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198 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 05:36:34.69 ID:Qfbn690F - >>196
>>13の方でしょうか。 ありがとうございます。 元々、作品が完結して気持ちのやり場がなくて、二人のその後が見たい! って一心で書き始めたんですが、まさかそうまでして読んでいただける方がいるとは・・・。 ほんと嬉しいです。 >>197 そんな風に褒めて頂けるとは・・・。 書いて良かったです。 でも今の話は長い割にエロの比率が少ないので、そこら辺はちょっと反省ですね。
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199 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:20:41.24 ID:Qfbn690F - 貞一くんは絶句している。でも、わたしは構わず話を続けた。
「最初に考えたのは、疫病の犠牲者の死体を火事場泥棒して封入したって可能性。 でも病死の可能性を速攻で否定されて、これはすぐ破綻した。 ・・・まあ、なんにしても、病死者の亡骸を御神体にするとは考えにくいしね」 「そう・・・ですね」 「で、鑑定結果では若い女性だったわけだから、自然死とか、即身仏のたぐいでもないわけね。 となると、事故死か他殺、自殺なんだけど・・・」 「・・・」 「重要なのは、こんな異常な状態で遺体を封じるに至った『なにか』があったってことなんだよね。 つまり・・・」 「妄執を生じさせるような死に方だった・・・ってことですか」 「うん・・・」 貞一くんは目を伏せ、唇を噛んだ。ずっと顔を覆っていたあのコが、ゆっくりと顔を上げる。 妄執を伴う死。そう、わたしにとって、決して他人事ではない。 ―忌まわしい記憶が蘇る。 白装束に身を包み、顔を白布で覆い隠した、紫子。 左脚の脛目掛けて振り下ろされる、大鉈。 わたしを暗黒の階下へと突き落とす、無数の手。 急速に遠ざかっていく、光。 「・・・直接的な殺害かはともかく、誰かが死に追いやったんだとは思う。・・・わたしみたいに。 箱を作った人が追いやった側なのか、あるいは犠牲者側なのかは分からないけど・・・」 「・・・」 「まあ、わたしみたいに人気者だと、死んだ後もほっといてもらえないから! いやあ、人気者はつらいつらい・・・」 わたしは冗談っぽく笑った。この場の空気を予期せず重くしてしまったことに対する、ささやかな償いだった。 「もういい、もう分かった・・・夕子」 「・・・え」 ずっと押し黙ってたあのコが、ようやく口を開いた。 「霧江さん?」 「・・・ごめんな。お前を差し置いて、わたしの方がへこんじゃうなんて」 「えっ?あ・・・うん」 わたしはちょっと気圧された。あのコが自分からわたしに謝ってくるなんて、滅多にないことだったからだ。 「でも、お前のおかげでだいたい分かったよ。つまり、あの遺骨はお前の同類である可能性が高いわけだ」 「・・・うん」 「僕は最初、徳の高い人の遺体の一部がご神体として祀られたのかな、と思ったんですけど・・・。 さっき夕子さんも言ったように、年齢とかからはちょっと考えづらいんですよね・・・」 「そうだね。遺体をご神体として祀るパターンは本来なら、 生け贄・・・つまり意図的に死に追いやるか、生前に徳を積んだ人かなんだろうけど」 でも、年齢のことを抜きにしても、この遺体を後者と仮定するには、あまりにも状況がいびつだ。 脚だけっていうのもそうだけど、 普通そういった霊験あらたかなものに『下肢真霊呼』なんて胡散臭い表記はしないだろうし。 「・・・とりあえず、次の着地点を決めないとな」 「・・・個人的に気になってる点なんですけど」 「うん?」 貞一くんがふいっと顔を上げながら、言葉を続ける。
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200 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:22:04.16 ID:Qfbn690F - 「まず、これが封入されたのが、戦時中なのか疫病の蔓延中なのか特定した方がいいんじゃないかと」
