのことと重なって、冬休みは何もできませんでしたしね」
「まるで残っていない可能性の方が高いかのような言い草だな?」
「そんなことないですってば、も〜・・・」
「・・・貞一くん・・・。これ、合宿費用くらいで使いきれるのかなあ・・・」
「・・・」

わたしは机の手前にしゃがみ込んで、封筒には手を触れないまま、その僅かに開いた口からじーっと中身を覗き込んだ。

「ま、まあ、このお金の使い途については、小此木さんや高松先生がいるときに改めて話し合いましょう。
 ・・・それで、合宿中の活動のまとめなんですが・・・」
「それなんだが・・・。どうしても納得いかないことがある」
「え?」

頬杖をつきながら拗ねるようにそっぽを向いていたあのコが、
腕を組んで正面に向き直った。

「・・・結局、なぜ怪談『カシマレイコ』は、『木嶋黎子』のことをなぞるように拡散していったんだ?」
「・・・」
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
33 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 23:44:50.06 ID:V6Ki2N7s
そうだ。結局、そこはミステリーのまま。
あのおじいさんの話を信じるなら・・・ううん、確かに事実として、日本有数の都市伝説である『カシマレイコ』は
わたしが生前暮らしていた村で生まれた『木嶋黎子』という女の人をなぞっている。

・・・でも、これだけ有名な都市伝説が、よりによってわたしと同郷の女性を大元の発信源としてると考えるのは
いくら何でもできすぎで不自然だし、
なにより『レイコ』という名や『キジマさん』という別名は、後から付いて回ったもののはず。

まるで、噂そのものに意思があるかのように・・・。

「・・・もしかしたら、本当に怪談『カシマレイコ』は、木嶋黎子さんだったのかも・・・」
「でも、貞一くん・・・」
「夕子さん・・・。僕と夕子さんが出逢って間もない頃、
 夕子さんは僕に『この学校には絶対に、わたし以外の幽霊は存在しない』って言ってましたよね?」
「え?う、うん」

60年も過ごして、ついぞ一度も遭遇しなかったからね。それだけは断言できるよ。

・・・あ、ううん、わたしの影以外は、ね。

「夕子さんと共に学園の色んな事件を解決して、それはその通りだと分かったんですけども・・・。
 それは多分、ただ単に恐ろしく稀だというだけで、
 この世には他にも夕子さんみたいな幽霊が、僅かでも存在するんじゃないかと思うんです」
「あ・・・」

・・・考えもしなかった。でも、確かに貞一くんの言う通り。
この日本にたった一人、わたしだけしか幽霊が存在しないと考える方が不自然だよね。

「・・・つまり、新谷は木嶋黎子が夕子のような幽霊になってしまったと言いたいのか?」
「推測に推測を・・・いえ、妄想に妄想を重ねるような話ですけれどね・・・。
 夕子さんのようなケースがあるから、本当に、全くのゼロじゃないというだけで」
「・・・だから、あたかも噂自体が意思を持っているかのごとく、
 木嶋黎子を意識したような設定が後付けされていった・・・か」
「ええ。・・・と言うか、この学園を縮図と考えれば、分かりやすいんじゃないかと」
「縮図?」
「夕子さんの姿形や声は、基本的に僕たち以外には認識されませんけれど、
 それでも長い年月の中で、夕子さんの存在は生徒たちに広く知れ渡るようになりました」
「うん・・・そうだね」
「それは、たまたま夕子さんが学校の施設を利用してるのを目撃されたのだったり、
 恐怖心に囚われて夕子さんの姿が歪んだ形で見えてしまったのだったり、
 あるいは紫子さんが流したと思しき噂・・・『七不思議』だったり。
 夕子さんの足跡のようなものが、誤解や伝聞でちょっとづつ形を変えながら積もっていったものでした。
 ですから、全く無関係ではないけれど、それそのものでもない。
 つまり、この学園では夕子さん本人とは別に、『怪談としての夕子さん』が独り歩きしてる・・・してたんです」
「あー、たしかにねー。そのせいで色々と風評被害にも遭ったな―・・・」

