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名無しさん@ピンキー
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】

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【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
438 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/06(火) 00:32:34.14 ID:DU+3jHVB
小ネタSS投下
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
439 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/06(火) 00:33:18.54 ID:DU+3jHVB
今日の大河といったらそれはもうすこぶる機嫌が悪かった。
具体的にどれくらい悪かったのかというと、思わずあーみんが気を遣っちゃうぐらいだからね。
とんでもなく悪い、ううん最悪だって言って差し支えないんじゃないかな。
特にゆりちゃんが何か耳打ちしてからの荒れようと言ったら、筆舌に尽くしがたいっていうのがピッタリだったよ。
訳も分からずって感じでギタギタにされた高須くんも大丈夫かな。
あれ、けっこうシャレになんないレベルだと思うんだけど、二人の間にいったい何があったんだろ。
もちろん私も大河のことを気にかけてはいたんだよ? ただ、何かしてあげようにもそもそもの原因だってよくわかんないし、
そうこうしてる内に大河は高須くんと喧嘩しちゃうしさ。
こんな気軽に冗談も言えないような重苦しいだけの雰囲気を引きずられるのは勘弁してほしいし、心配だよ。
はてさてどうしたものだろうって、部活を終えて、もひとつおまけにバイトも終わっての帰り道のこと。

「うん? あれ? 高須くん?」

普段からしてけっこう悪目立ちしてそうだってのに、今の高須くんは三白眼をギラギラ光りそうなほど鋭くさせて、
道行く人々から目を逸らされている。
ところどころ青アザまでこさえちゃって、そんな不審者然としてたら誰がどう見たってケンカ直後の不良くんかはたまたヤの付く自由業さんでしかない。
まあ一方的にしばき倒されてたとはいうものの、それもケンカと言えばケンカだって言えなくもないけど、
青アザの理由は言わずもがなの大河だし、断片的には事情を知っている私からしたら、ただ歩いているだけで他人から避けられていく高須くんのことが
ちょっぴし不憫に思えてしまう。
とはいえ何でまたこんな時間にこんなところで。

「おーい、高須くーん。そんなとこでなにし──わわっ!?」

声をかけようとした私は咄嗟に路地の角に体を隠れさせた。
高須くんは一瞬こちらに目をやったようだけど、暗がりで息を潜めて縮こまる私に気がつくことはなく、そこのお店から出てきた女の人と首を傾げ合っている。

「どうしたの、竜ちゃん」

「ああ、いや、なんか今誰かに呼ばれたような気がして」

「ううん。そうじゃなくってね、やっちゃんが言ってるのはこっちだよ」

そっと高須くんの頬に手が添えられて、痛々しさを物語る青々としたアザを優しく撫でる。
一瞬身をよじらせた高須くんはそれでもされるがままで、ハアと大きくため息をついた。

「大河とちょっとな」

「大河ちゃんと? だめだよ、仲良くしなくちゃ」
【田村・とらドラ!】竹宮ゆゆこ 37皿目【ゴールデンタイム】
440 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/05/06(火) 00:34:30.55 ID:DU+3jHVB
「別に俺がなにかしたわけじゃないと思うんだけどな……まあ、心配いらないだろ。
 あいつが不機嫌なのだってなにも今に始まったことじゃないしな」

「そう? なら、もうやっちゃんもなにも言わないね」

少しばかりいかがわしそうなお店から出てきた女の人があまりにも自然に高須くんの傍らに寄り添うのが見えて、
自分でも不思議に思うくらいその様子が衝撃的で、勢いに任せて思わず隠れてしまった私はすっかり出て行くタイミングを逃してしまっていた。
いや、今はそれよりも、不思議といえば高須くんとあの女の人との関係もそうだよ。
大河のことも知ってるみたいだし、あの二人の間柄はどういったものなんだろう。
少なくとも、私の目には高須くんたちがとても仲睦まじく映った。
それこそ大河と一緒の時か、それ以上に。

「でも、ほんとに痛そう……えい」

と、傍から見たら怪しさ満点でクラスメートを勘ぐる私の目の前で信じられない行動に出るやっちゃん(謎の女性)。
仰天して目を丸くさせる私と同じく、高須くんも三角みたいになってた目を大きく開く。

「いきなり何すんだよ」

そういう高須くんの顔は若干赤みがかかっていて、悪戯っぽく微笑を返すやっちゃん(謎の女性)は、再度高須くんの頬に唇を添えた。

「いたいのいたいの、チュッ……飛んでいけ〜って。だめ?」

「だめってお前、場所とか考えろよ、誰か見てたらどうすんだ、誤解されるだろ」

「……やっちゃんは、されてもいいよ? ……チュッ」

言ってる間にもまた一つキスが増えて、さすがに怒ってしまったのか、はたまた恥ずかしさに負けたのか、
口をへの字に引き結んだ高須くんは無言のまま、真っ赤な顔で通りの向こうへと早足で行ってしまった。
やっちゃん(謎のキス魔)も「竜ちゃん待って〜」と言いながら先行く高須くんを追いかけてすぐに見えなくなった。

「………………」

込み上げてくる衝動に突き動かされるこの感覚を、何で無関係なはずの私が感じているのかわからない。
ただ──面白くなかったことだけは確かだった。
そうだよ、正直いって、目前で繰り広げられた光景に、私は無性に腹立たしさを覚えていた。

「……もしもし、大河? あのさ、落ち着いて聞いてほしいんだけど」

高須くんに対してのものだろうか、いくらかの罪悪感を飲み込んで、私は携帯電話を壊れんばかりに握り締めだした大河へと、
つい先ほどの様子を語り始めた。

                              〜おわり〜


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