- 戦隊シリーズ総合カップルスレ 19
217 :【冒険赤桃】アネモネ[sage]:2014/02/12(水) 20:36:36.22 ID:gJ7ZiQkq - 話題の途中ですみません。冒険赤桃投稿します。苦手な方は「アネモネ」でNGワードお願いします。
|
- 戦隊シリーズ総合カップルスレ 19
218 :【冒険赤桃】アネモネ[sage]:2014/02/12(水) 20:59:29.48 ID:gJ7ZiQkq - 宇宙へ飛び出して1年が経とうとしている今日この頃、さくらは気になっていることがあった。
恋人である暁の様子がおかしいのだ。 それに気づいたのは調査のため訪れた異星に到着して1週間ほどが経過した頃だった。 最初は気のせいかと思っていたが、彼にしては珍しくぎこちない話し方をしたり、就寝したはずなのにゴーゴーボイジャーから抜け出していたり・・・。 地球と同じように住人がいる星だけにさくらの胸には一つの不安があった。 もしかしたらほかの女と・・・。 そう考える一方で安心を得る為の事実もある。 元々、暁は根っからの冒険バカでそのせいでさくらの気持ちに気づいてくれるのに時間がかかった。 そんな彼のことだから仮に好意を抱いた女性が現れてもそう簡単にはいかないだろう、そうとも考えている。 だがさくらの胸に宿った不安は消えない。 (現に今日もいないですし・・・) ため息をつきながら資料の整理をしているさくら。 今日は暁が異星の探索、さくらがゴーゴーボイジャーに残って事務的な仕事という振り分けだった。 時計を見ればもう夜に近い。 ラストスパートということで作業のペースを上げようとした時、目に入ってきたのは1枚のレポート。 この星で採れる宝石についてまとめられたものでプレシャスではないものの、貴重な物ということで報告に上がった物だ。 この赤く輝く宝石にはある言い伝えがあった。 『宝石に願いを込めると叶う』 普段のさくらなら「自分の願いは自分で叶える」と気にとどめなかったかもしれない。 しかし暁のことで悩んでいる今、その言い伝えはとても魅力的なものに思えた。 愛する暁のことを信じたい。 それが叶えばどんなに楽になれるか。 (・・・ううん、駄目。とにかく今は集中しないと) そう自分に言い聞かせ仕事を再開するさくら。 まだ暁は帰ってこない。
|
- 戦隊シリーズ総合カップルスレ 19
219 :【冒険赤桃】アネモネ[sage]:2014/02/12(水) 21:30:27.56 ID:gJ7ZiQkq - 一人きりの食事を終え風呂を済ましても暁は帰ってこない。
「もしかして何かあったのでは・・・?」 遭難信号は発せられていないが、それが何もなかったという証拠にはならない。 そう思っただけでさくらは湯冷めするのにも構わずゴーゴーボイジャーから飛び出す。 (暁さん・・・!) 行く宛もなくたださくらは走り続ける。暁が無事であることを祈りながら。 どれくらい走ったのかも分からなくなってきた頃、さくらはとある店の前で立ち止まる。 息を切らしていると店の中の様子が目に入った。中にはたくさんの光、宝石が輝いている。どうやらアクセサリーショップの類いのようだった。 「今はとにかく暁さんを・・・え?」 再び走り出そうとした時、さくらは信じられない物を目にした。 暁が知らない女の人と楽しそうに話している。 その内容は分からなかったが、目の前の光景だけでさくらの心を砕けさせるのには十分だった。 帰るまでの記憶は見事に抜け落ちていた。 結局、暁が帰ってきたのはさくらが帰ってきて1時間ほどが経った頃だった。 部屋が隣なこともあって彼が帰ってきたのはすぐに分かったが話しかける気にはならなかった。 (大切にされている、愛されている。そう思っていたのはわたしだけ・・・?) さくらは暁のことを大切にしているし、愛してもいる。 唇や肌を重ね合うたびに実感していたはずなのだ。 なのにあの時の光景を思い出すだけでそれが揺らいでいる。 「もう嫌・・・暁さん・・・!」 ベッドの上で体を縮こませ打ち萎れていた時だった。 ドアのノックの音と共に廊下から声が聞こえてきた。 「さくら、いるか?」 声の主は暁だったがさくらは返事をしない。今、どんな顔をして会えばいいのか分からないのだ。 そのまま寝ているフリをしてやり過ごそうとする。が 「起きてるんだよな?明かりもついているし、どうしたんだ?」 その呼び掛ける声に屈した。 ゆっくりとした動作でボタンを押しドアのロックを解除するさくら。 「入ってください、暁さん」
|
