- 女の色仕掛けに嵌められるSSその10
242 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:44:17.94 ID:i58SL1Ra - 初めて投稿します。
スレの主旨に合うかどうか難しいところなのですが、あらすじ判断でお願いします。 あらすじ: 女性が一人もいない辺境の砦に王国の姫フィオナが視察にやってくる。 女性に免疫のない兵士達の中から、超がつくほど真面目と評されるロランが世話係として選ばれた。 無防備なフィオナにあらぬ思いを抱かぬよう必死に耐えるロランと兵士達。 そんな生活の中、時折小さな違和感を感じるロラン。 砦の様子が少しずつ変わっていっているような気がする……。 しかし、都合よく重なる出来事がロランに深い思考をさせないのだった。
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243 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:45:33.00 ID:i58SL1Ra - 「フィオナ様、入室してもよろしいでしょうか」
できるだけ丁寧にドアをノックする。 先ほど確認した際、時計は18時を指していた。 夕食へご案内するには今が丁度良い時間だろう。 「ええ、どうぞ」 澄んだ声の中に感じられる落ち着きが、より一層フィオナ様の身分の高さを思わせる。 「失礼します」 「夕食ですか?」 「ええ、準備のほどが整いましたのでお呼びに。……しかしフィオナ様」 「はい、何でしょうロラン」 花が咲くような可憐な微笑み。 一瞬勤務中であることを忘れそうになる。 「その……親しく話して頂けるのは嬉しいのですが、やはり夕食は御自室で摂られたほうが良いのでは……」 「あら、それでは私一人で夕食を摂ることになってしまいます。ロランは私と一緒に食事を摂るのがお嫌ですか?」 しょんぼり、といった擬音語が聞こえてきそうな顔をするフィオナ様。 「いえそんな、滅相もありません。しかしフィオナ様は第三皇女。本来われわれ一兵卒など話も聞けぬ……」 「ふふ、ロランは本当に真面目ですね。ですがそのような遠慮は無用です。私は自ら望んでこの砦に 来ているのですから。夕食も皆と同じく食堂で頂きます」 フィオナ様がこの砦に来られたのは約2週間前。 兵士達には事前に何も告げられておらず、砦全体に衝撃が走ったことを覚えている。
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244 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:46:19.54 ID:i58SL1Ra - 「このような辺境の砦に皇女様をお招きするなど、俄かには信じられませんでした。この辺りは魔物が
ほとんど出ないとはいえ砦は砦。それも、この砦には女性が一人もおりません。そのような所に6ヶ月も 滞留されるなどと……」 「皇女だからこそ、兵士の実情を知る必要があるのです。確かにお父様を説得するのは本当に骨が折れましたが……」 よほど大変だったのだろう。 むむむ、とめったにないほど眉間に皺が寄っている。 「それにしても……」 フィオナ様がふう、とため息をつく。 「ロランはもう少し私に気を許してくれてもいいのではありませんか?短い間とはいえ側近に そのようなそっけない態度をとられると、少し悲しいというものです」 よよ……と泣きまねをされる。 「ち、違います!決してそのような……。むしろお慕いしておりま――!」 余計なことを口走りそうになり咄嗟に口をつぐむ。 「うふふ……。冗談ですよ。全て私の身を案じてのことだという事くらい、理解しています。 そしてあなたが超がつくほど真面目な方だということも。そうでなければわたしの世話役としては選ばれないでしょうから」 ほっと胸をなでおろす。 私がフィオナ様を疎ましく思っていると勘違いされては大変なことだ。
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245 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:46:53.09 ID:i58SL1Ra - フィオナ様をお慕いしていることも、同じく悟られてはいけないが。
