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フェニックステイル投下準備
フェニックステイル第十五話
フェニックステイル第十五話おわり
名無しさん@ピンキー
ガンダムヒロインズ MARK ]X

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ガンダムヒロインズ MARK ]X
132 :フェニックステイル投下準備[sage]:2014/05/06(火) 15:18:51.74 ID:Um2cgCRl
意外にただの量産機とその地味な改修機にも需要があるようで、スレの懐の深さを感じます。
逆にヒロイン格のアイネやマコトの機体が、特に改造されているわけでもないただのジムU、
というのはスレ的にどうなのだろうかと気になったりもしますが……。
カラーリングの設定はちょっと盲点でした。
文字媒体ではありますが、今後は塗装についてももう少し考えてみます。

さて、連休最終日になりましたが、フェニックステイル第十五話を投下します。
今回はほぼ説明回です。特に注意事項はありません。まともなエロ場面もありません……

Pixivに個人保管庫があります。
ご興味がおありの方は、小説タグ「フェニックステイル」で検索してみてください。
もしくはジムUとかサラミス改とかでも出ます。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
133 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:19:25.39 ID:Um2cgCRl
 巡洋艦トラキア、MS隊小会議室。その正面スクリーンに、いくつものMSが宇宙を背にして浮かび上がる。
 戦闘中のもの、何事もなく暗礁宙域を通り過ぎて行く様の粗い望遠、そして撃破され、捕獲されたもの――そのいずれもが型式は異なれど、かつてのジオン公国軍が運用した機体だ。
「《ルスラン・フリート》。サイド4宙域のこの一隅に巣食って活発に活動するジオン残党の連中は、今まで得られた情報を総合する限り、自らについてそう名乗っているものと考えられる。
 最近接触のあった《大ジオン仏道》や《キャリホルニヤの悪夢》についても、この《ルスラン・フリート》に所属している公算が極めて高い。言わば総元締めと見ていいだろう」
 トラキア艦長リドリー・フランクス大尉が、MS会議室にMS隊の主力――MSパイロット全員と整備班の一部を集めて始めた教育はまず、今のトラキアが直面している二つの敵、すなわちジオン残党とエゥーゴに関して触れるものだった。
「このルスラン・フリートの特色の一つが、確認されている主力艦船の少なさだ。これだけ活発に動いていながらムサイ級巡洋艦はおろか、パプア級やパゾク級といった支援艦の類すら、今までほとんど確認されていない。
 MS母艦としてはジッコ級突撃艇などの小型戦闘艇や、せいぜい民間貨物船の改修型を用いる場合がほとんどと言っていいだろう。
 従って、連中の拠点があると見られる暗礁宙域から長距離での作戦能力は著しく制限されている。余所の宙域で悪さをしているかどうかはよく分からん。
 一丁前にフリートなんぞと名乗ってはいるが、その艦隊戦力はきわめて限定的ということだ」
「……大ジオン仏道もドッツィ・タールネンも、襲撃の際に母艦は尻尾を見せなかった。まともな戦闘艦がないから母艦はひたすら後ろに隠れて、MSだけを極端に突出させた運用をせざるを得ないってことか……」
 リドリーの説明を聞きながら、会議室の後列席についたアイネは今までの経験に照らしてひとり納得し、頷く。
 彼女が巡洋艦アバリスで初の部隊配置を迎えてから、まだ四日も経っていない。そのときから今まで、まともに知る機会もその余裕も与えられなかった『敵』に関する情報に、アイネは貪欲に食いついていた。
「だからといって、連中を馬鹿にすることは出来ない。というのは少なくともMS戦力に関しては、非常に潤沢な物量を抱えているものと推測されるからだ。
 現時点までに得られた情報を総合して本艦で行ったルスラン・フリートの戦力見積もりでは、最低でもこうなる」
 一面をジオンMSの映像で埋めていたスクリーンが閃き、今度はいくつものグラフが現れる。
 ここ最近で発生した宙域内でのジオン残党MS確認情報、襲撃事案などで確認された機種と機数の合計が資料として示され、その最後には各種情報資料から推計されるというルスラン・フリートのMS機数があった。
「さ、三十機……!? こんなにいるの!?」
「これ、ゲリラ戦じゃなく真正面からぶつかってきたとしても、うちの戦隊より優勢なんじゃねっスか……」
「ろくな母艦がねェから、戦力の機動運用も集中運用も出来ない。それだけが救いってとこだな」
 今度はアイネからだけでなく、傍らのロブやガルノフからも呻きが漏れた。シュンが顎に手をやりながら呟く。
「でも、変ですよね……。ジオン残党って言ってみれば結局、終戦時に共和国へ復帰せずに雲隠れした公国軍部隊のなれの果てでしょう?
