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名無しさん@ピンキー
一発芸を強要される女の子の小説

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一発芸を強要される女の子の小説
452 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:36:45.62 ID:xTLoS5zI
ナツメ編
「オスっ!オスっ!」

「く……っ、なんでこんなことに!?」

ナツメは、呼び出された格闘道場にて、大勢の空手王に囲まれ、何時間もの間苛まれていた。
空手王達にポケモン勝負を挑まれ、殆ど何もできずに破れたのだ。
ナツメは屈辱に身をよじっている。
エスパータイプの使い手であり、自身もエスパーであるナツメが敗北した理由、それは。

「シルフカンパニー特製の、悪粒子が見事に効いたな」

「これまで俺達を見くびり続けた罰だ!」

シルフカンパニーが、強力なエスパータイプのポケモンを沈静化・もしくは捕まえるために創り上げた悪粒子。
エスパータイプを完全無効化する悪タイプの結晶体、『あくのジュエル』からエネルギーを抽出し創り上げたのである。
これを、格闘道場に放出し巡らせることで、エスパー技を格闘道場に効かないようにしたのだった。

「ふはははは! 無力だなナツメ!」

「おかしな力が無ければこんなものか!」

「くっ!」

悔しすぎる。実力で戦えば負ける筈もない相手だった。
彼らの目的は、空手大王が旅に出て、道場がつぶれた復讐だった。
それはわかっていた。だからと言って、こんなことまでしてくるとは。
自らの力も、ポケモン達の力も封じられ、ナツメは歯を軋ませる。

「よーし、B状態にしろ」

「はーい」

空手王の一人がレバーを引き、ナツメの頭の上から、透明のケージがドスンと降り、まるで水槽に閉じ込められた魚のように、ナツメを閉じ込めた。
不意に、体が軽くなった。今なら、超能力が使えそうだ。
ためしに、落ちていたゴミを飛ばしてみた。できる。いける。
……だが、ケージに対して何も出来ない。なぜだ?
このケージは、中に悪粒子がない。だから、中では超能力が使える。
しかし壁面に悪粒子が吹き付けてあり、エスパー技の効果がないのだ。
つまり、この中では超能力が使えはするが、このケージに影響を与えたり、外に出ることはできないのだ。
当然、外にいる空手王達に攻撃することもできない。

「まるでサファリゾーンに閉じ込められた間抜けポケモンの……なんだっけ?」

「あ、ナツメじゃね? 間抜けポケモンナツメっているじゃん」

「ぐっ!」唇を噛んで空手王たちを睨むが、何の効果もない。

「くくく、ナツメ。自分の服を粉々に吹っ飛ばせ」

「えっ!?」
一発芸を強要される女の子の小説
453 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:37:59.64 ID:xTLoS5zI
そんなことをすれば、人前で全裸になってしまう。それも、少なからず格下に見ていた格闘ポケモンのダメ―トレーナーの前で。
格闘ポケモンや、その使い手を馬鹿にしている訳ではない。
同じジムリーダーのスモモやシジマ、コルニ、四天王のシバなどと言った素晴らしいトレーナーがいる。
だが、格闘道場の面々は、格闘技に偏った未熟者集団という認識しかなかった。
そんな駄目なトレーナー達、しかも、以前までは自分が上、今でも実力では上なのに、卑怯な方法で負けた。そんなクズの敵の前で、自ら全裸になるなどできるわけがない。
しかし、あらゆる超能力が使えない。どうしようもない状況。
このまま終われないことは、読心術を使わずとも彼らの目を見ればわかる。

