- 【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。14
121 :110[sage]:2014/05/19(月) 22:51:20.47 ID:AxGh+AS8 - >>120
思わずぞっとした。GJ! だいぶ遅くなったが前言っていたバハムーンとディアボロスの投下 無駄に長い、微妙な百合(?)あり、エロが遠い上にエロくないので注意してほしい
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122 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 1/17[sage]:2014/05/19(月) 22:53:08.51 ID:AxGh+AS8 - 一年前新設された冒険者養成学校モーディアル学園。
多くの施設が冒険者候補生達で賑わっているが、その中でもここ学生食堂は、候補生がいない時など無いのではと言われるほど 常に明るい喧騒に満ちている。仲間と冒険の相談をする者、恋人同士で桃色空間を作りあげる者、 仁義なきおかずの奪い合いを始める者など、その過ごし方は様々だ。 そんな中、明るい雰囲気から距離を置くように、壁際の席で一人ぽつねんと食事をする候補生がいた。 病的なほど白い肌に側頭部から生えた二本の角。冥界の血を継ぐディアボロスだ。 モーディアル学園は、新設校ということもあり、入学式の時期以外でも編入生という形で多くの候補生を受け入れている。 死の危険が常に付きまとうとはいえ冒険者に憧れる若者は決して少なくない。平均して月に一度、多い時は複数回、 編入生の入学式が行われていた。彼女もそんな編入生の一人だった。一足先に冒険者候補生となった姉の影響もあって、 新進気鋭と名高いモーディアル学園にやってきたのだ。しかし、彼女はついていなかった。共に編入する候補生の面々が、 何と言うか、他種族から受け入れられやすい者らに偏っていたのだ。 ノーム、クラッズ、ヒューマンとセレスティアが複数人。 これらの生徒達を外してまで、他種族から嫌われがちなディアボロスをパーティーに誘う変わり者はいなかった。加えて、彼女は 自分が嫌われやすいことを重々承知していたし、元来内向的な性格でもあったので自分から誰かに声をかける気にもなれなかった。 入学から二週間が経ち、同期の候補生が落ち着き場所を見つけた現在になっても、彼女は一人のままだった。 この現状をどうにかしたい、と思わないでもない。冒険者を志した理由の中には、信頼できる仲間を得たいという願いも確かに 含まれているのだから。しかしそれでも、思いきって声をかけた時に返された、あの怪訝そうな迷惑そうな目を見てしまうと、 どうしても尻込みしてしまうのだ。 (…このままではよくないな…一人用の課題を出してもらうにも限りがあるし…) もそもそと食事を続けながら心の中で溜め息をつく。 自分の種族が嫌われやすいとはいえ、他のパーティーにディアボロスがいないわけではない。 血筋を言い訳に心を閉ざすのも良くないことだと分かっている。 (分かってはいるのだが…) 何度も何度も繰り返し、何十回目かの堂々巡りに陥っていたディアボロスは、 「よう。ここ、座らせてもらうぞ」 「…………えっ? あ、え、は」 不意にかけられた声に反応が遅れ、 「…………は?」 慌てて顔を上げたら山盛りの料理が視界に飛び込んでくるという不思議経験をした。お皿いっぱいのご飯とパン、ステーキ五枚、 山盛りカレー、ハンバーグ六個、川魚の香草焼き四匹、根菜とゆで卵のサラダ、湯で野菜バーニャカウダ添え、その他諸々エトセトラ。 学食のメニューが一通り、文字通り山盛りになっている光景に、ディアボロスは我が目を疑った。 成長期且つハードな毎日を送っている冒険者候補生は基本的によく食べるとはいえ、これはちょっと度を超えている。 「おっと、これじゃ顔が見られんな」 そう言って、山が崩れないよう料理を除け、その間から顔を出したのはバハムーンの男子生徒だった。 確かに、身体が大きく代謝も高く前衛職に就くことが多い彼ら彼女らはよく食べる。が、これは大分度を超えている。 「これでよし」 「……お腹壊さないのか……?」 「こんくらい普通だろ?」 「普通であってたまるか!」 思わず声を荒げてしまい、ディアボロスはしまったと口を押さえる。が、バハムーンは特に気にした様子もなくばしりと両手を合わせ、 「いただきます」 丁寧に一礼すると山を崩す仕事に取り掛かった。
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123 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 2/17[sage]:2014/05/19(月) 22:56:30.83 ID:AxGh+AS8 - 「………………」
