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◆fYihcWFZ.c
女装SS総合スレ 第10話

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女装SS総合スレ 第10話
38 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:34:17.23 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 1/11

「はぁ……はぁっ……悠里お姉ちゃん、かわいいよお姉ちゃん……とってもきれいだ……」
 僕の目の前にいるのは、僕の知っている限り世界で一番美しい少女。
 TVや雑誌で見かけるアイドル達なんか目じゃないくらい可愛らしい女の子。

 茶色のブレザーに赤いチェックのミニスカートの女子制服で細身の身体を包み、ニキビも
ない滑らかで瑞々しい肌を紅潮させ、長い睫毛を震わせている。
 彼女の柔らかそうな胸を、白いブラウスの上から僕は手で包み込むように揉みしだき、同
時にプリーツスカートをめくり開けて、股の間に指をさし延ばす。

「ああっ……俊也ぁ。としやあ……っ!!」
 形の良い唇を微かにわななかせ、甘い声で僕の名前を呼ぶ。目は潤み、吐息は熱い。トレー
ドマークの黒い長い髪が、背中でさらさらと揺れる。
「好きだよおねぇ……っ!!」

 丁度その瞬間、家のドアの鍵を開ける音がして、硬直する。
 お父さんの帰ってくる時間なわけはないし、家政婦の鈴木さんか──それとも『本物』の
悠里お姉ちゃんなのか。
 タンスの中に女子制服姿のまま飛び込んで、内側からそっと扉を閉める。

「ただいまー。……ん? 誰もいない? 俊也もどっか出かけたのかな」
 『今日は遅くなるから』と言って出かけた、お姉ちゃんの声が玄関から届いてくる。
 僕はまだ荒い息を鎮めようとしながら、お姉ちゃんが気づかないことを祈るだけだった。
 タオルを詰めて膨らませたブラジャーの下、心臓が痛いくらいに激しい鼓動を刻んでいる。

 やがてまた出かけていく音がしたので、タンスのドアを開けて外に出る。
 ここは僕とお姉ちゃんの部屋の間にある一室で、死んだお母さんが昔使っていた場所。
 今はお洒落で衣装もちのお姉ちゃんの、衣裳部屋のような感じになっている。
 防虫防臭剤の匂いが強く漂うその部屋にある等身大の鏡に、お姉ちゃんがこの間までまとっ
ていた制服を着こんで、女装をした僕の姿が映る。

 ──物心つく前から、僕はお姉ちゃんにずっと憧れていた。
 でもそれが、異性としての恋心だと気づいたのはいつのころだっただろう。

 ──物心つく前から、僕は『お姉ちゃんそっくり』と言われることが多かった。
 そして今日。僕は前々から念願だった、卒業でもう用済みになったお姉ちゃんの制服を取
り出して、下着まで身に着けてのオナニーに挑戦したのだ。
 誰も帰ってこないはずの時間を見計らって。

 鏡の中の“僕”は、予想以上に“姉”そっくりで。
 世界で一番きれいな、世界で一番大好きな“お姉ちゃん”が、手を伸ばせば届きそうな場
所にいる。
 その“彼女を”自分が好きに弄ぶことができる、自分の思い通りの反応を返してくれる。

 その事実に、僕はひたすら興奮を覚え、そして自分の竿を掴んで激しくこすり上げる。
 いや、“僕”のお○んちんをしごくのは、お姉ちゃんのほっそりした綺麗な指先。
 “私”のおっぱいを揉んでいるのは、俊也の指先。
 訪れた絶頂は、今まで経験がないほどに強く激しいものだった。
女装SS総合スレ 第10話
39 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:35:20.15 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 2/11

「ところで俊也。明日はヒマ?」
 そんなことがあった翌々日の夜。晩飯の席でお姉ちゃんが唐突に言ってきた。
「できれば明日一日で春休みの宿題を終わらせときたい、ってくらいかな。
 今のところ、特に用事ってほどのものはないね」

「友達と遊びに行く約束とかしてないんだ。なら明日は一日デートに付き合ってくれない?」
 僕たち姉弟の間では、『デート』と称して一緒に買い物に行くのを昔は時々やってきた。
 最近なかったお誘い。心が躍るのを表に出さないようにするのに苦労した。
「なんだか久々だね。うん、いいよ 今度は何を買いに行きたいの?」

「いや、買い物もあるけど、純粋に男女としてデートしてみたいなぁ、って」
 その言葉にむせる僕。
 お姉ちゃんが何か企んでいるときに見せる笑顔が、その日はなぜかとっても眩しく見えた。