「え?疫病は無関係なんだろ?」 「それはあくまで『疫病が直接的な死因ではない』ってだけですから。 ・・・例えば、疫病の蔓延でパニック陥った人が、 ムリヤリに鹿島流言と繋げて考えて、そういった生け贄の儀式を捏造したのかも知れません」 「なるほど・・・」 わたしの村で疫病が猛威を振るい始めたのは終戦より五年後だから、まだ戦禍の記憶が新しい頃だ。 災厄で視野狭窄に陥った人間が、どんな流言と繋げて考えてしまっても不思議じゃない。 「『アカヒトさま』の儀式も正しい手順とかはとっくに忘れられちゃってたのに強行されたから、その可能性はあるね」 そう。そしてわたしはそれを、身を持って知っていた。 「ええ。・・・あと、これが重要なんですが・・・。 ・・・『カシマレイコ』は、一体いつ生まれたんでしょう?」 「えっ?」 生まれた?どういうことだろう。 「だから、戦時中の流言が最初なんだろ?」 「いえ、何らかの因果関係があるにしても、 鹿島流言は怪異としての『カシマレイコ』の成立からは、かなり離れた位置にあると思います。 僕が言ってるのは、悲惨な話を聞いた人の元にやってきて脚を奪うという、 妖怪としてのカシマレイコがいつ誕生したのかっていうことなんです」 「・・・あっ」 わたしはここでようやく、貞一くんの言わんとしてることを読み取った。 そうだ。確かにこれは不自然だ。 「集めた情報から、妖怪『カイマレイコ』がゴシップとして成立したのは1970年代ということが分かります。 ・・・じゃあ、この箱の裏面に書かれてる『下肢真霊呼』は、何を意味してるんでしょう?」 「えっ?・・・あっ!」 「箱が制作されたのは、遅くとも1950年辺り。 怪談カイシマレイコの成立より、20年以上も前ということになります」 「・・・」 「もっと言うと、『カシマレイコ』という固有名詞がいつ、どこから来たのか?ってことなんです」 そう。この箱が制作された年代には、まだ怪談としてのカシマレイコは影も形もなかったはず。 じゃあ、箱の制作者はどこから『下肢真霊呼』という固有名詞を仕入れてきたんだろう。 「後から墨を入れた・・・とか?」 「いえ・・・。鑑定書のまとめ書きによると、文字列はニスによる仕上げ前に筆記されて、 そのニスの経年状態から作成年代を特定してます。ですから、後付けの可能性は極めて低いです」 「これがカシマレイコの起源だって可能性は?」 「いや〜・・・。ちょっと考えづらいと思うな。 昨夜から言ってるように、カシマレイコは全国的に有名な都市伝説だから。 それのルーツが誠教に眠ってたとかできすぎよ」 「う〜ん・・・」 キーン・・・コーン・・・。 「・・・あ、チャイム・・・。って、もうお昼か」 「え、今の昼休みの鐘か?・・・マズいな、小此木たちほったらかしだ」 あのかしましい二人なら、たぶん勝手に盛り上がっててくれるんじゃないかなと思わないでもないけど。 どちらにしろ、昼食を作りに一旦戻らなくちゃね。 「・・・まあ、とりあえずお昼にして、考えるのはまた午後からに・・・ん・・・」
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201 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:22:48.31 ID:Qfbn690F - 「・・・ん?新谷?」
「貞一くん?」 急に貞一くんが口を押さえてうつむいた。と、 「・・・ふわぁあぁあ〜〜〜・・・」 「・・・」 ・・・おっきなあくび。かわいい。 じゃなくて、もう。びっくりさせないでよ。 ・・・って、わたしのせいだったね。ごめんごめん。 「やだ貞一くん、カバさんみたい」 「なんだ、だらしないな新谷。・・・って言うか、さっきから妙に眠そうだな?」 「すみません。昨夜は・・・その、よく寝つけなくて」 「・・・ふ〜ん・・・」 あのコがジト目で貞一くんとわたしを交互に睨んでる。 ・・・あれ?ひょっとしてバレてる? 「・・・ま、新谷がだらしないのは今に始まったことじゃないしな。とにかく戻るぞ」 「・・・ん・・・。すみません霧江さん、先に戻っててもらえますか?」 「・・・は?」 貞一くんは目をごしごしこすりながら、うつむきがちに続ける。 「ちょっと限界みたいなんで・・・。少し仮眠を取ったら、僕もすぐ向かいます」 え?そこまでだった?睡眠時間自体はそこまで削ったわけじゃないと思うんだけど・・・。 ・・・あ、でも、これはチャンスかな? 「・・・ったく。じゃあ後片付けはお前がメインでやれよ」 「すみません・・・」 「そっかそっか。じゃあここは、わたしが貞一くんに快適な眠りを提供してあげなきゃね!」 「は?」 そう。わたしの必殺膝枕の出番。 