「できるわけないわ! 出しなさい! 許さないわよ!」

「くくく、これが目に入らないか」

「!」

ナツメの目に入ったのは、モンスターボール。自分のものだ。これを並べられ、その上には空手王の拳が置かれている。

「まさか、ユンゲラーを!」

「ほう、ユンゲラーが入っているのか。この空間では役立たずポケモンのユンゲラーか」

「なっ! そんなの、この変な空気のせいで!」

「とにかく、従わなければこのモンスターボールは我が拳で叩き壊す!」

殴り壊されては、中のポケモンまでが。敵の真意――自分を無様な目に合わせようと企んでいるのはわかる。それを感じているのに何も出来ない屈辱は大きかった。
だが、大切なポケモンの危機を見過ごすことは絶対に出来ない。

「……ぐっ」

「さて。当然、隠すことは許さんぞ。がに股、万歳のポーズで行うのだ」

「くっ!」

やるしかない。空気的にそれを感じた。ナツメは、既に何時間も嘲笑され、既におかしくなりそうだった。

断れない。俯くナツメ。ケージの中では超能力が使える。
だが、それは自分の身を屈辱にさらすだけのためのもの。
眉が釣り下がる。歯が鳴る。だが、どうしようもない。

「よーし、いい子になったな」

「では、お前はこれから、大の字になれ。あ、立ったままな」

「……はい」
一発芸を強要される女の子の小説
454 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:38:53.67 ID:xTLoS5zI
板張りの床を激しく睨みつつ、服従の返事をするナツメ。言われたとおり、立ったまま大の字になる。

「よし、もう一度言う。お前自分の服を粉々に吹っ飛ばせ」

「……」

「早くやれ! あと、顔は上げろ!」

反抗した顔のままではまずいかもしれない。そう判断し、冷静な顔を取り繕い、ナツメは顔を上げる。そして、一気に吹き飛ばした。服を。
爆発のような衝撃とともに、服は散り散りに吹き飛び、ケース内を飛び散った。

「はあああああああっ!!」

緊張が切れ羞恥が爆発する。叫びながら、己の身に起きた悲劇を痛感する。肌に触れる冷たい空気。先ほどまで感じていた布の感触が消える。
自分は、一瞬で生まれたままの姿になった。敵の前で。

「ああ、ああ、あああ」

「はっはっはっは!!」

大笑いする、空手王達。ある一人が野次る。

「いい体だぜ〜、毛も生えそろってよ!」

「ゴールドバッジは持ってるのか? かわりにゴールドパンツでも穿いてるのか〜?」
意味がわからない。だが、空手王がなにか自分の事を言うたびに、全ての空手王が大笑いする状況は辛すぎる。

急に、ケージが外された。悪粒子が充満し、ふたたび超能力が全く使えなくなる。
超能力がない。ポケモンもいない。服も吹き飛んだ。身を守る術が完全に消滅。羞恥に、膝から崩れるナツメ。

「ぐっ!」

「おい、膝をつくな。お前は超能力が出来なければ何も出来ないのか。よし、空手を教えてやろう」

「か、空手?」

そんなもの教わりたくない。こんな悪い未熟者には教わりたくない。
せめて、おのれの無力を恥じて修行に旅立った空手大王ならまだマシかもしれないが。
なんにせよ超能力の使い手の自分には、不必要な力だったのに。

「さあ、お前ら、この素っ裸を起こせ!」

「ウス!」

素っ裸? 今、自分は素っ裸と呼ばれたのか? それではあまりにも……あまりにも。

「ああ、あああ、やめええ、やめてええ」
涙が出た。口も上手く動かない。そんな姿を嘲う空手王達。
一発芸を強要される女の子の小説
455 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:39:43.25 ID:xTLoS5zI
「おいおい、前くらい隠せ」

無理矢理起こされ、数メートル歩かされた。真ん中に立たされ、目の前に一人の空手王が立つ。

「あう、ううっ」

すっかり弱気になったナツメの前に立った空手王が、堂々とした口調で言う。

「よーし、まずは正拳突きだ!」

堂に入った構えで、拳を突き出す空手王。それだけなら、何とか真似できそうだが、一つ問題が。
両脚を開き、腰を落とす。服を着ていない人間には、辛すぎる格好なのだ。
おまけに、ナツメは女。胸も丸出しなのだ。

「あ、あの、あのっ、前を隠させて、ください」

「なに? まあいいだろう、おい!」

「ウス」

後ろのほうにいた空手王が、盆を持ってきた。二枚。

「……え」

「これを使え」

「こ、これってまさか」

どこかで見た、下劣な芸。両手を使って右左と、阿呆のように股間だけを交互に隠すあの……?

