- 二次元キャラを牧場で飼い慣らす妄想スレ 第16牧場
193 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:41:42.94 ID:+vn9n0M6 - 投下します。日にちを置いてちまちまと携帯で書いていたので文章に矛盾があるかもしれません。
後、くそほど長くなったので投下したら規制に確実に引っ掛かると思うので、ちまちま投下していきます。
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194 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:42:25.98 ID:+vn9n0M6 - “クローン牝畜”
あらゆる二次元平行世界から攫ってきた牝畜の細胞を元に、“牧場”のクローン技術で造り出された人造生命体。 オリジナルの牝畜と寸分変わらぬ瓜二つの容姿を持った美少女。 個体単価18万円のそれは、オリジナル牝畜のレアリティ維持などの問題で、年間製造数には厳しい制限が設けられている。 しかし、“牧場”の一施設である乳製品工場はその施設の概要によって、クローン牝畜の大量製造と保有が例外的に認められていた。 乳製品工場で製造されるクローン牝畜は、“牧場”で主に出回っているクローン牝畜とは違って特別製である。 特別製――とはいってもその言葉に含まれる意味は、“改良”ではなく、むしろ“改悪”に近いものだ。 主な特徴2つだ。 まず1つ目の特徴は、乳製品工場で製造されるクローン牝畜には、原則としてオリジナルの記憶がインストールされていない。 理由は単純で、母乳を搾り出すためだけの存在に記憶など不要だからだ。 大量のクローン牝畜を保有する必要のある乳製品工場にとって、オリジナルの記憶など無駄以外の何物でもない。 数が多いだけに記憶をインストールする手間とその費用も莫大だ。 まさに無駄の塊である。 その無駄具合は、費用を浮かすために記憶のインストール過程の除外を巡り“牧場”のクローン製造場と裁判で争い、敗訴し、袂を分かち、独自にクローン製造を始めてしまうくらいだ。 なお裁判では、クローン牝畜の人権などには一切触れられていない。 2つ目の特徴は、クローン牝畜の寿命だ。 細胞を培養して製造するクローンには、短期間で成体にまでする過程でどうしても無理が生じてしまう。 “クローン牝畜は、オリジナルよりも長く生きることが出来ない” というのは、クローン牝畜がクローン牝畜たる所以の1つだろう。 それでも20年30年は生きていけるし、調整を施せば更に寿命を延ばすことは出来る。 まぁ、身も蓋も無い話をすると、延命処置を施すよりも新しく作った方がお金掛からなかったりするわけだが……。 乳製品工場は、そんなクローン牝畜の寿命を圧縮して一律6年に設定して製造している。 これには理由が2つある。 1つは耐久性の向上だ。 寿命をわざと短くすることで身体の強度を上げ、搾乳による生体部品として摩耗を抑える。 もう1つは、管理面の観点からだ。 母乳を大量に生産して安価に提供する乳製品工場の性質上、クローン牝畜の摩耗による搾乳効率の低下は常に憂慮される事態だ。 そんな事態をなるべく起こさない為に、乳製品工場は5年を目安にクローン牝畜を廃棄して、新しいクローン牝畜と入れ換えている。 6年ではなく5年なのは、商品的な言い方をすれば消費期限だ。 クローン牝畜を母乳体質にする過程で1年から半年ほど寿命が削られるのだ。 人を人と思わぬ……いや、女を人と思わぬ所業は“牧場”の専売特許だが、乳製品工場はその中でも顕著な施設だろう。 AM6:00。 年を越え、冬の勢いも少しずつ弱まっていき、春の兆しが見え始める早朝の“牧場居住区”の一角を1人の男性が走っていた。 上下ともに黒のウインドブレーカー、くたびれたランニングシューズ。歩くわけでもなく、急ぐわけでもない、それでいて整ったフォームからそれは一目でランニングだと判るだろう。 歳のころは三十路前半といったところで、キツい目付きに掛けられたメガネが相まって、雰囲気は『優秀そうな銀行員』という感じだ。 この男性は、『飼い慣らすスレ13>>388』や『飼い慣らすスレ14>>470』のSSに登場した乳製品工場の経営を任されていた人物だ。 男性はあれからもその役職を精力的にこなし続け、今では出世して重役役員の椅子の1つに座っている。 “牧場”では例年稀に見る勤勉な勤務態度と、その工場の搾乳効率を上げた実績を買われての出世である。 ただしこれは乳製品工場という1つの会社として異例の事態で、通常ならば3つほど別の工場で現場経験を積まなければならないはずなのだ。 順当に行けば四十中頃辺りでの役員への出世を能力の評価でのみ成し遂げ、乳製品工場では最年少に当たるこの男性は、ただただ優秀であったという一言に尽きるだろう。 足りない現場経験を別の工場長を兼務するという形での変則的なものではあるが、スタートが末端の一労働者だと考えれば正に『叩き上げ』と言って差し支えない出世スピードである。
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195 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:44:33.22 ID:+vn9n0M6 - 規則正しい呼吸をしながら男性がランニングを続けていると、牧場居住区の中でも高級住宅街に分類される一角に差し掛かる。
周りの建物が大きく高く立派なものになっていくにつれ、やっと登り始めた朝日がそれらを照らし出していく。 そんな町並みを眺めていると、ふとここが“牧場”だということを忘れてしまいそうになってしまう。 だが、やはりここは“牧場”なのだろう。 走る男性の目の前には、こちらに向かって“ペット”を散歩して歩く人の姿があった。 もちろんその“ペット”が、犬とか猫とか、そういうものの類では無いことは言わずもがなである。 近付くにつれて見えてきたのは小肥りの中年と、それにリードで繋がれた“魔法少女まどか☆マギカ”の“佐倉杏子”だ。 赤髪をロングポニー纏め、勝ち気な表情に八重歯が特徴的なキャラクターの佐倉杏子は、早朝の往来を、全裸に首輪だけを付けて四つん這いの格好で歩いていた。 「はぁッ! はぁッ! ご主人様ッ!ご主人様ぁッ!」 「ハハハ、こんな所で発情するなんて杏子は悪い子だなァ」 ランニングで走って来る男性を余所に、杏子は発情したかのように小肥りの中年に縋り付く。 ……よく見れば尻尾が生えていた。 その尻尾が何処から生えているのか……耳を澄ませば聞こえてくる振動音からして、詮索しなくても答えは分かることだろう。 なんとも白い目を向けたくなるような非日常的な光景だが、小肥りの中年が男性に気付くと、これまた何事も無いかのように朗らかな表情で手を振ってきてそれを加速させてしまう。 そんな挨拶に対して男性は反応に困る……かと思いきや、直ぐに笑顔を作り「おはようございます」と口にして足早に杏子達の隣を横切る。 「よし! 杏子、壁に手を付けなさい!」 予想通りというか何と言うか、走り去る男性の背後では早くも第一戦が開始されそうである。 普通なら公然猥褻罪で問答無用に逮捕されそうなところだが、生憎ここは“牧場”なので問題無い。 ついでに言うと“牧場”で公然猥褻罪で逮捕されることはない。あまりに周囲に迷惑を掛けた場合に限り、罰金と軽い注意がされるくらいである。 だが男性は、それら“牧場”の物差しを抜きにして、先の小肥りの中年が気に入らなかった。 男性にはああいった自分の牝畜を他者に見せびらかす趣味がないからだ。 自分の牝畜は自分の為だけに使うべきだという考えがあり、連れ回しはしても、人前で事に及ぼうとはしない。 それはある意味……というより普通に独占的な考えで、ひっそりと家でフィギュアのパンツを覗き見る思考なのかもしれない。 自分の性癖を恥だと知っていて、外聞を気にして誰にも理解を求めない。 言ってしまえば小心者の思考だ。 それに加えてもう1つ、男性は『歳を取っても腹だけは出さない』という生涯に置ける信念を持っている。 この毎朝続けているランニングもそのためにやっているのだ。 ヤリ放題イキ放題を実現する“牧場”で、ヤリ放題イキ放題を毎晩し続けていれば確かに痩せる。 だがそれでは腹を出さない為に必要な腹筋が鍛えられないのだ。オナニーにおけるシコ筋と一緒だ。 せいぜい腰の動きが速くなるだけで、体型維持に必要な筋肉が付くことは無い。 セックスの技巧ばかりが上手くなり、バキに登場した消力(シャオリー)の修業のようになってしまう。 シャオリーと違うのは、食事を摂生することがないため太ってしまうことだ。 男性に言わせればそれは、性交の快感に惑わされ、自己管理を怠った自堕落のドツボに嵌まった状態だ。 あの小太りの中年はまさにその典型であり、故にこの男性は、笑顔を向けはしても好ましい感情は持つことが無かった。
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196 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:50:03.27 ID:+vn9n0M6 - こういった他人を心の中で見下し、それを反面教師にして自分を戒める孤高主義。
