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男主人・女従者の主従エロ小説 第五章

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男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
496 :王様×男装従者(1/3)[sage]:2014/02/19(水) 12:47:22.43 ID:9i328Pds
王様×男装従者です
>>317-321の後の時間軸
エロなし幕間
多分3レス頂きます

以下投下


それはずいぶんと唐突な提案だと思った。

いつも通り陛下の夕餉の側に控えて、空になった器を下げようとしていたときのこと。
ここ数日、珍しく上機嫌の続いた陛下から告げられた言葉は、私の心を冷やすものだった。

「そなたは国へ戻れ。早いほうが良い、明日にでも陣を発つように」

「……はい?」

一瞬、言葉の意味をとらえ損ねた。
理解が頭に染み入るにつれ、感情が納得できずに駄々をこねる。

「陛下、何をおっしゃいますっ……私は気付かぬうちに、失態を犯しましたでしょうか」
「そうではない。そなたは覚えているか、財務書記官付きの赤毛を」

挙げられた名は陛下と歳の近い文官で、誠実な青年のもの。
忘れるはずがない、陛下の覚えも良く、生前の兄とも顔なじみだった。

「は、はい、存じあげております。兄ともども、何かと懇意にして頂きました。でもそれが……」
「あの者がそなたを嫁にと望んでいる。城へ戻り婚礼を挙げよ」

それは陛下の気まぐれによる唐突な提案などではなかった。
機を図り周到に根回しされた上での、命令だった。

現在、戦局は友軍に有利に運んでいる。だが周囲の国は同盟を結んでおり、全て敵。
いかんせん数の差が大きすぎる。勝つにせよ負けるにせよ、終戦まではまだ何年もかかるはず。
ここで帰国してしまえば、私は陛下に会うことすらなくなるだろう。

ましてや嫁ぐともなれば、側に仕える機会など二度と無い。


「……承服しかねます」
決死の覚悟で声を絞り出したが、それは情けなく震えていた。
「何?」
陛下の声に含まれた不快げな色におじけつきながらも、私は言葉を続ける。
「せめて今回の会戦が終わるまで、それまでは陛下にお仕えさせてください」

激しやすい陛下の眉間に、深い皺が刻まれた。しかしここで引き下がるわけにはいかない。
私はまだ陛下にとって何の役にも立っていない。これでは兄の墓に会わせる顔がない。

そう言い募ると、単純な怒気に染まっていた陛下の表情が、かすかに苦い色を含んだ。
「そんな願いは聞き入れられない。そなたは支度が整い次第疾く陣を離れよ」
「私は、兄に代わって陛下のお役に……」

さらに食い下がる私を手で制して、陛下が言葉を紡ぐ。
自身の本心を覗かせるようなことは、普段絶対におっしゃらない陛下が。

「男装して、兄の名を名乗り、兵として従い、よくぞ今まで予に仕えた。
 それでも、そなたの兄には成り代われぬ。……そなたは女だ。
 女には女の幸せがあるだろう。
 望まれて嫁ぎ、子を為して、幸せな家庭を築け。それをヴァーリも望んでいるはずだ」
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
497 :王様×男装従者(2/3)[sage]:2014/02/19(水) 12:49:25.89 ID:9i328Pds
陛下はお優しい。私の身のような些末事にまで、こんなにも心を砕いてくださる。
よかれと思って差配してくださったのだ。これは笑顔で受けるべき話だ。

「……それが、陛下のご命令なら。私は謹んで従います」

陛下の表情がふっとほどけた。そこに混じる安堵の色に、やはり胸はひどく痛んだ。


それから陛下と話し合い、後任の人事や帰国の手順など、細かい点を詰めていった。
結局、私は五日後に本隊と別れる北上部隊に一時編入されることになった。
最寄りの都市に着いた時点で、私は軍籍を離れることとなる。
古くから栄える大きな街だ。現在は友軍の支配圏であり、その街を拠点とする常駐の部隊もいる。
そこからなら本国までの馬車を仕立てられる。道のりもさほど危険はない。

着々と、陛下との別れの準備が進んでゆく。

「ではそのように運べ。都にもそう伝えよう」
「陛下のお心のままに。では支度もありますし、今宵は下がらせていただきます」
大まかな段取りも決まり、一礼して下がろうとするのを呼び止められた。
「しばしまて。将棋の相手を務めろ」

