- 【カゲプロ】カゲロウプロジェクトでエロパロ
56 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/25(日) 00:03:03.36 ID:7ZKS/+JM - エロなし。ヒビヒヨコノ。如月兄妹
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57 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:05:30.31 ID:7ZKS/+JM - 如月兄妹からみたヒビヒヨのまぶしさは
20代のカゲプロ好きからみた10代のカゲプロ好きのまぶしさに似ている ※ 「らんらんらん♪ らんらんらん♪ 今日はコノハさんとデート、お花火デート、うれしいな♪」 「ぼくもいるんですけど」 舞うように回転しながらステップするヒヨリに、冷静に突っ込みを入れるヒビヤ ※ 夏。 とある地方都市での花火大会。 夏休みの思い出に、ヒヨリがコノハと行きたがったのだ。 「あんたもついてきていいわよ。でも私とコノハさんの邪魔はしないでね」 浴衣姿のヒヨリ。 可憐過ぎる。 天使だ。 アサヒナー冥利に尽きる。 「ジュース買ってきて」 「あ、はい」 「気をつけてね…」 コノハから心配される。
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58 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:07:24.27 ID:7ZKS/+JM - ※
ドン 人とぶつかってしまった。 「ちょっとどこ見てんのさ!」 「ごめんなさい、ってヒビヤくん!」 「おばさん!」 「こら、おばさんはなしでしょ」 「あ、モモ」 彼女は如月モモ。 信じられないが人気アイドルだ。 かつてヒビヤはモモをおばさんと呼んでいたが、ヒヨリを助けようとするヒビヤを支えてくれて ヒヨリを助け出してからは前からの約束どおりモモと呼ぶことにしている。 「おい、モモ、どうした」 「シン兄まで」 赤ジャージの青年は如月シンタロー。 モモの兄のヒキニートだ。 「私たちは花火大会にきたんですよ」 とエネ。 シンタローのパソコンに居ついている青い電脳少女も 携帯から返事をする。 へぇ… 出不精のシン兄をよくひきずりだしたものだ。 でもモモとエネさんには弱いからな、シン兄…。
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59 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:09:27.80 ID:7ZKS/+JM - ※
「そうだ、ヒビヤくん、ジュースどう?」 ジュースというのは果汁飲料のことだと思っていた。 「いや、それお汁粉コーラだけど」 「自販機で当たりが出てもう一本出たんだ。でもお兄ちゃん飲みたくないって」 後ろからシンタローが口を出す。 「モモ、それが飲めるのはお前だけだろ」 「じゃあなんで自販機に入ってるの? 人気があるからでしょ」 「じゃあ言い直すか、お汁粉コーラが飲める変わった味覚の持ち主は、オレたちの中ではお前だけだ」 「なんでそういちいちトゲのある言い方するかな〜バカ兄は」 やばい。こんなところで兄妹ゲンカをはじめたよ。 しかも理由はくだらない。 話を変えないと。 「モモも浴衣なんだ」 いまさらながらモモの衣装に気づく。 浴衣の上にパーカーを羽織っている。 この変なパーカーを着てるのがアイドルとはなかなかわからないだろう。 浴衣のことを聞かれてモモは得意げに 「そうなんだよ、お兄ちゃん、ちょっと持ってて」 モモはパーカーを脱いでシンタローに渡し 「どうヒビヤくん、私の浴衣似合ってる?」 とお澄ましポーズをとる。 かなり魅力的な姿だったが 素直にほめるのもしゃくだ。 「馬子にも衣装っていうよね」 「かわいくないなあ」 とヒビヤの反応に不満を漏らすモモだったが 「ほら、いつまでオレに持たせてんだ」 とシンタローにパーカーを着せられた。 人気アイドルなので人に気づかれると大変だ。浴衣にパーカーって逆に目立つような気がしないでもないけど。
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60 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:11:29.08 ID:7ZKS/+JM - ※