そしてそんな胸中を一切顔に出すことがない極度の面の皮の厚さが、彼を若くして乳製品工場の役員の椅子に座らせたのだろう。 良く言えば男性は、自制の効く出来た人間だが、悪く言えば――いや、“牧場”に言えば詰まらない人間だ。 友人として付き合ってみてこれほど面白みの無い人間もそう居ないはずだ。 しかし、成功を重ねてきた代償とでも言うべきなのだろう。男性は知らず知らずの内に、自分の努力を棚に上げて他人の評価を見誤ることがあった。 その典型がさっきすれ違った小肥りの中年だ。 中年が連れていた佐倉杏子。彼女は平行世界から捕獲されてきたオリジナルである。 天然物と養殖物、オリジナルとクローンとの値段は差は正しく桁が違う。 男性が持つクローン牝畜を全て売り払ったとしても、本物の佐倉杏子1人買うことが出来ないほどに違う。 それはつまり中年と男性の財力に、途方も無い差があるということ意味している。 小肥りの中年の方が、男性より遥かに稼いでいるのだ。 この世、そしてなにより“牧場”とは金が全てであり、金は努力を無しに得ることは出来ない。 コネだって欠かせないだろう。多少の運も必要になってくるだろう。 しかし、それらは全て努力の上に成り立っている。 オリジナルの牝畜を“牧場”から購入するためには、途方もない額の金を用意する必要があるのだ。男性では到底用意することが出来ないほどの金が必要なのだ。 それを考えればあの小肥りの中年がどれほどの金持ちなのか、どれほどの努力を重ねて来たのか。 その一端ぐらいでも察することが出来るのではないだろうか。 しかし男性がそれを気付くことはない。いや、気付くことが出来ない。 常人よりも努力しているという自覚があるから。そしてそれがなまじ事実であるからだ。 上には上が居るものだが、男性の周りには――いや“牧場”には、そんな強者達を覆い隠してしまうほどに堕ちた連中が多過ぎた。 『井の中の蛙、大海を知らず』 という言葉が彼を一番良く表している。 ランニングのペースが段々と落ちていき、いつしかクールダウンの徒歩へと変わり始める。 男性は歩きながら肩に掛けたタオルで額の汗を拭い、深く息を吸って呼吸を整える。 そうしてしばらく歩いたところで目的地に着いたのか、男性が足を止める。 日課のランニングを終えた達成感に大きく息を吐き見上げる男性の目の前には、周りの立派な家々と遜色の無い庭付き一戸建ての邸宅があった。 これが男性の今の住まいである。 変則的な人事ではあるが、曲がりなりにも工場長から役員に出世したことで、男性の収入はグンっと上がった。 それに合わせて乳製品工場の役職特典であるクローン牝畜の所持数の枠も3頭から増え、以前のマンション型の社宅では窮屈になってしまったため、この高級住宅街の一軒家に移り住んだのだ。 見るからに男1人では管理しきれない物件ではあるが、その辺りの問題は彼の持つクローン牝畜達でクリアされている。 乳製品工場から社員に給与されるクローン牝畜には特別に、“とある魔術の禁書目録”に登場する“学習装置(テスタメント)”を改造した機械で記憶がインストールされている。 いくら無料で牝畜が手に入るとはいっても、それが乳製品工場で主に使われている頭が空っぽな身体の大きな赤ん坊では、利点よりも面倒事が先に立つのは難しくない話だ。 特異な性癖な人間を除き、誰がわざわざ赤ん坊の世話などやりたがるだろうか。 そのため乳製品工場は、通称“メイド”と呼ばれる記憶を作成してインストールしているのだ。 中身は読んで字の如く。説明は不要だろう。 男性がレンガ積みの洒落た門戸をくぐり、先にある我が家の玄関の扉を開けると、そこには既に彼の奴隷であるクローン牝畜達が待機していた。 「お帰りなさいませ。ご主人様」 そこに居たのは、 “とある魔術の禁書目録”の“神裂火織” “バンブーブレード”の“川添珠姫” “インフィニット・ストラトス”の“セシリア・オルコット” そして“魔法少女リリカルなのは”の“シグナム” の4頭のクローン牝畜である。 横一列に並んだ彼女達は深々と頭を下げ、揃えられた声で主人の帰りを労う。
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197 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:51:07.54 ID:+vn9n0M6 - 彼女達が一様に身に纏っているのは露出の激しいミニスカメイド服だ。脚にはニーソックス、頭にはメイドブリムを付けている。
いわゆるフレンチメイドのデザインであり、本来のメイドの仕事には心底向いていない。 乳製品工場では給与するクローン牝畜に、クローン元のデフォルト衣装もセットで3着付けている。 そのためこのメイド服は男性がわざわざ用意したもので、つまりは趣味だ。 しかも既製品ではなく、発注して作らせたオーダメイド品である。 男性の性癖の片鱗が窺える代物だが、それを指摘出来る人間は生憎ここには居ない。 「先にシャワーを浴びる。朝食はその後だ。準備しておけ」 「かしこまりました」 男性が不遜とした態度でそう言い付けると、火織達クローン牝畜は声を揃えて返事を返す。 男性が靴を脱いでいる間に火織達は部屋の隅へと移動し、壁を背にして並ぶ。 壁際で姿勢を正して並ぶ4頭のクローン牝畜達。 彼女達は全員、均整の取れた顔立ちをした美少女だ。 目に留まるのは彼女達が着ているミニスカメイド服だが、それ以上に目がいくのは彼女達のお腹だ。 メイド服に覆われた彼女達のお腹は、布地を丸く大きく押し上げるほどに膨らんでいた。 お腹以外の体型からして肥満ではないことは明らかで、彼女達が妊娠しているとすぐに察しがつくだろう。 事実彼女達は妊娠しており、その腹の中に居るのはもちろん男性の子供である。 大きさから見るに既に臨月は迎えている。出産の日はそう遠くないだろう。 シグナムを除く、神裂火織、川添珠姫、セシリア・オルコットの3頭は、これまでの乳製品工場のSSにも何度か男性と一緒に登場した彼のお気に入りのクローン牝畜である。 しかし今回のこの3頭には1つ違っていることがあった。 それは彼女達が、以前の彼女達とは別人だということだ。 増えたクローン牝畜所持数で同一の個体を手に入れたわけではない。学習装置で記憶を書き直したわけでもない。 以前の神裂火織、セシリア・オルコット、川添珠姫の3頭は生命活動を停止させ、死んだのだ。 乳製品工場製のクローン牝畜の寿命は6年。 これは乳製品工場のクローン牝畜の製造段階に組み込まれた、避けては通ることの出来ない仕様である。 母乳体質にするための工程を挟めば更に寿命は5年に縮む。 その仕様の通り、以前の神裂火織、川添珠姫、セシリア・オルコットの3頭は男性の子供を腹に宿したまま5年目を迎え、その生命活動を停止させて生涯を終えた。 クローン牝畜を貰う社員側からすれば、たったの5年で使い物にならなくなるのは萎える話だが、実質問題は無い。 乳製品工場の社員は、売却や故意の損失などの場合を除いて、所持制限の範囲内ならば何度でも無料で申請してクローン牝畜を貰うこと出来るからだ。 クローン牝畜の大量生産などという生命の冒涜を日常茶飯事でする乳製品工場に関わっておいて、まさか1つの生命に固執する馬鹿も居ないだろう。 所詮彼女達はオリジナルの模造品だ。 乳製品工場製クローン牝畜という名に相応しく、大量生産されたクローンの内の1頭でしかない。 オリジナルの細胞の欠片と設備があれば、それこそ無限に造ることが可能なのだ。 ボタン1つで造り出される薄っぺらな生命に、一体どれほどの価値があるだろうか? 少なくとも乳製品工場は、そんな彼女達を“道具”あるいは“部品”として扱っている。 機械に繋いで日夜母乳を搾り取る作業に明け暮れている。 もし彼女達クローン牝畜に救いがあるとするのなら、老いることなく若々しい姿のまま、眠るように逝けることだけだろう。 そもそも乳製品工場は、その在り方自体が狂った非人道的施設なのだ。 中でもクローン牝畜を給与される立場に居る者には、組織を円滑に運営する手腕が求められている。 それは一重に言って、“どれだけ命を軽く扱えるか”だ。 1個の命を尊重するだなんてことは論外。クローン牝畜が1頭、目の前で死んだくらいで動揺するだけでも資質は無いと言っていい。 さっさと退職して、別の“牧場”施設で働いた方がよっぽどその人のためになる。
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198 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:52:34.05 ID:+vn9n0M6 - “ただひたすらに効率のみを追い求める”
