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王様×男装従者(1/3)
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王様×男装従者(3/3)
王様×男装従者(〆)
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章

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男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
503 :王様×男装従者(1/3)[sage]:2014/04/18(金) 07:34:43.10 ID:yT+GcIFo
王様→男装従者
・従者不在
・一部王様×モブ
3レス頂きます
以下投下



食事のたびにスープが熱すぎて舌を焼く、袖襟や手巾の洗い替えがすぐなくなる。
気に入りの馬がよく調子を崩すうえ、先日はあやうく落馬しかけた。これではおちおち早駆けにも出られない。
近頃、それまで気にも留めなかった瑣末事に手を取られることが増え、食欲は無くすし寝覚めも悪い。

原因は分かっている。
危うく落馬をしかけたのは強く引いた際に手綱が切れたから。手綱が切れたのは、手入れの脂を塗り込めるのを怠っていたから。
食事の汁物が熱くて舌を焼くのも、隠しに汚れた布しか入っていないのも、気に入りの馬が調子を崩ししばらく乗れないのも。
たまにならば気にも留めないが重なるとどうにも気に障る。

近頃たびたび起こるそれらの事態を招いたのは、どうやら全てあれの不在のためだ。
予は今まで手近にいたあれに欲望をぶつけることで溜まった鬱屈を晴らしていたと思っていたが、それだけではなかったらしい。
あれが予の身の回りに気を回し、様々を予の気に入るようにあらかじめ取りはからうことで、心身の負担は軽減されていたようだ。
それを自覚して心の据わりが悪い。これではまるで依存ではないか。己の弱さに腹が立つ。

――王たる者、軽々しく喜怒哀楽を露わにするものではない。
幼き頃より父王に仕込まれ、そうあるべく振る舞ってきたが、押さえるのも隠すのも一番の不得手は瞋恚。
一人笑いの癖は手で隠すことを覚えた。哀しみは受け流すことを学んだ。
だが怒りだけはまだもてあましてしまう。他者に対するものも、己に対するものも。
冷たいしこりとなった思いを持て余す、それすら予の未熟を突きつけてくる。


思うに任せぬ事々に酷く気分がささくれ立つので、気晴らしに街に出て女を買った。
かつて城下を遊び歩いた頃好んで抱いた、背が高く肉感的な女を選んで。
肩を、尻を、乳房を。つかんだ指が軟らかな肉に食い込む。くねる肢体を安っぽく派手な褥に押しつけ、胎を奥へ奥へと突き上げる。
恥肉は媚びるように蠢き、肉棒に熱く纏わり付く。突き込む先端が最奥に触れ、そのたび女は嬌声を上げた。
「あ、ああっ、深いっ、良い、良いのっ」
腹の底にわだかまる微かな違和感を払いたくて、深く押し込んだまま豊かな胸元を吸い上げる。
「んっ、いやぁ、動いてぇ……も、頭、おかしくなるぅ」
白くしなやかな腕が伸ばされて、肩に回された。足を絡め腰を揺らし、望むまま貪欲に快楽を求める女。
半ば開いた唇からこぼれるのは、引いた紅よりも赤く熟れた欲望。
「ねぇ、突いて……もっと来て、めちゃくちゃにしてっ」
甘い声でねだられて、脳裏を掠めるのは濃い栗色の髪。押さえられた声に、縋ろうとしない頑なな腕。

途端、頭にかかっていたもやがすっと晴れた。
熱を失った自身を引き抜きしどけない白い身体を引きはがすと、女は熱に浮かされた目をこちらに向けた。
「……気が削がれた。もう良い」
「いやぁ、んっ、こんな生殺しでぇ」
縋る手を振り払い、衣服を纏う。充分な金貨を枕元に置き部屋を出ると、扉の向こうからこちらを呪う言葉が聞こえた。
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
504 :王様×男装従者4(2/3)[sage]:2014/04/18(金) 07:36:52.01 ID:yT+GcIFo
娼館を出て夜の街を歩く。占領下の街は人影もまばらだが、混乱は収束しておりそぞろ歩きに不安もない。
外套の襟を立てても入り込む冷たい風が、冬が間近いことを伝えてくる。
今は晩秋。あれを失ったのは、まだ夏が終わろうかという時期だった。