 その次の朝。朝食を食べて、お父さんが仕事に出かけたあと。
「じゃあ、デートの準備はじめよっか。俊也、私の部屋に来て」
 部屋に入ると、部屋着姿のお姉ちゃんがベッドの上に色々衣類を並べているとこだった。
「お姉ちゃん、来たけど準備って何?」

「うん、まずは服を全部脱いで、これ着てね」
 そう言って手渡されたのは、女物の下着一式。
「……へ? どういうこと? まさかこれを着ろって? 僕は男だよ」
「いいじゃない。もう何回も着てるんでしょ? 一度お姉ちゃんにきちんと見せて欲しいな」

 『“何回も”なんてやってない。まだ1回だけだってば』
 一瞬そう抗議しかけたけど、でもそれじゃただの墓穴だと気づいて慌てて口を閉じる。
 弱みを握られてるんじゃ仕方がない。お姉ちゃんの言葉に従うだけだ。

 ──いや、それは言い訳だと自分でも分かってる。この胸のたかぶりは自分自身には隠せ
ない。それはきっと、お姉ちゃんにもばれてるだろう。

 しぶしぶ、のふりをして後ろを向いて裸になり、渡された下着を手に取って眺める。
 なんだか薄緑色をした、柔らかで柔らかで滑らかでふわふわして手触りの良すぎる物体。
 男物の衣装にはありえない、細かな白いレース、前についた小さなリボン。
 僕の心臓はもう、さっきからもうバクバクいいっぱなしだ。

 姉と弟。決して叶うことがないと分かってる、僕の初恋の相手の女性。
 その人の下着を、本人がまじまじと見つめるその前で履かされるシチュエーション。
 片足ずつ持ち上げて、そっと足を通していく。(少なくとも記憶にある限りでは)これが
2度目とはいえ、男物の下着と違いすぎるこの感触に慣れることはなさそうだ。

「あなたまだスネ毛ほとんど生えてないんだ。きれいな足してるわねえ」
「クラスにはボウボウの子もちらほらいるけど、僕はまだ全然だね」
 最後まできちんと履いて、股間のものを収める。堅くなりかけだけに辛いものがあるけど、
それでも布の外にはみ出さずに済んだ。
 布が股の間をそっと包む感覚がなんとも言えない。
女装SS総合スレ 第10話
40 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:36:31.92 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 3/11

「次はブラジャーだけど、大丈夫? ちゃんとした付け方分かる?」
「たぶん、なんとか……」
 下と同じ色の、レースで飾られた普通の男なら決して身に着けることのない下着。
 ウェストのところで後ろ前につけて、その状態でホックを留める。

 前回後ろでホックが留められず、悩んで編み出した方法──なのだけれど。
「違う、違う。やっぱりちゃんとした付け方教えるわね?」
 すぐにダメ出しされて、『正しいブラジャーの付け方』をレクチャーされる。

 まずはお姉ちゃんが上半身裸になって、ブラジャーの肩ひもをかけた状態で身体を倒し、
そっとカップにおっぱいを入れて後ろ手にホックを止めて、手間をかけて調整して終了。
 思春期真っ盛りの童貞少年には、余りに刺激的過ぎる光景。さっきから下着から先端が覗
いている状態だけど、そこに手を伸ばすことも目を背けることも許されない。

 『女の子がブラジャーをする仕草』って、何故こんなに可愛くて綺麗で色っぽいんだろう。
 でも、自分でその動作を真似させられるとなると、また話が別だった。
 背中のホックに手が届かなくて四苦八苦。つってしまいそう。

「まあ今日はこんなところで許してあげよっか」
 とようやく開放された時には、流石にめげてしまいそうだった。
 下を向くと見える、ストッキングを丸めて詰めた丸い2つの盛り上がり。
 男にはありえない胸の膨らみ。
 せっかく大人しくなった股間が、また充血し始めるのを感じる。

「んー。やっぱりイマイチかなあ。今日は仕方ないとして、もっとまともなパッド欲しいな」
「お姉ちゃん、ひょっとして今日だけじゃなくて、またやるつもり?」
「こんなワクワクすること、1回で終わらせるのはもったいないと思わない? ……じゃあ、
次はスリップをどうぞ。これは分かるよね? 頭からかぶるだけだから」

 そういえばこの間は着なかった、なんだかツルツルする同じく薄緑色の布地。
 これは普段着ているノースリーブと変わらない……かと思ったら、生地が薄すぎて力を変
に入れると破けそうで、動き自体が微妙な感じになってしまう。
 自分の意思はお構いなしに、自分の動きが“女らしく”させられてしまう不思議な感覚。