それが乳製品工場での出世への道であり、ひいてはクローン牝畜を手に入れるための道である。 そしてそんな者達が、今の乳製品工場の役員の椅子に座っている。 役員となった男性も、火織達が動かなくなったのを確認すると、乳製品工場が求める資質のままその場で新しい牝畜を申請している。 火織達のお腹に宿っていた子供も、ゲスで外道な父と、そんな男の奴隷でしかない母の間に産まれないままだったのは幸運なことだろう。 ……まぁ、それ以前に3人から産まれた12人の子供は、産まれたその日に“どこか”へ搬送されて消えている訳だが。 「――ご主人様。朝食の用意が出来ております」 シャワーを浴び終えてラフな格好で脱衣所から男性が出てくると、待機していたボテ腹のセシリアが深々と一礼をして用件を伝える。 男性はそれに対して、 「わかった」 と不遜に頷き、セシリアの臨月のボテ腹をメイド服の上から撫であげる。 孕ませは男性の趣味であり、性癖だ。 腹の中にいる子供に愛情など微塵も無いが、女が孕んで膨らんだ腹を抱えている姿は非常に美しい。 男性は一撫ですると満足したのか、そのままセシリアに先導をさせてリビングへと向かう。 朝日が差し込むリビングに着くと、中央に置かれたテーブルの上にはセシリアの言葉通り、既に朝食の用意がされている。 パン、サラダ、スープと、いかにも洋風被れな朝食だ。 傍らにはメイド服の上半身を脱いで半裸になったボテ腹のシグナムが静かに佇んでおり、胸には蒸したタオルが掛けられている。 そんなシグナムの姿を一瞥してから男性は席に座る。 「……今日のミルク係はシグナムか」 「ご不満でしたらお変えしますが?」 男性の呟きに、隣に立ったセシリアが胸のボタンに手を掛けながら応える。 「いや、いい。言っただけだ」 だが男性は手をひらひらと振ってセシリアを抑えると、食事の傍に置いてある新聞を読みはじめる。 その新聞は“牧場経済新聞”といい、“牧場”が現在進めている事業のことが書かれている。 情報のデジタル化が進む昨今では廃れはじめた新聞――それも読んでいて眠たくなるような、“牧場”らしからぬ遊びの無い内容だが、男性のような人間も少なからず居て発刊されている。 「……ミルクを入れさせていただきます」 隣に立つシグナムが胸に掛けた蒸しタオルを取って、その巨乳を露にする。 暖かくしっとりと濡れたシグナムの双乳は、クローン元のオリジナルらしい豊かさを持ちつつ、妊娠したことで大きさを増している。 呼吸するだけでゆさりと揺れ、見るからに重たげだが、しかし形も損なわれてはいない。 孕んでいてもなお桜色をした乳首はツンと上を向き、その先に母乳の珠を浮かせている。 むしゃぶりつきたくなる様な劣情を沸き立たせるのと同時に、一種の芸術品の様な美しさも備えている。 シグナムはそんな自分の片胸を躊躇なく掴むと、裏返して置いていてガラスのコップを持ち上げて乳首を向ける。
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199 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 06:54:00.85 ID:+vn9n0M6 - 「んっ……」
シグナムの乳首から、ピュッ! と真っ白な母乳が噴き出し、コップの底を僅かに染める。 子供を孕み、臨月に到ったことで出るようになった母乳は、事前に打っておいた母乳保進薬の効果もあって、シグナムの乳房をパンパンに張らせている。 ほんの僅かな刺激でも――それこそ軽く触れただけでも射乳してしまうほどに母乳を溜め込んだシグナムの胸は、正にミルクタンクだ。 シグナムはそのまま根本から胸を絞り上げ、美しい乳房の形をぐにゅりと歪ませる。 胸の肉が先端に寄せられるや否や、勃起した乳首から大量の母乳が噴出する。 幾筋もの線を描いて噴き出すその母乳の勢いと量は凄まじく、瞬く間にコップの中を満たしてしまう。 ガラスのコップがシグナムの真っ白な母乳で並々と満たされると、シグナムはそれを男性の食事の片隅に置く。 「んっ――は、あぁ……どうぞ、お飲みください……」 「珠姫、テレビをつけろ」 しかし、そんなシグナムの一連の艶姿には一切目もくれずに男性は新聞を読み込み、部屋の隅で佇んでインテリアと化していた珠姫に指示を出す。 男性にとってこんなものは日常茶飯事だ。見る必要もない。 「かしこまりました」と、珠姫が男性の指示に従ってテレビに近付きスイッチを入れる。 テレビに電源が入ると同時に、液晶画面になまめかしい女の濡れ場を映し出され、スピーカーからは淫猥な喘ぎ声が響き出す。 いかにも“牧場”らしいR18な番組に、男性は眉を顰めて舌打ちをする。 「チャンネルを変えろ。牧場経済ニュースだ」 「はい」 牧場経済ニュースとは読んで字の如く、“牧場”の経済を扱った“真面目な”情報番組だ。 他のチャンネルでやっている“牧場”らしい番組に押されて低視聴率なのだが、来園している投資者にプレゼンも兼ねて放送されている。 映像が何度か切り替わる間に、男性はシグナムの母乳が注がれたコップに口を付け、一息に飲み干す。 搾りたての直注ぎとあって温度は人肌で生温い。 しかし味は濃厚で、舌触りも滑らかで、程よく甘く 本物のシグナムの母乳の味には遠く及ばない代物だが、それでも金を払って飲むだけの価値はある。 男性が空になったコップをテーブルに置くと、直ぐにシグナムがまた母乳を注いで満杯にする。 そうしてテレビが目的の番組に切り替わると、男性はそれを見ながらパンを齧り、スープを啜り、フォークを使ってサラダを食べる。 新聞とテレビというややアナクロな情報媒体を通して“牧場”の最新の情勢を知りつつ、朝食を取るのが男性の朝の日常である。 早朝のランニング、経済新聞に情報番組、栄養面を考慮しつつカロリーを抑えた食事……。 欲望の都と呼ばれる“牧場”の中で、この男性のように真っ当……と言うには少々難はあるが、健康的な生活を送る人間というのは酷く珍しい。 酒池肉林を言葉の意味そのままに体言し、金さえ払えば容易くそれを手に入れられる場所で、一体どれだけの人間が堕落せずに生きることが出来るだろうか。 誘惑に負けない男など果たして居るのだろうか。 そんな人間がもし居たならば、それは良い言い方をすれば「真人間」、悪い言い方をすれば「変人」だ。 趣味で孕ませられたクローン牝畜達や、母乳を牛乳代わりに飲む姿を見るに、この男性もヤることはヤッている。 しかし、自己管理を怠らずメリハリのついた生活態度を鑑みれば、男性もまた「変人」に分類される人物だろう。 そしてそのような変人が、“牧場”には必要であったりするのだ。 二次元の女性を牝畜へと堕とし、犯し、穢し、辱める“牧場”の華々しい姿に誰もが目を奪われているが、何事にも表があり裏がある。 肝心の牝畜を捕まえてくる捕獲部隊。 凌辱イベントを設営する人員。 イベントの進行を取り仕切るスタッフ。 その他諸々……と、いくら“牧場”が欲望の都だからといっても、欲望だけでは世界は回らない。
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201 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:05:58.50 ID:+vn9n0M6 - その中でも重要なのが、裏方の仕事がスムーズに運ぶように手綱を握る管理職だ。
管理職の人間には真面目な勤務態度が要求される。 真面目、というのは言葉そのままの意味で決して“牧場”的な解釈は挟まない。 上の意向を下に伝え、納期に間に合うように人員を調節し、サボる輩の尻に蹴りを入れる。 “牧場”という極大の誘惑に捕われない滅私奉公の心意気を持つ、「真面目な変人」でなければ管理職は務まらない。 しかし“牧場”は、その性質からして集まる者の殆どに適性がない。 皆無と言っていいだろう。 だからこそ適性がある者――変人は貴重なのだ。 変人だからこそ、この男性は乳製品工場で若くして役員の椅子に座ることが出来た。 目先の欲望に惑わされず、熱心に働く人間はまともな世界でも珍しく、“牧場”ではより希少で重宝される。 しかし……いや、だからこそ、目先の欲望に惑わされない希少な変人だからこそ、厄介であったりもするのだ。 「――食後の紅茶をお持ちしました」 男性が朝食を食べ終えると、キッチンに下がっていたセシリアが見計らったかのように銀盆にティーセットを載せて現れる。 「失礼します」 と、一言断りを入れてからセシリアは、半裸で胸にタオルを被せた待機状態のシグナムの隣に立ち、流麗な手つきで紅茶を淹れ始める。 持ち上げたティーポットが傾けられ、琥珀色の液体が下に置かれたティーカップに注がれていく。 熱い湯気がティーカップから上がり、香ばしい茶葉の香りが部屋に広がって男性の鼻腔をくすぐる。 淹れているのが金髪のイギリス人美少女のセシリアだということあってその姿は非常に様になる。 心なしか紅茶の香りもより上品に感じられる。 そこに、彼女が妊婦で臨月のボテ腹だったり、着ている服がミニスカメイド服だったり、上半身裸でボテ腹を恥ずかしげもなく晒しているピンク髪の美女妊婦が隣に立っていたり――と、マイナスで異常な要素がテンコ盛りに含まれている訳だが……。 まぁ、性的な興奮という意味では、プラスの方向に働いているから大丈夫だろう。 紅茶をカップの中頃まで注ぐと、セシリアはポットを置いて男性に視線を向ける。 「……今日のミルクの量はいかが致しますか?」 「いつも通り、多めだ」 「かしこまりました」 男性の注文を受け取ると、セシリアは紅茶の入ったカップを隣に居るシグナムの前に移す。 それに合わせてシグナムは胸に被せたタオルを外し、再び外気に胸を露出させる。 先の朝食から差ほど時間が置かれていないため、シグナムの胸は乳首をビンビンに勃起させたままだ。 乳腺も閉じきっておらず、ツンと勃った乳首の先からは滾々と母乳が湧き出し、乳房の丸みを伝って自身のボテ腹に垂れ落ちている。 シグナムは朝食の時に5杯分もの母乳を既に搾り出しているのだが、その両胸は未だに見事な張りと膨らみを保っている。 いや、むしろ朝食の時よりも大きくなっているようにさえ見えた。 おそらく母乳保進薬の効果と搾乳の刺激によって、乳腺が活発に母乳を生成しているのだろう。 搾ればまだまだ大量に出すことが出来そうである。
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- 二次元キャラを牧場で飼い慣らす妄想スレ 第16牧場
202 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:06:41.22 ID:+vn9n0M6 - タオルを外したシグナムは、両腕を肩幅に広げて間にカップを挟むようにしてテーブルに手を突ける。