「ところでヒビヤくんはどうしたの?」 モモに聞かれて見栄を張る。 「いや、ヒヨリと花火デートみたいな、うん」 「うわ、すごーい、ヒヨリちゃんも来てるの。でもこどもふたりじゃ危ないでしょ」 「コノハも来てるんだろ」 あっさり真相を突き止めるシンタロー。 「ニセ、コノハさんも」 エネはかつてコノハのことをニセモノさんと呼んでいたが ヒビヤがモモのことをおばさんと呼ばないように、 コノハさんと呼ぶようにしてるのだが癖はなかなか抜けない。 「よくわかったね、シン兄」 「後ろにいるぞ」 シンタローが指差す先を驚いてヒビヤが振り返ると コノハとご機嫌斜めのヒヨリがいた。 「もう使えないわねー、はぐれたのかと思って心配したじゃない」 「ヒヨリちゃん、ひさしぶり」 「あ、モモさん、すごい、コノハさんとのデート先でモモさんに出会えるなんて、なんて素敵なんだろう。 これって運命ですよね」 ころっと態度を変えモモと歓談するヒヨリ。 だが、ヒビヤにとってはくるくるかわるヒヨリの表情すらいとおしかった。
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61 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:13:19.18 ID:7ZKS/+JM - ※
「ネギマーネギマー」 コノハが屋台からネギマを買ってきた。 いつもは無表情なコノハもネギマのことになるとテンションがあがる。 「これは僕のぶんでこれはみんなのぶん」 五本のネギマの串が入っている。 ヒヨリ、ヒビヤ、モモ、シンタロー。 「一本余りますね」 「これはお前のだろ、エネ」 「私は食べられませんよ」 「コノハの気持ちだろ」 そんなところで気を使われてもかえって困るんですが。 へんな優しさ。 ほんとうにこの人は私の頭の裏をかゆくさせる。 思い出せそうで思い出せないこの感じ。 “ニセモノ”さん。 「じゃあお前のぶんもオレが食べるからな」 「どうぞ、ご主人」
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62 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:15:59.89 ID:7ZKS/+JM - ※
遊んだ。 「あと一個で輪投げパーフェクトだったのにどうして失敗するかなー」 「うう…」 「あんたほんとプレッシャーに弱いんだから」 最後の一投に成功したらヒヨリに告白しよう。 そんな邪念がよくなかったのか、ヒビヤの投げる輪っかはあさっての方向へと飛んでいった。 コノハは屋台の食べ物を食べまくっている。 コノハさんの食べっぷりって素敵とヒヨリは言っているが 食べるのに夢中で、そのおかげでヒビヤはヒヨリとふたりきりの時間が増えたのだった。 かといってヒヨリからの好感度が上がるわけでもなく いつもどおり罵倒されるのだが、あの“カゲロウデイズ”を通り抜けた今、 ヒビヤはヒヨリと一緒にいられる幸福に浸っていた。 小学生組みのテンションにつられるように 如月兄妹も屋台を楽しんだ。 「この射的場もオレの敵じゃなかったな」 「いやあご主人に射的の才能があるなんてまるでの○太くんみたいですねwww」 「ご主人、次はこっちを狙いましょうってオレより熱くなってたのは誰だよ」 「ふふふふふふ」 「何だよ、モモ? 気持ち悪い笑いしやがって」 「いやー、オレは行きたくない、花火なんて動画サイトで見れば十分だろって言ってたお兄ちゃんが楽しそうでよかったなあと」 シンタローはあわてて 「いやオレはそういうタイプなんだよ。腰が重いんだよ。マ○オカートのドンキータイプなんだよ」 エネとモモにからかわれながら、シンタローは昔読んだ 幸福な時間は終わってしまうから幸福な時間が怖いという老人の漫画を思い出していた。
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63 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:43:41.28 ID:7ZKS/+JM - ※
好事、魔、多し。 夕日が妖しく落ちる時。 花火会場へと向かう集団が横断歩道の前で赤信号が変わるのを待っていた。 その中にヒビヤとヒヨリもいた。 太陽が眩しくて運転を間違えたのだろうか。 現実感のない光景。 何度も何度も飽きるほど繰り返し見た。 横断歩道の前に大型トラックが突っ込んできた。 「ヒヨリ!」 とっさにヒヨリを突き飛ばした。 久しぶりだな、この感覚。 今回は僕の番だね。 次は永遠にないけど。 「ヒビヤーーーーーー!」 何かが太陽を遮った。 その影は、トラックがヒビヤを潰す前にヒビヤの前に着地した。 「コノハ!」 両手でトラックを受け止めるコノハ。 コノハの指が吹き飛ぶ。 だがコノハの掌は巨大なトラックを必死に食い止め 次第に車体から勢いが失われていく。 トラックが停止した。