 肌に吸い付いてくるような柔らかな感触もなんだか不思議な感じ。
 自分が身に着けている下着から、微かに漂ってくる女の子の匂い。お姉ちゃんの匂い。
 この前は半分以上テンパってた状態。改めて落ち着いて五感で知覚するのは、なんとも不
思議な体験だった。

「うーん、可愛い。じゃあ次はメイクしよっか」
「そこまでするの?」
「うん、やるなら徹底的にね」

 妙な匂い、ひんやりとした柔らかい物体が自分の顔を丁寧に撫でていく奇妙な感覚──で
もそれを『気持ちいい』と感じている僕がいて、なんとも落ち着かない気分になる。
 微かに色のついたリップクリームを塗って完了。
 お洒落とはいえ流石に中学を卒業したばかりの年頃なので、簡単すぎる化粧。
女装SS総合スレ 第10話
41 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:37:31.25 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 4/11

 それでも訪れる、自分が自分でなくなったような心地にうっとりとする。
 この感覚はお姉ちゃんに気取られないようにしないと──と思うけど、やっぱり無理なだ
よな、ともすぐに思い直す。

 頭にネットみたいなものをかぶせられ、その上から長髪の黒髪のカツラを被せられる。
 これは前回も被った、お母さんの遺品の中にあったカツラ。地毛の長いお母さんが何故持っ
てたか分からないけど、これを見つけたことがこの間のオナニーのきっかけでもあった。

 ずっと鏡を見せてもらえてないけど、今の僕はどんな状態なんだろうか。
 テレビとかで見る女装の人は、気持ち悪いか、あるいは綺麗に見えてもよく見ると違和感
が出るような感じだった。僕はどっちだろう。
 この間は『お姉ちゃんそっくり』と思ったけど、それも錯覚じゃないかと不安になる。

「うんっ、完成!」
 なんだかすごい時間が過ぎたような、逆に一瞬だった気もする時間が流れたあと、お姉ちゃ
んが満足そうな笑顔でうなずいた。
「やっぱり私ってすっごく可愛いんだね。鏡で見るときとは結構違うなあ。さ、立って」

 言いつけ通り立ち上がって、二人並んで鏡に映る。
 目に入ったものが、信じられなかった。
「お姉ちゃん……? が、ふたり?」
 自分でも意識しないうちにふらふらと鏡に近寄り、そっとその“少女”の姿を撫でる。

 鏡の中の“お姉ちゃん”も、どこか呆然とした、どこか満足したような表情で同じ動きを
繰り返す。
 それでも2人の“お姉ちゃん”のうち、片方が僕だという実感が浮かんでこない。

 僕が身動きするたびに、サラサラという音が微かに耳に届く。
 女の子の服というのは、なんでこんなにちょっと動くだけで気持ちがいいんだろう。
 思わず先走り液がにじみ出るのが分かる。自慰をしたくなるのを抑えるのが大変だった。

 もう一人のお姉ちゃんが背後から僕の身体をぎゅっと抱きしめ、顔同士をくっつけてくる。
 すぐ近くから漂う匂いにドキマキし、その匂いが自分の服からも漂うことにドキマキする。

 前は『お姉ちゃんそっくりだ』と思ったけど、こうして並べると『そっくり』なんてレベ
ルじゃなかった。まるで一卵性の双子の姉妹のよう。
「本当、私たちがこんなにそっくりだと思わなかった。まるで双子の妹ができたみたい」
 姿が似ると思考も似るのか、僕と同じような考えをお姉ちゃんが口にする。

「──この話、俊也は聞いたことあるかな。私ね、本当は双子だったんだって。
 でも双子の妹はお母さんのおなかの中で、途中で成長がストップして死産で。
 結局生まれたのは私だけだった、って。
 でもこうしていると、まるでその双子の妹が生まれてここにいるみたい」

 異性として憧れていた人に背後から抱きすくめられるドキドキ感と、その人と同じ姿になっ
ているドキドキ感、それにその人の下着を身に着けているというドキドキ感。
 今バクバクいいまくってるこの心臓は、どれが原因なのだろう。
女装SS総合スレ 第10話
42 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:38:46.01 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 5/11