貞一くんを膝枕に寝そべらせるのは、わたしたちの最も基本的なスキンシップの一つだ。 出逢いたての頃、わたしはとにかく貞一くんと触れ合う口実が欲しくって、してあげてたのが膝枕だった。 まあ、すぐに口実もへったくれもなく、開き直って抱きつくようになっちゃったけどね・・・。 「・・・はあ。勝手にしろよ。・・・あ、いや、二人きりだからってヘンなことするなよ」 「し、しませんよ!ねえ夕子さん!?」 「えっ?あ、う、うん・・・」 ・・・正直、ちょっと期待してたかな〜・・・なんて・・・。 でも、そもそも貞一くんが寝不足なのはその『ヘンなこと』をしてたせいなわけで、 この上またわたしが無理強いして、悪循環に陥らせるわけにもいかないよね。 「んじゃ、午後もここを使うだろうから、箱は置いてくぞ」 「あ、はい・・・」 ―ガラッ。 「・・・あ、そうだ新谷」 電算室の引き戸に手を掛けたところで、あのコがふと何かを思い出したかのようにこちらを振り向いた。 「は、はい?」
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202 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:23:20.50 ID:Qfbn690F - 「・・・・・・・・・ドスケベ」
「はぁっ!?」 「・・・」 ガララッ・・・ピシャンッ。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・バレてる・・・よね?やっぱり・・・」 「・・・・・・はい・・・」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『・・・て・・・や・・・』 『・・・にを・・・って・・・だ・・・』 『・・・や、・・・がい・・・い・・・まえも・・・たろ・・・?』 『・・・かな、これはただの天災・・・関係なんかあるわけ・・・』 『・・・そうだ、天災だ。そして天災とはすなわち、天啓なのだ。天つ方々が先触れを出されたのだ』 『・・・。 ・・・なあ、木嶋の。お前さまの無念は分かる。分かるが、黎子はもう七年前に死んだんだ。 ・・・だいたいそれと、この疫病になんの関係がある?』 『・・・だな。確かに村の一部の者は、この流行り病を山神さまの祟りだと噂しておるようだが・・・』 『祟り?・・・違う。これはそんな低俗なものじゃない。 むしろこれからだ。これからお下りになられるのだ。疫病なんぞ、その予兆に過ぎん』 『・・・』 『あの時、俺は確かに見た。火花のごとき閃光が、空を駆けていくのを。 ・・・その直後からだ。鹿島さまが出征したという噂が、まことしやかに囁かれ始めたのは。 あれは娘の御霊が鹿島さまとなって、無念を晴らそうと撃って出ていったのだ。 もうすぐだ。もうすぐ帰ってくる。もうすぐ・・・もうすぐ もうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐ もうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐもうすぐ』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「うわあぁぁあっ!」 「ふぇっ!?」 うわっ!?な、なに?なに? 「ぁぁあぁあぁぁ・・・あ、あれ?夕子さん?」 「て、貞一くん?どうしたの?」 ―電算室の片隅。貞一くんの頭を膝の上に抱きかかえながら一緒にうつらうつらしてたわたしは、 しかして貞一くんの唐突な絶叫によって、いきなり叩き起こされてしまった。 「え、えーと・・・あれ?えーと・・・」 「もう、やだ貞一くんったら。ひょっとして寝ぼけてるの?」 寝ぼけまなこで飛び起きた貞一くんの口端から、よだれが漏れてる。 やだ、赤ちゃんみたいでちょっとかわいい。 ・・・じゃなくて、突然どうしたんだろ。 「・・・ご、ごめんなさい。ちょっとうなされたみたいです」 「・・・なに?また怖い夢?」 わたしは心の底で、ちょっと期待してしまった。 というのも、貞一くんは最近、わたしが消えてしまう夢を時々見るようになってたから。
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203 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:24:52.15 ID:Qfbn690F - ・・・喜んじゃいけないとは分かってるんだけど。
