- 【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ25
226 :元405B(17/18)[sage]:2014/06/18(水) 00:03:27.06 ID:XOxmEshb -
「なんの……事……? わたし、レン君の悪口なんか……」 「黙れ!」 ボクはガシャン! と足元にあった机を激しく蹴りつける。その弾みで、小山の一部がガラガラと音を立てて崩れた。 「きゃっ……!」 頭をかばうようにしてうずくまるリンを、ボクははあはあと息を荒げて睨みつける。 「悪口なんか、言ってないとでも言うのか? しらばっくれようとしたって、そうは行かないぞ!」 そうだ。例えリンがどう言い訳をしようと、ボクには確かに、この耳で聞いたリンの言葉が焼き付いている。 ルカ先生と一緒になって、口々にボクにぶつけてきた侮蔑が。 罵倒が、皮肉が、暴言が。 ボクの息の根を止めた、あの最後の言葉が。 「そんなの……知らないよ、レン君……! ねえ、落ち着いて、きっと何かの間違いで……!」 リンがまだ往生際悪く、ボクに向かってウソを並べ立てている。よくもそんな、ぬけぬけとした態度がとれるものだ。 何かの間違いだって? ボクの心が、直しようもないほどに壊されてしまったことが、何かの間違い? だとしたら間違っているのは、そんな事を許した、この世界全部の方だ。 ……そうだ、やっぱりこの、赤くない世界がいけないんだ。早く元通りにしないと、ボクの居場所を取り戻さないと。 「………」 ボクが無言のまま、ゆっくりとナイフを振り上げるのを見て、リンの目が、恐怖に大きく見開かれていく。 「やめて! やめてよ! こんなのおかしいよ! ほんとのレン君に戻ってよ!」 泣きわめくリンの声が、ボクのうつろな耳でわんわんと反響する。 ほんとのボクに、戻って。 ほんとのボクって、何だったんだろう? そんなものきっと、最初から、どこにもなかったんだ。 ◇◆ ◆◆◇ ◇◇◇◇ ◆◇◇◆◆ ◆ ◇◆◆◆◆◆◇ ◆ ……赤く染まった教室で、ボクは、物言わぬリンと二人きり。 これでやっと、元通りだ。 「……ふふ……」 自分の世界を取り戻した幸せで、ボクは静かに笑う。 だけどちょっぴり疲れてしまったようで、体がだるくなってきた。ボクはナイフを投げ出し、その場にぺたん、と腰を下ろすと、 リンと並んで、机の一つにもたれかかった。そのとたん、睡魔が襲ってくる。 すぐそばにある、リンの頭からたちのぼってくるシャンプーの香りと、そこに入り混じる、鉄臭さ。 その匂いに、とろとろと身と心を委ねながら、ボクは思った。 (――次に目覚めるとき、世界は、どうなっているのかな) ボクに優しい世界が、広がっているのかな。そうだといいと思う。 その事を願いながら、ボクはリンの隣で、ゆっくりと目を閉じた。 それだけが、今のボクの望みだ――
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227 :元405B(18/18)[sage]:2014/06/18(水) 00:05:08.26 ID:XOxmEshb -
……いやあ、実に愉快な一幕だったね。 捻じれ、歪み、絡みにからんだ心の末路というものを、たっぷりと観察させてもらったよ。とても有意義なひとときだった。 まあ、どのみちあの少年には、明るい未来につながる選択肢など用意されていなかったのだし、何もせずにただ運命に流されるよりも 自ら行動を起こした結果のこのエンディングの方が、立派なものだと言えるのかもしれないね。 せめて僕だけは、彼を祝福してあげよう。 おめでとう。ぱちぱちぱち。 そうそう、愉快と言えば、彼のユメもまた、実に素晴らしい逸品だった。 その想いを、決して誰にも明かすことなく、ただひたすら、自らの胸の内で磨き続けた結果が、あの輝きなんだろうね。誰の手垢も ついていない、純粋無垢なユメはいつ味わってもこたえられないものだ。 とるにたらないほどの短い時間ではあったけれど、僕の人生の一部を確かに彩ってくれた彼には、どれだけ感謝の意を表しても 足りないくらいだ。 どうもありがとう。楽しませてもらったよ。 ……さて、次は誰のユメを頂きに行こうかな。 そうだな……君のところへ遊びに行くのも、悪くないかもしれない。 そう、君だよ、君。 今そこにいて、これを読んでいる君自身のことだ。 君の瞳も、あの少年に似た輝きを秘めているのが気に入った。さっそく今夜にでも、お邪魔させてもらうとしよう。 だから君もそれまでに、キチンと考えておいてくれたまえ。 ――ユメを引き換えにしても構わないほど、とびきり極上の悪夢をね。
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228 :元405(後書き)[sage]:2014/06/18(水) 00:09:41.31 ID:XOxmEshb - 以上、長々とお目汚し失礼いたしました。
楽しんでいただければ幸いです。 この場を借りて、素敵な作品を発表してくださったNem氏、たま氏に敬意を表させていただきます。 ならびに前スレで夢食い白黒バクのネタ振りをしてくださった方もありがとうございました。
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