 ──やっぱりお姉ちゃんは世界で一番可愛い。

 茶色のブレザーに青いチェックのミニスカートの真新しい制服姿。デザインが可愛いこと
で有名な女子高の制服姿が似合って、最高に可愛い。
 身体のラインの出るグレイのニットセーターに黒いデニムスカート。最近のお姉ちゃんが
好んで着ているやや地味な普段着だけど、洗練された感じでやっぱり可愛い。

 仕立ての良い白いブラウスにロングスカート。お嬢様然とした姿も反則的に可愛い。
 もこもこセーターにマキシスカートの、女の子らしい服も抱きしめたくなるくらい可愛い。
 身体にフィットした紺のスーツ上下の姿も、大人びて可愛らしい。
 フリルとレース満載な花柄ワンピースにボレロを合わせた姿も悶絶しそうなくらい可愛い。

 お姉ちゃんと僕の、2人きりのファッション・ショー。
 鏡の中にいる“お姉ちゃん”の可愛らしさに、僕はすっかり魅了されていた。
 隣の衣裳部屋からも服を漁ってきたりもして、充分堪能したあとベッドに座って少し休憩。
 今の自分はシンプルな艶のある黒のロングドレス。鏡に映る姿は綺麗で可愛い。

 死んだお母さんの代理で、夫婦同伴のパーティに参加する時に着ているのを見かける衣装。
 飾りを一切排したデザインだけど、その分身体のラインが際立って美しく見える。
 ドレスとスリップ、2枚の布の下の僕の体は男のものなのに、こんなに薄い2枚の服を纏
うだけで見事に誤魔化されているのが不思議なくらいだった。

 今までお姉ちゃんがこのドレスを着るところを見るたびに、讃嘆の念と同時に感じていた
モヤモヤした思い。
 それが『自分もあんなドレスを着たい』という嫉妬だったとようやく気付いて、なんだか
複雑な気分になるけれど。

 お姉ちゃんが衣装持ちなことに感謝する。
 袖を通す時のすべすべ感、肌を撫でられるような感覚、そっと包み込む柔らかさ、ほのか
に漂ういい匂い。
 自分が女の子の服を着るのがこんなに好きだったなんて、僕自身驚くしかない事実だった。

「おわっ」
 自分の世界に入り過ぎていただろう。突然ウェストあたりを鷲づかみにされて驚く。
「ダメよ。今あんたは女の子なんだから、男っぽい驚きかたしちゃ」
 お姉ちゃんが驚いた時の反応も大差ない気がするけど、言わないほうが良い気がした。

「それにしてもあんた、ウェスト細いのねえ。私のスカート、なんで穿けるのよ」
「いや、流石にちょっと苦しい感じはしたよ?」
「だからその、『ちょっと苦しい』だけでちゃんと入るのが、既に変なのよ。うちのクラス
でも、私のスカート履けるの何人もいないんじゃないかな」

 返答に困る僕の僕の背後に回って、脇の下からお尻までのラインを何度も撫でてくる。
「細身だから分かりにくいけど、でもやっぱり体のライン自体は男の子なんだね。春物の間
はいいけど、夏物だったらちょっと厳しいか」
 この人は、一体いつまで僕に女装させるつもりなのだろう。
 ……そして僕は、一体いつまで女装を続けたいのだろう?
女装SS総合スレ 第10話
43 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:39:54.58 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 6/11

「それにしてもあなた、身長伸びたよねえ。──ちょっと立ってくれない?」
 立ち上がって2人背中合わせになって、背丈を比べてみる。
「前はもっと差が開いてたのに、こんなに迫られちゃって。今はまだ私がちょっとだけ高い
けど、もうすぐに抜かれちゃうんだろうなあ」

「お父さん180あるもんね。クラスでも背高いほうだし、僕もその位になるんじゃないかな」
「背も高くなって。声変わりもして。スネ毛も生えて。筋肉もついて。……これからどんど
ん男らしくなっていく時期だもんね。
 ……ね、だから。今この貴重な時間を楽しみましょう?」

 やっぱり外見が似ると、考える内容も似てくるらしい。
 鏡の中にいるお姉ちゃんが、恥ずかしげに、でもどこか嬉しげにこくんと頷くのが見えた。


「わっ」
 家のドアを閉めた直後に吹いてくる14階の風。
 ふわっと舞い上がるスカートを慌てて押さえたあと、「きゃっ」と小声で言い直す。

 春先の冷たさの残る風が、むき出しの太腿から下着1枚挟んだ股間にダイレクトに当たっ
てくるのが厳しい。短パンより露出度が低いと油断していたのが仇だったのかも。
 今よりずっと寒い時期に、生足で歩いてる女の子たちを改めて尊敬する。
 いや、今は“僕”──じゃない“私”も、『女の子』の一員ではあるのだけれど。

