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キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44

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キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44
320 : ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:26:43.91 ID:ZTLtgOcO
>316
GJでした。

投下します。
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44
321 :パンドーラー10 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:28:28.95 ID:ZTLtgOcO
桜が咲き乱れる季節。
マキは高校の制服を身に着けていた。
受験戦争を乗り切ったのだ。
第一志望校は十分合格圏内だったため、特別心配することもなかったが…。

「(あとはトシヤが無事にここに受かるかどうか、よね)」
「向田さん」
「あら、紅保君」

紅保ユウイチも同じ高校に受かっていた。
なので、ユリコとの約束通りユウイチの周囲に女の影がないか監視を続けなければならなかった。



トシヤもまた中学三年に進級し、高校の進学問題が見え始めてきていた。

「(姉さんはきっと、寂しいから同じ高校に入ってほしいのだろうけど…)」
「トシヤ君、この後お姉さんの入学祝いを買いに行かない?私も兄さんの―――」
「(果たしてそれは姉さんの為になるのかな…)」
「トシヤ君?」
「あっ、ユリコちゃん。ゴメン聞いてなかった」
「―――お姉さんのこと考えてたんでしょ?」

心を読まれて、トシヤは驚いた。

「わかりやすいね♪」
「………」
「お姉さんもトシヤ君が心配なのよ」
「うーん、僕としては過ぎると思ってるんだよね…」
「なんで?」
「まぁ、色々あって…」

それは元日のことに遡る。
柚谷ミコトの家で寝てしまったトシヤは日が昇ってからようやく帰宅した。
マキは随分心配した様子でトシヤを抱きしめて安堵していた。
そのことをトシヤ自身、姉に迷惑を掛けた申し訳なさと、家族愛を感じて嬉しくなった。
またもう一つ、以前のように自分に情欲を抱いているのだろうかと不安にも思っていた。

しかし、トシヤもまた、マキには柚谷ミコトの事を内緒にしていた。
それはミコトからのお願いでもあったのだが、トシヤ自身も隠れた恋愛に妙な背徳感とスリルを味わってもいた。

「ぎくしゃくしているなら入学祝いでも買ってあげれば落ち着くかもよ」
「…そうだね、うん、それがいい。どこで買おうか?」
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44
322 :パンドーラー10 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:29:35.79 ID:ZTLtgOcO
入学式を終えたマキは早々に帰宅していた。
最近はトシヤの留守中に部屋に忍び込んでは女の気配を探っていた。
元旦の朝に帰宅したトシヤからは女の臭いがしたのだ、放ってはおけない。

「(トシヤに近づく女…。ユリコもあてにならないわね…)」

ユリコとの話し合いで監視は校内に限定していた。
放課後や休日にしつこくつきまとうのは不自然になるし、逆に監視対象であるマキにとってのユウイチや、ユリコにとってのトシヤに変に意識されても困るからだ。

「(いや、でもユリコにとっても私が監視を止めるのはマイナスなはず。
自分の仕事はしっかりこなすだろう…。ということはやはり、学校の外の人間…)」

やはりここは直接尾行するしかないだろうか…?
そう考え始めてもいた。

「ふう、やっぱり部屋にはなさそうね…。となると怪しいのは携帯…」

どうやって覗き見るか?
―――正直、気は引けた。
愛するトシヤのためとはいえ、携帯を盗み見するなど…。



「これでいいの?」
「うん、マキ姉さんに似合うと思う」

雑貨屋にて、トシヤは小さな装飾が施されたネックレスを選んだ。
面が空洞になった立方体の飾りが鎖に通されているだけのものだ。

「なんか大人っぽいね…」
「高校生になったし、いい感じになりそう」

値段は―――

「どうしよう…」
「少し貸そうか?」
「いや…でもなぁ…うーん―――ゴメン、貸して」
「かならず返してね♪」
「…ありがとう」

支払を済ませ、店から出る二人。

「じゃあ、私も兄さんへのプレゼント(腕時計)買えたし、早速渡したいから帰るわ」
「うん、本当にありがとうね」
「まぁ、少しづつ返してくれればいいから」
「…努力します」
「じゃあね♪」
「うん、さよなら」