そういう夢を見た後の貞一くんは、儚げで、か弱くて・・・わたしの母性本能をギュンッギュン攻めたててくるのだ。 しかも珍しく素直に甘えてくるもんだから、わたしも甘やかし放題、ベタベタし放題。 いやもう、ほんっと役得・・・ ・・・いや、夢とはいえ、貞一くんが悲しい思いをしてるのを喜んじゃいけないのは分かってるのよ? 「・・・あ、いえ・・・。いつものアレとは違う・・・んですけど」 「あ・・・そう」 なんだ、違うんだ・・・。残念。 ・・・いや喜んじゃいけないのは分かってるんだよ?分かってるんだけどね? 「・・・。 夕子さん。夕子さんが生きてた頃の村って、どれくらいの規模でした?」 「え?規模?・・・うーん、そんなざっくり聞かれてもなあ・・・」 って言うか、なんでいきなりそんなこと聞くの、この貞一くんは。 「村の人たちとは、隅々まで面識がありました?」 「えっ?あ〜・・・。いや、それは無理だよ。ここの旧校舎、けっこう大きかったでしょ? つまり、当時からそれくらいの家庭はあったってことだから。 それに、こないだ連れていってあげたけど、古い校舎は取り壊されたあそこだけじゃないしね」 「そう・・・ですか」 貞一くんは俯いて、じっと何かを考え込んでいる。 「・・・『キジマレイコ』・・・って名前に覚えはありませんか?」 「え?『キジマ』?『カシマ』じゃなくて? ・・・あれ?でもさっき、そういう名前もあったような・・・」 たしかカシマレイコの別名の一つが『キジマさん』だったよね?でも、なんで? 村の規模についての質問と、なにか関係あるの? 「ええ・・・。まあ、歩きながら説明しますから、とりあえず宿直室に戻りましょう。 もう霧江さんが行ってから30分以上経ってますし・・・」 「え?・・・あ!ほんとだ!お昼ごはん片付けられちゃう!」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 第四校舎の4階廊下をゆっくり歩きながら、わたしは貞一くんがさっき見たという夢の内容を聞いていた。 「そう・・・。そんな夢を・・・」 「はい・・・」 「・・・それ、貞一くんは、その・・・。正夢・・・はおかしいか。 とにかく、『実際にあった出来事』だと感じてるの?」 もし、その夢が過去実際にあった出来事だとしたなら、間違いなくわたしが死んだのと同時期の出来事だ。 そして『レイコ』『カシマさま』という単語・・・。無視はできない。 でも・・・。 「遺骨やカシマレイコに関する謎を気にかけるあまり、そういう夢を見てしまっただけの可能性もあります。 ただ・・・」 「ただ?」 「夕子さんの過去を見せてもらった時、僕は眠りに落ちながら・・・ ・・・要するに、夢という形で過去を見せてもらいましたよね?」 「・・・うん」 わたしが過去と向き合うために貞一くんを記憶の世界にいざなった時、 貞一くんにはわたしの膝枕でぐっすりと眠ってもらった。 記憶と夢は、密接に繋がっているから。それが必要な手順だったのだ。
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204 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:25:40.38 ID:Qfbn690F - あの時は、最後の睦み合いだと覚悟したけど。
貞一くんのおかげで、わたしたちは今もこうして一緒にいられる。 「・・・実は、あれが初めてじゃなかったんです」 「!・・・え!?」 「最初に見たのは、夕子さんと出遭って間もない頃で・・・屋上で膝枕をしてもらった時です。 次は去年の合宿で、夕子さんが添い寝をしてた時。 どっちも、隠し部屋に閉じ込められた時の夕子さんが一瞬垣間見えたんです。 ・・・夢という形で」 「・・・」 びっくりした。初耳だ。わたしが割とのん気に貞一くんにちょっかい出してた時に、そんなものを見てたなんて。 「・・・あれ、夕子さんが意図的に見せたってことは・・・」 「ううん、身に覚えがないよ。・・・って言うか、そんなもの見せられるんだったら、 一部でもわたしの記憶は戻ってたはずだし」 「です・・・よね」 そんなものを貞一くんに見せられるなら、それを自分の記憶として取り戻しているはずなのだ。 だけど影と同化するまで、わたしから死に際の記憶なんてものは全く抜け落ちていた。 「・・・ですから、今回の夢も・・・。僕にそんな力があるかはともかく、 何かが入り込んできたのかも・・・って」 「うーん・・・」 正直、ちょっと残念な気分だった。 