- 実況パワフルプロ野球のSS Part14
413 :835[]:2014/02/03(月) 21:38:58.70 ID:qMOcRyq/ - どんどん架空のカップリングを推して行くスタイル
ということでまた小ネタやで ※エロは無いがお色気展開的な何かはある ※季節感は0
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414 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:40:20.10 ID:qMOcRyq/ - それは、兄さんと一緒に、郊外のプール施設にトレーニングを兼ねて遊びに行った時の事でした。
「ん……?あれ、六道じゃないか?」 「え?あっ、本当だ」 入口の辺りで、きょろきょろと周りを見回している、ちょっと挙動不審な女の子。紛れも無く、六道聖さんその人でした。僕たちは近付いて声をかけます。 「聖さん、どうしたんですか?」 「むっ!猪狩……と、猪狩先輩。どうも」 「分かりにくいからいい加減何とかならないのか、その呼び方」 「すいません」 「まぁまぁ……で、どうしてプールに?橘さんと遊びに来たんでしょうか?」 「『うぉーたーすらいだー』なる変化球を見に来たのだ」 「……は?」 「……えぇと?」 「みずきから聞いたのだが、どうしても詳細は教えないと意地の悪い事を言われてな……ここに来れば直接見る事が出来ると聞いて」 「……橘のやつ、相変わらず人をおちょくるのが好きだな……いや、これは知らない六道もどうかと思うが」 「……やはり、普通なら知っている変化球なのですね」 面目無い、といった感じに聖さんの顔が曇ります。
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415 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:41:14.23 ID:qMOcRyq/ - 「ここまで来たのは良いのですが、何分こういう場所には縁が無いもので」
「それで困っていたんですね」 「むむ……情けない所を見られてしまった」 「泳げる用意はしてきたんですか?」 「うむ。みずきから言われて、その点はばっちりだ。野球の道具はいらない、と言われたのは解せないんだが」 「さすがの橘もそこまで悪魔じゃなかったか」 「よかったら、案内しましょうか?ウォータースライダー」 「良いのか?二人はここに遊びに来たのだろう?」 「トレーニングも兼ねてですけれどね。それに、ウォータースライダーなら遊ぶのと一緒ですし」 「うーん、ますます分からなくなって来たぞ……?『うぉーたーすらいだー』……一体、どんな変化球なのだ……?」 「……僕はそんな面倒そうな事はごめんだぞ。一人で案内してやれ、進。先にいつものプールに行っているからな」 そういうと、兄さんは興味は無いといった風に先に歩いて行ってしまいます。兄さんらしいとは思うけれど、もうちょっと言い方を考えられないものでしょうか。 「……すまない、猪狩」 「気にしないで下さい。僕はウォータースライダー好きですから」 「好き嫌いの分かれるものなのか?」 「大抵の人は好きなんじゃないでしょうか」 「ふむ……どんな場面でも使える、便利な変化球なのだな」 未だ勘違いをしている聖さんがおかしくて、僕もとうとう吹き出してしまいました。憮然とした顔の聖さんには、少し申し訳有りませんでしたが。
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416 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:42:47.20 ID:qMOcRyq/ - ――
「待たせたな」 「……」 「……どうした?」 「……い、いえ、何でも無いです。とりあえず、行きましょうか」 「うむ!よろしく頼むぞ」 くるりと向きを変えた僕は、自然と早足になってしまいました。更衣室を出た所で合流したのですが、早くそこを離れたくなったのです。 一つの所に長く留まりたくない、という方が正確かもしれません。原因は聖さんでした。 ぴんと張った背筋に、適度に肉感のある均整のとれた体。不思議とあざ一つ無いきめ細やかで白い肌に、白と水色のパレオが良く似合っています。 その堂々たる姿は一際異彩を放っているようです。本人に自覚は無いのですが、周囲のお客さんの目を引くのに、十分過ぎるほどの容姿を彼女は持っていました。 