- 【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ10
713 :1/2[sage]:2014/05/30(金) 23:10:19.58 ID:KegPaC0y - ちょっと遅くなったけど、利根改二記念
いちおう前編……のつもり。後編は気が向いたら ## 執務室の窓から見上げる西の空は、影が差すように黒い雲で覆われていた。 僕はそれを見て、日が落ちる前に雨が来るなと思った。 「遠征に行った皆が、降られないと良いけど……」 朝も開けきらぬうちから、天龍さんに連れられて、南方海域へと赴いた駆逐艦娘たちのことを思う。 僕よりも更に幼く見える彼女たち。遠征で疲れた彼女たちを迎えるのが、冷たい雨などということになるのは忍びない。 だけど、適正があるというだけで、知識も経験もない僕に出来ることといったら、執務室からみなの無事を祈るだけ。 せめて身体を冷やさないように、お風呂の準備をしておこうかなどと考えていると、ノックの音と共に、執務室のドアが開いた。 「提督よ、天龍たちが遠征から無事帰投したぞ……どうした、何を黄昏ているのじゃ?」 そう言いながら執務室に入ってきたのは、僕の秘書艦で、つい先日、改二になったばかりの利根さ……利根だ。 この鎮守府に配属されたときから、秘書官として僕の世話係のような役回りをこなしてくれている。 なんでも、彼女に言わせると、僕には彼女の「お姉さん心」をくすぐるものがあるらしい……ちぇ。 「そうか、良かった。雨が降りそうだったから、みんな、その前に帰ってこられるといいなと思ってたんだ」 僕の言葉を聞いた利根は、コロコロと鈴を転がすような声で笑った。 こんな可愛らしい声なのに、一人称は“我輩”なのだから、初めて彼女と話した人は大概面食らう。 「うむ、優しいことだな、提督よ」 こんな時の彼女の眼差しは、本当に優しくて、僕に姉が居たならば、こんな風なのだろうかと思うときがある。 その優しい眼差しのまま、利根は「じゃが」と言葉を続ける。 「じゃが、考えもみよ。 時に大時化の荒波を渡る我ら艦娘にとって、夕立など濡れたうちにも入らんぞ?」 「うっ……」 確かにそれもそうだ。お風呂の準備などと呑気なことを考えていた自分が恥ずかしい。 僕が黙り込んで俯くと、利根はその頭を優しく撫でてくれた。 「艦娘に、優しすぎるのではないか、我輩の提督よ? お主の職責を考えれば、その優しさは人に向けるためのものはずじゃ」 利根の言葉は、確かにその通りだ。 提督として振るう権限は、つまるところ深海棲艦を退け、人類を救うためにこそある。 けど、だけど……。 「僕には、艦娘を人じゃないなんて思うことは出来ないよ、利根さん」 艦娘は兵器だと、人類を救うための手段であると、提督として国に引っ張りあげられたときに教えられた。 だから、艦娘の浪費は許されない。しかし、損耗を恐れてもいけない、とも。 僕も、提督として赴任するまではそう信じていた。
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714 :2/3[sage]:2014/05/30(金) 23:11:46.28 ID:KegPaC0y - #しまった。行数数え間違えた
俯いたままの僕を、利根さんは抱きしめる。 戦うためにあるはずのその身体は、とても温かく、そして柔らかい。 「愚か者め。秘書艦のことくらいは、呼び捨てろと言ったぞ」 「……うん」 「愚かで優しい、我輩の提督よ。だが、我輩は、お主のその心を嬉しく思う。 我輩たちは紛れもなく兵器ではあるが、同時に人を守る意義を知るための心も備えているからな。 まあ、良いのかもしれん、一人くらいは艦娘のために戦う提督がおっても。そして、その変わり者が我輩の提督であっても」 「ありがとう……」 僕の背をさする利根さ……利根の指は、何処までも優しい。 どこか甘やかな大人の女性の匂いに包まれて、僕は不意に恥ずかしくなった。 利根は改二になってから服装が大きく変わり、それまでのタイトなミニスカートから、丈の長いロングドレスになっている。 それは良いのだけれど、そのスカートには深いスリットが入っていて、その、つまり、 抱きしめられると俯いた視界に、すんなりと形の良い太ももと、その付け根が見えるわけで…… 「あ、あの、利根、そろそろ……」 「ん? なんじゃ提督、恥ずかしくなったのか?」 ぬふふ、とさっきとは明らかに違う感じの笑い声が頭の上から響く。 「い、いや、ほら、執務……続き……」 ……良くない。この体勢は非常に良くないように思う。 「ふふ、提督よ。今更、何を恥ずかしがることがある? 我輩とお主の仲ではないか」 「な、仲って……それに、執務……」 「つい先だって、お主を男にしたのは、他でもない我輩ではないか! 互いの身体のことで知らぬ事のない者同士、何を恥ずかしがることがある。 それに、お主の執務時間は残り30秒じゃ。秒単位で提督の執務時間を把握する我輩は、まさに秘書艦の鑑だな! 褒めてもよいのだぞ、提督」 「えっと、えっと……その……」 「にーじゅう……じゅーきゅう……」 焦って言葉を捜す僕の頭の上で、どこか楽しげな利根のカウントダウンが始まった。 「ごーぉ……よーん……さーん……にーぃ……いーちぃ……ぜろっ! 本日の執務終了じゃ!」 無情にも執務時間の終了を告げる声と共に、くい、と僕の顎が持ち上げられた。 比較的、長身の女性が多い重巡の艦娘の中にあって、利根は例外的に小柄と言ってもいい身長をしている。 しかし、それでも僕の視線より高い位置にある瞳が、真剣に僕を見つめていた。 零れ落ちそうな大きな瞳、いつも強気そうな細い眉、すんなりと通った鼻梁、柔らかなカーブを描く頬、桜色の唇。 愛らしい美貌と言っても良いはずだ。僕は、魅入られたようにその瞳から目が離せない。 「それとも提督よ……我輩と気持ちよいことをするのは、嫌いか?」
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715 :3/3[sage]:2014/05/30(金) 23:12:19.20 ID:KegPaC0y - ごくり、と僕の喉が鳴った。
貼りついてしまったかのように、視線がそらせない。 僕は即座に、負けを悟った。 「……好き、です」 それが僕の降伏の言葉だった。 花が開くように、というのだろうか。 目の前にある利根の顔一杯に笑顔が広がる。 そして、抱きしめていた僕の身体を離すと、それが当たり前のことであるかのように、利根は僕の手を引いて歩き出した。 まるで、弟を連れて歩く姉のように。 「では、参ろうか」 この国の法律では、あらゆる意味で大人と認められない年齢の僕だけれども、 利根のその言葉に“何処へ”と質問するほどには、子供ではなかった。
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