 ろくな補給もないまま今まで連邦軍に掃討され続けてきたはずなのに、ここまで大きな戦力が未だにひとかたまりで生き残っているのって……おかしくないですか?」
「ルスラン・フリート――というより、本宙域のジオン残党組織に顕著な戦力の拡大が見られはじめたのは、ここ二年ほどの話だ」
 シュンの疑問を受けるようにして、リドリーが話し始めた。同時にスクリーン上のグラフ群が、時系列別の活動状況報告にフォーカスする。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
134 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:19:59.48 ID:Um2cgCRl
「デラーズ紛争後に草創期のティターンズが中心となって積極的に展開した一連の掃討戦が収束に向かい、大打撃を受けた宇宙のジオン残党どもが鳴りを潜めた頃になってから、奴らは時代の流れに逆らうようにしてその勢いを増してきた。
 原因は分からん。ティターンズなどの圧迫によって、宇宙で生き残っていた残党勢力が、この旧ルウムという地球圏最大の暗礁宙域の一角に集結してきたのか。
 あるいは何らかの強力なスポンサーからの支援がこの近辺で得られるようになったから、ここを拠点に盛り返してきたのか。曖昧な可能性だけならいくつも存在するが、確かなことは三つだ。
 一つは、我々の正面に存在するジオン残党勢力は、どうやらこの地球圏でも最大級の勢力を誇っているらしい、ということ。
 もう一つは、この宙域を担当する我々の戦隊は、その戦力に対処するには力不足だということ。
 そして最後の一つは、《エゥーゴ》はそんなルスラン・フリートの戦力を狙い、同盟を目論んでここにやってきた、ということだ」
「……《エゥーゴ》!」
 その組織名を耳にして、若いパイロットたちはみな前のめりの姿勢になった。
 A.E.U.G.――エゥーゴ。反地球連邦組織を名乗るこの非合法武装集団がいったい何者なのか。連邦軍からの通り一遍の説明の他には、曖昧な噂でしか聞かないその正体を求めて、皆が表情に真剣さを増す。
「……正直なところ。この俺自身も昨日あの《ジャカルタ》に出くわすまで、奴らについて深く知っていたわけではなかった。
 地球連邦政府の宇宙政策に不満を持つ連邦軍部隊を唆して正規の指揮系統から離脱させ、弱体化し孤立したジオン残党組織に潤沢な補給を与え、また一般市民にも訓練を施して、自軍の戦力に組み込んできた連中。
 エゥーゴの第一線にいるのはそういう手合いだが、その背後関係には謎が多い。月の巨大軍需産業が絡んでいるという話もある……その関係か、今や月の連邦軍はほとんどがエゥーゴに近いそうだ」
「アナハイムか……」
「万年低重力の腰抜け野郎どもが、武器商人風情に金玉抜かれやがって」
 戦艦ジャカルタは悪びれもせずに環月方面軍所属を名乗った。新鋭戦艦を中核にした装備優良部隊を、ああも堂々と動かせる――月の連邦軍に食い込んだというエゥーゴの細胞は、よほど深い部分まで組織を蚕食しているものと思われた。
「だが無論、月の企業体だけがエゥーゴの背後にあるすべてではない。かつてのジオン公国と異なり、明確な国家としてのかたちを持たない、反地球連邦というイデオロギーの元に結束した雑多な勢力の集合体……それが、エゥーゴということのようだ」
「なぁんだ艦長。そいつぁつまり、ただの烏合の衆ってことじゃねっスか」
「足並み揃うわけがねぇ……月の低重力野郎に、死にかけジオンの落ち武者上がりに、そこらの適当な素人デビューの寄せ集め? この前は奇襲だったから不覚を取ったみたいだが、この俺が怪我を治して戦隊も準備を整えてぶつかれば、次は一発で粉々に蹴散らしてやれるぜ」
「頼もしいな、ガルノフ。だが、このデータを見てもまだそう言えるか?」