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64 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:45:40.96 ID:7ZKS/+JM - トラックを素手で止めた存在に、群集がざわつく。
これはドラマの撮影なのか? 「如月モモだ!」 声とともに群衆の目がトラックからひとりの少女へと“奪われる”。 モモの目が赤く輝いている。 「モモ、オレはコノハのほうに行く」 「わかった」 阿吽の呼吸でモモと連携を取り、シンタローはコノハのほうへと走る。 コノハの手が再生する。 「ずらかるぞ、コノハ」 車から救出されてる運転手も生命には別条はないみたいだ。 ヒビヤは呆然と腰を抜かした状態だった。 「ヒビヤ…」 コノハがつぶやく。 「ヒビヤ、おまえは怪我なかったか」 シンタローの問いにこくこくとうなづくのみ。 シンタローはコノハの腕をつかみ駆け出した。 「ヒビヤ」 ヒビヤの無事にヒヨリが抱きついてきたが、ヒビヤはただコノハの後ろ姿を見送ることしかできなかった。
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65 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:47:20.05 ID:7ZKS/+JM - ※
河原まで逃げてきたシンタローとコノハ。 「ごしゅじーん!」 エネのナビでモモも合流した。 「うまく撒けたか、モモ」 「うん、なんとか。それよりコノハさん、大丈夫ですか?」 「あ、コノハまだ腕つかんでてわるい…」 シンタローとモモとエネはコノハの指に気がつき息を呑んだ。 小指が欠けていた。 「再生しなくなってきてるんだ」 「…」 「ケンジロウがいなくなったからね」 アヤノの父。貴音の、遥の、そしてモモの担任だった男。 妻を失いその哀しみから蛇に飲み込まれた男。 コノハの体についてもっとも詳しかっただろう人間。 「ケンジロウの遺した義指を付けてたんだ」 「このまま壊れていくのかな…」 コノハはここからは見えないヒヨリとヒビヤを見るように遠くを眺めた。 「僕はヒヨリとヒビヤを守るために生まれてきたのかもしれない」 「だからこれでいいんだ」
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66 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:49:21.68 ID:7ZKS/+JM - なんでお前はいつもそうなんだよ。
自分のことなんてどうでもいい風にいいやがって。 表情に出さないからって自分の気持ちを押し込めて。 勝手にいなくなったりなんかするなよ。 「だから死んでもいいってか、ふざけんなよ」 シンタローはコノハの胸元をつかむ。 オレはお前にいなくなって欲しくないんだ。友達だろ。 「見せてやれよふたりにいろんなところを、連れてってやれよ、お前が」 「シンタロー…」 「お前が壊れていいわけなんかないから」 コノハの頬を涙がつたっていった。 こいつが泣くのをはじめて見た。 「ありがとう、シンタロー」
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67 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:51:28.10 ID:7ZKS/+JM - ※
またコノハに助けられた。 またコノハに助けられた。 「ちょっといつまで座ってんのよ」 「ヒヨリ…」 事故現場からだいぶ離れたところまでヒヨリに引っ張って連れてこられたヒビヤだったが コノハのことがショックでまた座り込んでしまった。 「ほら」 ヒヨリが手を差し出す。 「助けてくれて…ありがと」 ヒヨリの小さな手を握りしめる。 「きゃっ」 ヒヨリが足を滑らせて、座っているヒビヤに覆いかぶさってくる。 気がつくと、ヒヨリがヒビヤを押し倒すかたちになっていた。 パン! ヒヨリにビンタされるヒビヤ。 「ふふふふふ、ははははははは」 「はははははは」 なぜだかふたりとも笑ってしまった。 「あーあ、あんたといると命がいくつあっても足りないわね」 「そりゃこっちのセリフだよ」 「へー、あんたもなかなか言うじゃない」 しまった、アサヒナーにあるまじき口を利いてしまったと思ったが、 ヒヨリはうれしそうだった。 ヒヨリとの距離がちょっと縮まったのかな?