貞一くんがわたしの記憶に触れることができたのは、特殊な力とかじゃなくて それだけ貞一くんと心が深く繋がっているからだと、わたしは理解していたのだ。 ・・・なのに、他の人の記憶も垣間見れるんだとしたら、なんか、その・・・。 わたしだけのオンリーワンって感じじゃなくなるし。 「もしかしたら、僕と夕子さんの合わせ技なのかも知れませんね」 「えっ?」 「ほら、さっきも夕子さんに膝枕してもらってたじゃないですか。 それで、あの木箱がすぐそばにありましたよね? ・・・仮定に仮定を重ねるような話になっちゃいますけど、 木箱の記憶とか残留思念みたいなものが、夕子さんを介して僕に流れ込んできたのかも・・・」 「・・・ふ、ふーん・・・。そ、そっか、そーかもねー・・・」 合わせ技か・・・。それってつまり、わたしと貞一くんの・・・合体技? そっか・・・そっかそっか!わたしと貞一くんの合体技かあ! じゃーしょーがないかなー!んんー!わたしと貞一くんが『合体』!して初めて可能な必殺技なんだもんねー! 「・・・夕子さん、なんでニヤけてるんですか?」 「・・・え?あ!いや、なんでもないよ!? ・・・で、なんで村の規模なんか聞いたの?」 わたしはニヤけ面を取り繕うために、あわてて話題を最初の質問に戻した。 「あの夢が過去の事実だとして、流れからすると『レイコ』というのは例の遺骨の人で、 『キジマ』というのはその『レイコ』さんの家族・・・夢の中では娘と呼んでいましたから、 父親の可能性が高いと思います。つまり・・・」 「あの遺骸の本名は『キジマレイコ』の可能性が低くない・・・か」 ダイレクトに『カシマレイコ』という本名の可能性も高いけど、それだとちょっとできすぎな気もするのよね。 さっき貞一くんが言ってたように、怪談としてのカシマレイコが流布されるよりも20年以上も前の話だから。 結局『下肢真霊呼』という単語がどこから来たかという謎の回答にはならないんだけれど。 「はい。・・・で、夕子さんの生前の知り合いにそういう名前の人がいないかな、って・・・」
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205 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:29:20.48 ID:Qfbn690F - 「う〜ん・・・。
さっきも言ったけど、村って言っても中学校だけでおっきな校舎が建つくらいには人口が多かったからね〜・・・。 少なくとも、わたしの知り合いにはいない・・・かな」 「そう・・・ですか」 誠教学園に高等部が増設されたのは後年になってからのことで、つまり当時はまだ『学園』ではなかった。 まあ、当時は当時で旧制度から変わったばかりで、そういう意味での当時なりの目新しさはあったけど。 「と、言うかね・・・。その夢の内容だと、疫病の蔓延より大分前にその『キジマレイコ』さんは死んでるんだよね?」 「え?・・・あ、ああ、そうですね・・・」 「しかも話の流れからすると、鹿島流言が流れ始める前・・・つまり戦中に死んでる」 「・・・」 「どういう意味が込められてるんだろうね、これ・・・」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「・・・と、言うわけなんですけども・・・霧江さん」 「・・・。 新谷・・・。お前いつからそんな電波体質になったんだ・・・」 「返す言葉もないです・・・」 時刻は午後の1時半過ぎ。 みんなが食器を流しに運ぶ中、遅れて昼食の肉じゃがを食べたわたしたちは、 約束通りみんなの分の食器を急いで片付けると、再びこの電算室へと戻ってきた。 まあ、わたしは堂々と食べると色々怖がらせちゃうから、隣の教室でコソコソと食べたんだけど・・・。 ちょっと切ない。 「やっぱ、ヘンなもんが憑いてるからヘンなもんがうつったんじゃないのか? そのうちうっかり幽体離脱とかするなよ」 「ちょっ!人をダニやノミみたいに言わないでよ!」 ああもう、ほんと小憎らしいんだから。わたしたちがいつもラブラブだから妬いてるのかしら。 「・・・まあ、でも、確かに調査してみる価値はありそうだな。当たってたらラッキーくらいのつもりで」 「でも、調査って言ってもどうやって・・・」 「・・・だね。疫病が蔓延してた時期は村も混乱してて、ちゃんとした名簿や資料が残ってるとは思えないし」 そもそもそういうものが残ってたなら、わたしの過去探しももうちょっとスムーズにいったかも知れない。 