 画面が再び切り替わり、戦艦ジャカルタとその艦載機の画像、映像を映し出す。同時に昨日観測された、そのデータも。
「奴らの装備はご覧の通りだ。新型戦艦《アイリッシュ》級、そしてよく分からんジムU改修型、それにジム系らしい新型とリックドムに似た新型。装備の質、量ともに充実している。そして、搭乗員の練度も……そうだな?」
 リドリーの視線がマコト、シュン、アイネの三人をなめる。エゥーゴMS隊と直接渡り合ったその三人の返した無言が、リドリーからの問いかけに対するもっとも雄弁な返答となった。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
135 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:20:35.76 ID:Um2cgCRl
「今回の接触で確認された、エゥーゴのMSは三機種。いずれも連邦軍のデータにはない機体だ。マコト。特にこの、ジャカルタのMS隊長……ベリヤ・ロストフ大尉だったか。彼の機体について、説明を頼む」
「はっ。MS隊各機とトラキアに残った映像記録から、この機体の特性を分析しました」
 正面に出たマコトは一瞬ウェンディと目配せを交わすと、淡々と説明を開始した。
「一見した機体形状はリックドムの流れを汲むようにも見えますが、この機体はジムUやガルバルディβのような既存機種の改修型ではなく、またハイザックのように冒険を避けた手堅い新型機でもありません。
 最新技術をいくつも大胆に盛り込んで一から新規に設計された、きわめて野心的な機体だと思われます」
「根拠は?」
「まず、コクピットの配置です。従来型MSの大半は、コクピットを機体中央――胴体部に設けるのが通例でした。ですが光学及び赤外線画像記録を分析する限り、当機のコクピットハッチは胴体部に確認できません。おそらく、頭部に存在するものと思われます。
 おそらく広角式と思われる頭部のモノアイセンサーは、稼働レールを持たない固定式のようです。この仕様変更によって頭部にコクピット分の容積を稼いだのでしょう。
 もともとリックドム級の重MSですが、そうして胴体部のスペースに余裕を得た分、加えてさらに大型の高出力ジェネレータを搭載している可能性が高いということです」
「この、背中の大物については?」
「『バインダー』でしょう。MSの宇宙機としての主推進機関となるバックパックへさらに、それ自体が推進力を持つAMBAC肢を追加したようなものです。
 ハイザックの放熱フィンなどとはまったくの別物です。扱いは難しいはずですが、使いこなせば、極めて高度な機動性、運動性を実現するはずです。実際にあのわずかな時間でさえ、挙動の軽さが目につきました。
 ……いずれにせよ武装の使用や戦闘機動までは見られなかったため、本格的な戦闘力については未知数の部分が大きすぎます。が、この機体については、警戒しすぎてもしすぎるということはないでしょう。新機軸の技術が多すぎるのです……まるで『ガンダム』のように」
「……『ガンダム』?」
 ざわめきが漏れた。
 エゥーゴの背後には、月の軍需企業体――おそらくはアナハイム・エレクトロニクスが存在する。それが事実ならばエゥーゴは、この地球圏で最高峰のMS開発技術を握っているということになる。
 確か戦後の一時期、アナハイムが主導でガンダムタイプMSのトライアルを行っていたというまことしやかな噂が流れたこともあった。
 ならばそのアナハイムが背後についているエゥーゴは、ガンダムに相当する最新技術で作り上げたMSを装備していたとしてもおかしくないのではないか。
 自分が付け加えた一言が場の部下たちに動揺を広げたところを見て、マコトは淡々と言い添えた。
「ガンダムだろうが何だろうが、MSだ。そのパイロットが全員アムロ・レイというわけではないし、弾を食えば墜ちる。戦場では過小評価も過大評価も害悪でしかない。そこを忘れるな。
