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いつもの人 ◆2XMU15nbVw
黄昏乙女アムネジアでエロパロ2

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黄昏乙女アムネジアでエロパロ2
208 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:22:19.15 ID:AIb2WNDJ
>>207
いつも本当にありがとうございます。
結構先まで出来てるんですけど、話の整合性取るために遡って修正したりしてるもので
あと単純に短い間隔で大量投稿するとキモがられるんじゃないかっていうw
というわけで投下です。
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209 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:23:10.81 ID:AIb2WNDJ
って言うか何すっとぼけてるのよ。事と次第によってはタダじゃおかないよ!?

「なんだ夕子、妬いてるのか?・・・ま、学校の外でわたしと新谷が何をしようと、
 お前にとやかく言われる筋合いじゃないからなっ」
「・・・くききいぃ〜〜〜!!」

わたしは突然降って湧いた浮気疑惑とそれに対する嫉妬のあまり、
思わず昔の少女マンガみたいなマヌケな金切り声を上げてしまった。
・・・いや!でもこれは許せない!

「ちょっと霧江さん、誤解を招くような言い方やめてくださいよ!
 夕子さん違いますってば!確かに家に上げてはもらいましたけど、
 それはあくまで紫子さんに七不思議の聞き込みをするためであって、別に夕子さんに対してやましいことは・・・」
「やましい!?やましいことってナニよ!?」
「いや、あの〜〜〜・・・」

貞一くんの背後で、あのコがやや仰ぎがちに勝ち誇った顔をしている。
今は『ドヤ顔』って言うんだっけ、こういうの。
・・・いやいや!!今はそんなことはどうでもいいしっ!!

「あーあ、悪霊の嫉妬とかみっともないな。・・・新谷、こんなのほっといてとっとと部屋に入るぞ」
「ちょっと霧江さん!・・・も〜〜〜・・・」
「・・・後で絶対、影と再分離してやる・・・。詰問尋問拷問した後に再分離してやる・・・」
「ちょっ!冗談でもやめてくださいっ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

バタン・・・。

「・・・あれ?紫子さんいないんですか?」
「ああ。例の件を話し合うための会議の準備に行ったからな。もうすぐ戻るから、先に入ってろだってさ」

とりあえずは憤懣と疑惑の追及を棚上げして、わたしたちは理事長室中央にある応接用のソファに腰掛けた。
室内は、思いのほか殺風景・・・というか、がらんとしていた。
もっと難しい本で埋め尽くされた本棚とかが並んでるのかと思ったんだけれど・・・。
・・・まあ、それはそれで、わたしが知ってる紫子のガラではないけれどね。

・・・でも、もしかしたら、この部屋の風景は紫子の心の風景そのものなのかも知れない。
あの後、お父様までもが自ら命を断ってしまった庚家に、
紫子はたったひとりぼっちで取り残されてしまったはずなのだ。
そう、紫子には、何も残っていなかったはず。

―家の中にも、心の中にも。

ヘタをすれば、庚家はわたしたちの代で途絶えてしまっていただろう。
いくらこの学園の土地が本来庚家の所有地で、かつわたしたちの父がその創立者だったとは言え、
紫子が今の地位に就くまでに強いられた努力と苦労は計り知れない。

・・・たとえ、それが自業自得であったとしても。

「そういえば・・・。
 夕子さんが紫子さんのことをはっきり『妹だ』って認識して面会するの、これが初めてじゃないですか?」
「えっ?」
「・・・ん、そういえばそう・・・なのか?」

え?え?
・・・そ、そういえばそうだったっけ?

「最初・・・かどうかは分かりませんけど、
 以前僕といる時に紫子さんを見た時は、妹だって言っても全然ピンときてない感じでしたし」
黄昏乙女アムネジアでエロパロ2
210 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:24:06.58 ID:AIb2WNDJ
「あの時は記憶を取り戻す前だったしな」
「え?あ、あ、うん」

そ、そっか。記憶を取り戻してからも何度か紫子の姿は見かけたけど、
ちゃんと面と向かうのはこれが初めてなんだ。

・・・や、やだ、なんか緊張してきちゃった・・・。

「・・・なんだ?夕子。急に歯切れが悪くなったな?」
「へっ!?そ、そんなことないよ?」
「・・・ひょっとして夕子さん、緊張してます?」
「は、ははは!やだなーてーいちくん!
 妹と会うだけなのになんで姉のわたしがキンチョーしなきゃいけないのよ!」

