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名無しさん@ピンキー
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】

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【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
442 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/09(金) 01:11:13.60 ID:3BB+yyzB
小ネタSS投下
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
443 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/09(金) 01:11:56.88 ID:3BB+yyzB
あの生意気なチビの機嫌が悪くなってからしばらく経つけれど、まあ、これはいい。
高校生にもなって見てくれ通りの子供っぷりでわがまま放題していようと、実害があるのは高須くんくらいなものだしね。
そんなのしょっちゅうのことだから、タイガーのことは置いておくとする。
次に不穏な空気を匂わせだしたのはゆりちゃんで、でもそれだって珍しくはないし、
この話に限ったことじゃなくあの状態の独神に絡まれてもあたしにはどうすることも出来ないし、
正直絡まれてもウザイだけっていうかぶっちゃけどうでもいい。
ただ、まさか実乃梨ちゃんまでってなると、さすがにね。
何があったのかなんて知り様がないけれど、二人でこそこそと内緒話したり、高須くん顔負けの白い目を当の高須くんに向けたりして。
高須くんは高須くんでタイガーの折檻によるものか、日増しに生傷を増やしていくし、ほんと、なにがあったのやら。
そんなことを考えつつ、上の空で過ごしていた放課後のこと。

「……へえ、ふーん」

あたしの前方、わずかに先を行く人影は、噂をすればなんとやら。
買い物帰りらしき高須くんは大きな荷物をぶら下げて、反対側には見知らぬ女が抱きついてる。
ああ、うん、なんにも言われなくったってだいたい把握したわよ。
まったくもう、なかなかどうして隅に置けないと言うべきか、命知らずと呆れるべきか。
これがタイガーが横に居ただけだったら、からかってやるところだろうけどさ。
これがタイガーが怒っている理由だっていうのなら、さて、亜美ちゃん的にはどうしてやるべきだろうか?
シカト? ないない、見て見ぬふりをするのだけはありえない。
チクる? ベターだけどそれをするのはもうちょっと後になってからでも遅くはないよね。
そんなありきたりじゃつまんない。
このあたしが首を突っ込んでやろうってんだから、もっとこう、修羅場みたいな……うん、いいかも、修羅場。

「もー、高須くんなんで先帰っちゃうのよー」

普段よりも一際明るめの声、殊更にかわい子ぶった甘えた口調で、極めつけに背中に飛びついた。
設定的には、カレシを見つけてはしゃいでいるバカ女とかそんな感じ?
高須くんはいきなりのことに驚きを隠せずにいて、頭の足りなさ全開で無闇に笑顔を振りまくあたしに「か、川嶋?」なんて間抜けな声を上げている。
……なんかちょっと物足りないかな。
せっかくこの亜美ちゃんが背中からピッタリ抱きしめてあげてるってのによ。
あの洗濯板じゃあ逆立ちしたって出来やしない、所謂「当ててんのよ」までカマしてるのに、意外と反応が薄い。
いや高須くんもそうなんだけど、未だに高須くんに抱きついている──若く見えるけどゆりちゃんと同年代かそこらだろう女はもっと反応が悪い。
いっそ無反応と言っていい。
おかしいわね、たいていその女誰よ、あんたこそ高須くんのなによ、とかいう具合になって、そのまま修羅場に発展すると踏んでたのに。

「えっと……あ、あー高須くん? えっと、亜美ちゃ──」

停滞しだした雰囲気に耐えかねて、たまらずあたしが先にアクションを起こそうとしたその矢先だった。
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
444 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/09(金) 01:12:40.22 ID:3BB+yyzB
「竜ちゃんのお友達の子?」

表面上は穏やかな声音で、表情そのものも穏やかなものだった。
だというのに酷く冷ややかな印象を抱いたのは、一切あたしに目を合わせようとせず、どころか高須くん以外は眼中にないといったものを肌で感じたからだろうか。

「あ、ああ。同じクラスの川嶋っていって」

「そっかぁ、同じクラスのお友達なんだぁ」

「お、おう? まあそうだけど、泰子?」

「大河ちゃん以外にも女の子のお友達がいるなんて、竜ちゃんもけっこーモテモテだね〜このこの〜」

かつてお友達という言葉を強調されて、ここまで背筋が凍った経験をあたしは知らない。
不穏なものは高須くんも感じてはいるみたいで、若干頬が引き攣り気味だ。
知ってか知らずかその痙攣間近の頬を指先でつつくヤスコというらしい女は相変わらずあたしに目もくれようとしない。
ただただ二人の世界に没頭しているみたいにも思え、はっきり言って不気味だった。

「あの、亜美ちゃ、じゃなくってあたしはその」

今さら遅いのかもしれないが、興味本位と好奇心と野次馬根性で踏んだ地雷は、亜美ちゃんの想像していたよりも大きかったのかもしれない。
冗談でしたごめんなさいと、笑ってごまかすなら今の内と口を開く。
が、やっぱりあたしのことは意識の外にあるらしい。

「ねえねえ竜ちゃん早く帰ろうよ〜やっちゃんお腹へっちゃったぁ」

「お、おい、わかったから引っ張るなよ……泰子、なんか変だぞ」

「そう? そうかなぁ? ……竜ちゃんがいうんだったら、そうかも」

呆然と立ち尽くすあたしをちらりと振り返ったその目に見据えられたような気がして、一瞬にして背中を駆け登る悪寒。

「ところでいい加減、腕離してくれよ。歩けねえだろ」

「だーめ。やっちゃんおかしくなっちゃったから、竜ちゃんと一緒がいいんだもん」

「なんだそりゃ」

「えへへ」

あたかも自分のものだと主張するように高須くんを引きずって強引に歩いていくその姿が、まるでどこかの誰かを思わせて、
その誰かに事の顛末を知らせるために、あたしは震える指先で携帯電の呼び出しボタンを押した。

                              〜おわり〜


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