 当機の分析結果は、次回の訓練から仮想敵機として反映させていく」
「分かった、マコト。また分析結果に続報があれば頼む。さて」
 MS隊長から場を引き継ぎ、部下たちの表情を俯瞰しながら艦長が再び正面に出る。
「戦慣れした古参兵が揃っているうえ、物量も馬鹿にならないジオン残党ルスラン・フリート。最新装備を十分に揃えたエゥーゴ。この二つが今、俺たちの目と鼻の先で手を組もうとしているわけだ。
 よって戦隊司令部は事態の深刻さを認識し、新たな手を打った」
ガンダムヒロインズ MARK ]X
136 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:21:32.94 ID:Um2cgCRl
「新たな手……?」
「《エゥーゴ》掃討のため、《ティターンズ》の部隊がコンペイトウから本宙域に派遣される。合流後、ティターンズ主導で新たな任務部隊が編成されることになるだろう。本艦はそこに組み込まれる」
「…………」
「あの……クソ野郎どもの下に付け、ってことっすか……」
 途端にしん、と沈黙が降り、エゥーゴに対するものに勝るとも劣らないティターンズへの嫌悪感が部下たちの顔に現れるのを見ても、あくまでリドリーは平静を通した。
「同時に、本艦の目的地も変更となった。《P-04》だ」
「うげっ」
「ああ……」
「マジかっ、……やっと上陸できると思ったら、あんなクソ田舎かよっ!?」
「? P-04?」
 悲嘆していっせいに肩を落とす僚友たちの中、アイネだけがそのコードネームらしき地名を理解できずにきょとんと首を傾げる。
「初めての者もいるな。サイド4宙域再開発拠点《P-04》。これが我々の当座の目的地だ」
 次にモニターへ映し出されたのは、宇宙に浮かぶ巨大な岩塊。その岩肌と周囲の宙域にはいくつもの明かりが浮かび、人間活動の存在を教えている。
 中心に埋め込まれたシリンダーは、疑似重力を生み出す巨大な居住区だろう。
「《P-04》は宙域掃海と廃棄コロニー再生事業の前進拠点となるべく、暗礁宙域近傍の資源衛星を改装した軍・公・民の寄り合い所帯だ。
 本艦はここに寄港してMSを含む補給物資の受領を受け、新たに編成される《エゥーゴ》討伐部隊の指揮下に入る」
 同時に出された三次元の宙域図を見て、アイネは同僚たちの反応に納得する。ルウム戦役のおびただしい名残ゆえ、魔の宙域だの辺境だのと好き勝手に呼ばわられるL1宙域の中でも、さらに暗礁宙域に接して位置している。
「そしてP-04は救援した貨物船《リバティ115》の目的地でもある。よって本艦はこれよりP-04まで、護衛を兼ねてリバティ115に同行する。では諸君に改めて、ここから当分の道中をともにすることになった《VWASS》の諸君らを紹介しよう」
「……う゛ぃわす? 同行??」
「班長、入りたまえ」
 話へついていけずに目を瞬かせたアイネをよそに、インターホンを介したリドリーの呼びかけで扉が開いた。
「失礼します」
 どこかで聞いた声だなとアイネが思う間もなく、連邦軍制式の――トラキア隊が使っているものより一世代古い、一年戦争型の黄色いパイロットスーツを着た中年の男と、好奇の視線できょろきょろと周りを見渡す、少年のような風貌の少女の二人が入ってくる。
 リドリーは咳払いして、会議室の正面を二人に譲った。
「では班長、自己紹介を頼む」
「はっ、艦長殿。ヴィックウェリントンエアロスペースセキュリティーズ――VWASS第104航宙警備班長、テッド・バートン予備曹長です」
「同班員、アシュリー・スコット予備上等兵です!」
 短髪の男が堂々と名乗りを上げれば、緩いくせっ毛のショートカットを揺らして元気良く少女も続く。
「ああ、この人たち……」
 軍人らしい基本教練で正面に立った二人がそこまで言い切ると、ようやくアイネも彼らの正体に思い至った。
「さっき《リバティ115》に付いてた、民間警備会社の……」