しばし、食事を食べる音だけが響く。 ガツガツと、しかし以外にもよく噛み、みるみるうちに山を小さくしていくバハムーンを、ディアボロスは呆気にとられて眺めていた。 数十分後、見事にきれいになったお皿を積み重ねたバハムーンは手を合わせ、 「…いかんいかん。デザートを忘れていた」 「まだ食べる気かおまえっ!?」 再びディアボロスのツッコミを誘う。 デザートは大事だろう! と大真面目な顔で言いきった彼を見送ったディアボロスは、そこでようやく自分たちが ――というかあのバハムーンの食事がとても目立っていたことに気付いた。途端に居心地が悪くなるが、幸か不幸か、 バハムーンが持ってきたデザートのせいで意識は再びそちらに持っていかれる。 「……お腹、壊さないのか……?」 「甘いもんは別腹って言うだろ」 「別腹にも限度はあるだろう…?」 半ば予想はしていたが、数種の果物とアイスを筆頭に、ホットケーキプリンクッキーチョコレートフルーツポンチ杏仁豆腐その他諸々。 基本的に、冒険者候補生の食費や寮費といった、いわゆる冒険に関係ない生活費は全て学園側が出しているのだが。 「いやー、こんなうまいもんが好きなだけタダで食えるなんて、冒険者候補生って得だよな」 「…私は今、食堂の皆さんと会計の方に頭を下げたい気分だよ…」 いつもお疲れ様です。 「そういやあんた」 「え、あ、なんだ?」 「食わんのか、それ?」 そう言われて、そういえば自分の食事がほとんど手付かずだったことに気付く。 「…なんだが食欲がなくなった」 「ちゃんと食わんと体に良くないぞ?」 「お前が原因なんだがな」 「俺?」 きょとんと首を傾げる彼は本気で気付いていないらしい。 「そらはともかくとして。ええと…何の用だ?」 「む?」 「わざわざここに座ったということは、私に用事があったのではないのか?」 「用事…あー、ああ! そうだったそうだった。忘れてた」 コイツ本当にバハムーンか? ディアボロスの頭上に飛び出ている疑問符には気付かないようで、バハムーンはにかっと笑う。 「用事というか、提案というか。頼みがあってな」 「頼み?」 「お前さん、この前入学した編入生だろ?」 「そうだが」 「んで、まだチーム組んでないだろ?」 「…まぁ」 渋々頷いたディアボロスに、バハムーンは人懐っこい笑顔を見せた。
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124 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 3/17[sage]:2014/05/19(月) 23:00:09.85 ID:AxGh+AS8 - 「なら、俺と組んでくれないか?」
「おまえと?」 「ああ。俺も、あんたよりちょいと早く入学したんだがまだ一人身なんだ。だから、丁度良いかと思ってよ」 「…それだけの積極性があれば、どこかしらのチームに入れたのではないか?」 「どこも6人揃っててなあ」 お手上げだと両手を上げるバハムーンは嘘をついているようには見えない。ディアボロスは少し考える素振りを見せ、眉根を寄せて言葉を返した。 「こちらとしては悪い話ではない。だが、私と組んでいると来る者も来なくなるかもしれないぞ」 「構わんよ。ディアボロスとバハムーンの仲間はお断り、なーんてヤツ、こっちから願い下げだ」 あっさりと言われてディアボロスは複雑な気持ちになった。 自分のような者を仲間として受け入れてもらえるのは嬉しいし、少し話しただけの印象ではあるが、バハムーンはとっつきやすい 快活な性格のようだ。パーティーを組む相手として文句はないどころか、こちらからお願いしたいくらいである。 しかし、だからこそ、自分が原因で彼の足を引っ張るような状況になるのは躊躇われた。 黙り込んでしまったディアボロスを見て、バハムーンは困ったように頭をかく。 「…なんか考えてるようだが、駄目な理由でもあるのか?」 「え…あ、いや…」 「別にお前さんを困らせたいわけじゃないんだ。迷惑ならはっきり言ってくれ」 「ちがっ、迷惑なんかじゃない!」 「ならパーティー成立だな」 「っ……」 反射的に出た言葉を拾われてディアボロスは言葉に詰まった。 何かを言おうと暫く口をぱくぱくと動かしていたが、肝心の言葉が出てこずがっくりと項垂れる。 「……分かった、分かったよ。これからよろしく頼む」 「おう!」 もう一度大きな溜め息をついた彼女だが、にっこりと笑うバハムーンを見ているとどうも文句を言う気が起きず、呆れ交じりの笑みを見せた。 「おっ。あんた、笑うとずいぶん可愛らしいんだな。もっと笑ったほうがいいぞ」 「…はあっ!? なっ、ば、ぅ…よ、余計なお世話だ!」 一人が二人に増えたとはいえ、彼女らはまだまだ新米冒険者である。どちらかが倒れたら確実に大変なことになる二人は、 石橋を叩いて壊すくらい慎重に探索を進めていたので、他と比べると明らかに出遅れていた。 しかし、彼女たちは、頭数の少なさやスタートの遅さを覆せる程には優秀だった。 竜騎士と侍という戦闘特化型のバハムーンが敵を倒し、踊り子のディアボロスが彼を支援する。ディアボロスは必要に応じて 攻撃に回ることもできるため、二人という少数ながらも安定した戦闘を進めることができていた。また、明るく気さくな性格だが 少々落ち着きがないバハムーンと、内向的で人見知りしがちだが思慮深いディアボロスは、性格面でもうまい具合に役割分担ができていた。 ディアボロスとバハムーンがチームを組んで一ヶ月。 華々しい活躍はないが一歩一歩着実に課題を完了する二人は、学園内での評価をじわりじわりと高めていった。
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125 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 4/17[sage]:2014/05/19(月) 23:04:24.31 ID:AxGh+AS8 - ある日の夕方。冒険を終えた二人はいつものように食堂にやって来ていた。一か月前までは気分を沈ませる要因だった活気ある