……ああ。陛下はやはり優しくて、残酷な方だ。
婚儀を勧めたからにはもはや私に触れないだろうに、習慣を曲げてまで遠ざける気もないのか。

残された数日を変わらず過ごせと、それが陛下の意向なら私は臣下として努力するまでのこと。
でも今は、今すぐにはできない。

「申し訳ございません陛下、今日は……無理です」
早口で言い捨て頭を下げ、私はそのまま天幕を飛び出した。


走って、走って、宿営地を抜ける。やっとの思いで木立の暗がりに飛び込んだ。
緑の匂いに包まれた瞬間視界が波打ち、溶けて流れた。溢れた涙を拭うも止まらない。
寂しくて悲しくて息が詰まりそうだ。引きつれた喉から、10年堪えた嗚咽がこぼれる。

私と陛下の思いは、どこまでいっても平行線なのだろう。
どれほど強く志を立てようと、所詮は女の身。
軍学を修めたわけでも武勲に優れているわけでもない。
私が陛下のお側にいたところで戦局に影響が及ぶはずもない。所詮私は陛下にとって、たいした役には立たないのだ。

それでも。それでも私は、側に仕えていたかった。
けれど陛下は認めてくださらなかった。ひとえに私が女だから。
せめて身をもって陛下の盾となれたらこの思いも昇華されるだろうに、それすら許してはもらえなかった。

「陛下……陛下ぁ」

服の上から胸元を探ると指先に硬い手触りがある。さらしに巻き込んだ翠玉だ。
陛下のためなら何だってすると、この石を賜った日に決めた。
誰にも弱みを見せないと、この石に誓った。
だから陛下の命に従おう。笑顔で陛下に暇を請うて、笑顔で嫁ぎ子を産もう。
そしていつの日か、子孫に囲まれ笑顔でこの世に別れを告げよう。

造作もなくできるはずだ、それが私の望みでなくとも。
陛下の意に従うのは私の喜びなのだから。

ただ、今はこの気持ちを吐き出しきってしまいたかった。
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
498 :王様×男装従者(3/3)[sage]:2014/02/19(水) 12:50:29.74 ID:9i328Pds



あれに断られた瞬間には腹立たしくも思ったが、その夜は思わぬ楽しい時間を過ごした。
定時報告に来た元帥と仕官を相手に指した将棋が、ことのほか興に乗ったからだ。

「やはりヴァーリと違い、私共では陛下のお相手は務まりませんね。申し訳ございません、下手な指し手で」
それは仕方ない。将棋好きの予に付き合って、あれも古今の棋譜をかなり学んでいる。

「いや、目先が変わって面白かった。また誘うことがあれば受けてくれ」

それは本心からの言葉だ。あれと予は昔から将棋を指し合ってきたが、それゆえ互いの筋を知りすぎている。
戦場に出てからはもっぱらあれと指していた。癖の読めない相手は久々で、頭蓋は心地よい疲労を訴えている。

戦争は長引けど先が見えぬ訳でもなく、将棋の差し手には事欠かず、あれはもうすぐ望まれて嫁ぐ。
あれはきっと幸せになる。少なくとも戦場で砂塵と硝煙にまみれているよりは。
安全で安楽な、穏やかな日々を過ごせるはずだ。

だから予の気分は上々だった。士官の口からこぼれた、次の言葉を聞くまでは。

「それは光栄ですが。何かありましたか?ヴァーリの奴、泣いていたようですが」

虚を突かれ、自分の顔がこわばるのがわかる。横に控えていた元帥も、そんな予を見て目を丸くした。

「……それはまことか」
「は、はい。隠れていましたがヴァーリかと」
「どこで」
「その先の木立の陰です。すぐに仕事に戻っていましたが」
「わかった、もうよい。……今宵は付き合わせて済まなかった」

手を振って二人を下がらせ、粗末な椅子に深く座り直す。
耳障りな木のきしみに、繰り返されたあれとの時間が脳裏をよぎった。
膝に崩れる痩躯、手に馴染んだ白い肌、予をまっすぐに見る、潤んだ瞳。
唇を引き喘ぎをかみ殺し、言いつけを必死に守ろうとする従順さは思い出すだけで予の欲望を静かに満たす。

だが耳底に染みついた昔の泣き声が、心の隙間をさらに広げた。
庭園の片隅にうずくまる影の記憶が、腹の底をちりちりと焦がす。

「予に隠れて泣くなど、何も変わっておらぬでないか……」

足りない。何が足りないのか、どうすればこの焦燥が収まるのかも分からないまま欠落感に煽られ、普段自制している強い酒に手を伸ばす。

久々に、酔いに溺れたい気分だった。
男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
499 :王様×男装従者(〆)[sage]:2014/02/19(水) 12:52:10.70 ID:9i328Pds
以上です。
最初に書き忘れましたが3レス目だけ王様視点です。
スレ汚し失礼しました。


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