「巡洋艦トラキアの現役MSパイロット諸官らの勇敢な支援に、VWASS航宙警備班長として深く感謝申し上げます。こちらのスコットがボールごと捕獲された際、ザクUを撃破してくださったパイロットの方は――」
「え?」
「彼女です、バートン班長」
 不意に自分へ向かってきた話に目を丸くするアイネへ、それまで沈黙を保っていたマコトが不意に水を向けた。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
137 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:22:12.63 ID:Um2cgCRl
「――こちらの女性が……!」
「は、はいっ……。あ、アイネ・クライネ伍長です!」
 慌てふためいて起立するアイネにバートンは相好を崩し、力強い笑みを浮かべてくる。傍らの少女も大きな瞳を見開いてアイネを見ている。
「クライネ伍長、実に素晴らしい剣閃でした。トラキア隊は若い方でも、高い練度をお持ちのようだ」
「じ、自分はただ、夢中だっただけです……。あ、ありがとうございます……」
 不思議な面映ゆさに頬を染めながら、バートンを直視しきれずにアイネは俯いた。
 同時にバートンの小脇から、じっとこちらを見ている少女のことも意識する。まるで小動物のようにアイネを一心に見つめている彼女は、アシュリー・スコット予備上等兵と言ったか。
 アイネがドッツィ・タールネンの機体から斬り離して救ったボールのパイロットが、彼女だったということらしい。
「それではバートン班長、席に着いてくれ」
「はっ」
 バートンとスコットは連邦軍式にリドリーへ敬礼すると、席へ向かった。
 頼みのマコトは正面脇に位置を取っており、ガルノフやシュンには近寄りがたく、ロブにも微妙に遠慮して、ウェンディからは本気涙目で逃げてきたアイネは今、一人でぽつんと離れている。
 そのアイネの隣に、スコットが勢いよく飛び込んできた。にっこりと微笑まれたので、とりあえずアイネも愛想笑いを返す。適切な距離感が掴めなかった。
「VWASSは地球連邦政府の認可を受け、連邦軍の払い下げ装備を取得して宇宙での警備業務を請け負う民間企業だ。バートン班長のように実任務に当たる人員は、地球連邦軍の予備役軍人でもある。
 マコト以下のMS隊は特に、VWASSの諸君との連携を密にするように。
 ジオン残党ルスラン・フリートの活動がますます活発化し、さらにエゥーゴの侵入までもが確認された。宙域の緊張は高まり、もはや予断を許さない。この状況下で、諸君らの協働一致を期待する――以上!」
「気をつけェ!」
 マコトが号令し、会議室の全員が一斉に起立して艦長との敬礼を交わす。続けてマコトが全員に達した。
「MS隊も解散とする。事後は所定通り各個に行動。別れ」
 ルスラン・フリート、エゥーゴ、ティターンズ、任務部隊、P-04、VWASS。
 自分を取り巻く環境の激変を感じながら、やはりあのエゥーゴとの戦いが運命の転機だったことを痛感して、アイネはそっと天井を仰いだ。
 同時に、傍らに立つボーイッシュな少女――アシュリー・スコットからの視線に気づく。
「クライネ伍長殿! 先ほどは救援、本当にありがとうございました!」
「私は、ただ夢中だっただけだよ。あなたを本当に助けたのは、ハヤカワ准尉。准尉がリックドムからの奇襲を捌いてカウンターを決めていなければ、私の突撃だって成功しなかったもの」
「ハヤカワ准尉殿……あの美人の隊長殿でありますね! トラキアMS隊には美と強さを兼ね備えた女性がこんなにいらっしゃるのですね! 感激であります! 憧れます!」
「えっ? 美、美と強さ、って……わ、私も??」
 あまりにまっすぐに届いてくる賞賛に、アイネは思わずふらつきそうになりながら少女を見返す。彼女の瞳に邪気はなく、どうやら本心からそう言ってくれているのだと直感的に分かってしまって、アイネは赤面しながらどうしようもなくうろたえた。