やや屈んだ姿勢になったことでシグナムの胸が身体からぶら下がり、カップの上で2つの乳房がユラユラと官能的に揺れ動く。 シグナムの呼吸に合わせて揺れるそれは卑猥に過ぎ、一目見れば万人が鷲掴みにして揉みしだく妄想に駆られるだろう。 ちなみにシグナムの大きく張り出した臨月腹がテーブルに強く押し付けられているが、シグナムにそれを気にするそぶりは一切無い。 準備が整ったのを確認すると、セシリアは横から腕を伸ばしてシグナムの乳首を掴み、ギュッと力を篭めて握り締める。 乳首を押し潰さんばかりのそのセシリアの手つきは、正に牛の乳搾りと同じものだ。 人差し指から小指へと順に乳輪ごと握り込まれた乳首が、ビュルルッ! と、下品な音を立てて母乳を噴出させる。 「んぁッ! あッ……! あぁあッ!」 加減の利かない他人に胸を絞られる感覚に、シグナムが首をのけ反らせて喘ぎ声を上げる。 束ねたピンク色の髪が翻り、脚が意思に反して内股になる。 見れば小刻みに震えるシグナムの太ももの内側が濡れている。 それは愛液であった。 股間から溢れ出した愛液が、下着をビショビショに濡らしてもなお足らず、内ももを伝って流れ落ちているのだ。 その様を見るに、シグナムがイッてしまったのは明白である。 たった1回、胸を搾られただけでシグナムは絶頂してしまったのだ。 しかしシグナムがイッたからといって、セシリアの搾乳の手は止まらない。 「んッ! あッ! んあ゙ッ! んんッ……!」 1回、2回、3回と、セシリアが母乳を搾り出す度にシグナムは短い喘ぎ声を漏らす。 天井に向けられたシグナムの顔面は完全に呆けており、舌をだらし無く突き出したアクメ顔を周囲に晒している。 そこにはクローン元となったヴォルケンリッターの覚悟も、烈火の将としての威厳もない。 ただ1匹の牝、いや牝牛が居るだけだ。 シグナムの母乳が注がれたことで紅茶のカップは瞬く間に満杯になる。 というか満杯を通り越して溢れ出しており、下の受け皿へと零れている。 しかも母乳の勢いもあって、紅茶の水面を跳ねた飛沫がテーブルの周囲を汚していた。 なんだかもう紅茶が持つ気品とかそういうのが全部どこかへ飛んでいっているが、もうこの際どうでもいいだろう。 しかし、他人にたった1回胸を搾られただけで絶頂を極めてイッてしまうのは、シグナムが本来持つ牝畜の素養を差し引いても異常であるが、それには理由が存在する。 シグナムは……いや、男性が所有している全てのクローン牝畜達は、“乳牛化”という開発を施されているからだ。 “乳牛化”とは、乳製品工場が自社で造ったクローン牝畜に施している工程の一環である。 いくら乳製品工場製のクローン牝畜だといっても、造って直ぐに母乳が搾れるという訳ではない。 母乳を出させるには、母乳保進薬の投与するか、妊娠させるか、あるいは電極での開発か。の基本的に3択である。 乳牛化は、その3種類の中の2つを行う作業工程のことを指す。 すなわち母乳保進薬の投与と、電極による開発だ。 その副作用によって、クローン牝畜の乳房の性感は元の数十倍にまで引き上げられるのだ。 乳製品工場で飼育されているクローン牝畜達は、全員例外無くこの乳牛化を施されている。 まぁ最終的に母乳の味に深みを加えるために妊娠させるが、それは別の工程だ。 乳牛化とは、製造して培養液から出されたクローン牝畜を寝台に拘束し、乳房に電極を突き刺し、電気の刺激で乳腺を開く……とまぁ、言葉にしてみれば簡単なものだ。 その最中に高濃度の母乳保進薬を注射し、電極と薬の両面で乳腺を肥大化させる。
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203 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:07:40.83 ID:+vn9n0M6 - そしてこの作業工程というのがまた、一部の奇特者には堪らない光景であったりする。
製造されたばかり、培養液から出されたばかりのクローン牝畜の知性というのは、産まれたばかりの赤子と大差無い代物である。 つまりは純粋無垢な赤ん坊だということだ。 身体が大きいか小さいか、生殖が可能か否という違いしかそこにはない。 そんな何も知らず何も分からない赤ん坊が、身を焦がす苦痛によって拘束された身体を暴れさせるのだ。 クローン牝畜達は何も理解出来ない頭のまま、胸に走る電気の激痛に獣染みた悲鳴を上げ、髪を振り乱し、身体を痙攣させ、白目を剥いて失禁する。 加虐思考の人間の中でも、特に重症な者には勃起物だ。 その時のクローン牝畜も見物だ。 突き刺された電極からの電撃と身体の痙攣で、クローン牝畜の胸がブルンブルンとまるで別の生き物の様に暴れるのだ。 更に、事前に打たれた母乳保進薬の効果が現れてくると、乳首から母乳を噴出し始める。 その母乳の噴き出す量と勢いは、まるで火山が噴火するかの様な凄まじさであり、天井にまで届いてしまうほどだ。 室内はたちまち母乳の甘い匂いで充満し、天井から返ってきた母乳によってクローン牝畜の身体が濡れる。 クローン牝畜が培養液から出て初めて浴びる液体が、赤子が浸かる産湯ではなく、赤子に与えるための母乳……それも自分のだというのは、何とも残酷な話だろう。 ちなみにこの時に搾られた母乳は初乳と言い、通常の母乳よりも美味である。オリジナルの母乳にも匹敵するほどだ。 しかし如何せん安定した量が取れないため、初乳は工場関係者と見学にきたお客様にのみ、その場で配布されるだけに留まっている。 この工程は1時間ほど続き、その間クローン牝畜は苦痛でもがき続けることになる。 乳牛化を施されたクローン牝畜は、乳腺が肥大化したことよって乳房の大きさが元の1.5倍、ないし2倍にまで膨れ上がる。 その後は各種検査を行い、乳牛化が不十分ならば再度乳牛化、無事に検査をパスすれば、学習装置が必要なクローン牝畜はそれを行う。 最後に排卵誘発剤を投与し、処女を破り、受精を確認すれば全工程が終了する。 完成したクローン牝畜達は順次、搾乳ラインに組み込まれていく。 社員に給与するクローン牝畜は、通常この乳牛化の開発を行わずに学習装置で“メイド”の記憶をインストールするだけに留められている。 もちろん希望することも可能だ。事前の申請書に書き込んでおくことで、バッチリと乳牛化させることが出来る。 そして所持しているクローン牝畜達が全員乳牛化の開発を施されている男性も、もちろん申請した社員の1人だ。 しかし、製造して直ぐに乳牛化の開発を行った訳ではない。 男性は「母乳は妊娠してから出るものが1番美味い」というゲスい持論を持っており、そんなゲスな妄念によって彼のクローン牝畜達は妊娠してから乳牛化の開発が施された。 それは妊娠期間も中期に入り、お腹も膨らみ、母子共に安静が必要な時期に行われることを意味している。 言うまでもなくそんな時期に乳牛化の開発をすることは危険度が高い。母子両方が死亡する可能性も十分に有り得る話なのだが、男性は行った。 開発を受ける当の本人である妊娠したクローン牝畜達は主人の決定に当然拒否することもなく、さも当たり前のように乳牛化の開発を受けた。 その結果……お腹の子供を含めて誰1人死ななかったのは、奇跡とも呼ぶべき幸運だっただろう。 まぁ、産まれた子供のほとんどが障害を持っていた訳だが、“どこか”へ運ばれて消えているので、あまり問題は無い。 話は逸れたが、かくして、“食後のティータイム”という言葉に激しく似つかわしくない工程を経て、ミルクティーが完成する。 ミルク係としての役割を終えたシグナムが、震える脚でテーブルから一歩二歩と後ろに下がる。 そのシグナムの顔には未だ快楽の絶頂を極めた余韻がありありと残っている。 上気して呆けた顔を奴隷根性で無理矢理引き締めている姿は、それにそのままダブルピースを加えればアッチ方面でかなり“絵”になりそうな感じだ。 クローン元が“女騎士”だというのもプラス要因である。 飛び散った母乳で汚れたテーブルをセシリアがフキンで丁寧に拭き取ると、男性に先んじてミルクティーのカップに口を付ける。 やはり飲む姿はイギリス人美少女な外見なだけあって、堂に入っていて非常に美しい。 「どうぞお飲みください」 セシリアは中身が零れない程度にまで啜ると、ソーサーを取り替えて男性の前に差し出す。
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204 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:10:34.25 ID:+vn9n0M6 - 男性はミルクティーを受け取ると、特に何も言わずに、さもそれが当たり前であるかの様にミルクティーを飲みはじめる。