神隠しの怪談で、貞一くんをさらおうとしてると誤解されたりね。
・・・まあ、今となっては、それもアリかな〜なんて思ってたり・・・。

「くだらないのはだいたいクロだったけどな」
「あーもう、うるさいなぁ」

その時貞一くんへ誤解を植えつけたにっくき宿敵が、そう言いながら意地悪そうにニヤついている。
あーもう、こっちはいっぺん、ほんとにプチ神隠しとかに遭っちゃえばいいのに。半日くらいのやつ。

「はは・・・。
 ・・・それでですね、もし、万が一、木嶋黎子さんが夕子さんのような存在になっていたとして、
 この日本のどこかをさまよっていたのだとしたら・・・」
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
34 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 23:45:49.87 ID:V6Ki2N7s
「その幽霊となった『木嶋黎子』本人とは別に、
 『怪談としてのカシマレイコ』が、その影響を受けつつも独り歩きしてる・・・か」
「はい・・・」

確かに、仮に『木嶋黎子』が幽霊・・・つまり、わたしと同じような
『認識されないけれど全く影響力がないわけでもない』という存在になっていたのだとしたら、
何らかの形で生前の情報が漏れつつも、それが引き起こす現象が恐怖心や誤解とともに独り歩きして、
本人に近いけれど、それそのものでもない『カシマレイコ』という幻影が生まれてしまった可能性はある。

「・・・あと、これは合宿の時にも夕子さんに話したんですけれど。
 夕子さんを介して木箱の『過去』を視た後、
 僕は幽霊という存在は、それ自体が記憶とか思念とかの情報の集合体みたいなものなんじゃないかと思ったんです。
 ですから、カシマレイコみたいな存在が噂という形で日本中を渡り歩いているなら、
 それ自体がもう立派な幽霊と言えるんじゃないかと・・・」
「・・・人を煙に巻くような話だな」
「すみません・・・。上手く言えないんですが」
「ん―・・・。あーでも、確かに情報の集合体っていうのはその通りかも」
「え?」
「ほら、最初にわたし、
 『カイシマレイコの怪談は、他の有名どころに比べてやたら設定のブレが大きい』って言ったじゃない?」
「ああ。実際に調べてみたら、諸説多すぎて途方に暮れたな」
「霧江さんは震え上がって縮こまってただけじゃ・・・」
「うるさいっ!」
「・・・」

てーいちくんナイス突っ込み!
・・・と喉元まで出かけた言葉を、わたしはすんでの所で飲み込んだ。
今茶々を入れると、また話の腰が折られまくっちゃう。

「・・・それでね、それってもしかしたら、設定のブレが大きいんじゃなくて、
 色んな人の不幸が寄せ集まった結果なんじゃないかと思ったの」
「・・・?」
「ほら、例えば『誰が』被害に遭ったのかっていう設定一つとっても、空襲による爆撃を受けた女性以外にも、
 踏み切りで事故に遭った生徒だったり、殺害された郵便局員だったり、ピアニストだったり、バレリーナだったり、
 旧日本兵だったり、原爆被害に遭った人だったり、ほんとにバラバラだったでしょ?
 それって『木嶋黎子』のケース以外にも実際にそういう目に遭った人たちがいて、その噂が伝播する過程で・・・
 ・・・ちょっと表現が悪いけれど、毛玉みたいに一つに寄せ集まったんじゃないかな、って」
「・・・『木嶋黎子』は、『カシマレイコ』という悲劇の集合体の一部でしかないってことか・・・」
「うん。全てが『木嶋黎子』を発信源としてると考えるよりは、そっちの方がまだありえなくもないかな・・・って」
「なるほど・・・」
黄昏乙女×アムネジアでエロパロ3
35 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/25(月) 23:48:30.24 ID:V6Ki2N7s
今日はここまでです。


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