- 男ヤンデレ専用エロ小説スレ Part3
177 :優しい夢[sage]:2014/05/08(木) 23:42:28.59 ID:zxXOggKR - 投下します。前半ほのぼの?兄妹愛。後半ヤンデレ。エロは回想やら匂わせる程度。
精神的に弱い女の子が書きたかった。無駄に長文なので、苦手な方はスルーお願いします。
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178 :優しい夢[sage]:2014/05/08(木) 23:47:38.76 ID:zxXOggKR - (……まだ、連絡がない)
何十回と繰り返した言葉を、澪(ミオ)は頭の中で呟いた。 ため息を吐き、再度携帯を見る。やはり4インチのディスプレイには何の変化も見られない。 何度目になるか分からない確認作業。辟易する。それでも、また同じ行動を繰り返す。 澪は握り締めていた携帯から手を離した。 恋人から連絡がなかった。ここ三日ほど。 「また携帯見てるのか」 ダイニングテーブルの上で項垂れていると、兄の響が呆れ顔で声をかけてきた。 響は現在25歳。澪の三つ上だ。二人に両親はいない。澪が7歳、響が10歳の時に、家族で登った山の頂から滑落して、そのまま命も落とした。 澪と響は、それぞれ別の親族の下に引き取られ離れて暮らしていたが、16歳になった響が親族の家を出た事、新たに未成年後継人を選任した事で また一緒に暮らせるようになった。それから今までの9年間。兄妹は支え合って生きてきた。 「だって……」 「だってじゃない。もう少し余裕を持て。お前少し怖いぞ」 「……」 「哲志くんだっけ? 連絡ないって言っても、まだ三日目だろ? 忙しいんだよ。きっと」 そう優しく諭す響は、澪の正面の椅子に座り、涙ぐむ妹の顔を覗き込んで笑った。 響は、疑い深くて排他的な澪とは違い、控えめで柔らかな性質を持つ。 闘争を嫌い、競争意識を忌避する響は、男性的な魅力に欠けてはいても、人当たりの良さが好意を持たれる類の人間だった。 病弱な為にいつも何かしらの薬を携帯してはいるが、それでも、澪にはこの地球上で一番頼れる存在だった。 澪は、兄の低く掠れた笑い声が好きだった。 「あんまり考え過ぎるなよ」 「でも、今までこんな事なかったし……」 「今まで無かったからって、ずっと無いってことはありえないだろ」 「……そうだけど」 「それとも、不安になるような事があったのか?」 「……」 「喧嘩したとか。お互いに不満が溜まっていたとか。お前を不安にさせるような行動を、彼が以前から取っていたとか」 「それはない」 「それはない?」 「うん。それは、ない。だって、哲志は今まで私が出会ってきた他人の中で、一番優しい人だったから」 哲志は澪の初めての恋人だ。 両親と死別し、幾人かの親戚に引き取られる過程で猜疑心の塊となった澪にとって、哲志は生まれて初めて信用した赤の他人とも言える。 同じ年齢だが、哲志は大学在籍時に何らかの理由で休学をしていたということで、一年遅れで澪の就職した会社に入社して来た後輩だ。 何かと軋轢を生みやすい澪の性格を柔和に受け止め、周囲の人間との緩和剤になり、辛抱強く優しく澪の側で彼女の仕事を補佐した。 哲志の誠実さは、頑なだった澪の心を動かした。 今まで、兄以外には居なかった。閉鎖的な自分の言動にも動じず、寄り添い、支えてくれる人間は。 優しさが具現化したような人。誰かを傷つけたり、不安にさせるような事を、哲志がした事はない。 だからこそ、澪は、何の前触れもなく彼から連絡を絶たれた事に驚き、痛みを感じるのだ。
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179 :優しい夢[sage]:2014/05/08(木) 23:51:13.60 ID:zxXOggKR - 「私、嫌われちゃったのかも」
小さく呟いた澪に、響は驚いた顔をした。 「なんでだ。上手くいってたんだろ?」 「うん」 「ついこの間、二人で京都に行ってたじゃないか」 「うん──……って、気づいていたの!?」 「お前に一緒に旅行出来る程の、仲の良い『女友達』なんて居ないだろ」 「分かってて騙されたフリしてたんだ。ひどい!」 「ひどくない。優しさだよ」 「……」 「それで、そんな仲の良かった哲志くんが、なんでお前を嫌いになるんだ?」 「……」 「京都で喧嘩したのか?」 「だから、それはないってば」 「じゃあ何で嫌われたなんて思う」 「だって……」 「だって?」 「だって私──……」 淫乱なんだもん。 出掛かった言葉を、澪は飲み込んだ。 「なんでもない! とにかく嫌われたかも知れないの!! ほっといて!」 澪はテーブルに突っ伏して、会話を切り上げた。 響は暫く黙ってままでいたが、やがてため息をつくと、どこかへ行ってしまった。 兄が離れた気配を間近で感じて、澪は涙を零した。拭っても止めどなくあふれ続ける。目尻がヒリヒリと痛んだ。 (言えるわけないじゃん……こんな、恥ずかしいこと) 澪は、自分の体を恥じていた。 旅行先に京都を選んだ理由は、二人が好きな土地だったから。澪は、大学時代に交換学生として一年間かの地に派遣された経験から。哲志は伝統文化の観点から。 互いに大好きな場所だった。楽しい旅行だった。最終日の夜までは。 京都旅行の最後の夜、澪は初めて哲志に抱きしめられ、そして、受け入れた。厚い胸板。骨ばった指先。『異性』という存在を、改めて実感した夜。 兄以外の他人を信用して来なかった澪にとって、初めての性行為だった。