「それならなぜそのような意地の悪い質問をされるのです。私も気が気ではありませんよ」 「慌てるロランが面白いから……ではいけませんか?」 ふふっ、と首を傾けてくるフィオナ様。 ……平常心が崩れそうになるのを必死にこらえる。 このお方は、本当に。 皇族としての高貴さと、少女としての可憐さ、そして時折のぞかせる小悪魔のようないたずらさ。 真面目だ真面目だと評される自分だが、油断をすればすぐにグラっと持っていかれそうだ。 「夕食の件、確かにお伝えしました。食堂にてお待ちしております」 これ以上やられては敵わない。 早々に退室するとしよう。 「ええ、ありがとうロラン。すぐに向かいます」
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246 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:47:39.75 ID:i58SL1Ra - 『フィオナ様!』
『おお、いらっしゃいましたか』 『こちらですフィオナ様』 フィオナ様が食堂に見えられた瞬間、一斉に兵士達の注目が集まる。 「まあ、ふふ。いくら皇女とはいえ、そこまで過敏に反応されると困ってしまいますね」 余りにも過敏な兵士達の反応に、フィオナ様も少し苦笑いを浮かべる。 しかしそれも仕方のない事のように思える。 このルイーダ砦には今まで一度も女性が居たことがない。 砦を守る兵士達は幼少期から砦で過ごし訓練を積んできたものがほとんどで、女性に対する免疫はほとんどと言っていいほどない。 ……もちろん私も、その例に漏れてはいない。 「まあまあ、フィオナ様はいまや我が砦のアイドルですから」 若い兵士が話しかける。 「大げさですよ」 「いえいえ。第3皇女にも関わらず、我々のような一兵卒に丁寧に接してくださるではありませんか。 それに、その、大変な美人であられる」 最後の方は恥ずかしかったのか声がすぼんでいた。 「ふふふ、お上手なんですね。……あの、それで。席に案内してくれたのは嬉しいのですが、なぜ周りに誰も座らないのですか?」 『そ、それは……なあ』 『ああ……』 『……だってなあ』 見るとみな顔を赤くしてモジモジと座るのを躊躇している。 おそらく、憧れはあるものの隣に座る勇気までは出ないのだろう。 その気持ちは痛いほど理解できた。
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247 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:48:16.84 ID:i58SL1Ra - 「何ですかもうっ。じゃあ、あなたとあなた。隣に座りなさい」
クスクスと笑いながら、冗談めかして命令口調で話しかけるフィオナ様。 「え、いやしかし」 「アイドルの隣に座るのが嫌なのですか?それとも噂は嘘?」 じっと下から兵士の顔を見つめる。 フィオナ様が時折お見せになるあの雰囲気。 あの表情が我々兵士の何かをダメにしている。 「いえ、そんなことは。ただ、我々は遠くから見ているだけでも満足というか……。 フィオナ様の隣に座るなど考えたこともありませんで……」 辺境の砦とはいえ、ここにはそれなりの数の兵士が駐在している。 フィオナ様を遠くから見ているだけという兵士達も数多く居るだろう。 「良いから座りなさい。これは命令です」 両サイドの兵士の腕にその細い指が優しく添えられる。 「わ、分かりました……」 吸い込まれるように席に着く兵士二人。 しかしその背筋はピンと伸びきり、顔は真っ赤に紅潮している。 免疫のない我々に、いきなりフィオナ様のような美しい女性をあてがわれてもどうすることもできない。 「よろしいっ。それじゃ、頂きましょう」 兵士達が見つめる中、もはや慣れてしまわれたのだろう簡素な夕食に、音一つ鳴らさずにナイフが入れられていった。
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248 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:48:53.40 ID:i58SL1Ra - 「ごちそう様。おいしかったですね」