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68 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:53:27.21 ID:7ZKS/+JM - 「そろそろだよ。花火」
「コノハさん!」 いつの間にそばに来ていたコノハに、ヒヨリが飛び上がり、コノハの腕に抱きつく。 「コノハさん、ありがとうございます。コノハさん大好き」 ぼくもいえなかったことを言わなくちゃ。 「コノハ」 「なに、ヒビヤ?」 「助けてくれてありがとう」 「どういたしまして」
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69 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 00:55:35.44 ID:7ZKS/+JM - ※
「花火きれい…」 きみのほうがずっときれいだよなんて 陳腐な言葉だと思っていたけど ――朝比奈ヒヨリと一緒に花火大会に来られて 天空の花火に照らされた浴衣姿のヒヨリは 地上で一番美しかった。 ――本当によかった 好きだよって言葉を花火の音に隠れて聞こえないようにつぶやく。 ――好きだよ 「あんたねー」 ヒヨリがヒビヤをにらみつける。 「えっ」 「せっかくの花火なんだからぼーっとしてないで花火見なさいよ」 「あっうん」 花火を見上げながらそれでもヒヨリの横顔を盗み見してしまうけれども やっぱり花火はきれいだった。 「あ、コノハさん、電話?」 こくっ 誰かから電話が来たらしいコノハが、遠くへ歩いていった。 「やっぱり絵になるわ」 悔しいけれど花火の下で空を見上げている遠くのコノハは 同じ男の目から見てもかっこよかった。 いつか自分もコノハみたいになれるだろうか。
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70 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 01:25:31.30 ID:7ZKS/+JM - ※
「いろんなところを見せてやれだって…」 花火の下でシンタローは自嘲する。 「ひきこもりのオレが偉そうによく言えたな」 「そんなことないよ」 モモは兄の目をしっかりと見ながら。 「お兄ちゃんは私にいろんなとこ連れてっていろんなもの見せてくれたよ」 想いをこめて 「近所の公園、はじめて行った海、ふたりだけのお買い物」 春は花が咲いて、夏は星がきれいで、秋は紅葉が色づいて、冬は雪が降って 「私は覚えてるよ」 いつもお兄ちゃんが見せてくれた 「モモ…」 ――今日の花火だって 多くの恋人たちが花火を見ている中で 一組の兄妹は寄り添いながら空を眺めていた。 「モモ…」 「なに?」 「浴衣似合ってんぞ」 「お兄ちゃん…遅いよ、そういうのって花火の前に言っとくことでしょ」 モモがあきれたようにいう。 昼間は上にパーカー着てただろ、夜になったからパーカーを脱いでオレに持たせてるくせに とシンタローが反論しようとする前に 「ありがとう、お兄ちゃん」 とモモは満面の笑みで言った。 「エネちゃんはどうしたのかな?」 「ああ、なんかちょっと野暮用があるとか言ってたけどな」
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71 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 01:27:44.10 ID:7ZKS/+JM - ※
コノハが携帯をかざすと ホログラムのように浮かびあがるエネ。 「さっきいってたことですけど」 「私は、あなたのいうことはわかりますよ」 あの兄妹の前では決して言わないであろうことを ひとりごとのように この人の前なら言ってもいい気がした。 「私は本気でご主人のそばにいるために生まれてきたと思ってますから」 「本人の前では死んでも言いませんけど。調子に乗るから」 くすっ 笑った。 この人が笑うのをはじめて見た。 自分たちがなんのために生まれてきたのかわからなくても たとえもう人間でなくなってしまったとしても
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72 :花火大会[sage]:2014/05/25(日) 01:29:51.69 ID:7ZKS/+JM - ――たーーーまやーーーー
ひゅるるるるる〜 ボン わーーーっ ――かーーーぎやーーーーーー ひゅるるるるる〜 ボン わーーーっ 花火の下で なにかをつかむように 手を宙にかざした コノハさんの欠けた小指を 私は忘れないだろう。
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