ちょっと貞一くん。こんな時にまでわたしの乙女心をバッチリ読み取らなくていいから。
もうオトメじゃないけど。

「なんだ、普段は傍若無人に振る舞ってるくせに、肝心な時はヘタレなんだな」
「なっ!?あ、あぁあぁあ、あなたにだけは言われたくないわよ!」

・・・さり気に、近年稀に見る屈辱だった。

「そう言えば、霧江さん・・・。今さらですけど、紫子さんには今の夕子さんは見えてるんですか?」
「えっ?」
「えっ?」

あ、そ、そっか。元々紫子には影の方のわたししか見えてなかったんだから、
今のわたしが見えるとは限らないんだった・・・。

「あ〜〜〜・・・。どうなんだろ。何度かそれとなく聞いてはいるんだけど、
 いっつも煙に撒くような返答しかしてくれないんだよな、おばあちゃん・・・」
「じゃあ、夕子さんが今の状態で『いる』ってこと自体は少なくとも認識してるんですね」
「ああ。そこら辺はしっかり説明したからな」
「・・・僕も霧江さんも、最初に夕子さんの存在を認識する『きっかけ』があって見えるようになりましたから、
 紫子さんも見えるようになってる可能性は低くないですね」

そう、どうもわたしの存在を正しい姿で認識できるようになるためには、
自然体でわたしを認識できるようになる『はずみ』のようなものがいるみたいなの。
つまり、ファーストインプレッションが重要ってことね。
逆に、見ようと見ようとムキになってもダメみたい。『見よう見ようとムキになってる』ってことはつまり、
『自分には見えていない』と自ら認めてしまっているということでもあるから。

まあ、とは言え、60年でたった二人のケースだから、具体的な法則性はまだまだ謎なんだけど・・・
・・・いや、今はそんなことはどうでもいいんだった。

「・・・・・・・・・」
「夕子さん、大丈夫ですか?」
「・・・なんか、ジェットコースターの順番が近づくにつれて口数が少なくなる奴みたいになってるぞ・・・」

・・・・・・・・・。
・・・胃がキリキリしてきた・・・。

「・・・ったく、情けない・・・というのも酷か」

「・・・なにが情けないのですか?霧江」

「へっ?・・・あっ!」
「あ!紫子さ・・・理事長・・・先生!」
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211 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:25:29.23 ID:AIb2WNDJ
「・・・!!」

・・・いつの間に入って来たのか・・・。
わたしたちが腰掛けるソファの背後に、厳粛なたたずまいのおばあさんが立っていた。

「お、おばあちゃん・・・」

この人が・・・今の・・・紫子。
・・・いや、知ってる。知ってるけども。何度か見かけてるし。
でも、さすがに面と向かうとなると、なんか、こう・・・。

「・・・」

・・・ん?貞一くんが目配せしてる?
なに?
・・・あ!そっか!わたしのこと見えてるか確かめなきゃ!

わたしはとりあえず、その場で両手をぶんぶん振ってみせた。
いや、よくよく考えたら話しかけた方が手っ取り早いんだけれど、
なんか気圧されて、声を出すのがはばかられてしまったの。

「・・・」

・・・見えてない。見えていたら、無意識にでも瞳が手の動きを追うはず・・・。
でも紫子は、じっとあのコの方を見つめている。

・・・いや、考えてみたら当然か。わたしの姿が見えているんだったら、さすがに驚くはずだもの。

「い、いや、何でもないよ。新谷のやつ、初めて理事長室に入って緊張してるって言うから・・・」
「・・・そう」

紫子はゆっくりとわたしたちの座っているソファを回り込み、向かいのソファに腰掛けた。

・・・う〜ん・・・。ずいぶんと怖そうなおばあちゃんになっちゃったなあ・・・。
わたしの記憶の中の紫子とは、まるで別人・・・って、当たり前か。

「あの・・・お久しぶりです、理事長先生・・・」
「ふふ、こないだみたいに紫子でいいですよ、新谷貞一くん」
「・・・あ、はい、紫子さん」

そこでようやく、紫子の表情が和らいだ。
・・・いや、て言うか・・・え?なにそれ?なんで名前で呼ばせてんの?って言うか、前回から名前で呼ばせてたの?
・・・いやいや、冷静になれわたし。いくら何でも・・・ねえ?相手は孫までいるおばあちゃんなのよ?
あ、でも、ある意味わたしより年下なのか・・・。
・・・いやいやいや!いくらなんでもその比較基準は我ながらおかしいし!