「下っ端の新人は、先輩を楽しませるためにそれくらいやるものだ」

「う、嘘!」

「良いからやれ! ユンゲラーがどうなっても良いのか!?」

「ぐ、ぐうっ!」

踊った。前を隠すのに一生懸命なだけの生き物にされた。失敗を恐れながら、ずれたと思えば格好悪く微調整。早くやったり遅くやったり。
危なく見えそうになったと思えば、またびくりと動くのが情けない。
それでもどうにか隠しとおしていると思ってはいるがしかし、ここは道場の真ん中。

「斜めから丸出し〜」

「あ!」

「下からも良く見えるぜ〜」

「あ、ずるいぞ」

視点を変えれば、股間などあっさり丸出しだ。胸も尻も既に出ている。最後の砦のはずなのに、何の意味もなかった。
一発芸を強要される女の子の小説
456 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:40:47.37 ID:xTLoS5zI
目を見開くナツメに、真正面から「ほら、つづけろ!」と踊りを止めてもいないのに叱責が来る。
命令を下した空手王は、そういう趣味なのか真正面から胡座をかいて、隠された股間部分見続けている。チラ見えや完全失敗によるモロだしを期待しているのかもしれなかった。
屈辱の踊りは続いた。

ようやく「やめ!」の合図とともに踊りが終わる。
「よし、褒美だ」
ナツメが一息ついたとき、空手王のこの言葉で、別の空手王が布を持ってきた。それは、なんと、金色のフンドシだった!

「な、なに……これ!?」

「ヤマブキの金色に相応しい、ゴールデンフンドシを用意してやった! 股間が観られるのは嫌だろう!ありがたく締めるがいい!」

「いやあああああああっ!!!」

女としての悲鳴が、より滑稽に道場内を木霊する。嘲る笑いが集中する。

「どうした? 股間が隠せるのだぞ?」

「で、でもっ、でもっ!」

確かに、下半身の重要箇所は隠せるだろう。
だがしかし、名前のゴールデンが、煌びやかな布地が、哀れをさそう。ある意味、全裸より恥ずかしい。
戸惑うナツメを少し楽しんだ後、空手王はこのじれた時間を終わらせるための命令を下す。

「穿けないなら、無理にはかせるぞ。このままじゃ見苦しい。おい!」

「ウス!」

気合の入った返事では無い。いやらしくにやけついた返事だ。
数人の空手王がナツメを取り押さえる。抵抗しても、力では足元にも及ばない。
ナツメは全裸で脚をばたつかせた姿を見られた挙句、無理矢理情けないゴールデンフンドシを穿かされたのだった。ナツメは両腕で胸を隠し、中腰で震えながら立ち上がる。後ろから見ればTバッグで尻が良く見える。

「Tバッグだ」

「尻も良いな」

「ぐ!」
一発芸を強要される女の子の小説
457 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:41:57.27 ID:xTLoS5zI
「さーて、これからもう一度、修行を始める! さあ、はじめ!」

無様な稽古が始まった。周囲はマヌケ面の男達が手を脚を前に出して空手の稽古に励む。
――振りをしつつ、見よう見まねでぎこちない動きをフンドシ一丁で行う胸丸出しの自分に向けているのだ。
股間も、隠れているのが、隠すもののせいで余計みっともない。

