- P2でエロパロ その2
590 :永き地獄の終わり65/65[sage]:2014/07/24(木) 01:26:00.09 ID:PUekqJgI - でも、どうしても気になる。
ヒロムはお姉様に何を語るのだろう。 よもや、私とのことをお姉様に報告するようなことはないと思うけど、 気になる。 どうしても、気になる。 二人がどうしているのか、思わず扉に耳を当てて聞き耳を立てようとしてしまった。 その私の首根っこを掴んで引きずってくれるアキラには、多分、やっぱり感謝しないといけないんだろう。 大嫌いで、憎くて、でも、最後まで私を哀れんだり、見下したりもしなかった女。 こういうのも、友達、と呼んで良いのだろうか。 兄に囲われていた私には、同い年の友人と呼べるような人間は一人もいなかった。 対等に喋ってくれる、同性の存在を、せめて友だといえるのならば、 私にとって友達と言えるのは、こいつだけだったかもしれない。 その友達に、ヒロムから引き剥がされるというのは、悪くない終わり方だった。 「ありがとう。もう、大丈夫だから」 十分に控え室から離れたところで、私はアキラにそう告げた。 アキラは、驚いたような顔をして手を離した。 多分、私がアキラに礼を言ったことに驚いたのだろう。 私も自分で驚いていた。こいつに礼を言うなんてことがあるなんて。 「エリス?」 「何よ、おかしい?」 おかしいだろう。自分でもおかしいと思う。 でも、せめて、ただ一人の友人に、礼を言うくらいの義理は、私にだってある。 腹を庇いながら立ち上がり、思い出したように一つおせっかいをしてみる。 「アキラ、あなたも、自分を裏切らないことよ」 私と違って、あなたの兄はまだ、まともなのだから。 「エリス……?それは……」 それ以上言うのは、悪い気がした。あるいは、おせっかい過ぎる気がした。 アキラがどんな顔をしているのか、気にはなったけど、私は振り返らずに手をひらひらさせて、 心密かに、友人に別れを告げた。 本当に、何の因果だろうか。 あれほど世界を騒がせた大会の、準決勝に集まったのがこんな知っている顔ばかりとは。 山雀先輩ともお姉様とも離れて、観客席の最上段からヒロムを見つめる。 席の前の方にお姉様の姿を見つけた。 その瞳が向く先には、ヒロムの姿がある。 もう、顔を合わせることは無いだろう。 今にしてわかる。こんなに好き。 でも、もう会ってはいけない。 兄の地獄から助けてくれただけで十分すぎる。 この子のことを知らせてもいけない。 私が男にしたヒロムが他の女を抱くのは腹が立つが、お姉様なら仕方がない。 お姉様が男にやられるのは腹が立つが、私が男にしたヒロムなら仕方がない。 お姉様、貴方のことも大好きでした。 どうかヒロムを手放さないで。 声にならない声を内心で叫んで、私は準決勝を見届けることなく、会場を後にした。 見上げれば、この上無いほど晴れやかに澄んだ青空が降りかかる。 さて、普通に暮らすなら200年は過ごせるだけの財産はある。 どこかの地方都市に行って、この子を産んで育てよう。 私を、永き地獄から解放してくれた、誇り高き勇者の子を。 ―永き地獄の終わり― 了 **************************** 永く保守してくれた皆様、本当にありがとうございました。
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