- 【卓球場】野村美月作品エロパロ2冊目【文学少女】
666 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/06/13(金) 05:06:06.56 ID:GhFw/9/H - 「赤城くん、好きです」
葵の精一杯の告白。 勇気を出した一言は、目の前の是光にしっかりと届いたはずだった。 右手で頬をかいて、困ったようにはにかむ彼。 そんな是光を見ながら、葵は言葉を待つ。心臓の鼓動は、自分のものとは思えないくらい早くて、張り裂けてしまいそうだった。しっかりと地面に立てているかどうかもわからないくらい緊張していた。 「葵」 「は、はい」 近づいてきた彼は、ポン、と頭にそっと手をおいた。 男らしいごつごつとした手は、葵の頭をそっと撫でたあと、強引に体を抱き寄せた。 「あ、あの……」 戸惑う葵をよそに是光は抱きしめる腕にやさしく力を込める。 何よりも分かりやすい答えだった。 「こういうのは、俺から言いたかったな」 葵は応える代わりに、力を抜いて、是光に体を預けるように寄りかかる。背中にそっと腕を回して、全身で是光の体温を感じた。 「赤城くんが、悪いんです」 そうじゃないですけど……。 一歩踏み出したくて、踏み出せないそんな自分が嫌だった。だからこそ、自分から変わろうとしたその結果だった。 こみ上げてくる嬉しさと恥ずかしさを抑えて、少しだけお姉さんぶる。 「はっきり、してくれないから、ここまで言わせたんです」 言葉に本心といたずら心を込めて。 「ごめんな、葵」 知らないふりをして是光の胸に顔をうずめる。 そんな葵に聞いてもらいたい一心で、明るい声で是光が言う。 「そうだな。よし、10分前に時間を戻そう」 「なんですか、それ」 突然の提案。 葵の抗議をそのまま流して是光は、葵をよりいっそう抱き締める。 「10分間の記憶、忘れたな」 「……忘れられないです」 「忘れてくれ」 「……無理、です」 ふてくされる葵を是光が宥める。 「一度しか言わないからな。ちゃんと聞いといてくれ」 「え……」 そんな囁きとともに是光は、抱きしめた葵をそっとはなして、真っ直ぐにその瞳を見つめた。 「葵。俺はお前のことが好きだ。だから、ずっと俺の隣に居てくれ」 まっすぐな一言。 是光に見つめられたまま、葵の頬はさくらんぼのように赤く染まっていく。恥ずかしさで是光の視線から逃げようとする葵をもう一度強く抱きしめた。 「ちゃんと俺の告白、聞いてくれたか?」 カッコつけたわけでもなんでもない、ただの言葉。 「赤城くん。記憶なんて消えるわけないじゃないですか」 声が震えてしまう。 笑って誤魔化そうとしたのに、貰えた言葉の嬉しさで涙が溢れそうになる。 是光は、わかってるとでもいいたげに、葵の頭をそっと撫でていた。 「で、返事は?」 ほんとに……赤城くんはずるい。 「わたしも……大好き、です」 眠保守
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