フィオナ様をはじめみな一通り夕食を食べ終わり、一息入れる。 「え、ええ……」 「そうですね……」 隣に座った兵士達は、結局食べ終わるまで固いままだった。 おそらく夕食の味も良く分からないまま食べたのだろう。 「……そこまで緊張するものですか?わたしにそれだけ敬意を払って頂けるのは嬉しいといえば嬉しいのですが。 別に私は将校ではないのですから……」 将校であった方が、まだ平静を保てるというものだろう。 それほどまでに両兵士は置物化していた。 「もうっ。ふふ、完全にうわの空じゃないですか。クス……。少し……。少しだけ、気持ちをほぐしてあげないといけませんね。お二人のお名前は?」 「ハッ。オランドであります」 「ルッチであります」 「そう。それではオランドとルッチ。夕食後の息抜きに付き合って頂けますか?」 「息抜き、ですか?」 「ええ。とはいってもちょっと演習場を散策するだけです。少し夜風に当たりたくなったので。この後何か任務はおありですか?」 「や、20時からの見回りまではありませんが……」
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249 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:49:42.70 ID:i58SL1Ra - 「まあ、なら丁度いいですね。少し付き合ってください。……来て頂けますよね?」
またも二人の腕にするりと指が添えられる。 これ以上ないほどビクンと反応する両サイド。 身分的にも心情的にも、拒否権などあろうはずもない。 「それではロラン、少し外に出てきます。このお二人が居ますから、その間の警備は無用です」 ニコニコと立ち上がるフィオナ様とそれに従うガチガチの兵士二人。 「分かりました。お帰りは何時程度に?」 「20時までには戻ります」 「承知いたしました」 演習場に出る程度なら、特段警備も必要ないだろう。 「オランド、ルッチ。演習場までエスコートしていただけますか?」 「「ハッ!!」」 どこから出ているのか分からないような高い声でオランドとルッチはフィオナ様をお連れしていった。
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250 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:57:57.06 ID:i58SL1Ra - フィオナ様が退室された途端、食堂に『はふあ……』と気の抜けたため息が聞こえる。
「ロラン……お前よく平気で居られるな」 話しかけてきたのは先輩兵士のイェールドさんだ。 「いえ、正直言って私も精一杯ですよ。時折、お世話役にあるまじき感情を抱いてしまうこともあるくらいです」 「ばか、こっちは時折どころの話じゃねえ。いくらダメだと分かっちゃいても、あんな美人を 目の前にしちゃあどうしようもねえわ。こちとら並の女ともまともに話したことねえんだからよ。周りを見てみろ」 言われて周りを見渡すと、ぼんやりと鼻の下を伸ばしている者やもじもじと居づらそうにしている者がほとんどだった。 「俺達はちょっとお会いするだけでこの有様だ。常に付き添って時折ムラムラで済むお前の精神力には敬意を表すね。世話役に選ばれるわけだ」 私も決して平気なわけではないんですよ。 世話係として大々的には言えない分、心の中でイェーガーさんに呟く。 だがしかし、周りの兵士達に比べればまだマシなほうらしい。 「……さってと、食後の博打にでも行って気を紛らわせるか。じゃあな世話係。お前も我慢しすぎてぶっ倒れんなよ
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251 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:58:28.31 ID:i58SL1Ra - 壁にかけられた時計は19時50分を指している。
そろそろフィオナ様が戻られるはずだが……。 お迎えに行こうと廊下に出た矢先、向こう側からフラフラと千鳥足で歩いてくる人影が見えた。 あれは……オランドとルッチ……? なんだあの様子は。 ……まさか、フィオナ様の身に何か!? とりあえず何事か聞いてみなければ。 「オランド、お前その様子はいったい―――」 声をかけようとして、そのまま何事もなかったかのようにフラフラと横を通り過ぎられる。 「……え?」 思わぬ素通りに後ろを振り向くと、二人はすぐ後ろにあったトイレに姿を消した。 「オ、オランド?ルッチ?」 あまりの様子にトイレの中をのぞく。 すると、そのまま二人は別々に個室に入っていく。
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252 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:59:25.54 ID:i58SL1Ra - 腹でも壊したのか……?