「あの後学園内でも遭ってるんだけど、覚えてないかしら」
「えっ!?そ、そうでしたっけ?す、すみません・・・」

ちょっと、今のセリフって言い換えると『僕たち、どこかで会ったことなかったっけ?』って感じよね?
・・・ナンパのセリフじゃないの。

「ふふ。いいのよ。・・・でも、わたしの方はその時のこと、決して忘れられないわ」
「・・・え?」
「・・・」

そこで紫子は、意味ありげに目を伏せた・・・って!
かーっ!なに?なにそれ!?なにその意味深な挙動!?なによ忘れられないって!?なんなの紫子!?
黄昏乙女アムネジアでエロパロ2
212 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:27:29.25 ID:AIb2WNDJ
・・・おかしい。なんか死角からボスボスとボディブローを入れられてる気分だわ。
ここにきて、今まで完全にノーマークだった紫子がおかしい。
なによ、忘れられないって!貞一くんと校内で遭遇して、忘れられないような何があったっていうのよ!?

「・・・本題に入りましょうか。あなたたちのレポートは読ませてもらいました。
 ・・・大したものです。恐らく、あなたたちの仮説は大半が的中しているのでしょう」
「・・・」

・・・え?あ、ちょ・・・。
紫子がいきなり話題を切り替えたものだから、わたしは一人だけ置き去りにされたような気分になってしまった。

「ただ、少し論拠が不明瞭なところがありますね?
 ・・・『キジマレイコ』という人間の父親が疫病時の村の住人だという仮説は、どこから降って湧いたのですか?」
「え?あ、いや、それは・・・」
「新谷には、過去を見る力があるんだよ」
「!」
「ちょっと、霧江さん!?」

あのコがいきなり割って入った。・・・しかも『あ、それダイレクトに言っちゃうんだ?』ってセリフで。

「新谷。この際正直に言うべきだ。・・・だいたい、何をはばかることがあるんだ?
 ・・・夕子を救ったのは、他ならぬ新谷のその力なんだぞ!」
「!!」
「おばあちゃん。新谷はね、過去を見てきたんだ。夕子の死に際を。当然、なぜ夕子が死に至ったのかも知ってるよ。
 だからおばあちゃんから直に話を聞いたわたしよりも、はるかに当時の詳細を知ってるんだ。
 ・・・過去を共に見据えてくれる人が傍らにいてくれることが、夕子の望みだったから」
「・・・・・・・・・」

『あちゃー』という気持ちが半分、妙な感動が半分だった。このコがわたしのことで、こんなに熱くなるなんて。

「・・・そう・・・ですね。霧江さんの言うとおりです。
 ・・・紫子さん。今日ここに来た一番の目的は、その夢・・・
 つまり、『キジマ』という人物が本当に過去に実在していたのか、
 それとも僕の夢の世界の妄想でしかないのかを確かめるためなんです」
「・・・」
「荒唐無稽だと思われるのは承知しています。
 ・・・でも、紫子さんは霧江さんのお話を信じてくださったんですよね?・・・『今の』夕子さんの真実を。
 なら、僕ももう腹を割るしかありません」
「・・・・・・」

まくし立てるような貞一くんの言葉を、紫子は微動だにせず聞いていた。
その表情は硬くて、理解を示しているのか、それともばかげた話だと憤っているのか・・・。
姉のわたしにすら窺い知ることはできない。

「・・・資料・・・当時の名簿とか住民票とか、そういうのだけでもいいんです。
 僕たちには、そういうアテが紫子さんしかありません。ですから・・・」
「・・・霧江はね」
「え?」

じっと貞一くんの話に聞き入っていた紫子が、唐突に口を開いた。

「・・・霧江は、幼い頃から両親との触れ合いが少なくて、わたしにばかり甘えていたから・・・。
 だから人見知りが激しくて、なかなか友達ができなかったの」
「・・・」
「ちょ!?おばあちゃんっ!?」
「だからこの子、ちょっと空想癖みたいな所があるでしょう?・・・ふふっ」
「あ、いえ・・・まあ」
「ちょおぉぉおっ!?おばーちゃーんっ!?」
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213 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:28:16.46 ID:AIb2WNDJ
・・・紫子が、笑った。
初めて芯から笑ったように見えた。

・・・向かって右前方で顔をまっかっかにして悶絶している孫娘をガン無視しながら。

「・・・その霧江が、初めて異性の友達を家に連れてきて、わたしはね、正直嬉しかった。
 しかも空想癖に付き合ってくれる友達なんか、なかなかいないだろうから」
「・・・」
「あ゛・・・あ゛・・・あ゛ぁあ゛・・・」
「・・・新谷くん。これからも、霧江と仲良くしてあげて頂戴ね」
「・・・。
 ・・・はい」