 いつもお姉ちゃんが履いてる女物の黒のローファー、太腿までの長さの黒のサイハイソッ
クス、黒のオーガンジーのミニスカート、黒のシフォンのフリルブラウス。
 全身黒で統一した衣装の上に、オフホワイトのゆったりとしたニットのポンチョを羽織っ
た、そんなコーディネート。

 本物のお姉ちゃんより少し短いだけの、黒のストレートのウィッグ。
 左のこめかみあたりで細い三つ編みにした以外は、背中に流して緩く一つに纏めてリボン
を模した白いバレッタで留めてある。

 ちなみに服や生地の名前は、ほとんど全部お姉ちゃんの受け売りだったり。
 サイハイとオーバーニーとハイソックスの違いとか色々説明されたけど、きちんと理解で
きたかは今一つ自信が持てない。
 身に着けていくたび、身動きするたびに自覚させられる、男の衣類とは違いすぎる感覚。
 柔らかさ、滑らかさ、頼りなさにずっと気を取られっぱなしだったから尚更に。

「お姉ちゃん、お待たせ」
 少し遅れて、家から僕の服を着こんだお姉ちゃんが出てくる。
 黒いジーンズに白いトレーナー、黒いジージャン。長い髪は無理やり帽子の中に押し込ん
でいるらしい。

 今日、これから私は瀬野悠里。今度高校1年生に進級する女の子。
 この少年は弟の瀬野俊也。私の2つ下の男の子。
 それが家から出る前におね──俊也とした、今日の『デート』での約束事なのだ。
 さっきから胸がバクバクしてちっとも収まらないのは、一体何が原因なのだろう?
女装SS総合スレ 第10話
44 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:41:20.90 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 7/11

「ね、俊也。私どこか変なところない?」
 家を出る前に鏡で確認したときには、“いつも通りの”可愛い女の子に見えた自分の姿。
 でも他の人の目から見るとどうなのだろう?
 エレベーターで降りる最中、少し不安になって聞いてみる。

「うーん、強いて言うなら、可愛すぎるのが変かな」
「もうっ、この子はまたそんなこと言って」
 自分の口からそんな言葉がすらりと出たことに、少し驚いてみたりもする。

「坂本さん、こんにちは」
 8階でエレベーターが開き、2歳くらいの男の子連れの女性が入ってきた。
 言い合いを中断し、前2人で会ったときどんな反応だったか無理やり思いだしつつ挨拶を。
「悠里ちゃん、俊也くん、こんにちは。相変わらず美人で羨ましい……こら、ダメでしょ亮」

 声でばれないか冷や冷やしたけど、気付かれなかったらしい。
 とほっとしたのも束の間、男の子がスカートを興味津々で持ち上げたりしてきた。
 俊也が無言のまますっと移動して、亮くんの手からカバーする位置に入ってくる。
「いいえ、大丈夫ですよ。一番上のスカートだけなら別にめくられても」

 今私が履いているのは、2重のオーガンジースカートの下にサテンのスカートが入った計
3枚のスカートが一体になったもの。今みたいに1番上だけなら別に問題はない。
 一番下までめくられて、下着まで見えたらまずかったけど──と意識した瞬間、なぜかぴっ
たりとした下着を持ち上げて、股間にあるはずのないものが堅くなってきたけれど。

「どうもすいません。亮もお姉ちゃんに謝って。本当にごめんなさいね。
 ところで今日はこれからデートなの? お洒落して、いつもより可愛さ3割増しって感じ」
「ええ。今日は僕とお姉ちゃんの2人でデートなんです」
「なるほど仲良くていいなあ。凄い美男美女カップルね」


「……ばれなかったなあ」
 玄関先で坂本さんたちと別れて、ふうっと息をつく。
「ばれる、って何が?」
 悪戯っぽい顔で聞いてくるお姉ちゃん──じゃなくて俊也。

「え? いや、なんでもないのよ」
 今一瞬、素の自分に戻り過ぎてやばかったと反省しつつ、意識を切り替えようとする。
 幸い、今の出来事で自信が持てた。あとはこのデートを楽しむだけだ。
 ……まあ、そんな浅はかな決心は、すぐに崩れてしまうわけだけれども。

 たとえば『歩く』という、いつも何気なくやっている動作。
 でも『瀬野悠里らしく歩く』というのは、これはなかなか大変なことだった。
 姿勢をまっすぐに、肩の力を抜いて、腰に重心を置いて、視線は前方を保って。