あの日。夜明け前に敵の奇襲を受けた。哨戒網を抜け予想外の早さで駆けつけた敵の増援だった。
暗中での乱戦に予が指揮する隊まで壊走しかけた。何とか持ち直し押し返したものの、多くの兵卒を失った。

そして帰らぬ者のなかに、あれがいた。
あれが最後に目撃されたのは混戦のさなか、敵陣深くだった。遺体は出なかったが生還は絶望的だろう。
こうなることだけは避けたかった。だからあれが早く国へ帰るよう計らっていたというのに、予の決断が遅かったせいでこの様だ。
これでは予が死んだとき、あれの兄に会わせる顔がない。


兵舎と定めた建物に帰り着く。元はこの街の夜警の詰め所、質素で守りに堅い造りが少し気に入っている。
警備兵の報告を受けたのか、将軍が慌てて顔を出した。すぐ執務室に戻ろうとする予を引き留めてくる。
「陛下、どちらにお運びでしたか」
「黙れ。予の勝手だ」
「お食事はお済みですか」
「腹は空いておらぬ、先日もいちいち聞くなと言ったであろう」

適度に聞き流しながら追い払おうとする予にそれでも食い下がってくる。
「失礼を。……陛下、実は軍使が」
なるほど、と近従は応対に当たっているのだろう、予の帰営に際して出迎えが少なかったのはそのためか。
「何処からだ、敵か味方か」
「最大の敵国、東の皇帝からの密使です。陛下との謁見を求めております」

使者の用件は簡潔だった。
「これを国王陛下にお返しするように、と言いつかりました」
小箱で捧げ持たれ、今は予の手中にある冷たい石。涙滴型に整えられた翠玉、優美な細い金の鎖。

「……それは、誰からの命か」
「我らの皇帝から、直接」

この細工は間違いなく、幼き日に予があれに与えたもの。――それが彼の者の手にあったということは。
「持ち主は」
「取り返したくば探し出して見せよ、とお伝えするように、とのことです」
生きてはいる、ただし返す気はない、ということか。

「そなたの主は、予がただの雑兵一人にそのような酔狂をすると思っているのか。見くびられたものだな」
「私は主の言葉をお伝えするだけです」

手のひらの翠を握りしめる。その堅さに指先から駆け上がる何かが首裏を通り、頭皮が泡立つ感触がする。
胸に湧く感情そのままに、言葉が口をついて出た。
「探しはしない、とそなたの主に伝えよ」
「左様でございますか」
「探すまでもないのだ。……どうせ貴国は予のものになる、民ごと」

使者も臣下も皆息を呑んだ。凍り付いた広間の空気の中、予と周囲の温度差が心地よい。
「……確かに、主に伝えましょう」

手を振って、使者を下がらせる。謁見に列席した者達も下がらせ、人払いをした。
椅子に深く腰掛け、長い息をつく。ここしばらく腹に据わった感情が、こみ上げる熱で溶けていく。

あれが生きている。どのような状況かもどのような状態かも全くわかりはしないのに、その事実が予を滾らせる。

久々に腹の空く気をおぼえた。
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
505 :王様×男装従者(3/3)[sage]:2014/04/18(金) 07:38:35.51 ID:yT+GcIFo
翌朝、これからの行軍方針を伝えると、軍議の場は一瞬静まり、そして荒れた。

「今後も進軍を続けるなど……無理ですっ、補給線を担保しかねます」
「これから冬です、かの国の冬は我が国よりも厳しいものです、兵が持ちませんっ」

これは決して最善手ではない、それは誰に言われるまでもなくよく分かっている。
それでも予はあれを取り戻したい。
予の懐を荒らした者には相応の報いを与えねばならぬ、それは国も民も女も同じこと。
かの者には身の程を知らしめねばなるまい。

そこまで考えてふと苦笑がこぼれ、手で口元を隠した。
なんということだ。かつては軍議に私情を持ち込むなどあり得ないと思っていたのに。
今、私情で兵に苦難を強いようとする己に、危険を感じつつも止める気にならないとは。

くつくつと胸中で忍び笑う。すっかり弱くなってしまったものだと。
しかし予が弱くなったのは、あれを得てからか、失ってからか……。

そんな物思いを空咳で払い、場を沈める弁明に集中することにした。
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
506 :王様×男装従者(〆)[sage]:2014/04/18(金) 07:40:04.81 ID:yT+GcIFo
2レス目、タイトルに要らない数字が残ってしまいました。
失礼しました。


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