すっと、理事長室に張り詰めていた空気が和らいだ気がした。
・・・若干一名、『いっそ殺してくれ』みたいな顔で身悶えてるのがいるけど・・・。
まあ、そっとしておこう。

「きっと・・・時として、空想が人を救い、虚構ゆえに真実に辿り着くことも、世の中にはあるのでしょう。
 ・・・わたしはかつて、それを見誤り、虚妄から最悪の『現実』を導き出してしまった」
「・・・」
「・・・新谷くん。どうやらわたしは、わたし自身も与り知らぬところであなたに大きな『借り』があるようですから、
 あえてあなたが全てを知っているという前提で話します」
「・・・はい」

紫子はすっとソファから立ち上がり、足音も立てずに執務机へと歩き始めた。

「・・・『キジマ』という名前には、心当たりがあります」

「え!?」
「おばあちゃん!?」

え!?あるの!?わたしは心当たりなんかないのに・・・。
・・・いや、さすがにもう物忘れはしてないはずだよ!?

「・・・ただ、あなたたちが求めている『キジマ』と同一の家名かは分かりません。
 『キジマ』という姓自体は、そこまで珍しいものでもありませんからね」
「それでも構いません。聞かせてもらえますか?」

貞一くんが、ぐいっと食い入るように身を乗り出した。

「・・・・・・・・・・・・。
 ・・・わたしが・・・。
 ・・・夕子を・・・死に追いやってから・・・。
 庚家は破滅の一歩手前でした。心を病んだ父は自ら命を絶ち、庚家に残されたのはわたしひとり・・・
 ・・・いえ、庚家には何も残らなかった」
「・・・」

・・・・・・・・・・・・。

「・・・ですが、庚家は当時のここいら一帯を仕切る、長者の家系・・・。
 勝手に破滅することは許されなかった。
 ・・・最も現実的な問題として、当時新設されたばかりだったこの学園・・・
 ・・・いえ、当時はまだ中等部しかなかったけれど・・・。
 ・・・とにかく、この誠教はわたしの父が庚家の所有地に設立したものだから、
 形式だけでも庚家が管理しないといけなかった。なのにその庚家が消滅してしまったら、
 ただでさえ疫病の蔓延で混乱の極致にあった当時の村に、更なる追い討ちをかけることになってしまっていた」

紫子は執務机の引き出しを開けて、なにやらごそごそと漁り始めた。
黄昏乙女アムネジアでエロパロ2
214 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:30:30.30 ID:AIb2WNDJ
「そこで、村で長者に数えられている他の名家が合同で庚家の後見人となって、
 わたしが庚家再興の地盤を固めるまで盛り立てていくことになったのです」

・・・・・・・・・・・・。

「・・・ただね、盛り立てていくと言えば聞こえは良かったけど、実際は体のいい監視・・・軟禁だったの。
 アカヒトの儀の一件以来、わたしの存在そのものが村の禁忌と見なされていたから。
 ・・・何より他の長たちが恐れていたのは、一族最後の生き残りであるわたしが世を儚んでしまうことだった」

・・・・・・そう・・・だったんだ・・・。

「・・・軟禁同然とは言え、名家の人たちはみんな親切にしてくれたけれど・・・。
 ・・・それが逆に辛くもあった」
「・・・」
「・・・そして・・・。その名家の中の一つに、『木嶋家』がありました」
「!」

え!?

「木嶋家は代々、軍人・・・将校を輩出してきた家系でした。
 当時の家長も、戦中は茨城県にあった基地の司令に任官されていて、一族ごとそこに移り住んでいたのだけれど、
 終戦と同時にまたわたしたちの村に戻ってきたの。・・・ただ・・・」
「・・・ただ?」

紫子は引き出しの中から、紙切れのようなものを取り出したようだった。

「・・・木嶋家が村に戻ってきた時、家長は正気を失っていました」
「え・・・?」
「・・・空襲時に爆撃で娘さんを亡くしてね、そのショックで・・・」
「・・・・・・・・・」
「他の一族の者も、身体のどこかしらに障害を負っていたり、四肢を損傷していたりで、五体満足の者は多くなかった。
 結局、負傷らしい負傷を負っていなかった次男が、暫定的に家長代理となったのだけれど」
「・・・」
「・・・終戦直後は、珍しい話でもなかった」