ある程度予想はしていたはずなのに、いざ同級生の女の子の水着姿を前にして、僕は動揺を隠す事が出来ないでいたのです。 「……さすが猪狩だ。他のお客さんがみんなこちらを見ているな」 「……あはは」 一応、自分がこういう所で目立ちやすいというのは理解しているつもりですが、明らかに別種の視線の方が多い気がします。 「うわー、あの子達、可愛い!」 「カップルかな?」 「お似合いだねぇ」 喧噪に紛れて聞こえてくるそんな会話。あれは誰か別の人達を指しているのです。そう思わないとやっていられません。 恥ずかしくて顔から火が出そうでした。何とかして兄さんに付いて来てもらった方が良かったと、後悔してももう遅いのです。 今の僕に出来ることは、表情の変化を気取られないように、彼女をエスコートする事だけでした。 「むっ!猪狩、猪狩!あれはなんだろうか」 「あぁ、あれは、流れるプール……」 「流れるのか!?面白そうだな。寄って行っても良いか?」 「……ど、どうぞ」 とはいえ、いつになくはしゃぐ聖さんを無碍に扱うわけにもいきません。ウォータースライダーまでは、まだ随分と時間がかかりそうです。
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417 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:44:27.37 ID:qMOcRyq/ - ――
「なんと……『うぉーたーすらいだー』とは、大きな滑り台の事だったのか……スライド……スライダー……なるほどなぁ」 「何でも野球に結び付けて考えるのは、あまりよくないかもしれませんね。教えない橘さんもどうかと思いますけれど」 「むむ……自分の無知が嫌になるな。しかし確かにこれは、皆が好みそうだ」 このプール施設の目玉でもある大型ウォータースライダーの前に、僕と聖さんは立っていました。さて、これで僕のお仕事は終わりになるのですが。 「聖さんは、どうしますか?」 「折角だし、これも楽しんでいきたいが……猪狩、その……また一緒に来てはくれまいか」 (ですよねぇ) 先ほどの流れるプールも一緒に入りました。だからこれは当然予測の範囲内です。 別に、聖さんと一緒に遊ぶ事が嫌では無いのですが、周囲の好奇の目に晒されるというのも、また事実でした。 「……僕で良ければ、喜んで」 「そうか!では行こう!」 でも、彼女の笑顔が魅力的だったもので、ここまで来たら開き直ってやろうと、僕は考え始めていたのです。 聖さんの挙動にはあまりにも隙が多く、目を離してはいられなかったというのも理由ですが。
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418 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:46:02.44 ID:qMOcRyq/ - ――
「……えぇと、本気で、これで滑るんでしょうか?」 「ダメなのか?」 「いや、その、何と言いますか」 「?」 順番が来て、係員の方に促されるままスタンバイしたのですが、いきなり僕は後悔していました。 今の体勢は、僕が前に座り、そのすぐ後ろに聖さんが居て、僕の肩に彼女が掴まるような形。視線の端に、白い脚が入っています。 少しでも僕が動こうものなら、腰や脚が柔らかい彼女の太股やふくらはぎに触れてしまう、何ともキワどい状態。 順番待ちのお客さんや、係員の方の生温かい視線が、容赦なく僕の背中に突き刺さります。役得というより拷問です。 「後ろがつかえているようだぞ。早く行こう」 「あ、あのー……聖さん、出来れば別々に……」 と、彼女の気配が近付きました。首筋に吐息がかかって、思わず背筋が伸びてしまいます。 「……こういうのは、初めてだから、ちょっと怖いのだ……」 耳元でそんな風に弱々しく囁かれてしまっては、健全な男がその申し出を断れるでしょうか。断れるはずがありません。 かーっと血が上って来る感じを自覚しつつ、僕は覚悟を決めたのです。 「い、行きますよ?」 「う、うむ」 ぎゅっ、と肩に掛かる力が強くなりました。突っ張っていた手を離して、水の流れに体を任せます。
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419 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:47:28.98 ID:qMOcRyq/ - 「お、おお、おおおお……」