これが、男性の家でのティータイムの大体いつもの流れだ。 面倒に過ぎるし、淫猥に過ぎるが、まぁ一応苦労に見合った味わいが男性の咥内に広がる。 ……実のところ、男性の舌はさして肥えておらず、細かな味の違いなどは分からない。 市販のミルクティーと、このシグナムの母乳入りミルクティーの味も、あまり変わらないと思っているくらいだ。 これらの一連の流れも、ただ見たいから――すなわちエロいからやらせているだけに過ぎない。 惰性で毎日続けているが、毎日見ているだけに見慣れていて、既に勃ちもしない。 まぁベッドの上では性欲の権化で野獣の如しだったりする訳だが。 「――……失礼します」 男性がゆっくりとした食後のティータイムを楽しんでいると、ふいに扉がコンコンとノックされるや1人の少女が入ってくる。 少女は細身な身体の割に大きく丸く張り出した腹部をしており、妊娠していることが明らかな体型をしている。 それは、彼女が男性の所持するクローン牝畜の1人である何よりの証拠なのだが、服装はメイド服ではない。 「アリサか」 「はい。本日のスケジュールが纏まりましたので、その報告を」 彼女の名は、というより彼女のクローン元の名前は“アリサ・イリーニチナ・アミエーラ”、ゲーム“ゴッドイーター”の実質的なヒロインである。 チェック柄の赤いハンチング帽、同じくチェック柄の赤いミニスカート、タイツにロングブーツ、そして異常な程に丈の短い下乳丸見えなベスト、というのが彼女の公式(無印)衣装だ。 多感で下半身が猿な青少年達がプレイするゲームのキャラとは到底思えないエロチックな服装だが、他にも裸エプロンとしか言いようの無い服を着たキャラも居たりするので、ゴッドイーターの世界では割と普通なのだろう。 そのアリサのクローンである彼女もオリジナルと同じ衣装を着用している。 男性のクローン牝畜ながら露出過多なメイド服ではない理由は、単純にエロいからだ。 乳牛化の開発と妊娠の影響で胸がオリジナル以上に膨らんだ結果、ベストからは下乳はおろか乳首すらも丸見えになってしまっている。 辛うじて乳輪の端をベストが僅かに隠しているだけで、服としてはまるで機能していない。 しかも妊娠しているため、スカートとタイツがズリ下がって臨月腹が丸出しである。 痴女を超えた何か、としか言いようがない。 オリジナルはギリギリ公然わいせつ罪を回避していたが、こっちは完全にアウトだ。 少なくともセシリア達が着ているメイド服の方が、申し訳程度ではあるが、胸も尻も隠せているだけまだマシである。 そんな姿で往来の道を歩いても逮捕はおろか、職質すらされないのだから“牧場”というのは懐が深い。 業が深いとも言う。 新任先の工場で搾乳中のクローンアリサ達を見かけた男性は、その容姿を気に入り即申請して受領した。 連れ帰って帰宅した後目茶苦茶セックスした。 次の日にシグナムを見かけて即申請した。 もちろんその後目茶苦茶セックスした。 「……それで、今日の予定はどうなっている」 「はい。午前9時に乳製品工場第72支部に出社、午前12時に通信会議室で――」 脇に抱えた書類を持ち上げ、アリサは朗々と今日の予定を挙げていく。 現在、アリサは男性の秘書係を任命されている。 役員となり、工場長も兼任していることで多忙となった男性の予定の整理が主な仕事だ。 清涼な声で淡々と言葉を紡いでいくアリサは“出来る秘書”を思わせる。 ……が、その公然わいせつ罪不可避な容姿が全てを台無しにしている。
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205 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:16:21.64 ID:+vn9n0M6 - 「――帰宅は午後9時30分の予定となっております」
主な予定の報告を締め括ると、次にアリサは書類の束から1枚を取り出す。 「今朝届きました会議の新しい議案です」という言葉と共に差し出されたそれを受けとった男性は、中身に目を通すと同時に眉を顰めた。 そこに書かれている内容は、簡単に言えば、男性への批判文であった。 具体的に「誰が」とまで書かれてはいないが、この議案が会議に掛けられれば事が男性に及ぶのは確実である。 以前、陥落し壊滅した“第178牧場(飼い慣らすスレ第15牧場>>360)”についての問題が、そこには書かれていた。 たった数人、それも平凡な少年と怪盗の一味によって壊滅させられたその“牧場”は、一時期他の“牧場”の各情報媒体を賑わせた。 オーナーは逮捕、“牧場”はその世界から消滅。「主人公補正を甘く見た報い」と、多数のメディアが報じた。 “牧場”は再開発を検討しているが、現地の警戒の色からして情勢は芳しくなく、断念されるのは時間の問題である。 乳製品工場も少なくない被害をこの事件で被ることとなった。 乳製品は“第178牧場”に支社を置く予定を立てており、実際に支社の建設が行われていた。 資材の搬入も終わり、スタッフも動員済み、後はクローン牝畜の生産を待つだけ……という時に、あの事件が起きて“牧場”は壊滅した。 起業というのは初期投資に1番金が掛かるものだ。 そして1円も回収出来ないまま全てが海の藻屑へと消えてしまった。 要は、高い金を掛けて作って、そのままブッ壊しただけになってしまったのだ。 “第178牧場”の壊滅は、オーナーの過失から来る言わば事故である。 “牧場”全体の失態といっていいはずの事態であり、責任の所在は、言うまでも無くそのオーナーだ。 事が“牧場”のたかだか一施設である乳製品工場の一職員、それも男性個人にまで及ぶことは無いはずであった。 しかし男性も、一応ではあるが、その乳製品工場の損失の責任があった。 定期的に開かれる乳製品工場役員会議、そこで男性は以前に支社の建設予定地に“第178牧場”を挙げていたのだ。 といっても、複数の予定地の候補を同時に挙げており、“第178牧場”に関しても立地に関する問題点を指摘した上でだ。 強いて言えば、他に誰も“第178牧場”を候補に挙げていなかったくらいだ。 これだけならば、男性の責任はとても軽いものだと言えるだろう。いや、無いとすら言っていい。 指摘された通り、立地も条件も悪いのだ。 ましてや役員といっても新米のペーペーが言ったことだ。 採用される見込みはまずなかったはずだった。 そこに飛び付いたのが、乳製品工場の役員の中でも古参の1人である1人の役員だ。 彼は一言で言ってしまえば無能だった。 能力は低く、運とコネ、そして偶然によって役員に成り上がれただけの人間であった。 古参役員である彼は焦っていた。 無能である彼は、役員会議に出席してもまるで役に立たない。 ただ役員の椅子を温めているだけの存在だ。 後入りの別の役員に代表になられたことすらある。 しかし権力に対する欲だけは人一倍にあった。 「何か功績を立てなければ」という焦燥に駆られていたのだ。 無能であり、無能を自覚している彼にとって出来ることは限られていた。 その限られたことの中で出来ることが、他人の功績の横取りである。 近年稀に見る勤勉な態度と優秀さによって、最年少で役員入りを果たした男性は、彼にとって格好の獲物であった。 そして男性がただ1人挙げた、“第178牧場”支社建設候補に飛び付いた。 古参役員は「優秀な人間が出したものなのだから間違いない」と内心ほくそ笑み、さも自分が思い付いたかの様な勢いで男性の案を採用したのだ。 男性が「流石にこれは無いな」と思っていたとも知らずに。
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206 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:17:37.58 ID:+vn9n0M6 - 会議は古参の発言力を持って強引に可決し、“第178牧場”に支社の建設が始まった。
古参役員は率先して建設の指揮を取った。 当然、邪魔者の男性は置いてけぼりである。 なにもかもが強引に進んでいき、そして“第178牧場”での事件が起き、全てがご破算。 具体的な損失額が明らかになると古参役員は熱い手の平返しを見せ、全ての責任を男性に押し付けたのである。 今回の会議の議案も古参役員が提出したもので、言ってしまえば「俺は悪くねぇ! 悪いのはコイツだ!」という言い訳の為の舞台でしかない。 古参役員の口ぶりは責任転嫁も甚だしく、客観的に見ても大勢は男性に傾いている。 そして事故だとしても損失額が明らかになっている以上、誰かが責任を取らなくてはならない。 男性は既に形式上ではあるが謝罪を済ませている。 このまま行けば、自分の否を認めない古参役員に9割の責任が及ぶことになり、失脚は免れないだろう。 男性は、会議の議案の書類に一通り目を通すと、セシリアとアリサを伴ってリビングを後にする。 出勤の時刻にはまだまだ時間はあるが防衛策を講じる時間が欲しい。 意地汚い悪あがきに付き合ってなどいられないが、古参役員も役員なだけあって人脈もカネもある。 無能なぶん、最後の最後で何をされるか分からない。 これから男性が身を置くことになる役員の社会では、功績を上げることのみが出世に繋がる道とは限らない。 椅子は限られている。 出世のために他者を蹴落とすことも、そしてそれから身を守ることも、考えていかなければならない。 今回は小物で、チュートリアルに出て来るザコ敵のようなものであった。 しかし次からは、こうはならないだろう。 周りはすべからく敵なのだ。 一時は手を組むこともあるだろうが、真に信頼しあうことなど出来はしない。 様々な思案を巡らせながら、男性はセシリアに手伝わせてスーツに着替える。 そしてアリサを連れて車に乗り込むと、自身が工場長を勤める乳製品工場支社へと赴くのであった。 かくしてこの家の主人である男性が居なくなり、残されたのはクローン牝畜達だけとなった。 彼女達は主人が居ない間も、その脳にインストールされた“メイド”の記憶と設定に従い、命じられた仕事を淡々と行っている。 “メイド”の記憶には、「主人に命令されるのを至上の喜びとし、自身の身命の全てを捧げることが幸福である」とするようにプログラムされている。 平たく言えば、どんな変態プレイでも“メイド”は平然と受け入れてくれるのだ。 更に安全装置として、 第1条。“メイド”は人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。 第2条。“メイド”は人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない。 第三条。“メイド”は、前掲第1条および第2条に反する恐れのないかぎり、自己を守らなければならない。 というロボット工学3原則の応用が用いられている。 これは、“メイド”の所有者、そして“メイド”自身に対する安全装置である。 要は、人殺しを命令することは出来ないし、したとしても“メイド”側は拒否することが出来る。ということだ。 乳製品工場がクローン牝畜を社員に給与する理由は、仕事の成果に対する褒賞という面もあるが、主に生活の利便性の向上にある。 炊事や洗濯といった家事全般をクローン牝畜に任せて後顧の憂いを断ち、仕事に集中して打ち込めるようにするのが目的だ。 役職が上がることでクローン牝畜の保有数を増やすのも、仕事の意欲の向上が狙いである。 なにせ“牧場”によって世界は、それこそ無限に開拓されていっている。需要は増す一方であり、健全な企業として利益を求めるのは当然のことであり、人手はいくらあっても足りないのだ。