- 戦隊シリーズ総合カップルスレ 19
220 :【冒険赤桃】アネモネ[sage]:2014/02/12(水) 23:02:47.13 ID:gJ7ZiQkq - 暁を部屋に入れたものの、さくらは何を言えば良いのか分からず口籠ってしまう。
一方の暁もさくらの様子が違うことに気がつきポケットに手を入れたまま動かない。 気まずい時間が流れた後、先に口を開いたのはさくらの方だった。 「・・・今日も遅かったですね」 思っていた以上に自分の言葉に険が含まれていたことに内心驚くさくら。それに気圧されながらも暁は目を合わさずに 「ああ、色々とあってな・・・」 「楽しそうに話してましたね。アクセサリーショップの女性店員さんと」 それを聞いた途端、暁の顔が凍る。 さくらはもう自分を止めることが出来なかった。 「ずっと暁さんのことを思い続けて、やっと通じあって嬉しかった。愛して愛されて幸せだった。なのに、どうして暁さんは・・・!」 そこまで言ったさくらは気づく。自分が今、抱えている感情が『嫉妬』と『悲しみ』であることを。 この1年、思いがけないきっかけで地球に戻ることがあったとはいえ、ほとんど2人きりで過ごしてきた。 今いる星のように現地住民との交流がなかった訳ではないが、そのほとんどがプレシャス絡みだっただけに『嫉妬』という感情が表れることはなかったのだ。 それが暁が自分の知らない女性と一緒に楽しそうに話しているというだけで表に出てきた。 さくらは胸の中にそんな感情を抱いていたことを思い知らされ、そんな自分が嫌になる。 「っ!」 もうどうすればいいのか分からず逃げ出そうとする。が、それは暁の手によって阻まれた。彼はさくらが逃げないように強く腕を握り言った。 「あの人のことは誤解だ!本当は俺は・・・」 「離してください!暁さんと話したくありません!」 何とかして暁の腕から逃げようともがくが、彼の腕からは逃げ出すことが出来ない。 暁の方もさくらのことを離すまいと彼女の腕を握っている。 「話を聞いてくれ!」 「嫌です・・・!?」 そこまで言いかけるとさくらはバランスを崩してしまう。彼女を助けようとした暁も結局が道連れになる形で2人してベッドの上に倒れ込む。 暁は自分がさくらを押し倒したような形で倒れていることに気づき慌てて起き上がろうとしたその時、気づく。 さくらの目に涙が溜まっている。 「さくら・・・?」 そう問いかけてみても答えない。ただ何かを堪えるように暁から目を背けているだけだ。 そんな彼女の姿を見ていられなくなり暁はさくらを腕の中に包み込む。 「あ・・・」 何度もさくらを包み込んでくれた腕。その温かさを感じとり、それがきっかけかのようにさくらの頬を涙が伝う。 そうなるともう止まらなかった。 「わたしは信じたい・・・暁さんのことを信じたいんです。わたしと思いが通い合ってる、愛されているということを」 さくらが抱えているもう一つの感情である『悲しみ』。それは暁を信じられなくなっていることに対する悲しみ。 信じたいのに信じられない、それが揺らぐ、それが『嫉妬』に繋がる。 悲しくて辛くて、だから涙も零れてしまう。 「分からないんです。この感情も思いも一体どうすれば良いのか」 もういっそのこと―。そこまで考えたとき、上の方から声が飛んできた。 「済まなかった。こんなになるまでさくらのことを追いつめて。だけどな、俺も同じなんだ。俺も今のさくらと同じような気持ちになったことが何度もあったんだ」 その言葉はさくらにとって意外なものだった。 『嫉妬』という嫌な感情を持っているなんて思いもしなかった。 「さくらがほかの男と話しているのを見て勝手に妬いたことだってあった。プレシャス絡みだということも、さくらがそんなことをしないと分かっていてもそう思わずにはいられない。 俺だって同じなんだ。俺だって『嫉妬』したりそんな風になることが『悲しく』なったりする。それでも『さくらを愛している』ということに変わりはない。そんな感情を抱くのもさく らが好きで大切だからなんだ。俺はそんな自分も受け入れられるようになってみせる。だから」 さくらの唇にもう一つ唇が重なる。 「さくらもそんな自分が嫌だと言わないでくれ」 その言葉を聞き、答えるかのようにさくらは涙をにじませながら暁の背中に腕を回し力を込める。 「わたしは・・・暁さんのことが好き。こんなわたしでも受け止めてくれる暁さんが」 そうして再び向き合う2人。 「わたしもこんな自分を受け入れられるように頑張るから」 二回目のキスは一回目より激しかった。
|