 ――私なんかのことを、そんな風に思ってもらえるなんて……。
 自分の未熟さに照らして分不相応に思う気持ちと、救った年下の少女の存在を感じて得た暖かな感情がない交ぜになって、アイネの胸中に渦を巻いた。
「あ、ありがとう……」
ガンダムヒロインズ MARK ]X
138 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:22:45.64 ID:Um2cgCRl
「ところで、伍長殿」
「ん? 何かな?」
 アシュリーの視線が、アイネの目線から少し下がった。
 興味津々の幼い瞳が自分と、そして会議室前方で残務処理するマコトの胸の間をしきりに行き来していることに気づいて、アイネは笑顔をわずかに強ばらせる。
 ああ、オチが読めたような気がする。
「一流パイロットたる女性には、やはり立派なバストが不可欠なのでありますか? 准尉殿も伍長殿も、素晴らしくご立派なものをお持ちのようで――」
 二人に比べればずっと慎ましやかな自分の胸の膨らみの存在を、ぴったりとしたパイロットスーツ越しに確かめるように両手で包み、アシュリーはささやかな脂肪を捏ねるようにしながら切なげにアイネを見つめる。
「これが貧弱な自分とお二人の、差……、なのでありましょうか!?」
「そっ、それは……たぶん、全然、まったく何も関係ないと、思うよ……」
「ふぎゅっ!?」
 そんなアシュリーの脳天へ唐突に拳骨が落ちて、少女はそのまま頭を押さえてうずくまる。
「何をやっとるかこの阿呆! どうしてもトラキアに来たいジムUのパイロットに会いたいって言うから連れてきてやったと思ったらこれか、さっきの戦闘で頭でも打ったか!? また精密検査をやり直すぞ!!」
「はっ、班長ぅぅ……後生ッスからどうか、どうかそれだけはお許しをぉ……あ、班長! 班長も自分の胸がばいんばいんのたゆんたゆーんなないすばでーに育った方が、強そうだと思っていただけ――ぱぎゅっ!!」
 有無も言わせぬ二発目の拳骨が、今度こそアシュリーを完全に沈黙させる。疲れ切った声でバートンが言った。
「……どうも、クライネ伍長。うちの馬鹿がご迷惑をおかけしました」
「あ、いえ……そんな、私は別に……」
「では、のちほど格納庫で……」
 頭頂部からプスプスと煙が出ているようにも見える少女の襟を引きずって、心底恥ずかしそうに会議室から退場していくバートン班長を見送りながら、どこも大変なんだなぁ……とアイネは思った。
「ああ、もう……。とにかく行きますよ、カーペンター伍長」
「えっ?」
 アイネはとりあえず、ニヤニヤしながら一部始終を黙って見ていたガルノフとロブを眼光一睨みだけで下がらせると、ものすごく気まずそうに目線を逸らしていたシュンを捕まえながら会議室を出た。
 格納庫へ向かうリフトグリップを掴みながら、後ろのシュンへ向かって呼びかける。
「25をもう一回調整します。手伝ってください」
「それは、構わないけど……クライネ伍長。僕の方からも条件がある」
 意を決したような声に追われて、アイネは思わず振り向く。そこには混じりけのない、真剣そのものの眼差しがあった。
「? 条件?」
「クライネ伍長。僕と、付き合ってくれ」
「…………。……えっ」
ガンダムヒロインズ MARK ]X
139 :フェニックステイル第十五話[sage]:2014/05/06(火) 15:23:15.30 ID:Um2cgCRl
 ガン、カツン、カン、と、細かな衝突音がひっきりなしに艦内へ響く。
 エゥーゴ戦艦ジャカルタの艦橋は先のトラキア隊との接触時とも異なる、異様な緊張感に包まれていた。
 ジャカルタはいま暗礁宙域の深い部分へ、ゆっくりと、しかし確実に進行しつつある。そして進行するほどに宙域のデブリは密度を増して、戦艦ジャカルタの真新しい装甲板に細かな傷を刻んでいくのだった。