雰囲気も、隣に気の置けない仲間がいるだけで和やかな気分にしてくれるものに変わっている。そんな自分の変化はどこか 気恥かしくもあったが、それ以上に喜びが勝っていた。 「よし、食うか!」 「そうだな」 きちんと手を合わせた二人は待ちに待った食事に手をつける。 食べながらいつも通りなんてことの無い雑談を交わしていた二人だったが、不意にディアボロスが首を傾げる。 「……ん?」 「どうひひゃ?」 「口に物を入れたまま喋るな。…おまえ、以前よりも食べる量が減っていないか?」 「む…そうか?」 今日のバハムーンの夕食は、どんぶり山盛りのご飯、オムレツ四枚、ボウルいっぱいの野菜サラダ、鮭のムニエル五枚に 二種のパスタを各々大皿一枚ずつ。主食主菜副菜各一つのディアボロスと比べたらはるかに多いが、それでも、 初めて会った時よりは減っている。以前よりも運動量が減ったのだろうか、と首をひねるも、チームを組んでからの方が 探索に回す時間は長くなっているのだ。運動量が減るとは考えにくい。 「もしや、体調が悪いんじゃないか?」 「俺はこの通りぴんぴんしているぞ」 「自覚が無いのかもしれないな。おでこ見せてみろ」 「おお」 「……平熱だな。となると胃腸に問題があるのか…? バハムーン、念のため食事が終わったらモミジ先生のところへ」 「いや待て。少し落ち着け、ディアボロス。俺は大丈夫だ」 「しかしだな」 淡々と、しかし顔に「心配」の文字を張り付けながら言うディアボロスに、バハムーンはくすぐったそうな苦笑を見せた。 「お前さん、意外と過保護だよな」 「…仲間を心配するのは当然のことだろう」 「だから大丈夫だ。いくら俺でも自己管理くらいはできる。単純に、腹いっぱいになるから食わないってだけだ」 宥めるように言われ、ディアボロスの頭上には疑問符が飛んだ。あれだけ大量に食べていたのに満腹ではなかったということだろうか。 彼女の反応を見てか、バハムーンはぽりぽりと頬をかく。 「今までは、何故か満足できなかったんだよ。沢山食べたはずなのに妙に飢えてたんだ」 「あれだけの量を食べていたのに、か?」 「そうなんだ。だが、今はそんなことはもうない。腹いっぱいなのに余計な飯食う必要はないだろ」 何となく釈然としないが、本人が言うのだから間違いはないのだろう。 ディアボロスは頷くと、美味しそうにオムレツを頬張るバハムーンと同じように自分の食事に手をつけた。と、そんな時。 「食事中に失礼。ここ、座っていいかい?」 二人に落ち着いた声がかけられた。
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126 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 5/17[sage]:2014/05/19(月) 23:10:47.90 ID:AxGh+AS8 - 声をかけてきたのは男子用の制服を着たクラッズの女子生徒だった。後ろには、遠慮がちに目を伏せているフェルパーの女子生徒も控えている。
「おっ、クラッズじゃないか。久しぶりだな」 「ご無沙汰しているよ、バハムーン。それから、君とは初めましてだよね? ディアボロス」 「えっ、あ、ああ。そうだな」 穏やかな笑顔を向けられ、ディアボロスは内心驚いた。そんな彼女には気付かぬまま、バハムーンは嬉しそうに席を勧めている。 「クラッズとは侍学科が一緒でな。何度か手合わせしたことがあるんだ」 「そうだったのか」 クラッズといえば盗賊学科系というイメージが強かったが、と頷くディアボロスにクラッズはにこりと笑ってみせる。 「一般的ではない自覚はあるよ。けれど、私は戦闘職が性に合っていてね」 「ああ、すまない。悪い意味で言ったつもりはないんだ。その…」 「大丈夫、気にしていないさ。例え偏見の目を向けられても実力で黙らせれば良いだけだし。 …そうそう。それで、君たちにお願いがあるんだ」 「お願い?」 どうしたんだと首を傾げるバハムーンの一方で、ディアボロスはこの流れに既視感を覚えていた。 彼女の予想を裏付けるかのようにクラッズは口元を引き締める。 「私と彼女を君たちのパーティーに入れてくれないかな」 「おお、構わんぞ。仲間が増えるのは大歓迎だ。な、ディアボロス?」 「そうだな」 「軽いね?!」 それまで冷静な姿勢を崩さなかったクラッズが初めて動揺を見せた。 彼女の影に隠れている――体格差的に隠れられていないのだが――フェルパーも、驚いたように尾をぴんと立てている。 「それでいいのかい君たち!?」 「仲間が増えるのは大歓迎だと言っただろう。…あ、待てよ。そういやお前さん、もうパーティー組んでたよな? そっちはいいのか?」 「…うん。そこを何よりも先に聞かれると思っていたんだけどね」 クラッズは苦笑した。そして、フェルパーに一瞬だけ気遣うような視線を向けると、もう一度こちらに向き直る。 「実は、私とフェルパーは、今まで所属していたパーティーを抜けたんだ」 「なら問題ないな。よし、明日からよろしく頼むぞ!」 「いやちょっと待っておくれよ! ここで終わりじゃないんだって!」 「む?」 きょとんとするバハムーンに頭が痛くなりつつ、ディアボロスは二人の間に入る。
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127 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 6/17[sage]:2014/05/19(月) 23:14:56.55 ID:AxGh+AS8 - 「ちょっと待て、バハムーン。パーティーを抜けたというのなら、一応その理由も聞いてみたい」