いや、まあ、スムーズにいかなかったのは、わたしにとってはむしろ好都合だったんだけれど。 「そりゃ一つしかないだろ。おばあちゃんに協力してもらうんだよ」 「えっ!?」 「!」 「だって、他にいないだろ?当事者でかつ調査できるほどの地位にいる人間なんて」 「・・・いいんですか?霧江さんが理事長に怒られるんじゃ・・・」 「・・・」 あのコは少し俯いて考え込むような素振りを見せたあと、言葉を続けた。 「・・・おばあちゃんな、ああは言ってたけど、本当はわたしたちに動いてほしかったと思うんだよ」 「え・・・?」 「だってさ、終業式の日にわざわざわたしを理事長室まで呼び出して、 その時点で判明してることを丁寧に説明した上で『口外するな』って、明らかにおかしいだろ?」 「あ・・・」 「口外してほしくないなら、そもそもわたしなんかには黙ってればいいだけさ。 なのに、理事長室に呼び出してまでわたしに事情を漏らすなんて薮蛇すぎる」 「確かに・・・」
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206 :いつもの人 ◆2XMU15nbVw []:2014/08/01(金) 07:30:01.45 ID:Qfbn690F - ・・・そうだよね。孫と祖母である以前に生徒と教育者なんだから、
紫子がこのコに伝えたことはヘタすれば職権濫用なわけで。 それに話を聞いた感じでは、夏休みに入る前に何とか知らせておこうと焦ってたようにすら感じる。 あまり家で話したいことじゃないだろうし。 「つまり、あなたの回りくどさは紫子譲りってことね」 「・・・ぐっ!」 「霧江さんが僕たちについた嘘と、まったく同じタイプの方便ですもんね・・・」 「ぐぐっ・・・!」 わたしのささやかな報復を受けて、あのコがたじろぐ。 ・・・紫子は昔から、思い詰めるとそういうヘンに手の込んだことをするきらいがあったから。 「ま、まあ、とにかくだな・・・。 今日は夕方からおばあちゃんが理事長室に来るはずだから、その時に思い切って切り出そうと思う」 「今日?今日理事長が来るんですか?」 「ああ。まあああいうこともあって、色々忙しいみたいだからさ」 夏休みの時期は、やっぱり学校からも先生の姿が少なくなるんだけれど。 と言っても、実際には講習やらなんやらで出張してるだけで、普段と忙しさはそんなに変わらないみたい。 まあ、紫子は理事職であって教壇に立つわけじゃないから、一般の先生とはまた違う忙しさなのかな。 「縁故を利用しての特権みたいなことするの、ほんとはよろしくないんだけれどな。まあ夏休みだしいいだろう」 「縁故を利用して宿直室を借りたりプールを貸し切ったりしてるのに、今さらな気がするけど・・・」 「うっ・・・」 ・・・って言うか、『夏休みだから』ってちょっと意味不明なんだけれど。 「ま、まあ、それに関しては僕たちの方こそ恩恵に預かってますから・・・。 ・・・じゃあ、理事長が来る前に、今まで分かったことをレポートにまとめておきましょうか」 「そうだな。おばあちゃんが気づかなかったことがたくさんあるはずだし」 「カッパのミイラかもとか思ってたくらいだもんねー。ぷぷっ」 「お前もだろ!他人事みたいに言うな!」 「・・・夕子さん・・・。やっぱりまだ、地味ーに根に持ってるんじゃ・・・」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ―ガチャッ。 「よし、入ってくれ」 ―時刻は午後の6時を回ったばかり。 理事長室の前で待たされていたわたしと貞一くんは、部屋から出てきたあのコの合図で入室することになった。 ―あの後、まとめたレポートを持参して一人で理事長室に向かったあのコから 調査の参加者全員に理事長室への入室許可が降りたと連絡があったのだ。 あのコが理事長室へ向かってから連絡があるまで、正味一時間。 その間、紫子にこってりと油を搾られていたのは想像に難くない。 ・・・まあ、紫子のことだから、内心は喜んでたんだろうけど。 「本当にいいんですか?僕たちまで・・・」 「今さらだろ。新谷は一回ウチまで来て、おばあちゃんと話してるじゃないか」 ・・・!?は!? 「えっ!?ちょっと何ソレ。初耳なんだけど」 「えっ?あ、いや〜・・・。 そう言えば、夕子さんには話してませんでしたっけ?」 「『話してませんでしたっけ?』じゃないよ!ちょっと、それって貞一くんを家に連れ込んだってこと!?ねえ!」 「へっ!?」
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