(うわー!?うわー?!) 滑って行く間に、どんどん体が密着していきます。背中に当たるのは、聖さんの。 (だ、ダメだ!それ以上いけない!考えるな!考えるな!) 「す、すまん、猪狩、やっぱり怖い、しがみつかせてくれ……!」 「ひゃー!?」 不意に押しつけられた体。腕はいつの間にか僕のお腹に回されています。肩には彼女の頭が乗っているようです。 「あわ、あわわあわあ」 「む……よ、よし、慣れて来たぞ……おお、おっ、うお」 コースに合わせて右に左に体が傾くのですが、その度に、当たっているアレが背中に擦れるというか、確かな弾力を持って感覚に訴えかけて来るというか。 とにかくもう滑る楽しさなどとは無縁の、罪悪感というか、してやったりというか、ともかく色々な感情が渦を巻いているかのようでした。 プールの目玉だけあって、その全長は結構長いようで、もう何回も曲がったり下ったりしている筈なのに、なかなか終わる気配がありません。 「わはは!猪狩!楽しい!楽しいぞ、ウォータースライダー!」 「あははー?!」 そろそろ僕の中で何かが切れかけようとしていたその時、ようやく視界が開けました。着水の衝撃で、背中から重みが消えて、お腹に回っていた腕も離れて行きます。 ゴーグルはしていなかったので、思いっ切り水が目に入りました。
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420 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:49:16.60 ID:qMOcRyq/ - 「ぷは!はー、はー……ど、どうにかなる所だった……」
「あはは、あははは、何だ、猪狩、怖かったのか?」 「こ、こっちの話……ん?」 目を擦りながら振り返った僕は、指の隙間から見える聖さんの姿に違和感を覚えました。けたけたと愉快そうに笑っているらしい彼女の肩に、有る筈のものが無いのです。 最初は気のせいかと思ったのですが、凄まじく嫌な予感がして、急いで目を見開いて確認してみました。果たして、そこにはもう落ちる寸前といった体の水着が―― 「〜〜っ?!?!」 「うぉっ!?な、なな、なんだ?!い、猪狩!?」 反射的に聖さんを抱き締めると、ちょうど水着が完全に外れたらしく、さっきまで僕の背中に押し付けられていた聖さんの、聖さんの、お、おっ(自主規制) 「あっ!?」 「すいませんすいませんごめんなさいごめんなさい!他意は無いんです!ただ最悪の事態を避けようとしただけなんです!」 声を殺しながらまくしたてるという、一見矛盾する行動。 「ど、どうしよう?!」 「こっ、このまま、何とか水着を……あぁっ、大丈夫です!?見てません!見ませんから!」 幸い、近くにいた親切な御婦人達が事態に気付いてくれたらしく、聖さんの貞操の危機(?)は避けられたのでした。
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421 :うぉーたーすらいだー[sage]:2014/02/03(月) 21:50:12.53 ID:qMOcRyq/ - ――
「うぅ……本当に、なんとお詫びをすればいいのか……」 「……詫びなどいらないよ。あれははしゃぎ過ぎた私の不注意が招いたものだ」 一段落ついた後、休憩スペースで僕は平謝りをしていました。聖さんは落ち着かない様子でしたが、別段不機嫌というわけでも無いのが救いでした。 「むしろ猪狩には、御礼を言いたい」 「……許して貰えると?」 「そう言っているだろう?全く……」 折角最近仲良くなれたというのに、それが台無しになってしまうのじゃないか、という僕の不安は、杞憂に終わってくれるようです。 「……君だから、許すのだぞ……?」 「えっ?」 「い、いや、何でも、無い……」 ぽつりと聞こえた言葉は、僕の聞き間違いだったのか、それとも――
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422 :835[sage]:2014/02/03(月) 21:56:08.03 ID:qMOcRyq/ - 終わりやで
守「ぐぬぬ……六道、あの女狐め……」という話 なお興味無い振りを装いつつばっちり一連の様子を監視していた模様 プール関連の描写がおざなりなのは僕がしばらくプールに行って無いからです(半ギレ) なんか最後のやり取りをやらせたかっただけな気もする 進くんはニコニコ鬼畜坊ちゃんだから難聴なのは仕様です
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