「何故だ?」 「…わざわざチームを抜けるのにはそれなりの理由があるだろう? そこを曖昧にしては、いつか問題が起きるかもしれないからだ」 「クラッズはいいやつだ。こいつが連れてきたんならフェルパーもいいやつだと思うぞ?」 「おまえの友人を疑うつもりはないし、私だって仲間が増えるのは嬉しい。だが、念には念をと言うだろう」 「あんたは少しばかり慎重すぎるな」 「勇敢と蛮勇は天と地ほどに違うからな。…言いたくないのなら言わなくても構わない。教えてもらえないか?」 二人のやり取りをどこか嬉しそうに聞いていたクラッズは、ディアボロスの言葉に大きく頷いた。 ずっと下を向いていたフェルパーも、耳と尻尾をぴんと立て伺うような眼差しを向けてくる。 「一言で言うと、他のメンバーとそりが合わなくなってしまったんだ。 私は侍で、この子はナースなんだけれども、それでは駄目だ、転科してくれと言われてね」 「…どういうことだ?」 パーティー内に回復役がいないとか、魔法職がいないとかの理由で転科をする候補生は大勢いる。 言葉だけ聞くとそれが原因でパーティーを抜ける事態にまでなるとは考えづらい。 「言葉通りなんだけれど…私は風水師に、フェルパーは狩人とビーストになるよう言われた。前衛が足りなかったわけでも、 魔法職が足りなかったわけでもないよ? 風水師の幸運の鐘と、真・二刀龍で両手に弓装備が欲しかっただけだ。 私は前衛の戦闘職がやりたいとか、フェルパーは戦うのが苦手だとか、そういった事情はどうでもよかったみたいでね」 クラッズの口調はあくまで淡々としていたが、鋭く吐き出した呼吸に内心が表れていた。 「何度も話し合おうとしたけれど、意味はなかった。それどころか、パーティーの決定に従えないのなら抜けろと言われてさ。 それで、つい、カチーンときてしまってね」 あとはご覧のとおりさ、と笑うクラッズと、しょんぼりと耳を落とし尻尾をへたらすフェルパーを見て、 しかめっ面で聞いていたバハムーンは炎交じりの息を吐く。 「よく分かった。ディアボロス、これで文句はないだろう!?」 「分かったからブレスを吐くな。…嫌な記憶を話させてすまない。是非、私たちのパーティーに入ってほしい」 「助かるよ! こらからよろしくね」 「…よろしく、おねがいします」 「うぉ!? あんた喋れたのか!」 「おい、バハムーン!」 「………………」 しゅんと耳を伏せるフェルパーに、ヤバイと口を押さえるバハムーン、そしてバハムーンを諌めつつフェルパーに 気遣わしげな目を向けるディアボロス。新しい仲間たちを見つめるクラッズは、普段とは違う、年相応に無邪気な笑顔を見せた。
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128 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 7/17[sage]:2014/05/19(月) 23:19:17.90 ID:AxGh+AS8 - 二人が四人に増え、戦闘や冒険の幅は一気に広がった。
ディアボロスの支援を受けたクラッズとバハムーンが突っ込んで行き、フェルパーが回復し、前衛が取りこぼした敵は強烈な 鞭の餌食になる。後衛を気にせず戦えるためか、前衛二人はそれはもうのびのびと剣や槍を振り回し、時に後衛二人が 頬を引きつらせるほどの戦いっぷりを見せた。また、戦闘に余裕が出たおかげで、今までは手応えの無さを感じながらも 始原の森の入口近くしか探索できなかったのが奥の方まで行けるようになる。 資金や資源は倍ほどに溜まり、おかげで装備を強化することもでき、戦闘は更に楽になった。他のパーティーが苦戦していた バドネーク討伐の試験も、あまりにも簡単にあっさりと倒せてしまったので面喰ったほどだ。 メンバー同士の中も、初めのうちこそぎこちなさや緊張感はあったが、四六時中ずっと一緒の状態を何日かも続ければ、 自然と慣れや愛着が湧いてくる。まさに、順風満帆だった。 (……順風満帆、なんだが) 中庭の端に腰かけたディアボロスは心の中で呟いた。 彼女の視線の先では、バハムーンとクラッズが物干し竿と木刀を得物に鍛錬に励んでおり、フェルパーはディアボロスの隣で医学書を 読みふけっている。始原の森は一通り探索したし毎日毎日冒険に出るのもなんだから、という理由で、一行は久々の休日を楽しんでいた。 「おら、まだまだ行くぞ!」 「ふふっ。全力でかかってきたまえ!」 「…………」 楽しそうに組手をする二人を見ていると、ディアボロスの中にモヤモヤとした感情が生まれる。それを自覚した彼女は苦い顔でそっと視線を逸らした。 (馬鹿だ私は) 端的に言うと、ディアボロスはクラッズに嫉妬していた。 バハムーンの隣で剣をふるい、彼から背中を任せられているクラッズが、羨ましくて仕方がなかった。 (クラッズは、大切な仲間なのに) 口下手な自分と話している時とは違う、冗談混じりの明るいやりとりをしている二人を見るのが辛かった。 楽しそうな笑顔を、他の人に見せないでほしいと思った。 (……馬鹿だ、私は) いつからかなのかは分からない。初めて会った時から…とは考えにくいが、ほんの最近とも思えない。 それこそいつの間にか、ディアボロスは、バハムーンのことが好きで好きでしょうがなくなってしまったのだ。 「……大丈夫?」 不意に隣から声をかけられる。ぼんやりと顔を向けると、心配そうなフェルパーがこちらを見つめていた。 「ん、ああ…大丈夫だ。少し、ボーっとしてしまった。大したことはない」 「…………」 どうにか笑ってみせたディアボロスをフェルパーはじっと見つめる。 「……二人のことが気になる?」 「え?」 「苦しそうな顔してたから」 「い、いや…そんなことは…」 否定の言葉に力はない。今の自分では何を言っても墓穴にしかならないような気がして、ディアボロスは口を噤んだ。 「…私で良かったら、聞くよ?」 「え。しかし…そんな…」 「あなたがバハムーンのことを好きなのは、分かる。バハムーンとクラッズの仲が良くて、ヤキモチ焼いちゃうのも分かる。 …辛そうだから」 「…………」 「聞くよ?」 たどたどしくも優しい言葉を聞いてディアボロスは言葉に詰まった。 この胸の内にある、よく分からない丸いような尖がったような気持ちを吐きだして楽になってしまいたいとは思うけれど、 クラッズと仲が良いフェルパーにこの感情をぶつけるのはとても酷いことのような気がした。 困りきった顔で黙り込んでしまったディアボロスを見て、フェルパーは何故か目元を緩ませる。 「ディアボロスは、優しいね」 「…優しいなんて言葉、私には一番似合わないな」 「そう?」 「ああ。おまえの方がよっぽど優しいよ」 「…そうかなぁ」 ふるふると尻尾を振った彼女は、少しの間じぃっと空を見上げ、