しかし、二人同時に腹を壊すというのもな。 ……フィオナ様の安否のこともある。 失礼だとは思いつつ、オランドが入った側の個室に近づいた。 「おい、オラン―――」 再び声をかけようとしたところを、中から聞こえる音と声に遮られた。 『ふっ、ふっ、ふっ、ふうっ!くっ……ふうっ……!』 全く抑えられていない声に合わせてカチャカチャとベルトの音が聞こえる。 こ、これは……? 『くっ……ふうっ、ああっ……!フィオナ様……!』 一瞬腹が痛くて悶えているのかと思ったが、これは様子が違う。 と、ルッチの個室からも同じく喘ぐような声とベルトの音が聞こえる。 『ああ……!……ふっ、ふぅっ……!』
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253 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 01:59:57.37 ID:i58SL1Ra - …………。
……間違いない。 二人は声も抑えず、激しく自慰に励んでいる。 「うっ……フィオナ様……っ!くうううっ……!」 「うああ……っ、ふうっ……!」 声は抑えられるどころかどんどんと大きくなっていく。 それに合わせてガチャガチャとベルトも鳴り響く。 ズボンを下ろしきってさえいないというのか。 …………。 何が……あったのだろうか……。 二人の様子は明らかにおかしい。 いくら我々兵士に女性に対する免疫がないとはいえ、一緒に散策に行ったくらいでこうまでになるものなのか……? オランドやルッチがフィオナ様に邪なことをできるとも思えない。 フィオナ様はわが国の第三皇女。 ヘタな行為を働けば首が飛んでもおかしくない。
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254 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:00:42.69 ID:i58SL1Ra - …………。
ならば……。 だとすれば、フィオナ様からオランドとルッチに何か……? 「…………ッ!」 馬鹿げた考えを浮かべた自分に激しく自己嫌悪を覚えた。 無防備なところがあるとはいえ、あの高貴なフィオナ様がそのようなことをするはずがない。 無礼な自分に思わず奥歯を噛んだ。 ……とはいえフィオナ様は本当に無防備だ。 まだお若いからか、男からの視線や邪な感情に全くお気づきになられていない。 おそらく今回のこともそれが原因なのだろう。 フィオナ様の何の気のない行動が二人を刺激してしまったことも十分にあり得る。 世話係として私もひとごとではない。 気をつけなければ……。 声をあげて自慰にふけるオランドとルッチを尻目に、何とも言えない心持ちでその場を後にした。
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255 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:22:28.32 ID:i58SL1Ra - フィオナ様が砦に来られて一ヶ月が経過した。
砦に慣れられたのか、最近は色々なところを視察されている。 さらに我々兵士に心をお許しになったのか、以前よりも無防備になられたように感じる。 それは我々にとって光栄なことでもあり、同時に精神力を削られることでもあった。 「ロラン、夕方には演習場を見て参ります」 「ハッ。承知しまし、―――っ!?」 書類整理中にフィオナ様から声をかけられ振り向こうとして、声を失った。 「フィ、フィオナ様っ。そのお姿は……!?」 フィオナ様は砦内ではいつも簡易なドレスを召されている。 が……いつもは脚をすっぽり隠すドレスが、今日は膝上までフィオナ様の白く美しい脚をのぞかせている。 そのあまりの艶かしさに、頭の中がクラリと揺れる。 「訓練中の演習場に向かいますので。砂埃が舞う演習場にあのドレスでは色々と不都合でしょう?」 「そ、そうですが……!」 「ですが……?」 きょとんとした様子で尋ねられる。 ……そのように言われては返す言葉がない。
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256 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:23:00.60 ID:i58SL1Ra - フィオナ様は皇女として必要な教育を既に受けておられる。
そのフィオナ様が今の状況に問題有りとしていないのだ。 私ごときが「はしたない」などと、恐れ多いにもほどがある。 むしろ、穢れを知らぬフィオナ様に邪な思いを抱く私が悪いのだ。 「……ロラン?」 「……は、はいっ!」 「どうしたのですか?ずっと怖い顔で黙ってしまって。何か気分を悪くさせてしまいましたか?」 心配そうなフィオナ様の声が聞こえる。 ……私は、なんとおろかなことを。 余計なことに気を回した挙句フィオナ様に心配までおかけしてしまった。 「いえ、フィオナ様は何も……」
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257 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:23:32.63 ID:i58SL1Ra - すっと顔を上げてフィオナ様を伺う。