「なんだそのへっぴり腰は!」

「ぎゃん!」

尻を蹴られて、前のめりに倒れるナツメ。顔は手で庇い、両膝をついたため、尻を突き上げた格好になる。

「あ、ぐ!」

「おい、なにをしている!」

厳しく叫ぶ。羞恥で頬を染める暇も与えない空手王。ナツメは心底恨めしい。

「もう一回裸になるか、おい!」

笑いながら怒号を飛ばす。ふんどしの紐に手をかける。ナツメは顔を真っ赤にして、泣き叫ぶ。

「おねがいです! 裸にしないで!」

「正確に、“私の大切なゴールデンフンドシをとらないでください!”と言え!」

「私の大切なゴールデンフンドシをとらないでください!」
直後崩れた。力を持っていたはずの美女には辛すぎる。次いで、ナツメは嗚咽を漏らした。

数分後、打ち伏せるナツメに、苦痛でしかない次なる指示が与えられる。

「今すぐ、ワンリキーと戦え」

「はあっ!?」

突然、目の前にワンリキーが現われた。

「貧弱なお前を鍛えてやる! 指示通り動け! きっちりとだぞ!」
一発芸を強要される女の子の小説
458 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:47:17.31 ID:xTLoS5zI
「う、うううっ!」

「こっちをみろ」
拒否が表情に浮かぶと、またも空手王の一人が、ナツメのモンスターボールに拳を置く。
そうなるともう、ナツメは言う事を聞くほかない。

「わ、わかりました! やります!」

「よーし、屁をこけ。サイコキネシス!と叫びながらな」

「……へっ」

無理だ。いきなりできるわけない。心情的にも物理的にも。ナツメはワンリキーに殴られた。腹を、胸を2発ずつ。

「がふっ、ごほっ!げほっ! う」

「ワンリキー、ふんどしを奪え!」

「りきっ!」

べりべりべり、あっさりとふんどしの前が破られた。前を隠すのは前の紐だけ。毛がはみ出た。

「きゃああああああっ!!」

可愛げのある悲鳴と、周囲の嘲笑。死にそうだった。

「りきーっ!」

そして、もうひと千切り。ナツメはもうひとたび、素っ裸となった。

「あああああああああ、あああああああああっ!」

「ぎゃーっはっはっはっはは!」

空手王たちは爆笑の渦にあった。

「早くオナラしないからだよ!」

「はやくだせよー」

出るわけがない。出したい。もうだしたいけど、出ない。そう思った矢先、腹の中に何かがこみ上げた。

「……何?」

出る。それが解った。そしてナツメは、瞬時に覚悟を決める。
ここであの言葉がいえなくては、ボコボコにされながらやり直し、もしくはさらに別の事をさせられる。
例えば脱糞だ。道場の真ん中でさせられ、さらに『何道場を汚してるんだ、バカ!』などとまるで全て自分のせいであるかのように怒鳴りつけられるだろう。
糞が顔に付く様に勢い良く、たたきつけられるかのように土下座させられ、舐め掃除させられる。
糞喰らえと笑われ、挙句歯をへし折られ、尻の穴からそれを詰め込まれ、目を抉られそれを飲まされるに決まっている。と思った。
もう、やるしかないのだ。
一発芸を強要される女の子の小説
459 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:48:10.53 ID:xTLoS5zI
「サイコキネシス!」

ぶううううううう

出した。一瞬、周囲が静まり返り、どっとわく。ワンリキーのみ首をかしげる。

「あーーーはっはははっはあ!! 聞いたか!? 俺達の道場を潰したはずの、強豪トレーナーのはずのこいつが出した音をよ!」

「くせー!」

「サイコキネシスって、くせえんだな!」

「んなわけねえだろ、こいつがバカなんだよ! 冷静に考えりゃ、屁だってわからあ!」

嘲笑に対する屈辱に震えながら、ナツメはひとつのことに思い当たる。
なぜ、出したくなった瞬間屁が出た?
普通なら、こんな事を考えるのも恥ずかしい。全裸で立ちすくみながら、ナツメはすぐに結論に達する。