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129 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 8/17[sage]:2014/05/19(月) 23:23:32.94 ID:AxGh+AS8 - 「……言ってみたらどうかな?」
「誰が、なにを、誰に言うんだ?」 「ディアボロスが、好きってことを、バハムーンに」 つまり告白しろということか。 「無理だ」 「無理じゃない」 「即答…?! いや、まて、無理だ。第一私のような者に告白されて喜ぶ阿呆がどこにいる」 「はぁい。ここにいます」 「……はあ!?」 予想だにしなかった答えにうろたえるディアボロスを見て、フェルパーは、珍しく悪戯に成功したクラッズのような顔で笑う。 「付き合ってって言われたら、考えちゃうけど。ディアボロスみたいな、優しくて、頼りになる人に好きって言われたら、嬉しいよ?」 「な……な……!?」 つまり、恋人になるかは別として好意を向けられることそのものは嬉しい、ということだろう。普段は青白い頬を仄かに赤らめ ――ということは、フェルパーなら真っ赤になっているところだろう――ぱくぱくと口を動かすディアボロスは大変可愛らしい。 にぃーっと目を細めたフェルパーは、一旦打ち合いを止めて何やら話しこんでいるクラッズ達に目を向け、 「…クラッズ」 「どうかしたかい?」 「うわっ!?」 「あいかわらず早いなー」 呼び寄せる。直後、一瞬でフェルパーの前に片膝を着いたクラッズに、ディアボロスは本気で驚き、バハムーンは感心の声を上げた。 「ディアボロスが、バハムーンにお話があるんだって」 「なるほど。それなら、お邪魔虫は退散したほうがいいね」 「あと、ほっぺに傷。駄目だよ、女の子なんだから」 「あはは、ごめんよ」 「……えーと」 目の前のやり取りについていけないディアボロスに、 「応援しているよ!」 クラッズは良い笑顔で親指を立て、 「待ってるよ? 行ってらっしゃい」 「…ええっ!? いや、待て、ちょっ、ここで言えと?! 無理だぞそんなの!」 「じゃあ、あとでお部屋に行かせてって言ったら? たぶん、喜ぶよ?」 「そ、そうか…?」 フェルパーは、ある意味告白よりももっと際どいことを勧める。 ディアボロスは困った様子で眉根を寄せていたが、手持無沙汰気味に三人を見ているバハムーンを放っておけなくなったのか、 ぎくしゃくしつつも近付いて行く。そんな彼女とその想い人を、フェルパーとクラッズは、微笑ましいものを見る優しい眼差しで見送った。 「…うまくいくといいな」 「大丈夫さ。バハムーンと私がいつもどんな話していると思う? 君とディアボロスの話ばかりだよ」 「そっか…じゃあ、大丈夫かなぁ…」 「…反応なし…負けるな私。ときにフェルパー。君、あんなことをディアボロスに勧めるなんて、中々情熱的だね?」 「だって、人がいるのに好きって言うなんて、恥ずかしいでしょ? だったら、人がいない方がいいじゃない」 「……うん?」 どうやら、無自覚のようであった。
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130 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 9/17[sage]:2014/05/19(月) 23:26:30.30 ID:AxGh+AS8 - その日の夜、食事を終え風呂にも入り、後は寝るだけの状態になったディアボロスは、
寝間着の代わりに制服を身に付けバハムーンの部屋を訪れた。 「よう、いらっしゃい」 「わざわざすまない」 「気にすんな。お前さんならいつでも歓迎だ」 明るい笑みと共にこんなセリフを言われ、ディアボロスの心臓は大きく脈打った。 (落ち着け…こいつに他意はない…多分わりと誰にでも言う…よし、私は大丈夫だ) 自分の言葉に自分で傷付くも、心の落ち着きは取り戻せて安心する。 とはいえ、招き入れられるままに部屋に入り、勧められるままに椅子に腰かけた彼女は客観的にみると緊張でガチガチだったが。 「それで、話ってなんだ?」 普段と変わらぬ明るい口調で尋ねられ、ディアボロスは再度緊張の波に飲み込まれた。 来るまでに考えてきた言葉は見事に吹っ飛び頭の中は真っ白になる。 「あ…のだな。そのっ…つまり…だから…」 「ディアボロス、ゆっくりでいいぞ」 「す、すまないっ! えと…その…あの…!」 (うわぁああ駄目だ落ち着け私っ! 駄目だ絶対なんだコイツって思われてる! 早く、早く言わないと…!) ディアボロスは、完全に混乱していた。 そも、バハムーンの部屋に入ったのだって初めてなのだ。余計な物の無い武士然とした部屋に意味もなくときめいたり 無駄にキュンとしたりしながら告白なんてするのは、あまりにも、難易度が高すぎた。 混乱し、焦り、とにかく本題を言わねばと自分を急かしたディアボロスは、 「わ、私っ、おまえのことが好きなんだっ!」 「……は?」 自爆した。