 出る前にうちでレクチャーされたけれども、簡単に身に付くようなものでもない。
 意識しないとできないし、意識しすぎるとやっぱり変になる。普段こっそりと見惚れてい
た仕草も、自分の体で再現しようとするとなかなかに大変なのだった。
女装SS総合スレ 第10話
45 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:42:34.38 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 8/11

「きゃっ」
 そんな感じで街中を歩いている最中、不意に強い風が吹いてくる。
 小さく叫び声をあげて、とっさに舞い上がるスカートと飛ばされそうになるウィッグを手
で押さえる。

 3度目の正直、今度は女の子らしい反応が出来たと内心ガッツポーズをしてみたり。
 背中で纏めた髪が膨らむ。小さく編んだ三つ編みが躍る。ポンチョがはためく。胸の部分
が押し付けられて、二つの膨らみが顕になる。薄くて短いスカートがめくれそうになる。
 手で押さえられた前側は良いけれど、後ろは下着が見えてないか不安になる。

 男でいるときは気にもしなかったような風が、女でいるときは肉体感覚として強く意識さ
れる。
 むしろ女の子の髪型、衣装というのは、より強く“風”を感じるのを目的で作られている
んじゃないか?

 そんなことを実感させられつつ顔を上げると──
 大学生くらいの男の人が、こちらを凝視してるのに視線が合ってしまう。
 一瞬後、慌てた様子で視線を外す彼。でも一旦意識し始めるとそこら中が視線の渦だった。

 どの方向を向いても、だいたい自分のほうを向いてる視線に出会う。
 目を向けると目を反らしたり、凝視を続けたり、ちらちら覗き見を続けたり、変な笑顔を
返してきたり。

「ん、お姉ちゃんどうかした? なんかキョロキョロして」
「やっぱり私、どっか変なのかな。なんだか注目されてる気がする」
「そりゃあ、お姉ちゃん可愛いから。ひょっとしてこんな視線、慣れてないの?」
 その言葉、信じてしまってもいんだろうか。

 私が男でいるときも、確かに視線を受けることは多かったし、慣れてるつもりだった。
 でもこうして“女の子”として歩いているときの視線は、その比じゃない。
 目を向けてない方向でも、なんだか見られている場所がチリチリと視線が刺さってくるよう
な気がする。顔と、あと脚がなんだか特にムズムズする気がした。

 ただの自意識過剰だろうか? そうならいいんだけど。
 背中からお尻、太腿にかけて何度も舐めるような視線を感じて目を向けると、中年男性が
慌てたように目を反らすのが見えた。顔を前に戻すと、また戻ってくるその視線。
 ほとんど『だるまさんが転んだ』状態。

 『見る性と、見られる性』──どこかで読んだ、そんなフレーズが頭に浮かんでくる。

 自分は今、『見る性』である男から、『見られる性』である女になってしまったんだ。
 そんなことを、頭でなく心でストンと理解させられてしまう。
 まあ私たちのことを「あの2人かっわいいねー」とか指さしてる女子高生集団もいたりし
て、余りあてにはならない指標ではあるけれど。

 風が吹く。さっきとは違う春先の優しい風。
 髪を、スカートを軽くたなびかせる風を、心地よいと感じた。
女装SS総合スレ 第10話
46 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:44:08.88 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 9/11

 その『視線』に会ったのは、買い物を幾つか済ませたあとだった。

 どこに行っても常に付きまとう視線の渦には未だに慣れなくてめげそうになるけれど、そ
れとはまた別の種類の視線。
 『視線はもう、そんなもんだと割り切ってしまって、気にしちゃダメだよ』
 そう“俊也”に忠告を受けていたけれども、ふとそちらに顔を向ける。……と。

「ひょっとして、悠里ちゃん?」
 視線の主だった、微妙に記憶にある気がする女の子が声をかけてきた。
 太い黒ぶち眼鏡。ややぽっちゃり体型。お洒落すればなかなか可愛いタイプだと思うけど
あんまり興味がなさそうで、少し野暮ったい格好をしている。

 (本物の)瀬野悠里の知り合いとのエンカウント。
 本来、予想しておくべきだったのにしてなかったイベントに、内心うろたえる。
「あ、はいっ」

「やっぱりそうだったんだ。すっごい久しぶりー。もう何年ぶりかな? 最初見つけて、
『どこの芸能人?!』って思っちゃった。すっっっごい脚長くて細くて頭小さくて首細くて
顔すっげー可愛いしさ。でもなんとなく見覚えある気がして。よく見るとあれ悠里じゃん、
って。もう何年ぶりかな? あ、ひょっとしてあたしのこと覚えてない? 中里美亜紀」