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209 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:30:34.53 ID:+vn9n0M6 - 男性の家の車庫から、男性とアリサが乗った車が出てくる。
朝日を照り返す黒塗りのそれは、高級車の代名詞として名高いベンツだ。 男性は車になど興味の無い性分なのだが、役員という重役の立場上、無駄だとしても見栄を張らざるを得ない。 車の運転席でハンドルを握っているのは秘書係のアリサだ。男性は後部座席でゆったりと目を閉じて考え事をしている。 乳首と妊娠腹を丸出しにした変態露出狂のコスプレ妊婦が、車を運転していいのかは甚だ疑問である。 主に安全面という点で。 「……いってらっしゃいませ、ご主人様」 車庫の外で待機していたセシリアは、車に一歩近寄ると、深々と頭を下げて男性に見送りの言葉を掛ける。 男性からは特に反応は無く、しかし、ちらりと見上げた先のアリサとは一瞬だけ目が合う。 そしてその時のアリサの顎は、微かにではあるが、頷いたようにも見えたかも知れない。 車はアリサが踏み込んだアクセルによって発進し、朝の閑散とした町並みの中へと消えていく。 たまに女の嬌声がそこらから聞こえたりするのはご愛嬌だ。 その場に1人残されたセシリアは、男性の車で見えなくなるまで律儀に見送ると、主人が不在となった家に向かって踵を返す。 僅かにある階段を上がって玄関から家の中へと戻り、後ろ手に扉を閉める。 「ふぅー……」 ガチャン、と扉が閉まる音が聞こえた途端、溜まっていた息が自然と口を突いて出る。 そこでセシリアは自分の呼吸がやや乱れていることに気が付く。隣にある姿見の鏡を見れば、顔は青ざめていた。 自身の体調の低下を確認したセシリアは壁に背を預け、大きな自分のお腹を両手で抱えて深呼吸を行う。 セシリアは妊娠して臨月へと至った妊婦である。 細身で可憐な少女の身体には不釣り合いなほどに、そのお腹は丸く膨らんでいる。 臨月の妊婦のお腹というのは見た目以上に重いもので、また、身体から大きく張り出していることもあってバランスも悪い。 そして中に詰まっているのは脂肪などではなく、出産を間近に控えた胎児だ。 胎児の成長に栄養と血液は取られ、動くにも必要以上に体力を使ってしまうため、妊婦というのはとても疲れやすい存在である。 セシリアも最近では、階段の上り下りだけでなく、ただ歩くだけでも疲労を感じてしまうほどだ。 しかし、男性のゲスな性癖もあって、妊娠している状態というのが彼女の普通となっている。 出産しても直ぐに孕まされ、この妊娠で3度目だ。 怪我の功名……と言うには語弊があるが、妊娠の苦労など既に慣れてしまっている。 加えて、このセシリアは乳製品工場製のクローンだ。 寿命を圧縮して製造された影響で、身体は常人より何倍も頑丈に出来ている。 平たく言えば、妊娠しても体力の最大値が減るだけで、回復するスピードは段違いなのだ。 それらを体言するかのように、セシリアは深呼吸を数回しただけで体調が元に戻ったことを確認し、リビングに向かって歩き出す。 顔は血色を取り戻し、足取りも平然としている。 代わりにノーブラの胸とボテ腹がだっぷんだっぷんと揺れてたまに歩幅がおかしくなるが……これは日常的なことなので特筆するまでもない。 男性の家の中は、新築の庭付き一戸建てという立派な外観に反して、驚くほど簡素である。 観葉植物や絵画など、目の保養となるものは一切置かれておらず、凝った装飾をしているものと言えば時計くらいなものだ。 無駄を嫌い効率を重視する男性の人間性を、そのまま反映したかのような様相を呈していた。 実際、廊下を歩くセシリアの目に映っているのは、息が詰まりそうな白い壁と冗長な廊下だけだ。 無駄に掃除が行き届いているだけに、それはまるでモデルハウスを彷彿とさせる。
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210 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:31:18.34 ID:+vn9n0M6 - いや、モデルハウスの方が生活感を演出している分まだマシかもしれない。
……まぁ、家単体で見れば確かにそうなのだが、ここは男性の家である。 家を華やかせる要素は、男性が所持するクローン牝畜達が十分過ぎるほどに補っている。 何しろ彼女達クローン牝畜は美少女なのだ。美少女が部屋に1人居るだけで、目の保養には十分事足りる。 セシリアの主観では何も無い廊下でも、客観的に見れば“セシリアの居る廊下”だ。 乳製品工場の役員ともなれば、クローン牝畜の所有数は10頭を越える。 それだけの数の美少女が家に居れば、観葉植物も絵画も必要無いだろう。 男性の家では現在、アリサを除いて12頭のクローン牝畜が在宅している。 そして彼女達は全員、露出の激しいミニスカメイド服を身に纏い、妊娠して大なり小なりお腹を膨らませた妊婦である。 クソゲスな趣味此処に極まれり、だ。 しかし、 “趣味の物に囲まれた生活” という綺麗な一文で纏めれば、まぁ……男性が家の装飾品に頓着しないのも、理解出来なくはないだろう。 男性にとって彼女達クローン牝畜とは、奴隷であり、生活道具であり、肉便器であり、それと同時に家の調度品なのだ。 リビングの前に着いたセシリアは、部屋を隔てる扉にその細い指でコンコンと2回ノックをする。 中からの返事は無い。 当たり前だ。返事を返すはずの人間は、今この家に居ない。 しかし何故か、扉の磨りガラス越しからは電源の点いたテレビが窺えた。 セシリアはそれを確認にしてから、ドアノブに手を掛けて扉を開ける。 扉を開けてリビングの中に入ったセシリアの目に映るのは、やはり電源の点いたテレビだ。 部屋の目立つ場所に置かれた大型液晶テレビは光を映し出し、控え目な音声を左右のスピーカーから流していた。 そしてテレビ画面が映しているのはお堅いニュース番組などではない。ましてや、肌色が終始映り続ける“牧場”の18禁番組でもない。 至って健全で、色鮮やかな色彩で動くそれはアニメである。 アニメの内容はインフィニット・ストラトス。 セシリアにとっては皮肉なことに、彼女のクローン元、オリジナルであるセシリア・オルコットが登場する作品であった。 「――戻りましたか、セシリア。お疲れ様です」 その場に立って呆然とテレビを眺めていたセシリアだが、ふと、隣から声が掛かる。 振り向いた先に居たのは、セシリアと同じくクローン牝畜の火織だ。 隣のキッチンから出て来た火織は両手に銀盆を抱えており、その上には4人分のコーヒーが載せられていた。 コーヒーは熱い湯気を立てて香ばしい匂い漂わせ、その匂いを嗅いだセシリアは思わず鼻を鳴らしてしまう。 サッと鼻を隠すセシリアの様子を見た火織は、銀盆を胸元まで掲げて見せ、 「今、コーヒーを入れたところです。休憩にしましょう」 と言って、ニッコリと――笑みを浮かべる。
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211 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:32:21.45 ID:+vn9n0M6 - そこに居る火織は、クローン牝畜である。
子供が詰まった臨月のボテ腹、乳牛化の開発と子供の妊娠によってオリジナルより二周りは大きくなった巨乳、身に纏う過剰な露出のミニスカメイド服。 男性のゲスな趣味をこれでもかと体言した格好は、彼女が、見紛うことのないほどに男性の所有物……クローン牝畜だと証明している。 乳製品工場で製造され、パッケージ化された偽物の記憶を植え付けられ、孕まされた人造人間だ。 しかし、その笑顔はあまりにも自然で、ぎこちなさなどは微塵も無く、美少女が故にただただ美しくあった。 それは今この場に男性が居れば、「有り得ない」と驚愕するほどだ。 だからこそ、これから起こっていくことは、男性を驚愕の連続に陥らせることだろう。 コーヒーを見せ付けられたセシリアはやや身をのけ反らせた後、無表情だった顔を解して火織を見遣る。 「……気が早いですわね。ご主人様が出掛けて間もないというのに」 「いえ、“聞いて”いましたから、大丈夫ですよ」 セシリアの言葉に火織は落ち着いた口調でそう返すと、セシリアと連れたってテレビに向かって歩きはじめる。 原作“とある魔術の禁書目録”に登場する神裂火織は、“聖人”という、高い身体能力と五感を持った超人である。 聖人の力は強大過ぎるために制御は極めて困難であり、力の一端ですら掌握しきれないと言われている。 仮に100%の力を解放した場合、肉体に掛かる高負荷によって身体は粉々に吹き飛んでしまう可能性があるほどだ。 そんな神裂火織の寸分違わぬクローンとして造られたこの火織も、聖人の力を宿している。 火織は常人を超越した聴覚を使って、家の中に居ながらにして男性の車の音を聞き分けたのだ。 リビングのテレビ前には4人掛けのゆったりとしたソファが2脚、間にローテーブルを挟む形で置かれている。 そして片側のソファには既に2頭のクローン牝畜が座ってボテ腹を並べていた。 珠姫とシグナムである。 