「わかった」

その瞬間、ナツメは動いていた。走った。

「!?」

ナツメが、モンスターボールのすぐ近くにいる空手王の前に現われた。空手王たちは驚いた。

「しゃあああっ!」

「ぐっぎ!?」

「な、なんだ速いぞ!」

彼の言うとおり。余りの速さに、空手王は何も出来なかったのだった。

「どういうことだ!」

「残念だったわね。部屋の中まで悪粒子が充満したようだったけど、私の体の中にまでは、行き渡らなかったのよ!」

ナツメは、自分の肉体を内部から超能力で操作し、動かしているのだ。それにより異常な速さや、硬化した肉体で敵を攻撃できる格闘の力を身に付けたのだった。

「しぇいいいっ!!」

一瞬だった。エスパーとしての実力を遺憾なく発揮し肉体を強化したナツメは、一瞬で最初に倒した空手王の服を奪い、着て、道場の壁を叩き壊した。粒子が流れ出ていく。

「そ、そんなばかなあああっ!!」
一発芸を強要される女の子の小説
460 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:49:15.35 ID:xTLoS5zI
「しぇいあああああああっ!!!!!!!」

一瞬以下のスピードにて、空手王達は両手両脚をへし折られた。強烈なサイコキネシスだった。いや、サイコショックかもしれない。ワンリキーは倒れただけ。ナツメのモンスターボールや荷物は無事。
とにかく、空手王達は完全敗北。オマケに、ナツメに何か残酷な事をしようとして失敗しこうなったという記憶に摩り替えられたのだった。
ナツメも、どうにか立ち直ろうとするとともに、悪粒子に対する対抗策をより完璧にしようと更なる精進を続けるのだった。



おわり
一発芸を強要される女の子の小説
461 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:55:25.03 ID:xTLoS5zI
ナツメ・エンド2(マイチェン)>>459にて、ふんどし破かれてからの分岐

「早くオナラしないからだよ!」

「はやくだせよー」

出るわけがない。出るわけがないのに。いきなりそんな事を言われてもどうしようもない。

「しっかりと命令に従えないのは、精神にたるみがあるからだ! 来い!」

「ぎゃ!」

髪を引っ張られた。引きずりまわされるのは痛いし、屈辱だ。ついて行くしかない。
ついていった先の道場隅で、空手王は恐い顔をしてナツメを睨む。

「あ、あの、な、なにを……なにをするのでしょうか」

引っ叩かれるのか? 蹴られるのか? まさか、乱暴されるのか? とにかく素っ裸の身ひとつの状況では、震えるばかりで前を隠す程度にしかできることは無い。
そんな後姿、特につややかな尻を凝視されているのはまた屈辱だった。
さらに、その尻から屁を出させようという企みと期待も心を突付く。

「さあ、やるぞ!」

電気による振動音が鳴り響く。空手王が持っているのは、バリカン。その瞬簡にナツメは、自我が崩壊したかのような悲鳴を上げた。

「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

叫び、逃げようと振り返るが、何の意味もない。たった一人の空手王に押さえつけられ、ぎゃりぎゃりと頭の上を金属刃が削っていく。
自分よりずっと下のはずの雑魚トレーナー。
自分が壊滅させたはずの集団の、さらに未熟者が。
想いは空しく、抵抗は意味なく、紫色の美しい髪は無残に糸くずの集まりと化した。

「ああああああああああああああああああああああああああああ」

呟くように叫び続けるしかない。さけんでいない。こころのなかではさけんでいる。
ただ、口から漏れるのは心を失った抜け殻のような空気の震えだけだった。

「つるピカだぜ!」

「みじめー」

「これがエスパーポケモン使いの実力者? 嘘だぜ、ハゲ女だ!」

「ハーゲ、ハーゲ!」

「負け犬だよ、生まれたときからな!」

「ああ、エスパーなんてダメ能力に頼って、格闘ポケモンを使うという真の精進を怠るからだぜ」
一発芸を強要される女の子の小説
462 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:56:24.16 ID:xTLoS5zI
中傷と残酷な実況。その場に立ち尽くすナツメ。
空手王に促されるままに、試合の場に戻る。
自分の髪を踏んだ。もはや黒い糸くずと化した髪だ。