 予期せぬトラブルと、マシンガンのようなトークで止まっていた思考を無理やり動かす。
「あーっ、ミアっちなんだ。ごめん気付けなくて。久しぶりー。可愛くなったねえ」
 お姉ちゃんの小学時代の友だちで、昔はよく家にも来ていた。僕も知ってる相手だ。
 ──違う。『私』の友だちで、『俊也』とも顔を合わせたことのある女の子、だ。

「むぅ。それ嫌味か。いやあんた昔から美少女だったけどさ、ここまで可愛くなるとはなー」
「いや本当だって。お洒落に気を遣ってないのもったいないなあ、って最初に思ったもの」
「気を使ってもらってありがと。でもこれだけ美人ならモテモテじゃない? つかこちらの
イケサマが彼氏さん? お邪魔しちゃってごめんなさいねー。って今更か」

「美亜紀さん、僕ですよ。悠里お姉ちゃんの弟の俊也です」
 にっこり笑ってお辞儀する俊也。
『目がハート型になる』って漫画にはある表現、目の前で見れるとは思わなかった。
「きゃあっ。凄いびっけー。少女漫画の王子サマかと。悠里もなんだかお姫様みたいだし」

「ここで立ち話もなんですから、どこか喫茶店でも入りますか?」
「あっ、ごめんあたしこれから用事なんだ。でもまた遊びたいなあ。……悠里はまだあのおっ
きなマンションに住んでるの? 引っ越したりしてない?」
「いや、まだあそこだけど」

「ほんじゃー。また遊びに行かせて。都合のいい日があったら言ってね。あたし大体ヒマだ
からさ。ケー番教えて? ……うん、ありがと。今日の夜かけていい? じゃあまたねー」

 ぶんぶん手を振りながら、嵐のように去っていく少女。
 最近会ってない相手とはいえ、『瀬野悠里』として、『女の子』として、疑われることな
くうまく対応できたようだったことに、安堵の溜息をついた。
女装SS総合スレ 第10話
47 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:46:25.48 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 10/11

「お疲れ様。今日はどうだった?」
 そのあとも散々遊び歩き、結局夕食まで外で食べて家に帰る。
 服を取り換え、ダイニングでお茶を飲みながらほっと一息。
 自分の服から微かに立ち上るお姉ちゃんの残り香が、なんだか僕をドキドキさせる。

 向いに座っているのは、さっきまで僕が着ていた服を纏ったお姉ちゃん。
 でも『もう一人の私が目の前に座っている』ような違和感があるのはなぜだろう。

 最後のほうでは特に気にならなくなっていた、女の子の衣装。
 それが男の服に戻った途端に、滑らかな肌触りを生々しく思い出す。
 実際に女装していた時よりも、男に戻った今のほうが、『ああ僕は女装して、女の子とし
て街を歩いたんだ』と意識させられてしまう不思議な感覚。

「うーん、色々言いたいことはあるけど、まず第一に、疲れたねえ。
 普段使わない筋肉使いまくったから、もう筋肉痛になりかけてる」

「まあ、ぶっつけ本番だった割にはうまくモデルウォークとか出来てたと思うかな。
 まだまだ甘いから、たくさん練習しないといけないけど」
「練習させられちゃうんだ」

「そ。私も身に付けるまで結構研究と練習を重ねたからね。常日頃から綺麗な動きを保てる
ように。あと歩く以外の動作もお互い真似できるように練習して」
「それ馴染んじゃうと、女っぽいとか言われないかなあ」
「私は今日特に動作変えてなかったけど、普通に男に見られてたし、大丈夫だと思う。あと
『女っぽい』で思い出した。あんた会話中に指先で髪をいじるのは止めたほうがいいかも」

「……ええっ? あれお姉ちゃんがやってる仕草を一生懸命マネしてたんだけど」
「へ? 私、そんなことしてる?」
 自覚がなかったらしい。それから暫く、互いに相手の癖を指摘しあって驚くタイム。

「……うわぁ。なんだかショックだなあ。でも俊也、私のこと凄い細かく見てるのね」
 それは、自分でも少し驚きだったかもしれない。
 『お姉ちゃんだったらこういう動き/反応をするだろう』というのが、自分でも不思議なく
らいにすっと思い浮かんでいた気がする。