「―――っ、くう……っ」 しかし顔を上げればそこには再び魔性の脚線美が見て取れる。 ドレスから伸びる脚は驚くほど白く、傷ひとつない。 決して細すぎない太ももからは女性としての色気が強く感じられる。 しっかりとかかとの高いハイヒールは、より一層その曲線美を強調させていた。 初めて見るフィオナ様のおみ脚に血流がある一部分に流れ込む。 「くっ……!申し訳ありませんフィオナ様、やはり少し体調が優れないようです。少し休憩を取らせて頂けますか」 「まあっ。すぐにお休みになってくださいロラン。いけませんよ、体調が優れない時はすぐに仰ってください」 「ハッ。重ねて申し訳ありません。以後注意いたします。それでは失礼します……っ!」 股間の膨らみに感づかれる前に、逃げるように部屋を後にする。 フィオナ様にあらぬ思いを抱いてしまった自分に嫌悪感を感じながら、気を沈めるため自室のベッドに横になった。
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258 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:24:51.84 ID:i58SL1Ra - 気がつくと、さっきよりも暗い天井が目の前に見えた。
「しまった……!わたしとしたことが……っ!」 どうやら気づかぬうちに眠ってしまっていたようだ。 時計を確認すると、フィオナ様とお話して2時間ほどが経過している。 フィオナ様はお戻りになられただろうか……。 ぼんやりした頭を必死に動かし、早足で演習場に向かう。 『……、っ……!フィ……さま……!……!ひっ……!……!あっ……!』 ……? 演習場に向かう途中のトイレから何かうめくような声が聞こえる。 何だ……? そういえば、似たようなことが一度どこかであったような……。 一瞬記憶を探ろうとしたが、寝起きの頭には余計なことを考える余裕がない。 ともかく、早くフィオナ様のもとに向かわねば……! 結局、足早に向かった演習場にフィオナ様の姿は見うけられなかった。 それどころか、訓練を終えた兵士の姿も一人も見られなかった。 焦りつつも他を当たろうとして、本棟へ向かう廊下で既にお着替えを済ませられたフィオナ様にお会いできた。 短時間とはいえフィオナ様の警護とお世話を放棄してしまった謝罪を述べ、続けてフィオナ様のお世話にあたることにした。
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259 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:25:23.07 ID:i58SL1Ra - フィオナ様が砦に来られて一ヶ月半が経過した。
相変わらずフィオナ様は楽しそうに砦での生活を過ごされている。 お世話をする身としても本当に喜ばしい。 一つ気がかりなのは、私のフィオナ様へのお慕いの念が強くなりすぎていることだ。 フィオナ様が私に心を許してくださるにつれ、日々お慕いの想いが強くなっているのを感じる。 お世話役として、気をつけねばならない。 「ロランーっ。ちょっと来て頂けませんかー?」 やや遠くからフィオナ様の声。 「ハッ。ただいま参ります」 声のした部屋に向かうと、脚立の上に乗り必死に棚の上の本に手を伸ばすフィオナ様のお姿が見えた。 「す、すみませんロラン。こ、この本を取りたいのですが……っ、後っ、ちょっとの、ところでっ、とどか……」 フィオナ様が本を取ろうとぴょこぴょことお体を伸ばすのに合わせて、脚立とフィオナ様のお体が前後に揺れている。 「お、お止めくださいフィオナ様っ。そのようなこと、わたしがいくらでもしますので!」 「わ、分かりました。お願いしま―――」 こっちを振り向こうとしたフィオナ様のお体が、そのままグラリと後ろに傾く。 「あ……っ」 「…………ッ!」
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260 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:25:54.79 ID:i58SL1Ra - ガシャンと大きな音を立てて脚立が倒れる。
同時に、フィオナ様のお体をしっかりと受け止めた。 「ご、ご無事ですか……?」 「ええ……ありがとうロラン。本当に助かりました……」 腕の中のフィオナ様の顔が上がる。 その美貌に心臓が跳ねるが、なんとか動揺を悟られないようにする。 「ご無事で何よりです。それと……このような危険な真似はなさらないで下さい。そのための私です。 フィオナ様が一言申してくだされば、この私が何でも致しますので……」 自分で言い出しておいて、最後のセリフは恥ずかしくて語尾が小さくなってしまった。 思わず天井を仰ぐ。 勢いとはいえさすがにクサすぎた……。 「ロラン」 フィオナ様の声に恐る恐る目線を戻す。 そこには、思わず言葉をなくすような天使の微笑みがあった。 「ありがとう。あなたがお世話役で本当に良かったと思っています」 ―――――ッ。 カッ、と頭が沸騰する。 フィオナ様……ッ! 溜め込んできた色々な感情が頭の中をぐるぐると回る。
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261 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:26:26.65 ID:i58SL1Ra - ダメだ、わたしは所詮世話役なのだ……。