物憂げな紫子の表情を見て、あのコは悲痛そうに顔を伏せた。・・・んだけれど・・・。
それよりわたしが気になったのは、貞一くんの表情だった。
明らかにただ過去の惨劇を憂いているだけではない、なにかに思い当たったような顔をしていたの。

・・・そして、多分わたしと同じことを考えているんだと悟った。

「・・・紫子さん。その亡くなった娘さんの名前は・・・」
「・・・・・・・・・。
 はっきりとは聞いていません。・・・でも、恐らく・・・新谷くん、あなたの考える通りなのでしょう」
「・・・え?おばあちゃん?それってどういう・・・」
「その娘さんが、恐らく『キジマレイコ』さんだということです」
「!!」
「・・・僕が見た夢の中で・・・『キジマ』と呼ばれた壮年の男性は、あきらかに普通じゃなかった。
 なにか・・・当時村を襲った疫病を、まるで神様のようなものが降りてくる予兆のように言っていました」
「・・・そんな・・・」

貞一くんは紫子の顔を仰ぎ、言葉を続ける。
その表情には―わたしの贔屓目かも知れないけど―覇気のようなものが満ちていた。

「疫病の蔓延を土地神の祟りだと思い込むのは、実態はともかく心情としては理解できます」
「・・・」
「・・・でも、疫病を戦の・・・それも、人に害をなす要素のない神様が降りてくる予兆だと考えるのは
 普通の発想じゃありません。脈絡がなさすぎる」
「・・・なるほどね・・・」
黄昏乙女アムネジアでエロパロ2
215 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/02(土) 08:33:23.96 ID:AIb2WNDJ
そう、貞一くんの言う通り。
日本には『疱瘡神』のように、病の脅威を神格化したものもあるけど、
鹿島大明神は由緒正しい軍神。病とは無縁だし、祟り神でもない。
流行り病をその先触れと考えるのは、無理がありすぎる。
・・・つまり、貞一くんが夢に見たというその男性は、
山神の祟りを恐れる村の人たちとも違う、もっと根本的な所で精神に異常をきたしていた可能性がある。

「お、おい。
 でも怪談に出てくる『戦時中に爆撃で亡くなった女性』っていうのがそのキジマレイコのことだったとして、
 都市伝説内の設定では、カシマレイコは爆撃で脚が消し飛んでるんだろ?
 でも脚は残ってるんじゃ・・・」
「・・・。
 ・・・むしろ、脚しか残らなかったのだとしたら・・・」
「・・・は・・・」
「・・・」

・・・。
正直、わたしにとっては遠い山の向こうの出来事みたいに感じていたんだけれど。
でもそういうの、珍しくなかったんだよね・・・。

「ここからは、完全にただの憶測なんですが・・・。
 ・・・娘を亡くすというのは、もちろんそれ自体が大変なショックだと思います。
 でもその『キジマ』さんが軍人の家系というなら、ある程度覚悟もしてたんじゃないかと思うんです。
 あえて戦時中に、一族ごと基地の近郊に移り住むくらいですから。
 ・・・でも、『キジマ』さんの心は耐えられなかった。
 ・・・耐えられないほどの死にざまを、見てしまったのかも・・・」
「・・・そんな・・・」

と、ソファの傍らで聞き入っていた紫子が、先ほど引き出しから取り出した紙切れをおもむろに机の上に置いた。

「これは?」
「実はね、さきほど鑑定依頼先から連絡があって、新しい遺骸の情報が送られてきたの」
「え・・・」

言いながら、紫子はカサカサと紙切れを広げる。

そこには、例の脚の遺骸を撮影したものと思われる写真が掲載されており、
そのところどころに注釈が引いてあった。

「・・・『変形』・・・『損傷』・・・?」
「遺骸の損壊状態からね、おおよその死因を割り出せたらしいから」

そしてその注釈は、特に脚の付け根部分に集中しているみたいだった。

「・・・両脚の付け根の部分にね、刹那的な高温で炭化した形跡が見つかったの。
 ・・・それと、なにかの衝撃で破砕したような跡が」
「・・・それって・・・」
「・・・爆死の可能性が高いと」
「・・・」

つまり、貞一くんの推測も的中してる可能性が高いわけね・・・。

「正直、驚いています・・・新谷くん。・・・霧江がお友達としてあなたを連れてきたこともだけれど、
 あなたはどうやら、庚家・・・いえ、この誠教に、さまざまなことをもたらしているみたいね」
「・・・いえ、僕なんかが、そんな・・・」
「・・・」

紫子はふいっと窓の外の景色に目を向けた。
しんとした室内に、外からひぐらしの鳴き声だけが届いている。


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