「お姉ちゃんは、今日はどうだった?」
「楽しかった! なんだかいつもより気楽に素のままで行動できてた気がする。あとやっぱ
り長年の夢が叶ったのは嬉しいな」
 僕を女装させて連れまわすのが夢だったんだろうか。ありうるだけに聞き返すのが怖い。

「世界で一番可愛い女の子と、一度でいいから一緒にデートしてみたかったんだ」
 違った、とほっとして良いのか悪いのか。
「……お姉さま。それはひょっとして、自画自賛というものではありますまいか」
「もちろんそうよ。俊也はそうは思わない?」

 にっこりと笑って合意を求めるお姉ちゃん。
 自分では隠していたつもりのこの思い。やっぱりバレバレだったのか。
女装SS総合スレ 第10話
48 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:48:17.41 ID:GE7n6uGj
『瀬野家の人々』 俊也の場合-A1 2009年3月 11/11

 くっきりした二重と長い睫毛に縁どられた、強い意志を示す瞳。すっきりした鼻筋、綺麗
な形の唇。小さな顔、腰まで届く漆黒の艶やかな髪。
 ポンチョは着てないから、今は服も含めて黒一色の姿。細身の体を包む黒のブラウスに黒
のスカート。この人には『黒』が良く似合う、と改めて思う。

 確かにお姉ちゃんは可愛い。
 そしてほんの30分ほど前まで、僕はこの可愛い姉のふりをして、誰からも疑われること
なく存在していたのだ。この人が今着ている服を、下着まできちんと身に着けて。
 それを思い出すと、かっと身体が熱くなってくるような気がした。

「そういえば、よくばれなかったよね。エレベーターの坂本さんとか、声を出したあとで
『しまったこれでばれるかな』って思ったのに」
 むくむくと元気になり始める股間のものから意識を反らすため、気になっていたことを訊
いてみる。

「まあ、あんたはまだ声変わりしてないし、電話越しとかだったら前から時々間違われてた
からねえ。あと狭いエレベーターだったから、微妙に声が反響してたのもあるかも。
 他は、今日会った知り合いってミアっちだけか。そう考えるとラッキーだったね。もっと
親しい知り合いだったらバレてたと思う」

「やっぱりそっかあ。声もそうだし、仕草も違うし、結構『本当の僕なら、そんなこと言わ
ないしやらない!』って思うことあったしね」
「そう? 言動に関してはいつもの俊也通りにやってたと思ったんだけどなあ」

「これ、ずっと言いたくて我慢してたんだけどさ。今日のお姉ちゃん、イケメンすぎ。スカー
トめくられた時にすっとカバーに入ったり、女の子を茶店に誘ったりとか。
 僕ならそんなことできないもん」
「そっかなあ?」

「だいたい、美亜紀さんが説明なしに『彼氏』? って聞いてきたのもびっくりしたんだ。
僕の場合はほら、男の服を着てても女と間違われるのが普通だし。
 今日、男らしさで僕はお姉ちゃんに完敗したんだなあ、って」

「それを言うなら、今日の俊也は美少女すぎだと思うんだ。坂本さんから『可愛さ3割増し』
って言われちゃったけど、それよりもっと上かも。
 外で男たちの目が吸い付けられていく様子とか、見てて面白かったな」
 それが今日一番、大変だったことだ。今でもまだ誰かに見られてるような気がする。

「私たち、生まれる性別間違えたのかな。ね。これからずっと入れ替わって生活してみる?」
「『ずっと』って、嫌だし、無理だよ。これから僕は、どんどん男になってく時期だもの」
「じゃあ、あんたが男らしくなるまでかな。入れ替わりは」
「そうだねえ」

「よし決まりっと。じゃあ明日からもっと本格的に入れ替われるよう、これから特訓ね♪」
「……ええっ?」
 軽い相槌のつもりで言った返事が、酷い地雷だったことに気付くのに、少しかかった。
 そして自分が、お姉ちゃんの言葉に喜んでいることに気づくのは、更にもう少しかかった。
女装SS総合スレ 第10話
49 : ◆fYihcWFZ.c [sage]:2014/02/11(火) 13:52:27.57 ID:GE7n6uGj
前スレで要望のありました、俊也くんの場合を形にしてみました。
えらい長くて、その割にはエッチシーンのほとんどない物語になってしまいそうです。
その分、自分のフェチ心を大量にぶちこんでみましたが、吉と出るか凶と出るか。

続きは当分先になりますので、まあ気長にお待ちいただければ。

>>36
でも、この話の一番の勝ち組は悠里だと思うのです。


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