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131 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 10/17[sage]:2014/05/19(月) 23:30:12.72 ID:AxGh+AS8 - 「あぁぁああああ違うっ! いや違わない! 違わないんだけど違う!」
「…お、おい、ディアボロス。少し落ち着」 「ちがっ、あの、ちがうんだ! こんなことが言いたかったんじゃなくて! いや、言いたかったんだけどちがくて! だって、その、おまえには感謝してるんだ! 私なんかに話しかけてくれて、笑いかけてくれて、仲間にしてくれて!」 「ディア」 「戦いになったら守ってくれるし! そんな奴、初めてで、すごく嬉しかったんだ! それに、おまえはその、いつも明るくて、皆を元気づけてくれるだろう? おまえがいてくれたら大丈夫だって思えるし、 でも私だって何か力になりたいし、あまりにもまっすぐだから心配になるしな!?」 「わか」 「だから、えっとその、ずっと傍にいさせてほしいんだ! でも多分、そんなのは迷惑だから、ええと、 とにかく私はおまえのことが好きで、でも迷惑にはなりたくなくて、だから…」 ディアボロスはもはや半泣きになっていた。自分でも何を言っているのかよく分からない。 「…だから…ええと…」 先ほどまでの勢いが嘘のようにしょんぼりと肩を落とすディアボロスを見て、バハムーンは大きな溜め息をついた。 「…なぁ、ディアボロス」 「は、はい…」 「……そんなに怯えんでも、取って食ったりしないぞ」 「…すまない…」 自分でもどうにもできないのだろう。泣き出しそうな顔で目を潤ませる彼女に、もう一度大きな溜め息を零す。 「…あんたなぁ…こんな状況でそんなこと言うとどうなるか、ちゃんと分かってるか?」 「……どういうことだ?」 てっきり怒られるか断られるかと思っていたディアボロスは、思ってもみなかった言葉に目を瞬かせる。再三、溜め息が返ってきた。 「分からんか…」 「すまない…」 バハムーンは立ち上がってドアの鍵をしっかりかけ、頭上に疑問符を飛ばすディアボロスの前にしゃがみこんだ。 「これでも、分からんか?」 「ええと…なにがだ?」 「……ほんっとーに分からんのか?」 「…物分かりが悪くてすまない。全く分からない」 「……あんた、頭いいのに妙なとこ抜けてるよな」 「ど、どういう…きゃあ!?」 突然勢いよく抱き上げられ、ディアボロスは反射的に首元にかじりついた。 そんな彼女にちらりと笑みを見せたバハムーンは、大股でベッドまで歩き、抱えていたディアボロスを優しく横たえ、 その上に覆いかぶさる。散々バハムーンに溜め息をつかせたディアボロスも、ここでようやく事態が呑み込めた。 「ば、バハムーン!?」 「お、やっと分かったか?」 からかうような笑みを向けられディアボロスの頬は熱を持った。そんな彼女を慈しむかのように、バハムーンは艶やかな髪を優しく撫でる。 「悪いな。好きな奴にあんなこと言われて我慢できるほど、俺はできた性格じゃない」 「え。えっと、そ、れは…」 「好きだぞ、ディアボロス」 初めて聞くほど優しい声と共に、荒々しい口付けが落とされた。
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132 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 11/17[sage]:2014/05/19(月) 23:32:41.86 ID:AxGh+AS8 - 唇を食み、歯列をなぞり、長めの舌を巻きつける。乱暴まではいかないがかなり激しい口付けに、ディアボロスは応じるのが精いっぱいだった。
「んぅっ…ぁむ…ん…バハム、ぅん…!」 少し苦しいと伝えようとしても、僅かな時間離れるのすら許さないというようにすぐ口をふさがれる。 酸欠と、バハムーンが自分を求めていることの喜びとがないまぜになって、ディアボロスの思考はゆっくり溶かされていった。 思考と比例するように、ベッドに縫い付けられている身体からも力が抜ける。バハムーンが満足げに身を起こす頃には、 ディアボロスはくたくたにされていた。荒い息をつき自身をぼんやりと見上げる彼女を見、バハムーンは笑みを深める。 「色っぽいな」 「っ…だ、誰のせいだ…!」 「勿論俺だ。俺以外の奴なんて許さんよ」 彼にしては珍しい言い方にディアボロスは目を瞬く。そんな彼女にもう一度唇を寄せ、次いで、制服のボタンにも手をかけた。 ついばむような口付けを受け止めていると、いつの間にか、ディアボロスは下着同然の格好にされてしまった。 反射的に手で隠そうとするも、 「駄目だ。全部見せろ」 「は、恥ずかしいんだが」 「我慢だな」 両手をしっかりと押さえつけられる。男女差がある上に踊り子のディアボロスと竜騎士のバハムーンだ。力で勝てるはずもない。 欲望を隠そうともしないギラギラ光る目を向けられて、ディアボロスはなんだか泣きたくなった。 一方のバハムーンは、今すぐ己を突き入れ滅茶苦茶にしてやりたい衝動を抑えるので必死だった。 反応を見る限り相手は初めてなのだから、めいっぱい優しくしてやらねばと分かっていたが、 心底恥ずかしそうなのに抵抗らしい抵抗をせず健気に耐えているディアボロスを見ると我慢できなかった。 駄目だ俺は、と楽しげに呟いて、仰向けなのにほとんど質量を変えない豊満な胸に口を寄せる。 「ん、ぁっ!?」 途端、ディアボロスの口から甘い悲鳴が漏れた。自分のものとは思えない響きに、 どうにかして口を押さえようと手を動かすが、しっかりと押さえられているのでそれも叶わない。 「やっ…ふ…ば、バハムーン!」 「良い声だな。もっと聞かせてくれ」 「いやだっ! くぅ…!」 「強情な奴め」 両手が使えないのはバハムーンも同じなので、口で下着をずり上げ、滑らかな乳房にしゃぶりつく。 「ふぁあっ!? やっ、待てっ…それ、やめっ…」 「止めてほしいとは思えんなぁ」 「ひぅっ! ぁ、ゃ…」 ほんのりと赤くなっている肌に吸いつき痕を散らす。控え目にツンと立っている乳首を舐めるとディアボロスは身をよじった。