緊張で心臓が破れるかと思い、あまりの恐怖に息を止める事もあった。 痛みを覚悟していた。だが、哲志の熱い塊が入り口に触れた瞬間、澪を襲ったのは、想像してもいなかった感覚だった。 (──……私、ちっとも痛くなかった) 来るべき苦痛に備えて力を入れていた澪の恥部は、本来あるべきはずの破瓜の痛みを一切感じる事もなく、絶妙な弾力と狭さを維持したまま哲志の男根を飲み込んだ。尋常ならざる快楽を伴って。 澪は混乱した。痛覚どころか、過剰な程の肉の喜びを体感している自分の体に。 どう動けば良いのか。どこに当たれば、気持ち良いのか。どこが弱くて、どう触ってもらえば、自分の性感は刺激されるのか。 本能と呼ぶにはあまりにも的確過ぎる快感の情報を、澪の体は知り尽くしていた。 澪は、快楽の頂点を得た後も、貪欲にうねり続ける自身の膣の動きに気づいた瞬間、思った。 自分は、どうしようもなく淫乱な女なのだと。 必死に声を殺して、痛みに耐える処女の振りをした。 もっと。と、強請りそうになる唇の動きを手で隠して、哲志の視線から顔を逸らした。 どこまで隠し通せたのかは分からない。 実際に、とめどなく濡れて、何度も達していたのだから。 (……きっと、バレていたんだ) だから、彼は連絡してこない。 こんな人間が、受け入れられるわけがない。 「……うっ、ぅう」 我慢出来ずに嗚咽を漏らす澪の肩に、ふいに柔らかな体温が下りてきた。 見ると、マグカップ片手に兄が側に立っていた。その痩せた指先が、震える肩に置かれている。 「連絡が来ないだけで、そんなに泣く必要ないだろ」 響は、今度は正面ではなく澪の隣に座った。泣き濡れた妹の顔を上げさせて、苦笑いしながら汚れた目元と鼻を拭ってやった。 澪は響の優しさに打たれて、更に激しく泣きじゃくった。
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180 :優しい夢[sage]:2014/05/08(木) 23:54:48.99 ID:zxXOggKR - 「お前、子供に戻ったみたいだな。あんまり泣くなよ。せっかく可愛く育てたのに」
「可愛くない」 「なに言ってんだ」 「私、気持ち悪い女だから。本当、気持ち悪い。だから可愛くないし、汚い」 「落ち着け。ほら、これ飲め」 響は、妹の背を抱きながら、持ってきたマグカップを手渡した。中には薄いレモン色の液体が入っている。 それは、澪の良く知っている飲み物だった。 砂糖とお湯、少しの塩とレモン汁、蜂蜜。兄手製のスポーツドリンクだ。 澪は毎晩眠る前にこれを飲む。 いつからかは分からない。だが、昔からの習慣で、これがないと澪は眠れなくなる。 「早く飲んで、ゆっくり休め」 穏やかな兄の顔を見て、澪は思い返す。先ほど、泣いている自分を置いて兄は席を立った。 呆れて部屋に戻ったと思ったのだが、違ったようだ。 「兄さん、これ作ってくれていたの?」 「泣いてる妹ほったらかしにするほど、俺はひどい人間じゃないよ」 「ありがとう」 「泣いていないで早く飲め」 澪は頷いて、コップに口をつけた。 よく知っている柔らかな香りが辺りに漂った。切ない甘みに、また目尻が潤んだ。 「体温が落ち着くからかな。昔からこれを飲むと、お前は面白いぐらいによく寝る……って、まだ泣き止まないのかよ」 相変わらず涙を流し続ける妹の顔を、響は両手で包んだ。 妹の濡れた睫は可愛らしく揺れているが、成人を過ぎた女の鼻水は如何ともし難い。 またティッシュで拭いてやって、赤くなった鼻の頭を見て笑った。 澪は、響に世話を焼いてもらいながら、また兄妹二人だけになってしまったかのような心細さに駆られていた。 今まで世界の中心は兄だった。兄さえいれば良かった。 だが、その中に哲志が入ってきた。唐突に介入してきた心地よさに、いつしか心を奪われていた。 それが無くなってしまった今、自分はどうすればいいのだろう。 こんな醜い本性を抱えていると知れば、実の兄でも離れていくのではないか。 「兄さんも、本当の私を知ったら嫌いになるよ……きっと、離れていっちゃう」 「何言ってるんだお前は」 「だってそうだよ。哲志だって、あんなに優しかったのに、もういなくなっちゃった。兄さんだって離れていく。 私は汚いから。気持ち悪い女だから」 「落ち着け。俺は酒を飲ませた覚えは無いぞ」 「……」 「気持ち悪くなんかない。お前は、世界で一番可愛い。俺が保障するよ」 「嘘だよ……きっと、兄さんだって私を捨てる」 「捨てるわけないだろ。何言ってるんだ」 「……」 「安心しろ。誰もお前から離れていかない」 「……本当?」 不安げに見上げてくる妹の顔を、響は笑って引き寄せた。 「本当だ」と告げ、母親が幼い子供を慈しむように、ゆっくりと妹の髪をかきあげて、その熱い額に自分の額を当てた。 両の頬を包み込みながら、静かに言った。 「誰も、お前からは離れられないよ」 ※ 響は時計に目をやった。 妹が寝息を立て始めてまだ五分。完全に眠りに落ちるまで、あと五分は欲しいところだった。 その間に、テーブルの上のコップを片付ける。台所のシンクに置き、洗剤を十分につけてから洗った。 洗い終えた後、響はふとシンクの脇に置かれた半透明のパラフィン紙に目を止めた。 薬包紙として一般的に出回っている紙の縁には、白い粉末が残っている。 響はそれを無表情に摘み上げた後に、ちり紙に包んでからゴミ箱に捨てた。
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