- 【俺の】結婚&新婚萌えスレッド第5夜【嫁!】
559 :銭湯に行った夫婦[sage]:2014/07/21(月) 00:00:17.60 ID:tqXncdh9 - 「だるい」
「…はい…」 「腰も痛い」 「……はい……」 「……動けないんだけど」 「誠に申し訳ございませんでしたっ……!」 翌日、朝…というよりはもう昼に近い時間なのに、私は布団に寝転んで彪に文句を言っていた。 昨夜の閨事のせいで、見事なまでに腰砕けになり、起き上がることすらできないのだ。 犯人である彪といえば、布団の脇で正座をして、ひたすらぺこぺこと頭を下げている。これが、昨晩私のことを無茶苦茶にした奴と同一人物だなんて。 「動けないから、ご飯、作れないんだけど」 「不肖ながらわたくしめが作らせていただきます…!」 「掃除や洗濯も、できないんだけど」 「誠心誠意真心込めて、務めさせていただきます…!」 「……せっかくいい天気なのに、出かけることもできないんだけど」 「たまにはお家でのんびりするのもアリではないかと…!」 思いつくままに文句を言うと、土下座をしたまま返事をされる。 「……なんで、あんなことしたの」 「ぅ……や、やっぱり嫌だった?」 「そんなことは一言も言ってないでしょ」 疲れたけど嬉しかったし、と付け加えると、彪はガバッと顔を上げた。その表情は嬉しそうに輝いている。尻尾が付いていたら物凄い勢いで振ってそうだ。 「本当に!?」 「嘘言ってどうするのよ。で、なんであんなことしたの」 「うん! あのね、たまには偲乃に休んでほし……違う嘘なんでもない! あの、俺の理性が持たなかったんです!!」 「……休んでほしい?」 ああああ、と項垂れる彪を撫でながら、考えを巡らせる。 休んでほしい、と言われても、私はいつもきちんと休ませてもらっている。 彪が家事全般を受け持ってくれているから、仕事に専念できるし、休み時間だって取れるのだ。 むしろ、普段彪に任せっきりな分、日曜くらいは家事を変わろうと…とそこまで考えて、ふと、一つの仮定を思いついた。 「……ねえ、彪」 「は、はい」 「もしかして、営業日はずっと働いているから、たまの休日くらい仕事も家事もしないで、ただゴロゴロと休んでほしいと思ったの?」 「――っ!? ちっ、ち、違うよ! 違います! そんなことはない!!」 「で、普通にお願いしても聞くわけないから、あんなに激しくして私を動けなくしたの?」 「ちっ、ちがいます! 単純に俺の理性が」 「ついでに、いつも我慢してる分を発散しちゃおうかなー、とか思ったの?」 「マサカソンナ!」 つまり、そういうことだったのか。 挙動不審極まりない彪を見つめ、口からは自然と溜め息がこぼれた。 彪は、どうにかして誤魔化そうと、ああでもないこうでもないと首をひねっているが、その態度こそが何よりの証拠だとは気付いていないらしい。 自然と緩んだ表情はそのままに、彪の手に私の手を重ねる。 「ねえ、彪」 「な、なんでございましょうかっ!」 「おなか、すいちゃった。ご飯ある?」 「! あるよ! あります! フレンチトースト作った!」 「そう、おいしそうね。じゃあ、食べさせてくれる?」 「うん! ちょっと待ってて!」 ぃやっほう! と駆けていく彪を見送って、私はもう一度溜め息をついた。 「まったくもう…仕方のない旦那さまね」 その声が、心底幸せそうに蕩けていたのは、言うまでもないことだろう。
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