しかしこのようなお顔を見せられたら……。 一兵卒ごときが何を恐れ多いことを……。 「……ロラン?その、ずっとこのままなのですか……?」 フィオナ様の声でふと現実に戻される。 あまりに近すぎるフィオナ様のお顔を見て、ずっと抱きとめ続けていたことに今さらながら気がついた。 「こ、これはご無礼をっ!お許しください!」 慌てて飛び退きその場に跪く。 「ふふっ。お世話役が皇女をじっと抱きとめる……。あまり公に見せられる光景ではありませんね」 言われて瞬時に自分の行動の浅はかさに気づいた。 これが王都であれば投獄されてもなんらおかしくはない。 「も、申し訳ございませんっ」 さらに深く頭を下げる。 「ちょ、もう、ロラン。……そこまで本気にされるとは思いませんでした。頭を上げてくださいロラン。 今回のことは全て私に非があったのですから。それに……」 フィオナ様はちょっといたずらっぽい顔をして。 「別に、私は嫌ではありませんでしたよ?」 クスクスっと笑ってお部屋を出て行かれた。 ―――この日一日、私の仕事は全くと言っていいほど手につかなかった。
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262 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:26:58.25 ID:i58SL1Ra - 早いもので、フィオナ様が来られて二ヶ月半が経過した。
もはやフィオナ様は完全に砦に慣れられたご様子だ。 どこに行かれるにも案内を必要とせず、また独自行動をされることも増えた。 世話役の身としては寂しい気持ちもあるが、私の本来の仕事をする時間が増えたのは助かっている。 それに……フィオナ様は相変わらず私に特別親身に接してくださっている。 それだけで世話役冥利に尽きるというものだ。 しかし、最近妙に気になることがある。 フィオナ様に対し過剰に奉仕する者が現れているのだ。 フィオナ様の人徳に忠誠心が極まったのだろうか。 ただ、あれは仕えるというより媚びているようにも映るのだが……。 変な言い方をすれば騎士というより飼い犬のような……。 兵士達の様子からして自発的に奉仕しているのは間違いないだろう。 それどころか、奉仕に対して快感を感じているようにも見える。 私とてフィオナ様にお仕えすることに喜びを感じているのだから人のことは言えないのだが、何か少し違うような……。
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263 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:27:29.67 ID:i58SL1Ra - フィオナ様は特別気にしてはおられないようだ。
皇女で以上、崇拝の対象となることに慣れていらっしゃるのだろうが……。 「フィオナ様……その、最近、少し兵士達の様子が変わったように思いませんか?」 食堂から御自室へと向かう道の途中、それとなくその事に触れてみる。 「兵士達が変わった……ですか?」 「え、ええ。私の気のせいかもしれないのですが、なんというか、こう、フィオナ様への仕え方が過剰になったと申しますか……」 「そうですね……。確かに私に対して良くしてくださる方は増えたかもしれませんね。 色々とお世話を焼いてくださるというか……。最初の頃の緊張がほぐれてきたのでしょうか」 嬉しいけれど、甘えすぎるのも皇女としてよくないかしら、と笑うフィオナ様。 「ですが、ロランが忠告をするほど過剰なものでしょうか?私は特別違和感を感じておりませんが……。 ふふっ、もしかして、お世話役としてやきもちを妬いてくれているのですか?」 ――――。 図星……だったのかもしれない。 私はもう、自分を偽れぬほどフィオナ様をお慕い申しあげている。 その気持ちが正確な観察力と判断力を狂わせている可能性は十分にありえる。 『過剰だ』と思っていたことが、ただ私自身の劣情からくる嫉妬のようなものだったとしたら……? そもそもフィオナ様は近頃のことを気にしておられないのだ。
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264 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:28:03.14 ID:i58SL1Ra - 「…………!」
急に今までの自分の考えが恥ずかしくなる。 「すみません、私の考え過ぎだったようです。兵士達がフィオナ様に打ち解けお仕えする分に、何も問題はありません」 「そうですね……。もしかしたら過剰な方もいらっしゃるのかもしれませんが、私はこういうことには慣れていますから。 ですが、ロランが焼きもちを妬いてくださるというのは、悪い気はしませんよ?」 フフッとこちらを向いて微笑まれる。 「…………ハッ!」 照れ隠しに慌てて前を向く。 と、前方から二人の兵士が近づいてきた。 「フィオナ様……そろそろお時間ですが……」 「マルス、トロイヤ。ああ、そうでしたっ。今日は午後から武芸を教えて頂く予定でしたね」 「武芸ですか?お怪我の心配はありませんか?」 「もうまたロランは心配をして。大丈夫ですよ。少し……汗をかくくらいです。マルス、トロイヤ。それでは行きましょうか」 「は、はい……」 「どうぞ、こちらです……」 何か急かすようにフィオナ様をお連れする二人。 そう答えた二人の兵士の鼻の下はこれでもかというほど伸びきっているように見えた。 だが……その直前の反省が、私にそれ以上の言葉をつがせなかった。