 艦の前方宙域には、飛び交うスラスターの火光が見える。MS隊が常時前方に展開して、艦の行く手を遮るデブリを排除しているのだ。
 万一の事態に備えて対空火器にも実員が配され、主砲も万全で待機してはいるが、まだこれまでのところ、そこまで派手にデブリを破壊しなければならないような状況には陥っていない。
 そう済むようにこの宙域での操艦を采配してきた艦長席に座る老練の船乗り、デミトリ・スワロフ中佐はしごく泰然としたものだったが、操舵士やレーダー手以下の艦橋要員の表情は鬼気迫るものだった。
「どういう神経してんだ、本当……こんなところに何年も潜んでやってるなんて、信じられねえよな……」
「並みの大型艦が通れるようなところじゃないだろ……MSや突撃艇だってどうか、ってとこだぜ――うわ!?」
 MS隊の前衛をすり抜けたか、一メートル近い大きさのデブリが艦橋めがけて飛び込んでくる。迎撃も間に合わずに艦橋ガラスへ衝突したが、大した被害を与えることもなくデブリは粉々に砕け散った。
「MS隊ィ! 前方監視、ちゃんとやってんのかァ!?」
『07。やっておりますわ。ただ、少々濃くなって参りましたの。こういうときに限ってマインさんがおられないのは残念ですわね』
「ハフナー少尉はまだ検査入院中だ。今日のところはシェンノート少尉の仕事にかかってるんです。よろしく頼みますよ……」
『はいな。紅茶の用意をお願いいたしますわね』
 今日もヌーベルジムUでデブリ警戒任務に当たるリアンナ・シェンノート少尉からの報告が入って、通信手はほっと息をつく。だが普段なら一服の清涼剤となっていただろう美少女との通信を終えても、艦橋に垂れ込める重苦しい空気は消えることがなかった。
「お、おい……今の……」
「あ、ああ……」
「……人、……だったよな……」
「…………」
 隣同士の二人が言葉を交わしたきり、それきり黙り込む。
 L1宙域。ルウム戦役の名残。この宙域で命を奪われた二十億の死者は、八年の時を経てなお彷徨い続けているのだ。
「なんてとこだよ。薄気味悪い――」
「この経路で、本当に来ますかね、連中……」
『必ず来ますよ』
 自信に満ちた呟きが不意に割り込んできて、クルーたちはぎょっと視線を交わす。発信源はジャカルタのMSカタパルト甲板へ武装して出たまま、じっと動かないリックディアス。
 ジャカルタMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉の機体だ。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
142 :フェニックステイル第十五話おわり[sage]:2014/05/06(火) 15:31:58.87 ID:Um2cgCRl
今回は以上です。

>>66
今更ですが……
アイネたちが不死身なのは、MS戦とエロ場面をシームレスに繋ぐための舞台装置であると同時に、ストーリーの中核にもなっています。
でも、そのことを知っているのはマコトやベリヤなどごく限られた人間のみ。それがここからどう転がっていくのか、気楽に見ていただければと思います。

需要の有無は分かりませんが、第十三話とαみたいながっつりしたエロはしばらくお休みです。
もう数話の間はぬるエロ混じりの平常進行、ときどきMS戦、みたいな構成になるかと思いますが、お付き合いくだされば幸いです。
ガンダムヒロインズ MARK ]X
143 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/06(火) 15:37:38.72 ID:Um2cgCRl
>>141
支援ありがとうございました〜。
貧乳娘も逐次増強中ですが、どんな塩梅ですかね。


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