それぞれの家路につく二人。
だが―――
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44
323 :パンドーラー10 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:30:46.09 ID:ZTLtgOcO
「トシヤ君」
「あ!ミコト先輩」
「どう、この制服」

柚谷ミコトと出会ったトシヤ。
彼女もまた高校進学していた。
真新しい制服をトシヤに見せつける。

「凄く似合ってますよ」
「クスっ、ありがとう。トシヤ君も三年生だね」
「そうですね、なんか寂しい気もします」
「卒業式で泣く生徒も多いからね、その一年はあっという間さ」
「ミコト先輩もやっぱり寂しかったですか?」
「いや、私の場合はそんなことはないよ、トシヤ君がいるから…」
「え?!」
「クスっ、驚いた?」
「―――純情な男の心を弄ばないで下さいよ」
「クスクスっ、ゴメンね。所でその袋は?」

ミコトはトシヤが持っていた薄いビニール袋を指した。

「あぁ、これは姉への進学祝いです」
「なるほど…、お姉さんにはあげるのに、私には何も無しか…」
「!!―――いや、そんなつもりじゃ」
「いいんだよ…まだ知り合って日が浅いしね…」
「あ、あの!今度でよければ埋め合わせをさせてほしいんですが…」
「本当かい?―――嬉しいよ、ありがとう。じゃあ、丸一日デートに付き合ってもらおうか」
「え?!」

今までは数時間程度遊んでいただけだった二人。
トシヤは―――

「はい!!是非!!」

二つ返事で答えた。

「クスっ。じゃあまたメールするよ」
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324 :パンドーラー10 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:32:10.92 ID:ZTLtgOcO
トシヤの部屋を散らかしてしまったマキは片付けに追われていた。

「これで、最後…」

積まれていた漫画雑誌を全て元通りの位置に戻す。
ベッド下に隠されていた定番の“モノ”は嫉妬で狂いそうになり、破り捨てようとしたが、
ガサ入れがバレてしまうと嫌われるので泣く泣く見逃した。

ガチャ!!

「ただいまー」

帰ってきた!

直ぐにトシヤの部屋から出て何気なく自分の部屋へ、そして―――

「ただいま、マキ姉さん」
「お帰り、トシヤ」

トシヤはそのままマキの部屋へやってきた。
帰宅すると行われる定番のことだった。

「マキ姉さん、これ入学祝い」
「え?!」

トシヤは先ほど買ったネックレスをマキへ手渡した。
予想していなかったマキは面食らった顔だ。

「これは…」

袋からネックレスを取り出すマキ。

「―――素敵、ありがとう、トシヤ…」
「…いつも世話になってりからね」
「…グス、あ、りがと」

不意に泣き出したマキ。
今度はトシヤが驚いた。

「マキ姉さん?!」
「大事に、するから…」

マキは自分が恥ずかしくなった。
トシヤはこんなにも思ってくれているのに、自分は疑ってばかりだ。
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325 :パンドーラー10 ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:34:11.11 ID:ZTLtgOcO
「トシヤ、つけて?」
「え?…うん…」

そう言って後ろを向くマキ。

姉とはいえ、やはり女性。
トシヤはドギマギしていた。

「(ここか…?)」
「うん、ありがとう。わぁ…」

首に飾られたネックレスはマキにとって、もっとも大事な物になった。

そのマキがあまりに魅力的なため、気を紛らわすために部屋を見渡すトシヤ。

「(あの制服…)」

そこにはマキの高校の制服が―――

「(ミコト先輩と同じ高校だ…)」



「トシヤ君、私は悲しいよ、私より姉を優先するなんて…」

柚谷ミコトはリビングにへたり込んでいた。
周囲の品の良かったインテリアはどれもグシャグシャに壊されていた。
テーブルは中央にはめ込まれていたガラスが粉々に、ソファは包丁で切り裂かれて
綿が飛び出ていた。
全てミコトがやったことだった。

「クスっ、クスクスクス…」

その中心で泣きながら笑う彼女はさながら悪鬼羅刹のようであった―――
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326 : ◆ZNCm/4s0Dc [sage]:2014/03/14(金) 19:35:10.67 ID:ZTLtgOcO
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