「きったねー髪、捨てろよ〜」

酷すぎる言葉が耳を劈く。うわあああああ、頭の中で声が響く。
道場内を歩く。一歩歩くたびに、体中を指先爪先で小突かれた。惨め過ぎると嘆くことも出来ないほどに消耗していた。終わらせたい……

そう、オナラが出したい。屈辱的な願いだった。
だが、出したい。しかし、出したいけど、出ない。そう思った矢先、腹の中に何かがこみ上げた。

「……何?」

出る。それが解った。そしてナツメは、瞬時に覚悟を決める。
ここであの言葉がいえなくては、またボコボコにされながらやり直し、もしくはさらに別の事をさせられる。例えば脱糞だ。

「サイコキネシス!」

ぶううううううう

出した。一瞬、周囲が静まり返り、どっとわく。

「あーーーはっはははっはあ!! 聞いたか!? 俺達の道場を潰したはずの、強豪トレーナーのはずのこいつが出した音をよ!」

「くせー!」

「サイコキネシスって、くせえんだな!」

「んなわけねえだろ、こいつがバカなんだよ! 冷静に考えりゃ、屁だってわからあ!」

「バーカ、マルハゲバーカ!」

「フラッシュも使ってるな!」

嘲笑に対する屈辱に震えながら、ナツメはひとつのことに思い当たる。
なぜ、出したくなった瞬間屁が出た?
普通なら、こんな事を考えるのも恥ずかしい。全裸で立ちすくみながら、ナツメはすぐに結論に達する。

「わかった」

その瞬間、ナツメは動いていた。走った。

「!?」

ナツメが、モンスターボールのすぐ近くにいる空手王の前に現われた。空手王たちは驚いた。

「しゃあああっ!」
一発芸を強要される女の子の小説
463 :名無しさん@ピンキー[sage]:2014/04/03(木) 23:57:34.66 ID:xTLoS5zI
「ぐっぎ!?」

「な、なんだ速いぞ!」

彼の言うとおり。余りの速さに、空手王は何も出来なかったのだった。

「どういうことだ!」

「残念だったわね。部屋の中まで悪粒子が充満したようだったけど、私の体の中にまでは、行き渡らなかったのよ!」

ナツメは、自分の肉体を内部から超能力で操作し、動かしているのだ。それにより異常な速さや、硬化した肉体で敵を攻撃できる格闘の力を身に付けたのだった。

「がああああああああああっ!!!」

髪が一瞬で元に戻った。その瞬間に、リアルをたたきつけられたように、空手王達の顔が真っ青になる。まずい。やばい。

「ひいいいいいいいっ!!」

「ぎゃああああああっ!!ごめんなさ……」

「しぇいいいっ!!」

一瞬だった。エスパーとしての実力を遺憾なく発揮し肉体を強化したナツメは、一瞬で最初に倒した空手王の服を奪い、着て、道場の壁を叩き壊した。粒子が流れ出ていく。

「そ、そんなばかなあああっ!!」

「しぇいあああああああっ!!!!!!!」

一瞬以下のスピードにて、空手王達は両手両脚をへし折られた。全身の毛も永久脱毛、服も散り散り。強烈なサイコキネシスだった。いや、サイコショックかもしれない。ワンリキーは倒れただけ。ナツメのモンスターボールや荷物は無事。
がらがらと崩れる格闘道場。騒ぎを聞きつけた多くの人々に見られてしまったのだった。
とにかく、空手王達は完全敗北。オマケに、ナツメに何か残酷な事をしようとして失敗しこうなったという記憶に摩り替えられたのだった。
ナツメも、どうにか立ち直ろうとするとともに、悪粒子に対する対抗策をより完璧にしようと更なる精進を続けるのだった。





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