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『紅血の呪縛』
立場だけの交換・変化 7交換目?

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立場だけの交換・変化 7交換目?
288 :『紅血の呪縛』[sage]:2014/07/11(金) 06:51:36.23 ID:et/F/1vx
「鳥ガ水ノ中ヲ泳グガ如ク
 魚ガ蒼空ヲ翔ケルガ如ク
 彼ノ者ニ我ノ、我ニ彼ノ者ノ
 立場ト因果ヲ与エ賜エ
 ──『因果交換(コーサリティ・エクスチェンジ)』!」

 長々とした古語での詠唱の後、最後に彼女がそう締めくくると同時に、辺りに眩い光が満ち……少年は意識を失った。

 * * * 

 私ね、この屋敷に封じられていたの
 もう、200年ほど前になるのかしら
 教会の悪魔祓師に追われてね
 この山奥の舘にこっそり隠棲していたんだけど、やっぱり見つかってね
 でもね、傑作なのよ
 その悪魔祓師が言うには、私は滅されるほどの邪悪ではないんですって
 当然よ
 望まずして私をこの呪われた不死者の道に引きずり込んだ男以外
 私はひとりとして人を殺したりしてないんだから
 この美貌に下心を抱いた相手からちょっぴり血を貰ったり
 襲って来た相手を返り討ちにして再起不能にしたりはしたけど
 なら放っておいてくれればいいのに放置もできない
 だから、此処に封印する
 この屋敷の敷地の中では自由に動けるけれど
 其処を越えて一歩たりとも出ることはできない
 貴方も見たでしょう
 門扉が外からかんぬきがかけられ
 塀の周り川から流水を引いて堀とする
 そのうえで、私に呪的強制(ギアス)の魔法をかけたの
 有難迷惑な話よ
 いっそ、浄化して滅ぼしてくれればよかったものを

 でも、それも今日でお終い
 ありがとう、貴方のおかげで私は救われる
 “私”は“ボク”として村へ「帰れる」
 そうそう、名前も変えないとね
 元の名前から取って……ルカ
 ボクはそう名乗ることにしよう
 置いていく“ミラ”の字は
 「真祖の女」の立場といっしょに君にあげる
 カール・ミラ──“カーミラ”とでも称するといいんじゃないかな

 * * * 

 夢を見ていた。
 夢の中では、よく見知った少女が気を失ったまま、誰かに背負われて、見覚えのある屋敷の庭に連れて来られる。
 麻のシャツとズボンの上にイノシシの皮で作られた胴着のような革鎧を身につけ、腰にショートソードをぶら下げたその人物が軽く揺さぶると、少女は目を覚ました。
 「う、うーん……ここは?」
 「大丈夫かい、マリア?」
 「えっと……あれ、ルカ? わたし、一体どうしたんでしょう」
 ゆっくりと身を起こしながら少女は“幼馴染の少年”に問う。
 「おいおい、覚えてないの? この庭に来て、いざ探索しようとしたところで、つまづいて転んだ挙句、頭をうったせい気を失ったんだよ」
 「そう、だったかしら?」
 ふらつきながらも立ち上がろうとして、少女は顔をしかめる。
 「頭うったみたいだけど、もしかして痛む?」
 「そっちはちょっとだけですけど、右足が……」
 「ああ、たぶん転んだ時に捻ったんだろうなぁ。仕方ない。今日はこのまま帰ろう」
 あっけないほど簡単にそう結論すると、少年は少女を背負って塀を越え、屋敷の“外”へと「帰って」いった。
立場だけの交換・変化 7交換目?
289 :『紅血の呪縛』[sage]:2014/07/11(金) 06:52:39.66 ID:et/F/1vx
 「──今のは……」
 天蓋付きの豪華な寝台の中で目を覚ました「彼女」は、今し方見た“夢”を思い返す。
 根拠はないが、理解していた。
 アレは本当に起きたことで、本来の主に代わって自分が、この館に置き去りにされた、いえ「封じ」られたのだ、と。
 ベッドの上に身を起こすと、顔の周りに何かが垂れ下がる感触がある。
 さわってみれば、それが自分の髪の毛だとわかった。随分長く伸びているようだ。
 よく見れば、そこはかとなく見覚えのある白い寝間着を着せられているようだ。
 一瞬の躊躇いの後、胸に手を当ててみると、そこに膨らみは感じられない。
 さらに、股間にまで手を伸ばし、「ソレ」が健在であることを知った時、「彼女」の心の中に安堵と羞恥という相反するふたつの感情が湧き起こった。
 そのままベッドから降りて、すぐ隣に置かれた化粧台へと向かう。
 鏡の中には──誰も映っていない。
 一瞬パニックになりかけたものの、すぐに脳裏に浮かび上がった呪文のひとつを唱える。
 「──『人化擬態(イミテーション)』!」
 淡い光に包まれた後、鏡の中にひとりの“少女”が映し出されていた。
 やや癖のあるホワイトブロンドの髪を背中どころか膝近くまで伸ばし、一度も日焼けなんてしたこともないように肌が白く、対照的に唇は紅い。
 簡素ではあるが肌触りのよい絹のナイトドレスを着て、頼りなげな表情でこちらを見返すその顔は、けれど同時によく見知った己が自身の貌そのままでもあった。
 「これって……」
 一体何、と口にしかけて、「彼女」は自分がこうなった事情を理解していることに気付いた。
 頭の中にあるはずのない膨大な知識と記憶が眠っているのがわかる。
 そして──今の自分が強大な力を持つ真祖であることも。
 「そんな……こんなのってないわ。あんまりよ!」
 口からこぼれる嘆きの言葉も、知らず知らず女性らしい口調になっていた。

 ──その後、100年近くの時を経て、偶然その舘を訪れた男性冒険者の手で「彼女」の呪縛が解かれ、紆余曲折の後、「彼女」はその冒険者の“妻”となるのだが、その解放の時まで、「彼女」は不死なる身として孤独な時を過ごすことになるのだった。

-おしまい-


#連投規制きたので別赤から
#私にしては珍しくハッピーとは言い難い(?)結末。描写不足で萌えられなかったらすみません。シチュ的には「冒険者志願の少年戦士←→500年以上生きた真祖の美少女」って、わりかしイイとこ突いてると思うのですが……。


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