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265 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:28:44.57 ID:i58SL1Ra - 「おそらく、そろそろだな……」
フィオナ様がマルス、トロイヤと呼ばれた兵士と武芸の訓練に向かわれて2時間ほどが経過している。 時間的にそろそろ戻られる頃に違いない。 思えばフィオナ様がお一人で行動されるとき、どうもそのお姿を見つけられないことが多かった。 今回は少し早めに行ってお迎えするとしよう。 最初に向かった屋外演習場にフィオナ様の姿はなかった。 ということは砦の端にある室内演習場か。 小さめの室内演習場は兵士数が増えて以来ほとんど使われていなかったが、3人での訓練なら十分な広さだろう。 本棟からずっと歩いた先、敷地の隅の室内演習場に近づくと、少し離れたところからでもなにやら声が聞こえてきた。 『……!フィ……!もっと……します!…………!』 『そ………!……!どうか……!……はい、……そこは……!』 訓練は白熱しているのか、随分と声が響いているような気がする。 ただ、響いてくるのが兵士の声ばかりのような。 フィオナ様が訓練されているのなら、フィオナ様の声が一番大きく上がるような気もするのだが。 それほどまでに指導に熱が入っているのだろうか。
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266 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:29:18.36 ID:i58SL1Ra - 代々皇室のお方は文武両道だというお話を聞いている。
フィオナ様も優れた才をお持ちなのかもしれない。 ちょっと様子を伺おうかと思ったが、先ほどのような話をした手前過保護な真似は躊躇われる。 本棟の入り口にてお待ちしよう。 一度戻ろうと踵を返そうとした瞬間。 「……ロラン」 後ろから声をかけられた。 どうやらお迎えのタイミングとしては間違っていなかったようだ。 「おお、フィオナ様。もしやそろそろお時間かなと思いましてお迎えにあがりました」 振り返り、そしてそのまま言葉を失った。 「あ…………」 首筋を伝う汗、少し汗ばんだ髪、そして……いつもの少女性を忘れさせるような艶を含んだ目つき。 畏怖と劣情を同時に掻き立てるような妖艶な雰囲気に、思わず背筋がゾクリとする。 な、なんだ……? なんだこの……。
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267 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:29:57.06 ID:i58SL1Ra - その目つき、その動きから目が離せない。
魅入られたように体が動かない。 ゆっくりと、ゆれるようにフィオナ様が近づいてくる。 「…………」 なぜかは分からない。 分からないが、私はフィオナ様にこれまでにない畏怖を覚えている。 「訓練の様子はのぞいてみましたか……?」 目の前で、囁くように唇が動く。 その唇の動きからすら目が離せない。 「い……いえ……」 じっくりと、確かめるように、フィオナ様の目線が体を這っていく。 「ふ……う……」 つま先から頭まで、這わされる視線は熱量をもっているかのようだ。 じっと顔を見つめられると、畏怖とも興奮ともつかない感情が湧きあがってくる。 瑠璃色に光る目は、視覚情報だけでなく私の中までを見通しているようで―――。
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268 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:30:28.61 ID:i58SL1Ra - 「湯浴みをします。ロラン……準備を手伝ってくださいますか」
「ハッ……」 何かに納得したのか、フィオナ様はそのまま横を通り過ぎていく。 頭がぼーっとする。 難しい思考が次々と放棄されていく。 フィオナ様の声がいつもより頭に染み入ってくる気がする。 後で自室に戻って気づいたことなのだが……私の下着は自らの下賎な分泌物でぐっしょりと濡れていた。
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- 女の色仕掛けに嵌められるSSその10
269 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/08/20(水) 02:34:43.72 ID:i58SL1Ra - 以上です。
楽しい日常の間にちらつく違和感。おかしいような、おかしくないような。でも何か良く分からない。 という話を書きたかったので投稿しました。 ありがとうございました。
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