- キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44
359 : ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:34:24.18 ID:1U8ko4x5 - >357
GJでした。 風刺も効いててニヤニヤしながら読んでましたw 投下します。
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360 :パンドーラー12 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:37:09.90 ID:1U8ko4x5 - ―――午前6時。
5月の朝はまだ冷たさを残していた。 トシヤはこの時間になり、ようやく帰宅した。 朝帰りするのは2度目だ。 ただ今回は…。 「ただいま…」 家の中は静まりかえっていた。 トシヤはマキを探した。 「(マキ姉さんに言わなければ―――)」 彼女はすぐに見つかった。 リビングで膝を抱えてうずくまっていた。 風呂にも入っていないのだろうか、着の身着のままである。 傍には携帯が放り出されていた。 さっき確認したから分かる。 おびただしい数の着信があった。勿論マキから…。 「姉さん…」 何と声を掛ければいいか…。 その雰囲気だけでマキが異常な状態だとトシヤは感じた。 そして、もう一つの思い当たりも…。 彼女は、マキは、自分を諦めていなかったのだ。 トシヤはそれを悲しく思った。 同時に、心のどこかで嬉しさも感じていた。 嬉しさ? バカな考えだ、トシヤは頭から追いやるようにした。
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361 :パンドーラー12 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:38:11.41 ID:1U8ko4x5 - 「ただいま、マキ姉さん」
「―――」 「メールでまた帰りが遅くなるって送信したよね」 「―――」 「実は…彼女が出来たんだ」 ビクッ! かすかにマキは身体をふるわせた。 「その人の家に泊まってきたんだ」 「…」 「あの日に、普通の姉弟になるって約束してくれたけど、今のままじゃ無理みたいだね」 「…」 「僕には恋人が出来た。だからマキ姉さんも誰か恋人を作るべきだよ。 そうして年月が経てば、お互い間違っていたって気付くときも来るだろうからさ」 「…」 「まずはその一歩を始めたいんだ。マキ姉さんも同じ風にしてくれると嬉しい…」 「…」 「…また話し合おう」 そう言って、トシヤは自身の部屋に戻っていった。 マキは…。 昼頃になり、トシヤの携帯に着信があった。 ミコトからだ。 「もしもし、トシヤ君?」 「はい、ミコト先輩」 「先輩っていうのは、よして…」 「えと、ミコトさん…」 「うん」 「…用件はなんですか?」 「昼食でもどうかと思って」 「わかりました。すぐに行きます」 正直、ありがたかった。 マキと同じ屋根の下にいるのが、気まずかったからだ。 原因は自分なのだが、マキも問題がなかったとはいえないだろう。 そうトシヤは自己を正当化する言い訳をたてた。
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362 :パンドーラー12 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:39:24.90 ID:1U8ko4x5 - ミコトのマンションに来るのも何だか慣れてきてしまった。
そう思いながらトシヤは入り口に向かった。 オートロックになっているため、インターホンからミコトを呼び出す。 「こんにちは、ミコトさん」 「ようこそ、トシヤ君。どうぞ」 程なくして、入り口が開いた。 デリバリーピザで腹を満たした後、今後についてミコトが提案してきた。 「お姉さんの自立を促すためにも、トシヤ君は家から離れるべきだよ」 「はぁ…でも一人暮らしするお金なんてありませんが…」 「何を言っているんだい?ここに住めばいいじゃないか」 「え?!」 「私一人で持て余していたことだし、お金だって心配はいらないよ」 「いや、流石にそれは…」 「遠慮することはないよ。ちょっと早いけどお互いのための同棲と思えばいい」 「?!!」 「これからは私も自炊の仕方を勉強しなければいけないな、ああ、生活用品も買ってこなければ…。ベッドは―――思い切ってダブルを―――」 彼女が、目の前の女が、何を言っているのかトシヤには分からなかった。 「ちょっと待って下さい!僕らはまだ付き合いたてじゃないですか!」 「だからこれから愛を深めていこうじゃないか」 「考えが飛躍していますよ、それに姉さんともちゃんと話し合っておきたいですし」 「以前、君たちを見かけたが…お姉さんの君を見る目は異常だったよ」 「え?」 「まるで、夫婦とでもいわんばかりに…ね。話し合いが出来る相手ではないよ」 「でも…それでも僕の姉なんです。とりあえず今日は失礼します。ご馳走様でした」 そう言って玄関に歩を進めたが…。
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363 :パンドーラー12 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:40:10.28 ID:1U8ko4x5 - 「?!」
トシヤは急に視界がグラついた。 「トシヤ君?疲れたのかい?」 「―――」 「しばらくここで休んでいくといいよ」 トシヤは恐怖を感じた。 心配する口調のミコトが―――笑っていたから――― そして、そのまま意識を手放した。 遡ること、1時間前。 ミコトのマンションの入り口にユリコが立っていた。 トシヤを偶然見かけたので、後を尾行してきたのだ。 そのまま、マンションに入っていくトシヤを見ていた。 「―――もしかして、ここに?」
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364 : ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/06/22(日) 20:40:58.42 ID:1U8ko4x5 - 今回は少し短いですが投下終了です。
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