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名無しさん@ピンキー
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】

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【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
347 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/06/05(木) 05:27:15.43 ID:42Xkn62Y
「お嬢様、支度はお済みですか」

声をかけて、半開きの扉から部屋へ入ると、下着姿のお嬢様が目に入った。

「まだそのような…
パーティのお客様がいらっしゃる前に身支度をなさいませ。
メイドはどうしたのです」

「下がらせたわ」

つっけんどんな声。
機嫌は最悪のようだ。これは手こずるぞ、と内心腹をくくる。

窓際の肘掛け椅子に腰掛けたお嬢様は、自分の身なりに一切頓着しないまま、
そのまま素足の膝を抱え込んだ。

「……お前は知ってるの?このパーティは私の結婚相手探しのためなのよ」

あられのない姿から目を逸らしながら答える。

「もちろん存じております。
良いお相手が見つかるよう、私も微力ながらお手伝いさせていただきます」
「私は嫌よ」

にべもなく言い捨てる。機嫌が悪い時のお嬢様はいつもこうだ。

「そのようなわがままをおっしゃってはいけません。
旦那様のお顔に泥を塗るようなことはしてはなりません。
当家の令嬢として恥じないよう、きちんとした振る舞いをなさらなければ」

お嬢様はふいと窓の方を向いて、聞き取れるか聞き取れないくらいの小声で微かに呟いた。

「……言われなくてもわかってる、そんなこと」


窓の外を睨みつけ、一つ息を吐くとお嬢様は意を決したように振り返った。

「じゃあお前が着せて頂戴」

「…かしこまりました」

私は床に投げ出されたワンピースを拾い上げる。
肩を出したワンピースのため、お嬢様は胸元はビスチェタイプの下着をつけており、下はショーツだけだ。
このようなはしたない格好でも、お嬢様はまったく意に介していない。
所詮私は異性ではなく、ただの使用人ということか。

背中のファスナーをいっぱいに広げ、ワンピースを床にまるく広げる。
お嬢様は渋々とその中に足を入れた。
ワンピースを持ち上げ、胸のところで体に合わせると、腰からファスナーを引き上げる。
体にぴったりとフィットしたデザインのため難しいが、なるべくお嬢様に直接触れぬよう、よく気をつけながら。
静かな部屋に、ジジジ…とファスナーの音だけがやけに大きく響く。
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
348 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/06/05(木) 05:28:17.01 ID:42Xkn62Y
「これでようございますか」
「パニエを」
「はい」

椅子に放り出された白いパニエを取る。しかしこれはどうすればいいのかわからない。

「どうぞ」

お嬢様に手渡そうとすると、キッと睨まれた。

「私にさせるの?履かせて頂戴」

腰の部分を手に持って広げると、お嬢様が裸足の足をするりと伸ばし、軽やかにパニエの中に立つ。
私の目の前に、美しい脚をわざと見せつけているかのようだ。体の奥でじんわりと生まれる熱に気づかないふりをして、私はことさらに淡々と続ける。

「どうすればよろしいのでしょう」
「ホックがあるでしょう。それを留めるのよ」

といっても、ホックを留めるためにはパニエをウエストの位置まで持ち上げなければならない。

「失礼いたします」

そういってパニエを持ち上げる。服を着せるためだと頭ではわかっていても、お嬢様のスカートの中に手を入れていく様はなかなかに卑猥だ。
パニエを持つ手が、ときどきするりとお嬢様の脚に触れる。自分の手元を正視することができない。

「早くして」
「…お嬢様、申し訳ありませんが少々スカートを持ち上げていただけますか。ホックが留められません」

そう伝えると、お嬢様はスカートをたくしあげてウエストのあたりでまとめ持った。
美しい弧を描いたヒップラインが丸見えになる。
その上を通り過ぎ、ウエストまでパニエを持ち上げると、いくつかならんだホックを留めてゆく。
内心の動揺が指先に伝わり、小さなホックをうまく引っ掛けることができない。

「何してるのよ、遅いわね」
「…は、申しわ…け、ありません」

小さなホックと悪戦苦闘している私をちらりと見下ろすお嬢様の口元に、一瞬ふと笑みが浮かんだ。
…ように見えた。

「靴はどちらになさいますか」

やっとのことでホックを留め終わると、お嬢様に尋ねる。

「それよ。その紅い革の」

それは緋色のドレスに合わせて誂えられた美しい紅い靴だった。
つま先から踵へ美しい曲線を描いて持ち上がり、すらりと細いヒールが全体を締めている。

跪き、靴をやや持ち上げるように傾ける。お嬢様は私の肩に片手を置き、体を支えながらするりとつま先を靴の中に滑らせる。
私の肩に、お嬢様の重みがかかる。お嬢様は怒りにまかせてわざと力を込め、肩においた手をつねるように握り締めるが、さしたる痛みではない。
心地よい重み。心地よい痛みだ。

張り付いたような無表情のままお嬢様を見上げると、お嬢様は私が痛みを全く表情に出さないことが面白くないらしく、
眉尻を釣り上げて見下ろしている。私はその表情の美しさにうっとりと見入った。

ああ、この瞬間、いまこの瞬間で時を止めてしまえたら。
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
349 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/06/05(木) 05:32:51.16 ID:42Xkn62Y
頭をひとつふり、叶わぬ妄想を追い払う。

「お支度はこれですべてお済みですか」
「アクセサリーがそこに」

大きな鏡の下のジュエリーボックスの手前に、イヤリングとネックレスが揃えてある。
ネックレスを手に取り、お嬢様の後ろに回る。

お嬢様は髪をまとめて前に垂らし、うなじを出して見せた。

ネックレスを持った左手を後ろからお嬢様の体に回し、片方の端を右手に持ち替える。
私の腕の中にすっぽりとお嬢様が収まってしまう。
こんなに近くにいて、腕をすぼめたら簡単に抱きしめてしまえる距離で、それでも私はお嬢様にできるだけ触れぬよう注意を払いながら、金属の留め具をつける。
留め具をつけて、ネックレスをそっと首に置いたとき、私の指先がわずかにお嬢様のうなじを掠めた。
お嬢様はぴくりと身じろぎし、ゆっくりと振り返る。

潤んだ瞳が、部屋のシャンデリアを映してキラキラと光りながら私を見上げる。睫毛が濡れているのが間近に見える。

「おまえは……これで、いいの」
「もちろんです」

嘘をつくのは慣れている。
本当の心を隠すのに慣れすぎて、もう自分の本当の望みなどどこにあるかわからなくなってしまった。
それでも。

こんな風にお嬢様に問われると、封印したはずの感情が胸の奥で疼き、鈍い痛みを伴って心臓を締め付ける。

「お嬢様の幸せこそ私の最上の喜びですから」

にっこりと笑いかけたはずが、お嬢様の瞳には、泣きそうに顔を歪めた自分が映っていた。
これ以上はここにはいられない。

「私には髪を結って差し上げることはできませんので、メイドを呼んでまいります」

そう言ってお嬢様から離れる。

お嬢様のなにか物言いたげな視線を背後に感じながら、ドアへ歩み寄り、


そして、閉めた。


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