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133 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 12/17[sage]:2014/05/19(月) 23:36:14.37 ID:AxGh+AS8 - そろそろバハムーンも限界が近かったので、押さえている手を離して秘部に手を寄せる。ディアボロスは一瞬だけ怯えの表情を見せたが、
すぐに目をつぶりバハムーンに抱きついた。彼の胸板に形の良い胸が押し付けられくにゃりと潰れる。 「……ここは天国か」 「……? バハムーン…?」 「なんでもない。ちゃんと解してからにするから、心配するな」 「す、すまない…」 「謝るな。俺は今、とても楽しい」 彼女のショーツはうっすらと染みを作り、秘裂はそれなりの潤いを帯びている。 だが、ディアボロスは大分華奢な体格だし、そうでなくともバハムーンのモノは大きめだ。もう少し慣らした方が良いだろう。 緩やかに開き始めている秘裂に指を寄せ、愛液をすくいながら全体に馴染ませていく。 ディアボロスは浅い呼吸を繰り返していたが、次第に刺激を快感と受け取れるようになったのか、控え目な喘ぎ声を零しだした。 本人は必死で押さえているつもりなのだろうが、密着しているバハムーンの耳は少しの取りこぼしもなく全て拾い上げる。 まずい、とバハムーンは瞑目した。全身で触れている柔らかい身体の感触や、濃さを増していく匂いや、 時折耳に届く甘い声が、彼の理性を削ぎ落していく。思っていた以上に限界が早い。 「…ディアボロス、すまん、頼みがある」 「……ぇ? ん、どう、した…?」 うっとりした彼女に理性が振り切れかけるも全力で引き戻す。心の中で自分の欲求と格闘しつつ、バハムーンも衣服を取り払い、 腹に届きそうなほど膨れ上がった分身を取り出した。ディアボロスが緊張と不安で顔を強張らせる。 「手を貸してくれんか」 「ええ、と…ど、どうすればいいんだ?」 「…触れそうか?」 自分にとっては身体の一部でも、ディアボロスにとっては未知の物体だ。 張り詰めんばかりに血管が浮き出ており先走り液を零している分身は、どう好意的に見てもグロテスクとしか言いようがない。 無理はいかん無理はいかんと彼女の様子を伺ってみると、 「…大丈夫だ。それに、その…私も、おまえに気持ち良くなってほしい」 興奮でどうにかなりかねないことを言ってのけた。 「なら、この辺握って…っ、軽く、撫でてみてくれ」 「…こ、こうか?」 「ぐっ…!」 「バハムーン? 大丈夫か?」 「……問題、ない」 問題は大いにあった。たどたどしい手つきで竿の部分を撫でられているだけなのに、気持ち良すぎた。 ともすればすぐに達してしまいそうだったが、ディアボロスに触られてすぐに達するのはあまりにも情けない気がしたので、 歯を食いしばり腹に力を込めて全力で我慢する。そんな彼の姿に、ディアボロスの心にはなんとも言えない愛おしさが込みあがった。 自分の手でバハムーンが気持ちよくなっているのがとても嬉しかった。その感情が、彼女を少しばかり大胆にさせた。 撫でるだけだった手で一物を優しく包み、先端から溢れる液を擦りつけるように扱いていく。 先ほど自分がされたことのお返しだったが、その効果は覿面だった。 「お、おいっ! ぐ…もういいっ、十分だ…!」 「ん…もう少し…」 「いらんって……駄目だ、出るっ…!」 そう言うのとほとんど同時にバハムーンは彼女の手の中に精液をぶちまけた。 どころか、手の中だけでは収まらず、屈みこんでいたディアボロスの腹や胸を汚していく。 「……すごい量だな」 「っはぁ…ふ…すまん。ちょっと待っててくれ、タオルを…」 敢えて彼女の方を見なかったバハムーンが言い終わるより早く、ディアボロスは、なにを思ったか手に付いた精液を口に含んだ。 「……は」 「…不思議な味がする」 仄かに口元を緩ませる彼女を見、そのしなやかな肢体を汚した精液を見、どこか嬉しそうな言葉を聞いたバハムーンの理性は吹っ飛んだ。
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134 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 13/14[sage]:2014/05/19(月) 23:39:22.57 ID:AxGh+AS8 - 「……ディアボロス」