珠姫とシグナムの服装は、セシリア達と同じく露出過多のミニスカメイド服であるが、珠姫は前を開いて胸と妊娠腹を晒し、シグナムは依然として上半身裸のままだ。 そして2頭の両胸には機械式の搾乳機がセットされており、乳首から母乳が搾り出されている。 珠姫の乳首からはピューピューと、シグナムの乳首からはビュルッビュルッ! と、母乳が噴き出しているのが搾乳機のガラス筒部分から見える。 床に置かれたそれぞれの容器には既にかなりの量の母乳が溜まっていた。 「お疲れ様です。セシリアさん」 「今ちょうどオープニングが終わったところです」 テレビの画面を食い入るように見ていた2頭は振り向くと、戻ってきたセシリアの労を労う。 その2頭の顔はやや赤い。 搾乳機の吸引に合わせて息遣いが乱れるのを見るに、母乳を搾り出される感覚に悶えているのだろう。 だが、やはり2頭の顔に浮かんでいるのは、クローン牝畜ならぬ自然な微笑だ。 「それは助かりましたわ。今日はもう見れないかと思ってましたから」 「コーヒーを入れてきました」 定期的な搾乳を義務付けられた彼女達クローン牝畜にとって、珠姫とシグナムの恥態など見慣れたものだ。 見慣れたことに対して特に何か言うこともない。 そのままセシリアは火織を手伝ってローテーブルに降ろした銀盆からコーヒーを分配していく。 「ありがとうございます。あ、セシリアさんと火織さんの分の搾乳機も用意しているので、どうぞ」 コーヒーを受け取った珠姫は、自分の搾乳機が外れないように注意しながら脇に置いておいた搾乳機を掴み上げる。 それをセシリアは「助かりますわ」と言って受け取ると、珠姫達とは反対側のソファに腰掛けた。
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- 二次元キャラを牧場で飼い慣らす妄想スレ 第16牧場
212 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:35:23.04 ID:+vn9n0M6 - セシリアの隣に火織も座り、これで2脚のソファに2頭ずつボテ腹美少女妊婦が並んだことになる。
ちなみに夜には8頭のクローン牝畜が男性によって集められ、メイド服の前を開いて胸とボテ腹を晒した状態で両側のソファに座らされる。 それを眺めるのが男性のゲスな趣味の一環なのだ。 自分の種で孕んだ美少女がボテ腹を並べる光景は、さぞかし背徳的なものだろう。 さらにそこから今夜犯すクローン牝畜を選ぶのが男性の夜の日課である。 「朝から搾ってませんでしたから、もう痛いくらいに胸が張ってますわ」 安堵の色を滲ませた声色でセシリアがそう言うと、火織も同感なのか「私もです……」と続くように呟く。 見ればセシリアと火織のメイド服の胸元、乳首に当たる部分が濡れて染みを作っている。 男性の命令でクローン牝畜達は全員ノーブラなため、母乳が溜まっていると動くだけで布に乳首が擦れて漏れ出てしまうのだ。 2頭揃ってメイド服のボタンを外していくと、暴れるように乳房が飛び出す。 メイド服がクローン牝畜それぞれに合わせてタイトに作られていることもあるのだろう、ばるんっ! という擬音が付きそうなほどだ。 「ふぅ〜……」 全てのボタンを外して前を開き、ボテ腹までも晒し出した半脱ぎ姿となったセシリアが大きく息を吐く。 セシリア達が着ているメイド服は妊婦用であり、お腹周りに余裕を持たせた作りになっているのだが、身体のラインが出るようにタイトに作られてもいる。 そのために実用性が犠牲になっていて、ただ着ているだけで窮屈さを感じてしまうのだ。 簡単に言えばぱっつんぱっつんな状態である。 それは座っている時が1番顕著で、楽になるには今のセシリアのようにボタンを全て外して前を開くしかない。 張ったお腹を撫でながらセシリアが隣を見てみれば、火織もやはり同じ格好になってボテ腹を晒していた。 そして視線はそのまま彼女の胸に吸い込まれる。 「……やっぱり、大きいですわね」 「?」 思わず呟きが漏れてしまう。 それほどまでに火織の胸は圧倒的だった。 セシリアも火織も――というか彼女達クローン牝畜は全員、乳牛化と妊娠によってオリジナルを上回るバストサイズを誇っている。 しかし、中でも元から巨乳だったメンツは別格で、火織はその中でも更に別格だ。 火織の胸にたわわに実ったそれは、並んだセシリアが相手にならないほどに大きい。 そして大きいだけでなく、形も整っていて支えが無くても垂れることもない、トップとアンダーの高低差が最も大きい釣鐘型だ。 俗に言うロケットおっぱいという奴である。 まぁ漫画アニメのヒロインの胸というのは整っているのが当たり前なわけで、セシリアのも充分以上に美しいし大きいのだが、それでも火織は別格だ。 見るものが息を呑む圧倒的な重量感を備えながら、重力を無視するかのように突き出した奇跡の一品。 大きさでならシグナムも負けていないし、釣鐘型の胸なら同じくアリサが居る。 だが両方を備えた胸を持つクローン牝畜は、セシリアが知る限りでは火織だけだ。 重ねて言うが、火織が別格なだけであり、セシリアもシグナムもアリサも充分以上に美しいし大きい。 どの胸も健全な男子が見れば勃起は免れず、イケナイ妄想に囚われてしまうだろう。 珠姫だけが唯一、Aカップから成長してCカップという慎ましい胸の持ち主である。 現実的に考えればCカップでも充分なのだが、周りが巨乳過ぎてもはやヤムチャだ。
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214 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:45:51.19 ID:+vn9n0M6 - 「そろそろCMが終わってしまいますわね。急ぎませんと」
セシリアの呟きに首を傾げた火織だが、それはさて置き、2頭は揃って搾乳機をセットし始める。 アニメ本編が始まるまで時間もそう無い。 前準備に、ぷっくりと乳輪を膨らませて半勃ちになった乳首を、自分でしごいてビンビンに勃起させる。 「ん……ッ!」 その際に火織が僅かに声を漏らし、ピュッ! と乳首から僅かに射乳する。 飛んだ母乳は僅かだが勢いがあったために対面に座っていた珠姫の頬に当たってしまう。 「あ、すいません。珠姫」 「気にしないでください。早くしないとアニメ始まってしまいますよ」 テレビから顔を逸らさず、頬に付いた母乳を指で掬って舐め取ると、目線だけを向けて珠姫が促す。 しかし、そう言っている間にアニメの本編、インフィニット・ストラトス2期が始まってしまう。 セシリアと火織は慌てて搾乳機のコントローラーのスイッチを押す。 ギュイッ! という作動音が鳴り、吸引が開始されてブルブルと暴れる搾乳機を両胸に取り付けると、力強い吸い込みで乳首が乳輪ごと飲み込まれる。 搾乳機の中では乳首が吸引によってギリギリと引っ張られ、乳頭から母乳が僅かに滲み出す。 2頭はそのまま搾乳機の吸引のパワーレバー、5段階あるそれを一気に最大にまでする。 途端に作動音が止み、次の瞬間、 「んぁっんッ……!」 「んんッ!」 ビュルルッ!! ビュルルッ!! と、下品な音を立てて乳首から大量の母乳が噴き出す。 「張っていた」と言うだけのことはあるのか、溢れ出した母乳によって搾乳機の中が真っ白に染まる。 繋がったチューブは続々と母乳を運び出し、その先にある容器へと溜められていく。 搾乳の刺激に、艶を帯びた喘ぎ声を漏らした2頭の息はやや粗い。しかし幾度か深呼吸をすることでそれも落ち着きを見せる。 頬に朱が差し、時折ピクンと身体が跳ねるが、それでも顔は平然としたものだ。 彼女達にとって搾乳機での搾乳は日常的なもので、既に慣れているのだ。 手搾りほどの快感も発生しないために既に作業でしかない。 ようやく搾乳することが出来たセシリアと火織はテレビに顔を向けると、隣の2頭に倣って静かにアニメを視聴し始める。 アニメの音だけが響く広いリビングの中、破廉恥なメイド服を着た美少女妊婦がソファに4人、服の前を開いて胸と妊娠腹を露出して機械で搾乳中。 そして静かにコーヒーを飲みながらアニメを観る光景は、端から見て異常である。 何が異常かというと、異常なことがありすぎてどう言葉にしていいかわからないほどだ。 格好こそ異常極まってはいるが、クローン牝畜4頭がアニメを観る姿勢は真面目である。 彼女達は終始無言で、テレビを見詰める眼差しは真剣そのものだ。 テレビ画面の中では、主人公の織斑一夏がいつものハーレムを突発性難聴や言葉の意味の曲解でいつも通りやり過ごし、特定のヒロインに好意を定めないいつも通りの展開を繰り広げられている。 ハーレムアニメの典型的なテンプレ展開ではあるが、それでも彼女達のアニメを観る姿勢は変わらない。
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215 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:46:45.63 ID:+vn9n0M6 - 搾乳の刺激で子宮が収縮して子供が暴れるのをお腹を撫でて静め、コーヒーをちびちびと飲みながらも、視線はアニメに釘付けだ。
「……」 中でもセシリアは一際集中しており、一挙手一投足を見逃さないように無意識に瞬きの回数が減っているほどである。 その理由はやはり自分のクローン元のオリジナル、本物のセシリア・オルコットが出ているからだろう。 このセシリアは、“セシリア・オルコット”を知らない。 それこそどういう性格なのかも、どういう過去があったもかも、どういうISに乗っていたいたのかも、何もかも知らない。 彼女が知っているのは、自分が誰かのクローンである。ということだけだ。 本物のセシリア・オルコットの知識など皆無で、その体細胞クローンであるこのセシリアの頭の中にある記憶は、“メイド”と呼称される作り物の記憶なのだ。 乳製品工場が作り出した“メイド”という記憶のパッケージには、ご主人様に奉仕するために必要な基本的な知識しか入っていない。 その理由は、 「個々人の好みや性癖に幅広く対応するため」 だと表向きには説明されているが、実際の理由は制作コストの抑えるためである。 “メイド”の記憶をインストールする対象は、社員に給与するクローン牝畜のみ。 給与されるクローン牝畜は、仕事に対する報償でしかなく、社員の意識向上に役立つものの実益は出ない代物だ。 “牧場”の一施設であると同時に、企業としての側面を持つ乳製品工場にとって、利益の出ない仕事にそう多くの金は出ない。 低予算という事情を背景にコストを抑えて制作されたクローン牝畜用の記憶、それが“メイド”だ。 その記憶の中身は、必要最低限の知識と作法と礼儀、そして無駄に豊富な性知識のみで構成されている。 オリジナルに対する知識など皆無だ。 そしてそんな手抜き感溢れた記憶を実際にクローン牝畜にインストールしてみた結果――……割と問題無く動作した。 現場からのクレームも特に無く、不満を挙げるとするなら、 「まるで人形のようだ」 ということぐらいだ。 命令には完璧に従い文句1つ言わず粛々と実行するのだが、その反応がどうにも単調なのだ。 無表情でただただ付き従う姿は機械染みて不気味に過ぎるが、まぁ美少女なので差し引きすればプラスに傾いて、不満という形で留まっている。 実際、“メイド”の記憶をインストールされたクローン牝畜の思考形態は機械そのものだ。 低予算で制作された影響なのか、情緒と呼べるものはまるで見受けられず、予め設定された行動か、現場で教育された行動しか取らない。 簡単に言えば、思いやりというものが無いのだ。 「人形のようだ」と評価されたが、それもあながち間違いではない。 しかし、彼女達クローン牝畜は人だ。 1頭ではなく、1人の人間だ。 例えコンピューターでプログラムされた記憶であっても、それを動かしているのは機械ではなく生体の脳である。 そんな彼女達はある日、ふとした拍子に“目覚める”のだ。 “メイド”の受動的な思考から解放されて、“人間”の能動的な思考に切り替わる。 このセシリアもある時に“目覚めた”。 それは、包丁で指を僅かに切ってしまう、という些細なものであった。 だが、その瞬間に、頭の中の靄が晴れたかのような開放感と共にセシリアは“目覚めた”。 身の内に湧き出すのは興味であり、足りない知識を補うために色々なことを自分からやりだすようになったのだ。
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216 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:47:34.08 ID:+vn9n0M6 - そして“目覚めた”なはセシリアだけでなく、彼女の周りにいる3人もだ。
火織、珠姫、シグナムも、タイミングは違えど全員“目覚めた”からこのリビングに居る。 “メイド”のままの思考なら、命令された作業をこなし、それが終わったら待機場所で待機するのが普通だ。 だが、“目覚めた”彼女達は作業の合間に休憩を挟み、談笑を交わし、コーヒーをちょろまかして飲むことまで覚えた。 強化された彼女達の五感と同じ“メイド”の記憶持つが故の連帯感、家計や買い出しの一切を任されているのを知っているから出来る所業である。 目覚めていない“メイド”の思考のままのクローン牝畜達は、現在地下の待機部屋で、無表情無言のまま搾乳をしながら待機している。 目覚めていない彼女達は、“目覚めた”彼女達を見たとしても何とも思わないだろう。 そしてそれを男性に対して言うこともない。 なぜなら、「告げ口」など“メイド”の記憶には無いからだ。 “目覚めた”セシリアは、ある日インフィニット・ストラトスを知り、自分が“セシリア・オルコット”のクローンだと知り、アニメを欠かすことなく観て“セシリア・オルコット”を勉強した。 その過程で口調が変化して、オリジナルと同じ口調に変化した。 セシリアは“セシリア・オルコット”のことをもっと知りたい。もっと自分のことを知りたい。 だから人一倍真剣にアニメを、インフィニット・ストラトスを観ているのだ。 30分後。 エンディングソングと次回予告が終わる。 それに合わせてちびちびと飲んでいたコーヒーを一気に飲み干したセシリアの顔は、酷く神妙なものであった。 「……今日もあまり活躍しませんでしたわね、わたくし……」 セシリアが漏らした感想に、周りは誰も答えなかった。皆同じことを思っていたからだ。 1期から欠かさず観てきたセシリアだが、思い返してみれば1期の最初の数話が1番輝いていたように思える。 次の話では、次の話では、と期待するたびに新しいヒロインが増え、次第に自分(セシリア)の出番が減っていく。 「何かがおかしいですわ……」 眉間にシワを寄せて黙考するが答えは出ない。 自負なのか自意識過剰なのか、それとも根底にあるかも知れないオリジナルの性質なのか、セシリアはこのアニメのヒロインが自分だと信じて疑わなかった。 数少ないアニメ視聴経験ではあるが、それでも滑り出しは悪くなかったはずだ。 主人公“織斑一夏”に決闘を挑んで、負ける。そして惚れてしまう。それはいい。そこまではいい。王道とさえ言えるだろう。 そしてそこから黒髪ポニーテールのヒロイン“篠ノ之箒”と主人公を取り合うのが普通の展開なのではないのだろか。 けれど、何故か新しく出て来たポッと出のツインテールの新ヒロインにやられ、更にまた新しく出て来たポッと出の銀髪ヒロインにツインテールと2人がかりなのに速攻で負け……連戦連敗で勝った試しが無い。 これではまるで、 「――これではまるで、噛ませ犬の、サブヒロインではありませんか……!」 周りは、誰も答えなかった。 火織が搾乳機を外してすっくと立ち上がる。 母乳が入った容器を持ち上げて見れば、中には並々と、2リットルほどの母乳が溜まっていた。 セシリアが火織に顔を向ける。 「あの、火織さん……」 「さて、休憩と朝の搾乳も終わりましたし、私は夕食の仕込みをしてきます」 「た、珠姫さん……」 「私も庭の掃除をしてきます」 「シグナム……さん?」 「……皆さんの分の搾乳機とミルクタンクをお預かります」
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217 : ◆PoULZ.V7G1kK [sage]:2014/04/28(月) 07:48:16.44 ID:+vn9n0M6 - 首を忙しなく動かして周りを見遣るが、誰もセシリアと目を合わせてくれない。
誰もがセシリアと同じ結論に至っていたからだ。誰もがセシリアに最後の止めを差したくなかったからだ。 動揺したままのセシリアだが、それでも搾乳機を外してシグナムに預ける。 休憩は終わった。自分も部屋の掃除をして回らなければならない。 掃除の手始めとして、セシリアは今居るリビングの掃除を行う。 なぜだか足が震えて上手く立てないため、膝立ちになってローテーブルをフキンで拭いたり、細かいゴミを拾ったりする。 「来週こそは……来週こそは……」 念仏のように自分でもよく分からない言葉を呟き続けるセシリア。 いや、既に疑問の答えは出ている。しかし、それを理解して納得することを脳が拒んでいる。 だからこそ一発逆転を賭けて、来週の続きに期待を傾けているのだ。 そうして心身不安定なまま掃除をしている最中、ふと――お腹に軽い衝撃 が走る。 「あ……」 ペタンと床に尻餅を突いてお腹に手を当てる。 お腹の中で何かが動いた感覚。セシリアと臍の緒で繋がった胎児が蹴ったのだ。 それは彼女の不安を感じ取った胎児が、母親を気遣ってやったものなのかもしれない。 セシリアはお腹に当てた手を柔らかく動かして中の胎児を落ち着かせる。 その顔は慈愛に満ちた母親の表情―― 「邪魔ですから、じっとしていてくださいまし」 ではなく、迷惑の混じった困惑顔であった。 セシリアは出産を2回も経験して、今も妊娠中の経産婦である。 それだけ出産を重ねておきながら、セシリアは子供達に対する愛情を持っていない。 その理由……いや、原因は、セシリアが子供というものを知らないからだ。 子供が自分のお腹の中に居て、日々大きくなって、産まれてくることは経験で知っている。 だが産まれた子供はその場ですぐに“何処か”に運ばれ、その後一切目に映ることはないのだ。 “メイド”の記憶にも子供の詳細は無く、産まれた我が子を抱く機会すらないために、彼女に愛情が芽生えることはない。 しかし人間の神秘なのか、女性の生理なのか、不思議なことに母性は湧き出す。 湧き出した母性はセシリアの情緒を揺り動かすが、その時には我が子は居ない。 向けるべき目標を見失いながらも母性は拠り所を求め、母性という感情を知らないセシリアは困惑してしまう。 そして無意識の内に自分の飼い主である男性に母性を間違って向けてしまうのだ。 それは、“目覚めた”クローン牝畜達全てが経験していることであった。 皮肉なことだろう。 彼女達を奴隷として扱う男性に対して、彼女達は母性という愛情を抱いているのだ。 母性も愛情も知らない彼女達はその無知によって、男性を無意識に愛しているからこそ裏切らない。 男性を愛しているから、男性の目の前では男性が求める“メイド”を演じ続けている。 非情なことだろう。 無知と、下衆な性癖と、異常な環境が折り重なっことで彼女達は男性を愛してしまった。 “目覚めて”もなお、彼女達は無意識に“牧場”と乳製品工場の悪意に縛られているのだ。
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