「う…ん? バハムーン、どうし…お、おい、バハムーン…?」 様子が変わったことに気が付いたのか不安げな顔でこちらを見るディアボロスに笑顔を返す。本能的に閉じられようとしていた 膝をこじ開け、露にされた秘部に舌を寄せる。ディアボロスは焦って彼を止めようとしたが、もう止まれなかった。 「ぁ、やぁぁあああっ!?」 いきなり最も敏感な陰核を舐められて、ディアボロスは呆気ないほど簡単に高みへ上りつめた。甘い悲鳴に口元を緩ませ、 刺激から逃れようと跳ねる腰をしっかり抱え込む。びくびくと震える彼女は初めての喜悦を受けきれていないようだったが、 「ぅあっ、やぁっ!? ば、バハムーン、っあぅ、ちょっと待て、待ってくれっ!」 バハムーンは待たなかった。 制止の言葉は聞かず、愛液を湧きだす秘裂に吸いつく。固く閉じた肉壁に舌を差し込むと悲鳴じみた嬌声が上がった。 それに気を良くして奥へ奥へと舌を伸ばす。 「やだっ、そんなとこ…ぅあっ、あっ…バハム、ダメだって…ひぅぁっ…や…ああ…!」 「…嫌じゃないだろ。ほら、ここも」 「んぁあっ?! やっ、待って…や、ぁ…また、きちゃ…っ――!」 再びディアボロスの背が弓なりにしなる。バハムーンは獰猛な笑みを零し、肩で息をする彼女の秘裂に自身をあてがった。 「ぁ…バハムーン…ちょっと、待って…」 「すまんな、もう待てない」 懇願を一言で切り捨て、それでもゆっくりと分身を中に沈めていく。ディアボロスは苦悶とも喜悦ともつかない声を漏らしたが、 抵抗をすることはなかった。熱くうねる中に誘い込まれ、バハムーンは意外なほど早く奥まで辿り着く。 「……ディアボロス、大丈夫か?」 「…ぁ…も…分かんな…」 「…どうしてお前はそう、興奮を煽るようなことばかりするんだ」 煽りたくてやってるわけじゃない、と返す前に、バハムーンがゆっくりと動き出す。あまり大きく動くことはせずに、細かく緩やかな 速度でディアボロスを突き上げる。苦痛と紙一重の刺激は、しかし、じっくりと攻められる内に体に響く快感に変わっていった。 「ふ、ぅぁ…バハムーン…ぁ、あぁ…」 「…少しは、辛いの、マシになったか?」 こくこくと頷いたディアボロスはバハムーンの首に縋りついた。そうされると少々動き辛いが、 甘えられているようで悪い気はしないし、熱くて柔らかくて少しきつい彼女の中は入れているだけで達しそうなほど気持ち良い。 二人はゆっくりと高みに押し上げられていった。自身の限界が近いのを感じ、バハムーンはディアボロスをしっかりと抱きしめる。 「…ディアボロス」 「っあ…ん…ばはむ、ぅあっ…?」 「…好きだ」 万感の思いを込めて最奥で精を放つ。子宮をこじ開けられ、中を埋めつくされるその感覚に、ディアボロスも限界を迎えた。 少しの間、部屋には互いの荒い呼吸が満ちていた。 肩で息をするディアボロスは、ふと、彼女を見下ろすバハムーンがこれ以上なく優しい目をしていることに気付く。 その優しい眼差しが、彼女の中の張り詰めていたものを解きほぐした。 「…お、おい、ディアボロス? どうした。何故泣くんだ。辛かったか?」 「…すまない…感極まった…」 「どういうことだ? おい、俺にも分かるように説明してくれ。だ、大丈夫なのか?」 途端に慌てるバハムーンを見ていると、先ほどまで自分を好き勝手していた相手と同一人物とは思えなくて、ディアボロスは思わず吹き出してしまう。 泣きながら笑うなんて器用なことをする彼女の上で、バハムーンはおろおろと困ったままだった。
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135 :バハムーン♂×ディアボロス♀ 14/14[sage]:2014/05/19(月) 23:41:46.26 ID:AxGh+AS8 - 「うまくいったようで何よりだよ」
「ああ。すまんな、色々気を使わせた」 「なーに、このくらいなんてことないさ」 槍と剣で打ち合いながら、バハムーンとクラッズは笑みを交わす。 今日も今日とて――バハムーンのせいでディアボロスが不調だったので――冒険に出なかった一行は、朗らかな日差しが注ぐ中庭でのんびりしていた。 「それはそうと、さ」 上から下へ、右から左へと流れるような動作で木刀を撃ちつけながら、クラッズが言う。 「おう、どうした?」 それをやり過ごし受け流すバハムーンは、首を傾げる余裕も見せた。 「お願いがあるんだ」 「俺に出来ることなら」 「フェルパーを落とすの、手伝って」 カァンと高い音が響く。バハムーンの持っていた物干し竿は、下から上へと斬り上げた勢いではねとばされてしまった。 「…お前さんが落とせないのか?」 「彼女の鈍感さと純粋さは、君のディアボロスと並ぶほどかもしれないよ」 「それは相当だな」 言って、バハムーンとクラッズは互いから視線を移す。その先には、 「……くぅ……すぅ……」 「……にゃ……くー……」 お互いの肩にもたれかかり、穏やかな寝息を立てるディアボロスとフェルパーがいた。 いいなぁディアボロスの肩枕…とぼんやりするバハムーンの隣で、クラッズは非常に珍しいことに悔しげに表情を歪ませる。 「…私なんて、フェルパーの寝顔見るのに二カ月かかったのに…たかだか三週間で…!」 「……そうなのか」 「ディアボロスだから許すけどさ。…とにかく! あの鈍感娘を落とすのは一筋縄じゃあいかないんだ。協力しておくれよ」 「分かった分かった。で、俺は何をすればいいんだ?」 「そうだね、まずは――」 安心しきった様子で眠るディアボロスとフェルパーの前で、クラッズとバハムーンは悪巧みを開始する。 明るくとっつきやすい性格に見えて実は癖のある前衛二人と、一見関わり辛いように見えて実は人の良い後衛二人。 そんな、呑気で陽気な彼らの冒険は、 「…おっ、そこのカワイコちゃん! よかったら僕とデートでも」 「こらっ! あなた、いい加減にしなさいな!」 まだまだ始まったばかりである。
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136 :110[sage]:2014/05/19(月) 23:43:13.62 ID:AxGh+AS8 - 以上です
配分間違えて妙なことになって申し訳ない それ以外にも色々と申し訳ない ちょっとスライディング土下座してくる
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